F-35ライトニングやMiG、F-15……など世界各国では多種多様な戦闘機が使用されています。
戦闘機は、開発に高度な技術の必要とされる兵器のため、国内開発や生産ができる国も限られています。
近年では戦闘機の高性能化に伴い、取得価格も上昇していく傾向にありますが、世界一高額な戦闘機とはいったいどれなのでしょうか。
ここでは、世界の戦闘機の価格をランキング形式で紹介していきたいと思います。
第15位 F-15イーグル(45億円)
引用:ja.wikipedia.org
F-15戦闘機は、アメリカのマグダネル・ダグラス社(現在のボーイング社)が開発した制空戦闘機で、イーグル(イヌワシ)の愛称をもっています。
F-15は、全長13.05m、重量12916㎏、速度マッハ2.5、乗員1名で、AIM-9サイドワインダー、AIM-7スパロー空対空ミサイル、20㎜バルカン砲などを装備し、7.26tの外部兵装を搭載することができます。
ベトナム戦争の教訓から、高い格闘戦性能を求められるとともに機銃が必須の装備とされ、抗堪性を高めるため双発戦闘機となっており、優秀な性能から就役当時は世界最強と呼べる戦闘機でした。
湾岸戦争ではイラク軍機38機を撃墜し、F-15の被撃墜はゼロという圧倒的な戦果を残しています。
量産型のA型、複座型で練習用のB型、発展形のC型(単座型)・D型(複座型)があり、日本でも航空自衛隊仕様のF-15Jが採用されています。
第14位 MiG-35 (51億円)
引用:http://zapzapjp.com/
MiG-35は、ロシアの航空機会社であるロシア航空機製作会社「MiG」で開発されたマルチロール戦闘機です。
西側諸国からの呼び名であるNATOコードネームは「フルクラムF」で、非公式な愛称として「スーパーフルクラム」とも呼ばれています。
MiG-35はロシア戦闘機のMiG-29フルクラムから派生した輸出用の機体で、第4世代戦闘機のさらに上を行く機体である第4.5世代(第4+世代)機の、そのまた上を行く機体として、第4++世代戦闘機と定義されています。
MiG-35は、全長17.37m、重量13380㎏、速度マッハ2.25、乗員は1または2名で、空対空・空対地ミサイル、ロケット弾、誘導爆弾、30㎜機関砲などを装備しています。
機体の外見などは基本的にMiG-29を踏襲していますが、細かい部分が違っていて、なによりも、優れた電子兵装を備えていることが特徴です。
レーダーは、AESA式ジューク-Aを搭載し、140㎞先の30目標を探知し、6つの目標を追尾する能力をもっています。
MiG-35は輸出用戦闘機として作られたもので、本国のロシアでは1個飛行隊程度の少数が配備される予定で、現在はエジプトとの間で契約が成立しており、インドやセルビアにも売り込みが行われていますが、採用国は多くありません。
第13位 JAS39 グリペン(58億円)
引用:ja.wikipedia.org
JAS39グリペンは、スウェーデンのサーブ社が中心となって開発された戦闘機で、JASとは、J(Jakt:戦闘)A(Attack:攻撃)S(Spaning:偵察)を意味し、「ヤース」と発音します。
制空戦闘から対地攻撃、偵察などあらゆる任務を一機種ですべてこなすことのできるマルチロールファイターというコンセプトで作られた機体で、メーカーでは、「The smart fighter」というキャッチコピーをつけています。
グリペンは、全長14.1m、重量8500㎏、速度マッハ2.2、乗員1名で、空対空ミサイルや赤外線型空対空ミサイル、27ミリ機関砲のほか、最大4.5tの外部兵装を搭載できます。
冷戦中のスウェーデンは、中立政策という独自の外交を行っている関係から、国防においても同盟国を頼らず自国の戦力による専守防衛が求められていましたが、近くには大きな脅威となる大国ソ連が存在し、高い性能をもつだけでなく予算的な制約もあるなど軍隊で使用する兵器には様々な条件を満たすことが求められていました。
グリペンでは、航続距離やステルス性といった一部の性能を妥協することによって、レーダーや優秀な電子兵装、高い空対空戦闘能力、高い機動性を発揮するカナード翼の採用を実現し、バランスが高く総合的な能力に優れるコストパフォーマンスの高い機体として完成させました。
価格が抑えられて性能もいいということから、南アフリカやハンガリー、チェコ、タイといった小国でも多く採用されました。
第12位 トーネードIDS(62億円)
引用:ja.wikipedia.org
トーネードIDSはNATO諸国で使われていた戦闘機の更新のためにイギリス・西ドイツ(当時)・イタリアが共同開発した機体です。
共同開発ということになっていますが、実際にはイギリスがほとんどの開発を行っています。
試作機は1974年に完成し、1976年から本格的な生産が開始されました。
トーネードは、全長16.72m、重量9000㎏、速度マッハ2.2、乗員2名、自衛用の赤外線空対空ミサイル、27ミリ機関砲のほか、8.2t以上の外部兵装を搭載することができます。
冷戦時には30個のSG357子爆弾と時限爆弾としても使用可能な215個のHB876地雷を散布する爆弾ディスペンサーJP233を装備し、敵の飛行場に高速で低空侵入し、レーダーの探知を逃れて爆撃、使用不能とすることを任務としていました。
湾岸戦争においてはこの能力を発揮し、イラクの飛行場に爆撃を行ってイラク軍の航空戦力を封じ込め、多国籍軍の制空権獲得に貢献しています。
しかし、緒戦における制圧任務完了に伴い、トーネードが戦術を変更すると、メディアは損失が大きかったために高高度からのレーザー誘導爆撃に切り替えたと報じました。
この報道は根拠のないものでしたが、トーネードの評価を不当に傷つけ、イギリスのみならず、日本においてもトーネードの評価は低くなっています。
2015年からはイスラム国に対する攻撃である生来の決意作戦にも参加していますが、その際、ソフトウェア・アップデートによって操縦室補助照明の照度がパイロットの視力に影響を与えるほど強くなり、夜間作戦を実施できない状況になっていると報じられました。
このように、毀誉褒貶のあるトーネードですが、現在でもイギリスやドイツ空軍で運用されており、電子偵察型のトーネードECRやイギリス空軍向けのトーネードGR.1、イギリス空軍の開発した防空戦闘型のトーネードADVなど派生形もたくさん存在しています。
第11位 F14トムキャット(67億円)
引用:dailynewsagency.com
映画『トップガン』への出演でも有名なF-14は、F-4ファントムⅡ艦上戦闘機の後継としてグラマン社(現在のノースロップ・グラマン社)によって開発された艦隊防空用戦闘機です。
愛称のトムキャットは「雄猫」で、グラマン社の戦闘機はほかにも、ワイルドキャットやヘルキャットなど猫の愛称をもっている機体があります。
トムキャットは、F-14の開発を支持していたトム・コノリー海軍大将の戦闘機パイロット時代のコールサインでもあり、ここからきているという説もあります。
F-14は、全長19.1m、重量18110㎏、速力マッハ2.34、乗員2名で、AIM-54フェニックスやAIM-7スパローといった空来空ミサイルや20㎜バルカン砲を装備し、6.58tの外部兵装を搭載することができます。
空対艦ミサイルを搭載してやってくるソ連の爆撃機を、早期に捕捉してミサイルの発射前に撃墜することを任務としていました。
一時は海軍で使用する戦闘機がすべてF-14で統一されるという、1911年の海軍航空隊創設以来の快挙も達成しています。
F-14は生産や運用のコストが高いことで知られ、例えば主兵装であるフェニックスミサイルは1発100万ドル(1億円)といわれ、そのためアメリカ以外での採用国は多くなく、航空自衛隊への売り込みもあったものの、結局採用はされていません。
以外なことにイランがF-14唯一の輸入国として、現在でも使用しています。
現在、アメリカと対立が高まっているイランですが、もしも軍事衝突が起きるようなことがあれば、アメリカの戦闘機同士による対決も発生するかもしれません。
F-14は、ソ連崩壊後、コストパフォーマンスの高さから早期の退役が進められ、今では全機が退役しています。
第10位 Su-35(80億円)
引用:ja.wikipedia.org
Su-35は、ロシアのスホーイ社が開発した第4世代戦闘機の発展形となる第4++世代戦闘機で、スーパーフランカーの愛称もあります。
ロシアの開発する第5世代最新ステルス戦闘機PAK FA(T-50:現在のSu-57)の開発遅延に伴い、その間をつなぐためにSu-27の派生形から発展して開発されました。
Su-35は、全長21.95m、重量17500㎏、速度マッハ2.35、乗員1名で、30㎜機関砲のほか、R-37MやR-27Rといった空対空ミサイルの空対地ミサイル、対レーダーミサイル、空対艦ミサイル、誘導爆弾など外部兵装8tを12のパイロンに分割して搭載することが可能です。
Su-35には、推力偏向機構付き新型エンジンが搭載され、Su-57のテストも兼ねて新型のレーダーや戦闘システムなどSu-27から大幅な改良が行われていて、別機体と呼べるものになっています。
登場時には、F/A-18E/Fスーパーホーネットに匹敵する世界でもトップクラスの性能をもっていました。
ロシア空軍はもちろん輸出にも力を入れていて、インドネシアで採用されているほか、インドやエジプトやベトナムなど複数の国が興味を示していました。
第9位 F/A-18E/Fスーパーホーネット(84億円)
引用:grandfleet.info
F/A-18E/Fスーパーホーネットは、アメリカ海軍の主力艦上戦闘機の1つとなっている機体で、マクドネル・ダグラス社によってF/A-18ホーネットを発展させて開発された戦闘機です。
ホーネットを越える機体ということで、スーパーホーネットという愛称が付けられており、従来のホーネットはレガシーホーネットと呼ばれて区別されます。
ホーネットとはスズメバチという意味です。
無線では、レガシーホーネットと区別するために「ライノ(動物のサイ)」の愛称を用いています。
F/A-18E/Fは、全長18.38m、重量14552kg、速度マッハ1.6で、単座型をF/A-18E、複座型をF/A-18Fと呼びます。
F/A-18E/Fは、高い性能をもつマルチロール機として定評があり、主翼下の兵装ステーションに対空・対艦・対地・対レーダーや爆弾、誘導ポッドなど多種多様な兵器を搭載でき、大型の機体のため、搭載量にも優れています。
従来のホーネットでは着艦時の重量制限から、装備を搭載したまま戻ってくると、海に捨てなければならなかったのですが、スーパーホーネットは発艦時の半分以上の重量のまま着艦することができ、兵器を無駄にしなくてもよくなりました。
増槽に空中給油用プローブがついたARS(空中給油システム・バディポット)を搭載することで、空中給油機として使うこともできます。
20㎜機関砲を搭載して制空戦闘から攻撃機と幅広い任務をこなせる上、ステルス性にも優れたF/A-18E/Fは、2000年代初頭からアメリカ海軍空母の主力機となりました。
派生型の電子戦機EA-18Gグロウラーも含め、アメリカ空母搭載機のほとんどがホーネット系列で占められ、今後はF-35Cが配備されていきますが、これからもF/A-18E/Fがアメリカにとって重要な戦闘機であることに変わりはありません。
第7位 ラファール(96億円)
引用:www.afpbb.com
ラファールは、フランスのダッソー社が独自に開発した多用途戦闘機で、ラファールとは、「疾風、突風」という意味です。
ラファールは、全長15.3m、重量14000kg、速度マッハ1.8、乗員1名で、空対空ミサイルや30㎜機関砲、地上攻撃用に9t程度の外部兵装を搭載することが可能です。
もともと、フランスはイギリスや西ドイツ、イタリアとともに欧州戦闘機の共同開発計画に参加していました。
当時、フランス唯一のエンジンメーカーであるスネクマ社の経営状態が思わしくなく、この戦闘機にはフランス製エンジンの採用を求めていましたが、それが難しく、自国の軍需案業を守るという観点から、フランスは計画から脱退します。
そうして独自開発されたのがラファールで、性能的にはタイフーンと同等程度の能力をもつ第4.5世代機とみられています。
2000年からフランス海軍に配備され空母機としても使用され、2003年からは空軍でも使われています。
2007年のアフガニスタン紛争、2013年のアフリカのマリ共和国の反政府勢力に対する武力介入、2014年のイラクにおける過激派組織イスラム国への攻撃など数多くの実戦にも投入されています。
第7位 F-35A(98億円)
引用:www.jiji.com
F-35Aはアメリカのロッキード・マーチン社が開発した多用途戦闘機で、高いステルス性能をもつ第5世代戦闘機に分類されます。
第5世代のステルス戦闘機は現在のところ、アメリカのF-22ラプターとF-35ライトニングの2機種だけとされています。
F-35はF-22と比べると、速力や格闘戦性能において劣りますが、対空戦闘や対地攻撃能力・電子兵装に優れていて、アメリカ・日本に加え、イギリス・イタリア・オランダ・韓国・オーストラリア・カナダ・トルコ・ノルウェー・デンマーク・イスラエルの12か国で採用されています。
愛称は「ライトニングⅡ」で、第二次大戦時のアメリカ陸軍戦闘機「P-38ライトニング」から引き継がれています。
F-35の開発計画は、1980年代から開始されていたものですが、1つの基本設計をもとにCTOL(通常離着陸)型、STOVL(短距離・垂直着陸)型、艦上機型を並行して開発するという前例のない壮大な計画で、これがそれぞれF-35A/B/Cとなっています。
技術的な問題からの開発の遅れや価格の上昇などが起こりましたが、2016年から順次IOC(初期作戦能力)を獲得し、アメリカ軍をはじめ、海外の採用国においても配備がはじめられています。
F-35Aは、全長15.67m、重量13290㎏、速度マッハ1.6で、アフターバーナーの使用によって超音速巡行も可能です。
機体の各部には、機体表面のフェライトや結晶黒鉛の粒子で電波を内部に取り込み、熱へと変換してしまうレーダー波吸収素材(RAM)の使用、レーダー反射を低減するために兵装を機内のウェポン・ベイに収納する方式にし、同じ理由で増槽も使用しないなど、RCS(レーダー反射断面積)をできるだけ減らすことによってステルス性を高める工夫がされています。
F-35のステルス性は従来の戦闘機と比べると非常に高く、正面からのRCSは0.00143㎡。
これはF-22と比べると7~9倍になりますが、F-35のほうが小型のため、目視での被発見率は低くなるとされています。
逆に、F-35は優れた電子兵装やレーダーにより敵戦闘機を捕捉する高い能力も持ち合わせています。
ロシア海軍機MiG-29なら185㎞、中国軍のJ-15なら300㎞の距離から簡単に捕捉することができ、アウトレンジから一方的に敵を撃破することが可能です。
F-35は空対空・空対地・空対艦ミサイル、誘導爆弾、通常爆弾、核爆弾、機雷、ロケット弾ポッドなど多種多様な兵器を搭載可能で、アメリカだけでなく欧州製の各種兵装にも対応しています。
ほかに固定武装として25㎜ガトリング砲を胴体内部に装備しています。
機内にある2か所のウェポン・ベイのほか、胴体と主翼下の兵装ステーションには計8t以上の兵器を搭載することができます。
ステルス性を犠牲にして、多数の兵器を機外搭載した状態のF-35は「ビースト・モード」と呼ばれます。
日本においても、航空自衛隊の三沢基地で2018年1月から配備がはじまり、105機が導入される予定となっています。
第6位 ユーロファイター タイフーン(108億円)
引用:http://eaglet.skr.jp/
ユーロファイター・タイフーンは、NATO加盟国であるイギリス、ドイツ(計画当初は西ドイツ)、イタリア、スペインの4か国で共同開発された多用途戦闘機です。
1970年代末、アメリカやソ連の新型機の投入に危機感をもった欧州諸国が次世代戦闘機の開発をスタートさせました。
当初はイギリス、西ドイツ、イタリア、フランスの4か国によるものでしたが、諸事情によりフランスは脱退して独自にラファールを開発し、その後新たにスペインが加わりました。
冷戦の終結により、計画に何度か変更が加えられたため、実際に部隊配備されたのは2003年からとなりました。
タイフーンは、全長10.95m、重量16000kg、マッハ2.0で、デルタ翼と機種前方のカナード翼を備えたカナードデルタと呼ばれるタイプの機体です。
新型レーダーによる優れたFCSと空対空ミサイルによって高い視界外戦闘能力をもち、超音速巡航能力に加え、カナード翼によって高い機動性を発揮し格闘戦能力もあわせ持っています。
ステルス性にも優れ、レーダー反射断面積はトーネードの4分の1といわれます。
タイフーンは、第5世代戦闘機にも匹敵する第4.5世代戦闘機として、採用の可能性は低いといわれていたものの、日本の次期戦闘機F-X候補の1つにもなっていました。
開発4か国のほか、オーストリア、サウジアラビアなどでも採用されていて、他にも複数の国で採用が検討されています。
第5位 F117ナイトホーク(113億円)
引用:maakata.holy.jp
F117ナイトホークは、アメリカで開発された世界初の実用的なステルス戦闘機です。
愛称のナイトホークとは「夜鷹」という意味で、開発当初は、「ホープレス・ダイヤモンド(絶望のダイヤモンド)」とも呼ばれていました。
直線で構成された特異な機体は、高いステルス性を実現するため、レーダー反射断面積を減らすため、コンピュータによって計算して設計されたもので、当時のコンピュータの性能では曲線による設計ができなかったためにこうした外見になったといわれます。
F-117は全長20.09m、重量11381kg、速力マッハ0.9で、搭載する爆弾はすべて機内に収納し、機関砲などは装備していません。
そのため、戦闘機をあらわすFの文字がついていますが、対空戦闘能力はほぼゼロの、対地攻撃機として爆撃機のような使われ方をされる機体です。
機体表面には、レーダー波を受けた時にそれを熱エネルギーに変えるという、ゴムやシリコン、ポリウレタンにカーボンや誘導体などを混合した特殊な素材が貼られています。
F-117は、1989年に起きたパナマ侵攻で少数が初めて実戦に投入され、湾岸戦争が本格的なデビュー戦になりました。
1999年3月、コソボ紛争においてセルビアのベオグラード近郊で、F-117「ヴェガ31」がユーゴスラビア軍によって撃墜されるという事件が起きました。
これは、史上初にして唯一のステルス機の被撃墜ケースとなっています。
パイロットは脱出して米軍に救助されたものの、機体の一部はユーゴスラビア側に改修されて、ロシアや中国のステルス機開発の参考になったといわれます。
第4位 J20(115億円)
引用:ja.wikipedia.org
中国軍が開発した、第5世代機に匹敵する性能をもつといわれる謎のステルス戦闘機がJ-20「威龍(ウェイロン)」です。
J-20の完成は2009年頃といわれ、2011年には初飛行を行って、インターネット上に流出した(もしくはわざと流出させた)写真や動画が世界の注目を集めました。
J-20は、全長12.88m、重量17000㎏、速度マッハ1.8(または2.5)で、兵装や電子機器など最新のものを装備した中国最強の戦闘機です。
他国のステルス機と同じようにレーダーに捉えられにくい滑らかな機体や機内に収納できるウェポン・ベイをもっています。
しかし、J-20には、他のステルス機にはない特徴として、機種部分についているカナード翼の存在が上げられます。
カナード翼自体には空戦時など機動性を高める効果があるものですが、ステルス性という観点からみると、明らかに悪影響を与えるもので、どうしてこれをつける必要があったのかについては謎とされています。
最初は、カナードがついているのは試作機であるためで、いずれは取り外すのではという見方もあったのですが、その後もJ-20はこの姿のままで、これが完成形となるようです。
2018年には、J-20がチベット高原で訓練を行い、高地での離着陸に苦労している様子などがインド空軍によって確認されており、この時には、インド軍の旧型機に簡単にレーダーで捕捉されており、J-20のステルス性も大したことがないのではといわれました。
ただ、訓練時などの使われるレーダー・リフレクターによって、わざとレーダー反射を高くして本来のステルス性を隠すということも可能なので、これがJ-20の実力なのかは不明です。
虎の子のJ-20は他国に対する牽制として、中国が領土の係争を抱える南沙諸島に配備されるのではともいわれましたが、実際は山東半島の航空基地に配備されているようです。
第3位 F-35B(128億円)
引用:ja.wikipedia.org
F-35Bは、F-35戦闘機の3つのタイプのうちの1つで、垂直に離着陸できるSTOVL(ストーブル)という機能をもった機種です。
このため、F-35Bは前部胴体にリフトファン・エンジンというB型のみ搭載しているエンジンをもちます。
エンジン使用時にはリフトファン・エンジン・ドアが下方に開いて、エンジンから伸びる駆動軸で小型のファンを回転させ、作り出した高圧の圧縮空気を下方へ吹き出すという機構を備えています。
エンジン・ノズルも3つの部位で構成される回転ノズルとなっていて、これを下向きに偏向させることで垂直飛行を可能としています。
F-35BはF-35Aと比べて、航続距離と兵装量の面で若干劣っていますが、それを除いた航空作戦能力においてはまったく同等の能力を発揮します。
F-35Bは複雑な機構のために開発が難航し、完成が危ぶまれることもありましたが、メーカー側の驚異的な努力によって開発実現にこぎつけると、結果的には3タイプの中で一番早くに実戦飛行隊が編成されることとなりました。
2017年1月に日本の米海兵隊岩国航空基地に第121海兵戦闘攻撃飛行隊グリーン・ナイツが配備され、これが全アメリカ軍の中で、初めてとなるF-35Bの実戦飛行隊であると同時に、海外基地に恒久配備される初のF-35B戦闘飛行隊となっています。
F-35Bは、STOVL機能により、空母でなく強襲揚陸艦からの運用が可能となっています。
これにより、従来ヘリコプターなどを主な航空戦力としてきた強襲揚陸艦に戦闘機を搭載することが可能になりました。
航空戦力が増強されることももちろんですが、強襲揚陸艦は原子力空母の5分の1の費用で建造することができるため、単純に考えれば、空母1隻の代わりに強襲揚陸艦5隻を建造し、そこにF-35Bを搭載すれば、これまでよりはるかに高い制空戦闘能力を獲得できるようになるといえます。
もちろんこれで空母の価値がなくなるということはありませんが、F-35Bは艦艇や航空戦力の価値を変化させる可能性を秘めた機体でもあります。
F-35Bは、海上自衛隊で戦後初の固定翼機運用母艦(空母)になる予定の「いずも」型護衛艦にも搭載されることが決まっていて、42機が導入される予定になっています。
第2位 F-35C(129億円)
引用:www.military.com
F-35CはF-35戦闘機の3つのタイプのうちの1つで、アメリカ海軍向けに開発された、空母に搭載される艦載機(CV)型です。
F-35Cは、3つのタイプの中でもっとも遅れて開発されました。
時間がかかった理由としては、F-35Cがほかの2タイプと本質的には全く別の機体だからです。
F-35BのSTOVLのような特異な機能は備わっていませんが、空母艦載機というのは特殊な機体であり、わずか250m足らずの空母の飛行甲板で離着艦を行うF-35Cの場合、主翼や水平尾翼の拡張に加え、降着装置など特殊な機構が必要となってくるのです。
F-35Bの場合、エンジンやリフトファンといった動力系を除けば、機体そのものはほぼ同寸ですし、A型と相違点はほとんどありません。
他機種との共通部分がF-35Aが39.2%、F-35Bが29.9%であるのに対して、F-35Cは27.8%ともっとも低くなっていて、これが開発に手間がかかった理由であり、F-35の3タイプのなかで最も価格が高い理由ともいえます。
F-35CはF-35Aと比べ、全長がほぼ同じなのに主翼幅が2.4mも長くなっていて、主翼の翼面積は45%も大きく、上から見るとずんぐりした機体となっています。
空母へ着艦進入するための電気油圧式アクチュエーターで駆動する前縁フラップ、後縁フラッペロンやエルロンなどの高揚力装置、スピードブレーキの役割を果たす全遊動式の水平尾翼、離陸の際にカタパルトの先端に引っかける頑丈なカタパルトフック、着艦時にワイヤーに引っかけるアレイスティングフックといった艦載機ならではの機能を備えています。
F-35Cは現在のところ、アメリカ以外の国で運用される予定はありません。
第1位 F-22ラプター(160億円)
引用:abundant.jp
世界初のステルス戦闘機であり、現在世界最強の戦闘機といわれるF-22ラプターは、このランキングのトップを飾る、価格の面でも世界一の戦闘機です。
F-22ラプターは、アメリカのロッキード・マーチン社とボーイング社によって共同開発された機体で、ラプターとは「猛禽類」という意味です。
実は、当初はF-22のほうにライトニングⅡの名称がつけられる予定になっていました。
F-22ラプターは、全長13.56m、重量14366kg、速度マッハ1.82で、多用途戦闘機に分類されますが、対地攻撃などが得意で空戦能力はやや劣るF-35と違って純粋な制空戦闘機であるため、空戦能力はこちらのほうが上です。
各下の第4世代戦闘機なら圧倒できるといわれ、第4世代機以前の戦闘機との交戦において敗北したことのないF-15でも、F-22と交戦すれば120対1の交換比率で敗北するとされています。
機体の設計においてもステルス性を高める工夫がなされており、機体のエッジの角度の統一、RAM(レーダー波吸収素材)やRAS(レーダー波吸収構造)の採用など、RCS(レーダー反射断面積)低減のための技術が各所に盛り込まれています。
F-22のレーダー反射面積は0.001~0.01㎡で、F-22が真正面から接近してきた場合のレーダー反射信号の大きさは、ビー玉程度(F-35はゴルフボールほど)を探知するのと同じくらいといわれます。
F-22はマッハ1.82という高速で約40分の超音速巡行が可能です。
最大探知距離185㎞というAN/APQ-77レーダーを搭載し、データリンクによって情報を僚機と共有することができます。
開発費の高騰によって「世界一高い戦闘機」と揶揄されたF-35も、やはり最強のステルス線時には価格面でも敵いません。
F-22は冷戦の終結やその高額さが仇となって、調達数が大幅に減らされることになりました。
世界最強の戦闘機であるF-22は、世界一高額な戦闘機でもあるのです。
まとめ
以上、世界の戦闘機価格ランキングでした。
テクノロジーの集合体である戦闘機は、やはり性能に応じて、調達価格が上昇していく傾向にあり、最新かつ最強の機体は最も高額になります。
生産数が多くなれば、価格が下がることもありますが、これからも最新の機体はさらに高額になっていくものと思われます。
この解決策として、性能のいい高額の機体と、性能は多少低くても数を揃えられる安価な機体の2種類を運用するハイ・ロー・ミックスも行われています。
防衛という観点から考えると、質の高い戦闘機を保有することは必要不可欠で、今後も各国の空軍は高騰する価格も含め、どのような戦闘機を使用していくかを選択していくことになるでしょう。