F-35ライトニングⅡという名前を聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか。
最新のアメリカ戦闘機、ということは多くの人が知っているかもしれません。
ほかにも、高いステルス性能をもっていることや、値段がとても高いことなど、ニュースで見聞きしたことがあるかもしれません。
F-35は日本でも自衛隊での導入や在日アメリカ軍への配備が決定しており、実際に配備されている機体もあります。
この記事では、日本においても身近な戦闘機となりつつあるF-35ライトニングⅡについて、いったいどんな機体なのか、どのような性能をもっているのか、高いといわれるその価格などについて紹介していきたいと思います。
F-35とは
引用:http://news.livedoor.com
F-35ライトニングⅡはロッキード・マーチン社が中心となって開発した第5世代戦闘機で、ステルス性に優れ、多用途任務に応えるマルチロール機です。
ライトニングという愛称は、第二次大戦時のアメリカ陸軍戦闘機「P-38ライトニング」から受け継がれています。
第5世代のステルス戦闘機はアメリカのF-22ラプターとF-35ライトニングの2機種だけとされていて、F-35はF-22と比べると、速力や格闘戦性能において劣りますが、対空戦闘や対地攻撃能力・電子兵装に優れており、アメリカ・日本に加え、イギリス・イタリア・オランダ・韓国・オーストラリア・カナダ・トルコ・ノルウェー・デンマーク・イスラエルの12か国での運用が予定されています。
もともとは、海兵隊の使用するAV-8Bハリアーの後継機として1986年からアメリカとイギリスとの共同研究が開始されていたもので、これが1995年からアメリカ海空軍・イギリス海空軍で使用する戦闘攻撃機を共同で開発し、共有化するという計画へと発展しました。
これは、1つの基本設計をもとにCTOL(通常離着陸)型、STOVL(短距離・垂直着陸)型、艦上機型を並行して開発するという前例のない壮大な計画でした。
1996年11月には計画名が「統合攻撃戦闘機計画(JSF:Joint Strike Fighter)」に変更され、ボーイング社の「X-32」とロッキード・マーチン社の「X-35」の2つの評価試験機による競争試作が行われました。
各種試験と検討の結果、2001年10月、国防省はX-35を選定し、F-35として採用することを決定しました。
当初の予定では2012年から配備が開始される予定だったF-35ですが、1機種から様々なタイプの機体を統合して開発するという高い要求水準から、計画は難航し、一時は技術的課題が解決できない場合は開発を中止する意向が示されるなど、多くの困難が伴いました。
しかし、メーカーの驚異的な努力もあって、2016年にCTOL型のA型、2015年にSTOVLのB型、2018年に艦載機型のC型がそれぞれIOC(初期作戦能力)を獲得しました。
初期作戦能力とは、「周到な訓練を行ったクルーにより既定の任務が達成できるF-35一個飛行隊の編成」が認定されたことを意味します。
この後、F-35はアメリカ軍および海外の採用国において、順次配備が始まっています。
F-35の性能
引用:https://newswitch.jp
F-35の機体サイズは、全長は各型とも15.6~15.7m、全幅はA・B型が10.67m、C型が13.11m、重量はA型が13.3トン、B型が14.7トン、C型が15.8トンとなっています。
F-35はF-22に搭載されているプラット&ホイットニーF119の発展型であるF135ターボファンエンジンを搭載し、最大速度はマッハ1.6を発揮します。
F-35は設計段階では超音速巡行は求められていませんが、アフターバーナーを用いて最大速度(マッハ1.6)まで加速した後、アフターバーナーを用いずに150マイル(約241㎞)まで超音速飛行ができるため、その間にアフターバーナーの短時間仕様によって超音速巡行が可能になるとされています。
また、ステルス性を重視するF-35は機内燃料タンクのみで所定の航続距離を発揮できるよう設計されています。
燃料搭載量はA型でF-16Cの約2.1倍、C型でF/A-18Cの約1.9倍となっており、従来機のように任務の際に増槽を携行する必要がなく、いつでも身軽なクリーン状態でその飛行性能を存分に発揮することができるのです。
F-35は F-22と同様、設計当初からステルス性能という概念が盛り込まれている機体で、様々な部分でRCS(レーダー反射断面積)を低減するための工夫が行われています。
機体表面にはフェライトや結晶黒鉛の粒子で電波を内部に取り込み、熱へと変換してしまうレーダー波吸収素材(RAM)の使用し、兵装はレーダー反射を低減するために機内のウェポン・ベイに収納する方式としています。
ちなみに、試験中にはRAMの熱で機体が燃え出したこともあるとか。
ほかにも、エアインテークの開口部と胴体のあいだに境界層空気流を逃す隙間(ダイバーター)をもたないためRCSを低減できるDSI(ダイバーターレス超音速インレット)の採用、金を蒸着させて電波の侵入・反射を防ぐキャノピー、機体のパネルの継ぎ目やエンジン・ノズルの先端を電波の反射を反らす効果のあるギザギザ(鋸歯状)にするなど様々な工夫が盛り込まれています。
そのため、F-35のステルス性は非常に高く、正面からのRCSは0.00143㎡で、これはF-22と比べると7~9倍になりますが、F-35のほうが小型のため、目視での被発見率は低くなるといわれています。
また、F-35は優れた電子兵装やレーダーにより敵戦闘機を捕捉する能力にも長けています。
F-35は機種レドームに探知距離約167㎞のAN/APG-81アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーを搭載。
これは、F-16E/Fに搭載されたAN/APG-80の空対地機能とF-22が搭載するAN/APG-77の空対空機能を組みあわせた多用途AESAレーダーで、これを搭載することによりF-35は空戦・対地攻撃において高いパフォーマンスを発揮することができます。
また、機体の6か所に装備されたセンサーとAN/AAQ-37電子工学分配開口システムにより機体の全周を監視し、各センサーは感知した情報をコンピューターで統合管理してパイロットに情報を提供して、レーダー電波を発していない敵機も赤外線により探知することができます。
例えば、ロシア戦闘機Su-35の場合、Su-35のイルビスレーダーではヘッドオン(対進)で向かってくるF-35を距離58㎞で探知できるとされますが、反対にF-35 のAN/APG-81レーダーは向かってくるSu-35 を130㎞で探知できるとされていて、約2倍の距離から敵を発見できます。
ほかにも、ロシア海軍機MiG-29なら185㎞、中国軍のJ-15なら300㎞以遠から簡単に捕捉することが可能で、いずれの場合もアウトレンジから一方的に敵を撃破することができるでしょう。
F-35のもつ高いステルス性能と探知能力がこれを実現しているのです。
さらに、F-35はこうしたレーダー、センサーの情報やAWACS(早期警戒管制機)からのデータ通信を味方のF-35と共有するためのネットワーク機能ももっています。
F-35のコクピットはもっとも先進的と言われ、コンソールからは従来型の計器が姿を消し、大型カラー液晶のMFD(多機能表示ディスプレイ)にパイロットが必要とするあらゆる情報が表示されます。
MFDはタッチ・スクリーン式で、スマホのように画面に指先で触れることによってメニューからの選択や表示される画像を入れ替えるなどの操作が行えます。
しかし、従来型の機器がまったくなくなったわけではなく、MFDが使用不能となった場合の緊急時バックアップ用として電子式のADI(現在の飛行姿勢や設定された飛行を行うためのコンピューターからの指示表示装置)だけは残されています。
また、F-35では本格的なヘルメット組み込み式のディスプレイ装置(HMD)を導入することで、コクピットからHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)がなくなっています。
HMDによりヘルメットのバイザーに必要な情報が常にパイロットの正面になるように表示されます。
ディスプレイやバイザーに表示される情報は、操縦桿やスロットルに備えられた様々なスイッチにより手を離すことなく選択や操作ができるようになっています。
F-35のコクピットには、操縦に加えて戦闘まで行わなければならないパイロットの負担をできる限り軽減して効率化し、戦闘能力を高めようという狙いをもっています。
また、F-35にはALIS(自動兵站情報システム)というものがあります。
これはアメリカ軍やほかのF-35使用国、メーカー等を繋いでいるネットワークサーバーで、トラブルや故障個所を自動で診断できるというシステムで、継続的なアップデートが行われています。
海兵隊ではALISのおかげで従来機よりも整備が格段に楽になったと評判で、F-35はハード面だけでなく、支援体制においても優れたシステムをもっているといえます。
F-35派生形と他国配備(日本含む)
引用:https://www.businessinsider.com
F-35には、アメリカ空軍が使用するF-35A、アメリカ海軍・海兵隊が使用するF-35B、アメリカ海軍が使用するF-35Cの3つのタイプがあり、3つが同時進行で開発されました。
F-35Aは空軍用のいちばんオーソドックスなCTOL(通常離着陸)型で、他の2つはこのA型をベースとして開発されました。
現在、使用されているF-35のほとんどはこのA型で、生産機300機中197機、輸出型もほとんどがA型で全体の3分の2を占めています。
2018年5月22日にはイスラエルに輸出されたF-35Aがシリアで武装勢力に対する攻撃を行い、世界中のF-35で初めて実戦を経験しています。
日本でも航空自衛隊の戦闘機として採用が決定し、2018年1月から三沢基地に6機が配備され、最終的には40機程度が運用される予定です。
F-35B
F-35Bは垂直に離着陸できるSTOVL(ストーブル)という機能をもっていて、このため、B型は前部胴体にリフトファン・エンジンというB型のみ搭載しているエンジンがあり、エンジン使用時にはリフトファン・エンジン・ドアが下方に開いて、エンジンから伸びる駆動軸で小型のファンを回転させ、作り出した高圧の圧縮空気を下方へ吹き出すという機構を備えています。
また通常のエンジン・ノズルも3つの部位で構成される回転ノズルとなっていて、これを下向きに偏向させることで垂直飛行を可能としています。
F-35BはF-35Aと比べて、航続距離と兵装量の面で若干劣っていますが、それを除いた航空作戦能力においてはまったく同等の能力を発揮します。
F-35Bはその複雑な機構のために開発が難航し、開発が危ぶまれることもありましたが、メーカー側の驚異的な努力によって開発実現にこぎつけると、結果的には3タイプの中で一番早くに実戦飛行隊が編成されることとなり、今では戦域に前方展開するアメリカ軍の頼もしい戦力となっています。
この実戦飛行隊というのが、2017年1月に日本の米海兵隊岩国航空基地に配備された第121海兵戦闘攻撃飛行隊グリーン・ナイツで、これは全アメリカ軍の中で海外基地に恒久配備される初のF-35B戦闘飛行隊となりました。
F-35Bのもっとも優秀なところは、なんといってもこの機体の最大の特徴であるSTOVL機能で、これにより、F-35Bは空母でなく強襲揚陸艦からの運用が可能となっています。
これまでヘリコプターなどを主な航空戦力としてきた強襲揚陸艦に戦闘機を搭載することで航空戦力が増強されることももちろんですが、強襲揚陸艦は原子力空母の5分の1の費用で建造することができます。
単純に考えれば、空母1隻の代わりに強襲揚陸艦5隻を建造し、そこにF-35Bを搭載すれば、これまでよりはるかに高い制空戦闘能力を獲得できるようになるでしょう。
もちろんこれで空母の価値がなくなるということはありませんが、F-35Bは艦艇や航空戦力の価値を変化させる可能性を秘めた機体であるといえます。
F-35Bは現在約75機が生産されており、アメリカのほかイギリス・イタリア海軍でも採用が決まっている他、2019年8月には日本の自衛隊に採用されることが正式に決定しました。
2018年9月27日には、アフガニスタンでアメリカ海兵隊のF-35Bがタリバンを攻撃し、初の実戦参加を果たしています。
F-35C
3つ目のF-35Cは空母に搭載される艦載機(CV)型であり、3タイプの中でもっとも遅れて開発されました。
時間がかかった理由としては、F-35Cがほかの2タイプと本質的に別の機体であるからです。
前述のF-35BはSTOVLという特異な機能に目が奪われがちですが、エンジンやリフトファンといった動力系を除けば、機体そのものはほぼ同寸ですし、A型との相違点はほとんどありません。
しかし、わずか250m足らずの空母の飛行甲板で離着艦を行うF-35Cの場合、主翼や水平尾翼の拡張に加え、降着装置など特殊な機構が必要となってくるのです。
他機種との共通部分がF-35Aが39.2%、F-35Bが29.9%であるのに対して、F-35Cは27.8%ともっとも低くなっています。
F-35CはF-35Aと比べて、全長がほぼ同じなのに主翼幅が2.4mも長くなっていて、主翼の翼面積は45%も大きく、上から見るとずんぐりした形になっています。
空母へ着艦進入するための電気油圧式アクチュエーターで駆動する前縁フラップや後縁フラッペロン、エルロンなどの高揚力装置やスピードブレーキの役割を果たす全遊動式の水平尾翼を備えています。
また、離陸の際にカタパルトの先端に引っかける頑丈なカタパルトフックや着艦時にワイヤーに引っかけるアレイスティングフックといった艦載機ならではの機能が備わっています。
F-35Cは2010年から最初の量産型が生産され、2017年1月からは飛行隊の編成もはじまっていますが、実際の作戦配備は2019年までずれこむものとみられています。
F-35Cは現在のところ、アメリカ以外では運用される予定はありませんが、これは空母を運用している国自体が少ないというのもその理由です。
ちなみに、2021年ごろに山口県岩国基地に展開しているCVW-5(空母航空団)に配備する計画があり、日本にも配備されるかもしれません。
F-35の価格
引用:https://sldinfo.com
F-35の開発計画において、アメリカ国防省は各機種の共通化部分を増やすことで全体的なコストを下げ、アフォーダビリティ(取得性)を上げようという考えをもっていました。
しかし、実際に計画を進めていくと、狂いが生じるのはよくあることで、F-35計画もその例に漏れませんでした。
性格も要求も異なる3つの戦闘機を同時に開発すれば、費用がかさむのもやむをえないことであり、価格は年々上昇していきました。
F-35の問題点を上げるとき、必ずといっていいほどこの価格が指摘されます。
アメリカの国防予算要求書に発表されているFUC(フライアウェイ・ユニックコスト)によると、F-35の価格は2019年度予算で、調達数の多いF-35Aで1億2162万ドル(133億円)、F-35Bが1億3071万ドル(143億円)、F-35Cが1億3303万ドル(146億円)となっています。
このFUCというのは機体単体の価格ではなく、ウェポン・システムや補助機材などもあわせた「兵器」としての総合価格であるため、生産数にもよりますが機体のみだともう少し安くなるのですが、当初の想定価格であった8000万ドル(88億円)からすれば2倍以上の高騰です
F-35のコストについては、1機あたりの価格なのか、その他も含めたコストなのか注意が必要なところです。
2016年アメリカのトランプ大統領は、F-35の価格が高すぎるとして直接ロッキード社と交渉を行い、コスト削減に取り組むことで調達価格を下げることを約束させました。
これによって、F-35の機体のみの価格は9460万ドル(104億円)程度となり、これは海外向けに輸出される機体にも適用されます。
しかし、この機体を実際に運用していこうとすると、FUCに見積もられている程度の金額がかかるということです。
「もっとも高価な戦闘機」と揶揄されることもあるF-35ですが、それでも1機につきおよそ1億5000万ドル(168億円)というF-22ラプターに比べればまだ低価格といえ、アメリカ軍は今後、高価なラプターと安価なライトニングという2種の第5世代戦闘機をハイロー・ミックスで運用していく予定です。
また、F-35は当初より同盟国への輸出を念頭において開発が進められてきました。
アメリカを主開発国とし、イギリスが共同パートナー(レベル1)、イタリアとオランダが協力パートナー(レベル2)、オーストラリア・カナダ・デンマーク・ノルウェー・トルコが情報提供パートナー(レベル3)として参加し、それぞれ開発費を拠出しています。
また、イスラエル・シンガポールが保全協力参加国(SCP)となっています。
レベル1~3以外のパートナー諸国以外ではイスラエルと韓国そして日本が導入を決定していて、これら3か国には海外有償援助(FMS)によって販売が行われます。
2012年に日本政府とアメリカ国防省とのあいだで結ばれた制式契約では、2016年から導入される最初の完成輸入品の4機について、1機あたりの価格が96億円(補用部品を含めて102億円)となり、当初の見込み89億円よりも上昇する結果となりました。
今後、日本ではF-35を直接輸入するのではなく、三菱重工業によりライセンス生産が行われることになっていて、国際整備拠点の1つも日本におかれる予定です。
これによって日本の防衛技術の発展を促そうとするものですが、部品の輸送費などライセンス生産のほうが高価となってしまいます。
なお、日本の場合は開発費用を拠出していないため、開発分担金を支払う必要があります。
F-35Aの場合、共通部分が多いため開発分担金も低めですが、現在導入が研究されているといわれるF-35Bの場合、開発分担金も高くなるものとみられます。
F-35の兵装
引用:https://sputniknews.com
F-35は空対空・空対地・空対艦ミサイル、誘導爆弾、通常爆弾、核爆弾、機雷、ロケット弾ポッドなど多種多様な兵器を搭載可能で、アメリカ製だけでなく欧州製の各種兵装にも対応しています。
固定武装はF-35Aのみ胴体左側にGAU22-A(口径25㎜の4砲身ガトリング式機関砲)1門を装備し、F-35BおよびCは胴体下面の兵装ステーションに機関砲ポッドを搭載できます。
F-35は胴体中央下部に2つのウェポン・ベイを備えており、内部には天井部と内側扉に1か所ずつ兵装ステーションが設けられています。
空対地ミッション時には天井部にGBU-31 2000ポンド(907㎏)JDAMを1発(F-35Bの場合はGBU-32 1000ポンド(454㎏)JDAM)、内側扉にAIM-120C AMRAAMを1発備えるのが標準仕様となっており、空対空ミッション時にはAMRAAM4発を搭載します。
将来的には天井部の兵装ステーションは1か所と2か所の選択式になり、外側扉にもステーションが増設される予定で、より多彩な任務に対応可能となります。
ステルス性能維持のため、兵装類をすべて機内のウェポン・ベイに搭載するF-22と異なり、F-35の場合はステルス性を必要としない任務では兵装を機外搭載することが可能です。
両主翼下に各3か所、胴体下面に1か所の計7か所(ウェポン・ベイ内部のものを含めて計11か所)の兵装ステーションに合計8165㎏もの兵装を搭載できます。
例えば、AIM-120C AMRAAMを片側4発の計8発、AIM-9Xサイドワインダーを片側2発計4発搭載した重空対空戦闘仕様や、GBU-39/BまたはGBU-53/B小径爆弾を片側8発計16発、AIM-120C AMRAAMを片側1発計2発搭載した重空対地戦闘仕様を選択することができます。
このように、多数の兵装を機外搭載した状態のF-35のことをロッキード社では「ビースト・モード」と呼んでいます。
F-35は空対空・空対地用の電子光学目標指示システム(EOTS)であるAN/AAQ-40を機首下面のフェアリングに備えています。
これは、空対空の赤外線捜索追跡装置(IRST)、レーザー・スポット追跡、レーザー測距、空対地の前方監視赤外線追跡装置、精密攻撃兵器用の高精度座標生成機能などを備えた目標指示装置です。
これによってF-35は特に対地攻撃において高いパフォーマンスを発揮し、第4世代戦闘機の8~9倍の効率で任務を実施することができ、これをもたないF-22では4~5倍にとどまるため、対地攻撃任務においてはF-35のほうに優位があるといえます。
まとめ
以上、F-35ライトニングⅡについて、性能、価格、3つのタイプなどご紹介してきました。
F-35はステルス性をはじめとした高い性能をもっている反面、とても高価な機体です。
しかし、1種の機体で3つのタイプがあり、様々な用途や任務に対応できるF-35はとても先進的で意欲的なコンセプトで開発された機体です。
日本では、F-35の開発が難航し、また価格も上昇するといわれていた時期からいちはやくF-35の導入を決めていました
自衛隊、特に航空自衛隊においては航空機は量ではなく、質が重要であり、航空機の質は量でもって補うことはできないと考えられています。
格闘戦性能においては従来機に劣るなどともいわれるF-35ですが、優れたステルス性とレーダーにより相手より先に敵戦闘機を探知し、アウトレンジから空対空ミサイルで撃破する機体であるため、格闘戦だけでその価値をはかることはできません。
F-35の本質は、単純な戦闘機ではなく、1機で様々な任務に対応できる多用途機であるということであり、高い性能とあわせて質という面では、現在の戦闘機の中でもトップクラスと考えられます。
F-35は日本をはじめとして、使用国の航空戦力に大きな役割を果たすことでしょう。
今後は、航空自衛隊のF-35などを日本の空で見られる機会も増えてくると思われます。
みなさんも、機会があればぜひ一度、この最新鋭戦闘機を自分の目で見てみてはいかがでしょうか。