ミリタリー

世界最強の武器・兵器12選

人類は多くの武器を用いて来ました。

食料を確保するための狩猟用の武器から、戦闘用の武器、戦術的な兵器や、存在そのものが抑止力と成り得る大量破壊兵器……。

多くの命に終わりを与えて来た、それらの武器の数々の中から、最強と呼ぶに相応しい実績や能力を有する武器の数々をご紹介していきます。

人類の歴史と生活を作り、ときには社会体制や思想さえも変えてしまうことのある武器に対する認識を深めることで、あなたの世界観に新しいアングルを加えることも出来るかもしれません……。

最も普遍的な武器 ナイフ


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最も一般的な武器でありながら、それだけに使用された回数では、おそらく最多の武器と言えるでしょう。

使いやすさと歴史的な実績、それがナイフを最強の武器と評価する理由です。

小さな金属の塊に過ぎず、威力そのものは知れてはいますが、銃器などがありふれていない社会においては、殺傷能力の極めて高い武器として、殺傷事件の主役となっています。

そして、戦場でも使われているヒトを死に至らしめることを目的とした武器の中では、もっとも不偏的な存在と言えるでしょう。

胸を刺突し心臓を狙う、背中から腰の上を突き刺し腎臓を破壊し大量出血を狙う、首を掻き切る……そういった急所を攻撃することで武器としての目的は達成されます。

十分な強度と鋭さをもつナイフは、投げつけることによりカルシウム製であるヒトの頭骨なども容易く貫通する威力があるため、やや離れた相手に対しても十分な殺傷能力を有した武器です。

極めて古くから人類史に登場するため、伝統的な武術としても、ナイフの使用方法は伝えられています。

ハワイなどに伝わる武術では、サメの歯を用いたナイフを使い、四肢のつけ根の血管を狙う方法などが存在しているのです。

これは極めて残酷な使用法でもあります。

四肢のつけね、つまり関節部分は可動性が高く、縫合するための下地となる肉が存在しません。

大きな傷を与えられると縫合が困難であり、血管を切られた場合は、やがて出血死することになるわけですね。

足の鼠径部にある大きな血管を切り裂く手法が伝わっており、かつてのハワイにおける戦場の血なまぐささを十分に想像させてくれるものです。

ナイフは銃器の発達において鎧がすたれた今日でさえも、有効な装備品としての地位を失っていません。

我々が住む日本社会でも、十分な殺人用の武器としてありふれてもいる……。

そしてシンプルで人体を少しばかり切り裂いたぐらいでは、ブレードが大きく損傷することもなく、何度でも使えるのです。

どこにでもある手軽さに、悪意が結び付いた時の恐怖ははかりしれません。

人類にとって最も身近で危険な武器という意味で、最強の武器の一つに数えるにおかしくない武器がナイフなのです。

現代の紛争現場の主役 アサルトライフル


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アサルトライフルは第二次世界大戦以降、最も活用されて来た武器の一つです。

ヒトを殺傷する能力が高く、ライフルのように高度な射撃技術を必要とすることもありません。

無数の銃弾をばらまくことで、近い距離にいる対象人物の肉体に対して、致命的なダメージを与えることが可能となります。

値段も高価なものではなく、紛争地帯ではメーカー製品だけでなく、手製のコピー品も流通しているようです。

つまりは高度な工場が必ずしも必要とされる武器ではなく、その構造のシンプルさと殺傷能力の高さ、比較的使いやすいことなどから、紛争地帯の主要な武器としての地位を崩してはいません。

その使いやすさの一つに、反動の少なさがあげられます。

大型拳銃やライフルの弾は反動が強いため、子供では扱いにくいものですが、アサルトライフルの弾はそれらよりも小さいため、反動そのものは小さくなっているわけです。つまり、使いやすさがあるわけですね。

少年兵……「こども兵士」に使用させることも可能かつ有効な殺人用の武器であり、混迷を極めた内戦地域では問題となることが多い武器とも言えるでしょう。

現実は悲惨なものですが、幼いこどもたちそのものが武器の一部として運用されることもあります。

武器を持たされ、麻薬を吸わせれ、戦争映画を見て戦意を向上させられ、大人の政治的野心に消費されるこども兵士はたくさんいるのです。

先進国の軍隊から、発展途上国の武装集団まで、老若男女を問わぬ使いやすさと、軍事組織の貧富の差もなく存在し、戦場という空間を構成する不偏的な武器として君臨し続けています。

貧困な国などでは、これらアサルトライフルなどの武器と引き替えにするため、地下資源などの鉱山が売り買いされることとなり、政治・経済的にも強い存在感と圧力を生み出し、社会情勢さえも左右している武器とも言えますね。

使いやすい武器の存在が、人類に戦場を形成する機会と、露骨な商機と政治的な支配力を生み出しているため、人殺しの武器以上に紛争や虐殺、犯罪行為をデザインさせる存在として、人類に強い影響を与えている武器でもあります。

現在の戦闘行為の中核を成すという意味で、このアサルトライフルの存在は人類にとって最強の武器の一つと言えるでしょう。

アサルトライフルがあれば、誰もが簡単に殺人者になることが可能です。

最強というロマンを詰めた超大型拳銃 プファイファー・ツェリスカ


http://livedoor.blogimg.jp/

人類が「最強の武器」という名に求めるのは、何も実用性ばかりではありません。

プファイファー・ツェリスカは、それを如実に体現しているような存在なのです。

拳銃の強さを決定づけるのは何でしょうか?

さまざまな評価があると思いますが、ひとつの考え方に威力があります。

そして、銃弾の威力を支えるものは、ひとつだけです。

使用する弾丸の大きさに他なりません。

弾丸に入った火薬の爆発力で、弾頭の重量をぶつけることが銃火器の本質です。

プファイファー・ツェリスカに装填されている弾丸は、拳銃のなかでは最大のものです。

大口径マグナムライフル弾薬である、600ニトロ・エクスプレス(.600.N.E.)は象狩りにすら使える巨大な弾薬となります。


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その弾頭重量は58.3グラム、初速は462m/Sという化け物銃です。

この数字は拳銃のそれではなく、もはやライフルの威力と言えます。

プファイファー・ツェリスカのサイズは55センチもあり、重量は6.0キログラムにも到達しています。

構えるだけでも手首に負担が強く、通常の拳銃のように立ったままこの巨大拳銃を射撃することは大変に危険です。

撃たれる方はおろか、撃つ方の安全さえも考慮されていないという、実にピーキーな存在なわけです。

手首や肩や肘の脱臼や骨折、コントロール出来ずに誤射、下手すれば6.0キログラムの金属の塊が自分の頭を打撃することもありえるでしょう。

拳銃としてのスタイルで扱うことは、そもそも不可能です。

最強の拳銃で存在するためだけのコンセプトのもとに作られた、ハンドメイド品、それがプファイファー・ツェリスカという最強拳銃なのです。

ライフルのように用いれば、短めのライフルとして使うことも可能となります。

このプファイファー・ツェリスカさえあれば、拳銃で象殺しの弾丸、600ニトロ・エクスプレスを放つことが可能である。

そういったロマンを楽しむだけに生まれた拳銃なのです。

使い用の悪い最強の武器ですが、それでも、13,840ユーロを出せば、このアイテムを所有することも可能となります。

日本国内に持ち込むことは難しいでしょうが、業者に振り込みさえすれば、貴方だけの最強拳銃の製造がスタートするのです。

最強の電流護身武器  TASER X2シリーズ


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さて。なにも人を殺傷することだけが武器の仕事ではありません。

使用者の護身を目的とした、あるいは対象の不殺を目指した最強の武器も存在しています。

その武器の名はスタンガンと、その電流を送り込む針型電極を放つテイザー銃です。

手に握るものや、警棒に仕込むスタンガンもありますが、警察や警備などを生業とする法執行機関の要求を最も満たしているのが
TASER X2シリーズになります。

衣類を貫通する針型の電極を、およそ14メートルほどの射程で打ち出してくる武器です。

人を殺す可能性がゼロではありませんが、専門家の見解ではおおむね無いことだとされています。

しかし、過剰に使用すれば、心臓機能などに致命的な異変を起こすことがあるので、用法用量は守るべきです。

基本的に一度のダメージで十分に対象人物の感覚神経と運動神経に破壊的な衝撃を与えることが可能な武器と言えます。

人の神経の情報伝達は電流によって行われていますが、この電流武器はそれらのシステムに介入し、大きな破綻をもたらすことなります。

強力な電流が、皮膚にある繊細な痛覚神経を刺激し、叫びたくなるほどの激痛が発生するのです。

そして、運動を司る神経系の信号が破壊され、体を動かすどころか、支えるほどの筋力までもが消滅することになります。

電流をもって、神経に激痛と、筋肉の無力化が発生することになるわけですね。

……つまり、のたうち回りたくなるような激痛と共に、地面に倒れてヒクつくことになってしまうのです。

拳銃の有効射程とも似ているので、法の執行機関が一人の暴徒や犯罪者などと対峙する時には、すぐれた非殺人の武器として用いられています。

テイザー銃でなくても、スタンガンは日常における最強の護身武器です。

小柄な女性でも、暴漢を撃退し自身を守ることにつながります。

近年のスタンガンには、フラッシュなどの閃光機能や、小型カメラなどが搭載されており、強盗や強姦犯、通り魔などの姿を撮影するという機能もあるのです。

電流武器は100年の歴史を持ちながら、さらなる進歩を続けているわけですね。

最もヒトを死に至らしめた乗り物 車


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汎用性が高い乗り物であり、ヒトを移動させる物資を移動させる、ヒトを轢き殺す、爆発物を大量に積載したまま突っ込む、時限式の爆薬を搭載した巨大時限爆弾を自然に設置させるなど、汎用性の高い武器としても活用されています。

一般車は戦車などとは異なり、どこにでもあることが武器としての有効性を高めてもくれているわけです。

犯罪組織や治安部隊の足として使用されることも多く、この武器がなければ、現代人は多くの暴力行為の遂行が困難となってしまうでしょう。

紛争地帯でのアレンジされた使用方法だけでなく、故意に使わなくとも様々な形でヒトを悲劇に巻き込むことがあり、人類の生命を最も多く奪っている存在の一つとして、一般車を最強の武器と認識することは難しくありません。

その実績を考えると、人類と共生関係にある天敵として、このエンジンで動く重量物は存在しています。

誰よりも現代人を死なせた製品として、この物体は人類の生活から切っても切り離すことなく在り続けることになるでしょう。

今のところ排除することも不可能な、人類の天敵ですが……AI技術の発展などにより、この天敵を確実に安全な運用方法などが発明されれば、この武器は危険性を減らすかもしれません。

しかし、そうであったとしても、戦いの場や暴力の現場にヒトや戦闘用の品々を輸送する最良の選択肢として、車が排除されることはないでしょう。

より戦闘に特化させ、なおかつ隠蔽性を失った存在に戦車が存在しています。

第一次世界大戦から陸上戦闘の覇者のような存在に取って代わっていて、圧倒的な重量とキャタピラによる悪路の走破、頑丈極まる装甲に、巨大な大砲という贅沢な装備が施された高級車です。

高級スポーツカーなどが、真の最高級の車ではありません。

最も高額だと言われる、AMX―56 ルクレールにおいては、一両あたりが最低でも13億円はすると言われています。

下手すると24億円もかかっているのではないかとされるほどの高級車です。

税金を使用して配備される車ですから、控えめな金額が囁かれるようになるのかもしれませんね……。

個人携帯式最強火力 肩撃ち式ロケットランチャー


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対戦車ロケット弾など、個人が携帯することが可能な武器としては、最も威力の武器と言えるのがこの武器です。

アクション映画などのフィクション作品でも多用されるほど、インパクトが強い武器としての認識がされています。

車両や航空機といったサイズの大きな対象物さえも、一瞬で破壊することが出来るという強力な武器であり、日本でもときおり田んぼなどにその砲弾が捨てられている事件があるほど、暴力的な組織が密輸を試みる魅力を持っているようですね。

基本的に対戦車ミサイルなどと異なり無誘導であるため精密な命中精度を有しているとは言いがたい武器でもありますが、対象物に対して離れた距離からの爆破攻撃を行えるという利点があります。

航空機による援護などが困難な敵地への侵略行為に対しても、強い破壊力があり、個人が携帯することの出来る武器として肩撃ち式のロケットランチャーは有効な武器なのです。

空を飛ぶ爆弾であるため、そこに詰め込む火薬の両に比例して威力を上げることも可能であり、推進剤の量を上げることで有効射程距離を伸ばすことも出来ます。

しかし、威力と射程を上げるほどに、重量そのものも増加してしまうのです。

そうなれば、この武器の最大の魅力である、個人が携行することが可能という利点が消えてしまうため、この武器の進化は止まりつつあります。

とはいえ、現在のものでも十分な破壊力と殺傷能力、そして射程を有しているため、十分に最強の武器としての価値があると言えるのです。

目標物に対して、その砲弾を選択することも可能となっており、対戦車用の砲弾や、爆発の威力を高めて着弾点周囲の人間たちを吹き飛ばして殺傷することを主眼においたものなど、複数種類が開発されています。

合理的な性格の悪さが反映されている、凶悪な空飛ぶ爆弾発射装置として、7から8キログラム程度の重量で持ち運べる最強の武器なのです。

スーパー兵士を作る 戦争ドラッグ

古来はギリシャのケシから、近年のアンフェタミンまで、人類はさまざまかドラッグを戦闘用に用いてきました。

飢餓にも疲労にも睡眠不足にも有効で、兵士の稼働時間を増やしてくれる魔法のような効果がこれにあります。

殺傷行為に対する精神的な葛藤を薄くし、道端の子供にさえも殺意を抱けるほど、戦闘用に特化した精神状態を構築してくれる……。

それが、各種の戦争ドラッグたちであり、兵士そのものの心身を一時的に強化することが出来る最強の武器の一つと言えます。

どんなに有能な武器を持たされても、ターゲットに対しての容赦や、人道的な倫理観、さらには戦闘への恐怖などがあれば、ヒトは武器を使いこなすことが出来ません。

世の中には、武器を使ってヒトを殺傷するという行為に嫌悪感を抱くヒトも少なからずいます。

ですが、それらの心理的な問題も、戦争ドラッグが解決してくれるのです。

容赦は消え去り、痛みや死への怯えもなくなります。

48時間ぶっ通しで働くことも可能となり、どんな重傷を負っていたとしても、ニコニコ笑ったり、必要以上の破壊衝動のもとに、活発に行動することが可能です。

戦争ドラッグは、最強の武器と評価するに値する武器なのです。

健康に対しての副作用が存在するというデメリットはありますし、過剰な殺戮や破壊を起こす危険性も存在しています。

最高の核兵器運搬手段 潜水艦弾道発射ミサイル/SLBM


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海水に守られている潜水艦から、都市を破壊する攻撃能力を有した核兵器を運搬するための武器です。

存在を発見されにくい潜水艦からの核攻撃を可能とした武器であり、戦略的に重要な報復兵器としての位置づけがされています。

地上から撃ち出す弾道ミサイルに比べて、精度が劣ってしまい、搭載することが可能な核兵器のサイズも限定されてしまうため、威力や命中そのものは地上発射型のミサイルよりも低くなってしまいます。

先制攻撃として、軍事拠点を狙う武器というよりは、報復措置として敵国の都市部に撃ち込むという戦術的なデザインがされている武器です。

つまり、自国の都市を核攻撃されたくなければ、攻めてくるな……そういう意味合いのために用いられる武器というわけですね。

戦略的な抑止力が期待される一方で、もしも核武装国家同士の全面戦争が勃発してしまった場合、おそらくは大都市を目掛けてこの潜水艦発射型弾道ミサイルが核爆弾を運搬してくることになります。

都市部の消滅や、熱線、放射線、爆風による死傷者を大量に出す危険性がある武器で、人類社会の文明、経済的な安定を破壊する可能性を秘めた、最強の武器の一つと言えるでしょう。

近年では北朝鮮が開発に成功されたとしていて、軍事的な躍進を謳っていますし、実際のところ強力な反撃手段を手にしたことで政治的な交渉能力は拡大するかもしれませんね。

外交交渉能力的な威力をも有する側面を持っていることが、武器として優れていることの証にもなるでしょう。

人類が最も使った武器 弓


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人類が狩猟を含めれば、最も多くの生命を奪ってきたと考えられる武器が、この弓です。

古代から中世まで、銃火器が発明される以前の主要兵器の一つであり、平時でも狩猟などの道具として使用されてきた有用な武器になります。

その仕掛けは極めて単純なものでありながら、熟練者が使うことで十分な殺人武器となり、人体どころか巨大な獣の肉体に致命的な破壊を与えることが可能な武器です。

アフリカの部族が用いている自然素材だけで組まれた原始的な弓でさえ、その殺傷能力の有効射程は25メートルにも及びます。

ニューヨーク市警察が20世紀後半に収集したデータによれば、23.8メートル以上の拳銃での命中率は4%ほどしかありません。

熟練した弓の使い手は、最もシンプルな素材で組まれた弓を使用しても、拳銃と同等以上の有効射程距離を有しているわけです。

弓が発射する矢には、ただ鋭くしただけの木の枝、先端に石の破片を使う、金属製のやじりを使うなどのバリエーションがあり、そのどれにも液体性の毒を仕込むことが可能となります。

弓に発射された矢は、回転しながらターゲットの肉体に命中し、その皮膚を深く貫き、回転、振動することで肉体を深く傷つけていくことになるわけです。

矢を引き抜くことでも、よりその傷口は広がってしまう可能性があり、頭部や胸部などに命中すれば即死することも十分にありえます。

足に当たれば、筋肉を動かそうとした瞬間に、筋肉の繊維が矢に絡みつくこととなり、激痛を発生して移動する気力を削いでしまうことがありえるわけです。

中世の戦場で使われたロングボウの射程は300から400メートルにもなると言われています。

熟練した弓兵は、それを一分間に10から12射もすることが出来たと伝わり、隊列を組んだ無数の兵士たちが弾幕を張るように矢の雨を降らしていたようです。

自分の肉体を貫く威力を持った矢が、雨あられと降ってくる戦場は、壮絶なものだったでしょうね。

和弓でも時速は300キロメートルほどで撃ち出すことが可能です。

より近代的な弓を使ったアーチェリーの世界記録では、2015年に283.47メートル先の目標物に命中させる記録を樹立しています。

そして、高度な複合弓であるコンパウンドボウを用いた最大射程は、1207.39メートルにもなるわけです。

使用者に熟練を要求する武器ではありますし、大型生物を仕留めようとすれば弓だけでなく対象の解剖学的な理解が必須となります。

たとえば熊を射殺す場合は、熊の前脚が前にあるタイミングで、肩甲骨とそれに付着する大量の筋肉が前方に移動している状態を狙うことが必須とされているわけです。

その状態ならば、肩甲骨と背骨の間から矢は深く刺さることが可能となり、熊の心臓にさえ矢が到達することが出来ます。

……弓は、才能と鍛錬次第では、脅威的な殺傷性能を発揮することになるわけです。

弓は数万年か数十万年は使われてきた、人類の手に最も馴染んだ武器として殺人や狩猟のために用いられているため、生命を奪った数を累計すれば、最強の武器の座は疑うことは難しいでしょう。

手に握って振り回す武器では当たることのない鳥や、水中にいる魚すら狙うことが可能な汎用性の高い武器なのです。

科学の悪用 毒ガス


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一次世界大戦において二十数万人を死に至らしめたのではないかとされる、影響範囲における空間に対して無差別な攻撃を可能とする最強の武器が、毒ガスです。

第一次世界大戦における塹壕戦は、銃弾や砲弾の威力を軽減させてしまいました。

遮蔽物があれば、それらの武器は威力を大きく失ってしまい、有効な武器として機能することが困難になります。

しかし、毒ガスは塹壕に隠れた敵にさえも有効な殺傷能力を発揮することをデザインされて生まれた武器です。

空気よりも比重が重たい化学物質を合成することで、それらを塹壕に流し込むことさえも可能となっています。

穴に隠れて身を伏せていようが、毒ガスはむしろその穴の内部に沈殿して、兵士を殺傷していくのです。

初期の毒ガス兵器には、色がある、臭いがして敵に気がつかれる、砲弾に積めようとすると火薬のスペースが確保出来なくなり、遠距離に有効な毒ガス弾を放てないなど、運用手段が難しい武器でもありました。

しかし、科学技術の発展に伴い、無色で無臭の毒ガスや、航空機からの空輸による地上への毒ガス散布などが可能となっています。

ガスマスクが有効な毒ガスもありますが、皮膚に炎症を起こすマスタードガスなどもあり、ガスの化学的な性質により、さまざまな被害を出すことが可能です。

毒ガスが呼吸器などから体内に侵入、あるいは皮膚についた瞬間、さまざまな毒性を発揮することになり、その場で死ななかった場合も、一生涯治癒することのない障害を体に残すこともあります。

あるいは遺伝子を傷つけてしまい、その遺伝子の損傷が世代を越えて受け継がれることや、奇形や先天的な病気を誘発する危険も存在しているのです。

空間内にいる全ての人間に対して、有効な殺傷能力を発揮するという意味と、核兵器などに比べて比較的合成することが用意であることを考慮すれば、この悪魔の兵器は、最強の武器の一つに数えられるべき存在でしょう。

政治的な意味を強く持っている武器でもあります。

無差別の殺傷が容易なため、毒ガスは死を連想させる効果が単調な爆弾に比べてはるかに高く、ターゲットにされた集団を恐怖に陥れ、恫喝することが可能な武器です。

そして、イラク戦争でアメリカが行ったように、大量破壊兵器と位置づけされていることから、この武器を所有している『疑い』を与えることで、戦争に巻き込むことさえも可能となる政治的な力学を保持しています。

こうなれば、どちらの勢力が使うことでメリットがあるのか分からないとも言えますね。

シリア戦争では毒ガスが使われたという報道があったとき、対立する陣営は、相手の策略であるとも言い出す結果となったこともあります。

センセーショナルな映像を流すことは、政治的な道具として優れているわけです。

まるで戦場とは思えないほどに、スムーズでドラマ的なカメラワークと、演出家が描いたかのようにショッキングかつ説得力の高い展開、不自然な高画質などが混じっている映像は、果たして加工がないと言えるのでしょうか?

ヒトは嘘をつくものですし、政治的な力学に、真実かどうかは関係ないものです。

しかし実際に使用された毒ガスは、多くの被害者を発生することになってしまいます。

毒ガスは殺傷能力と共に、恐怖に陥れる能力が高いため、少数民族による迫害や、政治的・思想的な攻撃性のもとに敵対する集団の全滅などに使われる懸念も高い武器です。

毒ガスは極めて残酷な殺傷能力と、政治的な威力を持った、最強の武器の一つとして存在しています。

……風向き次第では、政治的にも人体的にも、敵味方を問わずに被害が出てしまう制御不能な武器として、人類の化学工場で無尽蔵に製造することが可能です。

最も危険な武器 生物兵器


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細菌やウイルスは、人類を含めて生命体を死傷させる能力の高い存在であり、人類がそれを化学のもとに制御、改造を加えた場合は、最強の武器となってしまう存在です。

古代ギリシアではアテナイ軍が有害植物ヘレボレスを敵地キレハの水源に投入し、住民に激しい下痢を起こさせることで、侵略を容易にしたことがある……そう伝えられるほどに、歴史の古い武器でもあります。

ウイルスによる攻撃などは、どれぐらいの威力があるものなのかを認識するには、実例をあげるのが一番分かりやすいものでしょう。

人類が遭遇した史上最悪のウイルスは、今のところスペイン風邪です。

鳥インフルエンザウイルスが突然変異した存在であり、疫学の歴史上のある意味では大スターと言える存在でもあります。

第一次世界大戦の終盤に、このウイルスは人類と遭遇して、5000万人から1億人を殺したとされています。

当時の人類の人口は18から20億人とされていますので、人類の5%を殺したウイルスになるかもしれません。

あるいは、人類を長年苦しめてきた天然痘ウイルス。

この天然痘は、人類の歴史と共に存在しながら、累計で60億人は殺しているという災厄のひとつです。

現世人類は1076億人ぐらい、生まれて死んできたんじゃないかと言われているので、人類の6%は天然痘で死んでいるかもしれないという身近な存在ですね。

もしも、これらのようなウイルスを人為的にばらまけば、どんな被害が起きるのでしょうか。

想像するのも怖いですね。

100年前よりも、人類の人口は都市部に偏っており、都市から都市のあいだへの流通網は100年前の比ではなく、陸路だけでなく空路も海路も発展しています。

国境上での防疫が、どれだけ重要な行為なのかが分かりますね。

数億人の被害を生む可能性があるウイルスを、飛行機一つ、船舶一つの被害で食い止められることもあるわけです。

かつて人類を苦しめた疫病を再び世に放つだけでも、大勢の被害者を容易に生み出すことが可能になりますが……これに意図的な遺伝子編集を加えることで、すでに用意されているワクチンや確立したはずの治療法も無効化する場合もあります。

生物兵器として開発されたウイルスを世界の複数カ所で、なおかつ若干のバリエーションのある遺伝子修飾を加えた複数のウイルスを解き放つだけで、国際的な疫学協力体勢を弱めることも可能です。

各国で同じ情報を共有することが出来なければ、治療法の成立は遅れてしまいますから。

あるいは同様の殺傷能力と感染能力がある改造された別種のウイルスをばらまくことに成功していたら?

ヒトは、海底のカニを捕らえる時に、複数の時間効果をもつエサを同時に使用することがあります。

即効性があり早く消耗されてしまうエサ、じわじわと海水に溶けてゆっくりと広がっていくエサ、それらを合わせることで有効な誘因時間が広くなるわけです。

生物兵器に、そういったタイミングをもたせれば?

感染後すぐに症状が出るウイルスに先駆けて、ゆっくりと症状が出る別種のウイルスをまいておけば……後者のウイルスに気づくことが遅れてしまうか、治療方法開発のための人的リソースが前者にばかり集中して、後者の対応に遅れるかもしれません。

悪意と科学技術が強ければ、ちょっとした工夫でその威力は倍増していくわけですね。

……今のところ実現してはいませんが、特定の遺伝子を持つ人種に対して有効な生物兵器などが開発される危険もあります。

人種差別は人類の不偏的な悪意の一つであり、その悪意が目指すところは、自分たち以外の人種の滅亡です。

声高らかに宣言する人物もいるほどなので、そういった政治的な悪意と、「民族兵器」としてデザインされたウイルス兵器が完成し、それらが政治的な力で結びつけば、人類は破滅的な終焉を迎えることになるかもしれません。

現代の主力武器 ドローン

これからどこまで発展するのか、想像もつかない最強の武器がドローンです。

安価かつ高性能、そしてステルス戦闘機並みかそれ以上の隠密性を持っている武器と言えます。

爆薬を積み込み、ドローンを任意の場所に飛行させて自爆あるいは爆薬を投下すれば、精密な爆撃を行うことが可能です。

対応することが不可能かもしれないレベルの奇襲と、強い威力を有する武器と言えます。

破壊工作だけでなく、偵察にも向いているため、汎用性の意味では人類がこれまで使っていた武器のなかでは、ずば抜けて広い戦術的な接続が可能な存在となるかもしれません。

周囲の警戒、偵察、破壊活動、武器弾薬の運搬、暗殺……。

オプションとして装着することが可能なアイテムが小型化すればするほどに、ドローンの戦術的な武器としての価値は上昇をつづけることになります。

ドローンそのものも小型化することも考えられるため、どれほどこの武器が強くなるのかは未知数です。

最終的には、小さな空飛ぶ使い捨ての戦艦とでも言えるような武器になるかもしれませんね、しかも格安の。

現在は無線電波を妨害することによるドローンの無力化が行われていますが、もしもAIが搭載されれば、外部からの影響を受信することなく任務を自動的に遂行することになります。

シンギュラリティという概念が実現化して……AIが人類の知能を超えてしまった時、この武器はヒトにとって、どんな存在になるのでしょうか?

高度な人格を有した武器は、人類に対して友好的な存在なのでしょうか?

自動であらゆることをしてくれるこの武器が、暴走を始めた時に、人類はどうやって対応することが出来るのか分かりません。

……使うはずの武器という道具が、完璧な知性と自律性を持った、我々の知らない何かに化ける瞬間が来てしまった時、この武器は人類史上最強の武器として、道具のままいてくれればありがたいのですが。

まとめ

今回紹介した武器たちは、それぞれに最強と呼べる側面を有している武器たちです。

それらの全てに、ヒトの悪意と知恵により練られた作戦や戦術というものが付随し、その威力を最強の座へと導くことが可能になります。

悪意に基づく合理的な使用法により、武器の威力は何倍にも増幅することになります。

……環境に合わせた武器が、そのときどきの最強と言えるでしょう。

自然淘汰が複数の種類の生命を残したように、一種類の最強はありえないかもしれません。

ナイフや弓などは鍛錬も入りますし、戦車という高級車は高すぎます。

潜水艦発射式ミサイルも高額ですし、生物兵器や化学兵器は人命だけでなく政治的にも危険性が高い武器です。

科学技術や社会的な倫理観の向上で、これらの武器が最強の側面を発揮する側面は減っていくはずですが……ドローンやAIなどは、どこまで能力が上がるのかも想像がつきません。

とくにAIは、武器の特性であるヒトの悪意と結びついて威力を発揮するという部分で、これまでの武器とはあまりにもかけ離れている存在です。

悪意まで、武器が自動的に用意してくれるようになることは、どこか怖いような気がしますね。

しかし、すでにそれらは生み出されて、人類の脳細胞を超える処理速度を得るために、日夜進歩を続けているのです。

人類を超えるAIと、武器の組み合わせ……。

ヒトの悪意なく殺戮が行われる近未来は、すぐそこまで来ています。



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