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【現役】世界最強の爆撃機・攻撃機14選

爆撃機とは、文字通り爆弾を搭載し、敵地に侵攻して爆撃を行う、強大な破壊力をもった航空機です。

日本だと太平洋戦争中のB-29などのイメージが強いでしょうか。

敵国の奥地にある目標を破壊できる爆撃機部隊は高い軍事的パフォーマンスを発揮しますが、その維持には高いコストがかかるため、どこの国でも運用できるわけではなく、現在、爆撃機部隊をもっているのはアメリカ、ロシア、中国の3か国だけです。

一方、攻撃機は爆撃機よりも搭載量の小さな航空機で、対地・対艦攻撃・爆撃などを行います。

攻撃機には、戦闘爆撃機や戦闘攻撃機と呼ばれるような機体もあります。

第二次大戦中も、零戦に爆弾を搭載して対艦攻撃などを行う爆装零戦がありましたが、それをさらに発展させたもので、爆撃や攻撃任務だけでなく、敵機と遭遇した際には戦闘機としても使えるタイプの航空機です。

最近では、戦闘機にいろいろな兵装を装備できるようになり、様々な任務に対応できる戦闘機のマルチロール化が進んだため、攻撃機は戦闘機に集約されて数が減りつつあります。

ほかに、近接支援機と呼ばれる、地上部隊の直接支援を行う戦闘ヘリのような役割を果たす攻撃機も存在します。

ここでは、世界各国の様々な爆撃機・攻撃機を紹介していきます。

B-52 スラストフォートレス(米・爆撃機)

引用:https://www.takvim.com

B-52スラストフォートレス(成層圏の要塞)はアメリカ空軍で現役運用されている戦略爆撃機ですが、もとをただすと、戦後間もない1946年に出された長距離爆撃機開発計画に行き着くというとても古い機体です。

B-52は第二次大戦中に開発の始まったB-47と同じ後退翼やポッド式ジェット・エンジンの技術が採用されています。

1952年に試作機が初飛行し、1955年から量産型のB-52Bが空軍に引き渡されました。

B型からF型までは、最大で24メガトン級の自由落下型水爆4発を搭載できるアメリカの巨大戦略爆撃機として世界にその存在を誇示しました。

ソ連防空網の発達とともに、高高度侵攻によるソ連領内への侵入が困難になったため、G型・H型では戦略攻撃用のALCM(空中発射巡航ミサイル)搭載巡行ミサイル母機となり、巡航ミサイルを使ったアウトレンジ攻撃ができる機体となりました。

B-52は実際に核攻撃に使われることはありませんでしたが、ベトナム戦争においては戦局打開のため、通常爆弾による集中爆撃任務に投入されました。

1972年12月のラインバッカーⅡ作戦では200機のB-52が11日間にわたり北ベトナムの重要目標に対する空爆を行い、第二次大戦以来最大の戦略爆撃作戦となり、1600か所以上の軍事施設や輸送網などを焼き尽くして北ベトナムのライフラインを崩壊させ、「死の鳥」と恐れられました。

その後も、湾岸戦争、アフガニスタン、イラクでの爆撃任務についています。

第二次大戦後、最も多くの戦争に参加したB-52は就役から50年以上が経過した老兵中の老兵ですが、2018年時点で2050年までの運用が予定されており、実現すれば100年に渡り実戦配備された航空機となります。

これほど長い寿命をもつ航空機は極めて珍しく、これにはB-52に代わる後継機がないという事情があります。

B-1 ランサー(米・爆撃機)

引用:https://mujio-life-log.net

B-1はロックウェル社が開発し、アメリカ空軍が運用している機体で、「ランサー(槍騎兵)」の愛称をもつ可変翼超音速戦略爆撃機です。

型式番号「B-One」にちなんでボーンと呼ばれることもあります。

1969年代初頭のソ連の急速な防空システムの発達によって、超音速爆撃機でもこれを突破するのは困難といわれるようになります。

アメリカはこれを受けて核戦力を大陸間弾道弾と潜水艦搭載ミサイルにシフトし始めました。

しかし、出撃しても中止命令が出れば核攻撃をキャンセルして戻ってくることができる、という点が評価され、爆撃機も核戦力の1つとして維持されることとなりました。

そのため、低空侵攻で敵防空網を突破できる戦略爆撃機の研究が開始され、B-1Aが試作され、1984年からステルス性能を強化した改良型のB-1Bとして調達が開始されました。

B-1は大型爆撃機としては珍しい可変翼を採用しており、15度から65.7度の後退翼で幅広い速度域をカバーしています。

最高速度はマッハ1.25で、レーダー反射断面積(RCS)はB-52の100分の1とされていて、レーダーによる被発見率も低いとされ、低高度で敵奥地に侵攻できる世界でも優れた爆撃機です。

1984年以降、100機が調達され、現在でも60機ほどが現役で運用されています。

アフガニスタンやイラク戦争、リビア内戦、シリアなどで使用されており、2016年にはアメリカ太平洋軍のもと、グアムにも配備され、北朝鮮まで約2時間で到達可能となっています。

B-2 スピリット(米・爆撃機)

引用:https://en.wikipedia.org

B-2はノースロップ・グラマン社が開発したステルス戦略爆撃機です。

B-2はステルス性を高めるため、垂直尾翼および水平尾翼のない全翼機という形状の機体となっています。

B-2は既存の防空網では邀撃できないステルス爆撃機というコンセプトのもと、1978年から研究が開始された機体です。

開発要件は、大航続力・大搭載量・低被発見率というシンプルなものでしたが、レーダー・目視ともに低い被発見率を実現するため、B-2の開発はこれまでにないほど難易度の高いものとなりました。

求められるステルス性能を実現するため、胴体は、涙滴型で、翼を広げたコウモリのような、ブーメランに似た翼をもつ全翼機となりました。

アメリカ最初のステルス戦闘機であるF-117は当時のコンピューター技術での設計が難しかったため、直線を基調とした機体になっていましたが、B-2開発時にはコンピューターによるシミュレーションが可能となっていたため、B-2は曲線を基調とした機体となりました。

これによってレーダー反射波や赤外線放出を抑え、さらに、機体表面にはRAM(電波吸収材)で覆われ、特殊な薬剤を排気に混入することで、飛行機雲を曳かないで飛行することができます。

一方、全翼機には操縦が非常に難しいというデメリットも存在しますが、これについては最新型の四重式フライバイワイヤ操縦システムによって解決されたといわれます。

試作機のテストなどは順調に進んでいたB-2でしたが、冷戦の終結と軍事予算の縮小要求により、調達数は当初の予定だった132機から21機に減らされてしまいます。

B-2は高いステルス性とアメリカ本土から旧東ヨーロッパ圏までの往復が可能という長大な航続力を持ち、敵地に侵入する戦略爆撃機としては、世界最高の機体といえますが、そのために調達費用も高く、1機当たり1億2420億円と言われるその価格はB-2最大の弱点ともいえるでしょう。

Tu-22M バックファイア(露・爆撃機)

引用:https://ja.wikipedia.org

Tu-22Mはソ連初の戦略爆撃機で、高い性能をもつTu-22ブラインダー超音速爆撃機を発展させたもので、Tu-22を設計したツポレフ設計局によって開発されました。

機体設計としてはまったくの新型機といっていいものでしたが、予算獲得のための軋轢を避けるためにTu-22の発展型として開発が進められました。

Tu-22MのMはロシア語で発展型を意味する「モジェルニザーツィヤ」の頭文字で、愛称の「バックファイア」は西側諸国のつけたNATOコードネームです。

1969年8月に試作機が初飛行し、1972年から量産型の生産が始まりました。

Tu-22Mは胴体後部にクズネツォフNK-22ターボファンエンジンを2基搭載し、主翼外翼を可変翼として、超音速・亜音速ともに優れた飛行性能を発揮することができます。

兵器倉を除く胴体内スペースに多数の燃料タンクを備え、1500㎞~2200㎞だったTu-22をはるかに上回る6800㎞という長大な航続力を発揮することができ、冷戦時代はたびたびスカンジナビア半島の西を迂回して大西洋まで進出していました。

Tu-22Mの任務はアメリカ海軍の空母打撃群やヨーロッパの戦略目標に対する攻撃が任務とされ、主兵装として通常弾頭及び核弾頭の搭載でき、撃ちっ放しも可能な長射程空対艦ミサイルKh-22を搭載しています。

1983年からはエンジンを推力が向上したNK-25に換装し、各部の設計を変更してより小型のKh-15空対艦ミサイルの運用を可能にしたTu-22M3が就役しています。

Tu-22Mシリーズは総生産数497機で、北海から黒海、空軍の重爆撃機連隊に配備され、1980年代のアフガニスタン侵攻、1995年のチェチェン紛争から2015年のシリア爆撃まで様々な戦場に投入されています。

2017年にもロシア軍は62機のTu-22M3を運用しており、このうち30機は近代化改修を施して、2020年まで使用される見込みとなっています。

Tu-95 ベア(露・爆撃機)

引用:https://en.wikipedia.org

Tu-95ベアはソ連のツポレフ設計局によって開発された戦略爆撃機で、愛称の「ベア(熊)」はNATOコードネームです。

Tu-95はアメリカのB-29をコピーしたTu-4を発展させたもので、元来はアメリカ本土を核爆弾で攻撃するための長距離爆撃機で、そのために大型で燃費のいいNK-12ターボプロップエンジンを4基搭載し、敵防空網を突破するため高速性能確保を目的とする二重反転プロペラなどを装備しています。

試作機はターボプロップ機としては破格の最大速度945km/h、航続距離15200㎞を発揮しました。

核爆弾を運用可能な「ベアA」のほか、対艦ミサイルを運用可能なTu-95K-20「ベアB」、潜水艦や味方のミサイル誘導などを行う哨戒機型のTu-95RTs「ベアD」、対潜哨戒機のTu-142「ベアF」、後継のTu-160の運用が長引いたために巡航ミサイルを運用可能にしたTu-95MS「ベアH」など派生型も多く存在します。

Tu-95MSは当初ミサイル16発を搭載可能でしたが、核軍縮協定により搭載数を6発に減らされました。

Tu-95は西側諸国に対してたびたび領空侵犯や偵察飛行を行っており、日本でもスクランブルでたびたび航空自衛隊の戦闘機とも遭遇しています。

太平洋を千葉沖まで進出するその飛行コースから「東京急行」とあだ名されています。

Tu-95は1990年代までに500機以上が生産され、現在でもTu-95MS30機がロシア軍で運用されており、さらに数十機が保管状態にあるといわれます。

高速性能などでは新型の爆撃機に後れをとるものの、長大な航続距離などは今でも有効で、2015年にはシリアでイスラム国に対する巡航ミサイル攻撃を行っています。

Tu-160 ブラックジャック(露・爆撃機)

引用:http://japanese.china.org.cn

Tu-160ブラックジャックはソ連のツポレフ設計局によって開発された世界最大の可変翼超音速ジェット爆撃機です。

「ブラックジャック」はNATOコードネームで、Tu-160はその形状からアメリカのB-1ランサー爆撃機に対抗して開発されたとみられています。

機体は全長54.1mと全長44.81mのB-1よりさらに大型で、高高度における最高速度もB-1のマッハ1.25を上回るマッハ2.05となっています。

Tu-160はクズネツォフNK-32ターボファンエンジンを4基搭載し、可変翼(VG翼)を備えているため、全幅は35.60m(最大後退角時)~57.70m(最小後退角時)と変化します。

爆撃機としても、可変翼機としても史上最大の機体となっています。

そのため、爆弾搭載量も40000㎏と史上最大級であり、通常爆弾や核爆弾に加え、2基の爆弾倉内の回転式ランチャーにKh-55巡行ミサイル(AS-15ケント)12発またはKh-15P対レーダーミサイル(AS-16キックバック)24発を搭載することができます。

Tu-160は航続力も長大で、空中補給ないで航続距離12300㎞を発揮します。

2010年6月には、ロシア南西部のエンゲルス基地を離陸した2機のTu-160がアラスカへの往復を敢行し、2度の空中給油を受けて約18000㎞の距離を飛行し、Tu-160の最長飛行記録を達成しました。

以上のように、Tu-160は非常に優れた爆撃機ですが、ソ連崩壊によって生産が中止されたため34機が生産されたのみで、このうち、ロシア国内にあるのが20機で、そのうち16機が実戦配備されているとみられます。

本機は2005年8月にプーチン大統領を乗せて5時間の飛行をし、ミサイル発射や空中給油のデモンストレーションを行うなど、強いロシアの象徴として高い期待がもたれており、2015年にはTu-160をTu-160M2として50機再生産すると発表されています。

H6 轟炸6(中国・爆撃機)

引用:https://seesaawiki.jp

H6(轟炸6型:轟炸は爆撃の意)は西安飛機工業公司が製造し、中国が運用している大型爆撃機です。

H6はもともと、ソ連のツポレフ設計局が開発したTu-16爆撃機をライセンス生産により国産化した機体です。

戦略爆撃、戦術爆撃、巡行ミサイルや空対艦ミサイルの発射母機として用いられるほか、空中給油機のHU-6(轟油6)をはじめ核攻撃専用機、偵察機などの派生形が存在します。

海外の輸出販売向けにはB-6という名称がつけられています。

1967年から生産が開始され、中国軍で最大の弾薬搭載量を誇り、2500㎞の目標を攻撃可能な最大の作戦機となりました。

最新型のH-6K(戦神)はCJ-10A(長剣10)巡行ミサイル(2500㎞)を搭載可能で、航続距離は30%上昇して8000㎞以上となっています。

作戦行動半径は約3500㎞で、中国近海から3000㎞離れたグアムまで往復することが可能です。

低燃費のエンジンを搭載し、機体に新素材を採用することで減量をはかり、これにより燃料タンクは増大し、最大搭載能力は12トンに達します。

アビオニクスがデジタル化されたことで乗員が5人から4人に減らされ、衛星通信も可能となりました。

H-6Kの作戦行動半径にミサイルの射程を加えると、5000㎞以上先の目標を攻撃することができ、ミッドウェーやハワイへの攻撃も可能とされています。

H-6Kは現在も生産を継続中で、数十機が運用されているとみられ、これからも中国軍爆撃機戦力の中核を担っていく存在です。

A-10 サンダーボルトⅡ(米・攻撃機)

引用:https://www.cnn.co.jp

A-10サンダーボルトⅡは、アメリカのフェアチャイルド・リパブリック社が開発した、単座・双発のアメリカ空軍初の近接支援専用機です。

愛称のサンダーボルトⅡは、第二次世界で対地攻撃に活躍した同じくリパブリック社のP-47サンダーボルトによりますが、一般にはメーカーなどでも使われているウォートホッグ(イボイノシシ)やホッグ(ブタ)という渾名が広まっています。

A-10は、ベトナム戦争において、それまでのアメリカ空軍が想定していた核兵器による大規模破壊攻撃が起こらず、逆に戦闘機で間に合わせるつもりだった地上部隊の近接支援が問題となったことから開発が始まりました。

地上支援機として求められる能力は、できるだけ大きな兵器搭載量をもち、戦場制圧のために長い航続時間を有すること、低空での優れた運動性と被弾に対する高い抗堪性で、速度は低くてもよく、生産価格は安価で実用性が求められるなど、今までのジェット攻撃機とはまったく異質なものでした。

A-10は大面積の直線翼の主翼をもち、エンジンを機体後部胴体外側にポッド式に納めるという特徴的な外見をもつ機体となりました。

A-10の最大兵器搭載量は7.25トンで、11か所のハードポイントに様々な外部武装を装備することができ、劣化ウラン弾を弾芯とした30mm徹甲弾を使用するGAU-8アヴェンジャーガトリング砲を主要武器として内蔵しています。

A-10は当初空軍内でも不要論があり、近接支援は戦闘ヘリが行えばいいから退役させようという意見もありました。

しかし、1991年の湾岸戦争では過酷な砂漠の環境でAH-64アパッチなどの対戦車ヘリが機械的問題に悩まされたのに対し、A-10は高い攻撃能力を発揮し、イラク軍の戦車987台・装甲車両500両・トラック1106台・砲兵陣地926か所・レーダーサイト96か所という大戦果を上げました。

A-10は現在までに700機上が生産され、2015年の国防予算では全廃が発表されていましたが、2016年のイスラム国空爆などの戦果を受けて退役の無期限延長が決定されています。

AC-130(米・攻撃機)

引用:https://www.gizmodo.jp

AC-130は輸送機で会ったロッキード・マーチン社のC-130ハーキュリーズに重火器を搭載して改造した対地専用攻撃機です。

AC-130はガンシップと呼ばれる機種で、これはベトナム戦争時にアメリカ空軍が局地制圧用に開発・実戦投入したもので、地上部隊からの支援要請を受けて攻撃を実施します。

確実に制空権をとることができるアメリカ空軍だけが運用している機種です。

AC-130は赤外線監視装置を備え、25㎜ガトリング砲、105㎜榴弾砲、40㎜機関砲、対戦車ミサイル、対地ミサイルなどを搭載しています。

もとが輸送機であるAC-130は大量の弾丸を搭載することができ、長時間にわたっての射撃が可能です。

機長席がコクピットの左側にあるため、機長が目標を視認しやすいように、目標を中心に左旋回しながら攻撃を行うのが特徴です。

AC-130は、現在、空軍特殊作戦コマンドにのみ配備されていて、特殊部隊に対する上空から支援を行っています。

アフガニスタンやイラク戦争、リビア内戦に投入され、「空飛ぶ砲兵」として活躍しました。

2017年からは最新型のAC-130Jゴーストライダーの配備も始まっています。

Su-34 フルバック(露・攻撃機)

引用:https://www.businessinsider.jp

Su-34フルバックはロシアのスホーイ社によってSu-27フランカーを発展させて開発された戦闘爆撃機です。

NATOコードネームは「フルバック(後衛)」です。

1990年に試作機が初飛行しましたが、その後の冷戦崩壊による予算不足で開発・生産が遅れ、量産機の部隊配備は2006年12月となりました。

Su-34 はSu-27の発展型とされていますが、各部は大きく異なり、コクピットは複座型で大型化し、主翼前にカナードが追加され、操縦席の下は装甲板で覆われています。

扁平な形状になった機首レドームには大型の多機能レーダーが収められており、操縦席前のIRST(赤外線追尾システム)は撤去され、大型化した尾部のテイルブームにもレーダーが収納されています。

航続力は機内燃料のみで4000㎞、増槽を使うと7000㎞になり、長距離飛行任務が多いため、コクピット内には搭乗員の疲労軽減を目的として簡易キッチン(ギャレー)やトイレがあるともいわれていました。

しかし、コクピットの映像が公開されると、簡易トイレ(尿瓶)と保温ボトルや食料を温める簡易ヒーターがあるくらいだということがわかり、「トイレやキッチンのある戦闘機」として戦闘機マニアに人気のあったSu-34の幻想が崩れた格好となりました。

兵装は12か所のハードポイントに空対地・空対艦・空対空・対レーダーの各種ミサイル、各種爆弾を最大8トン搭載することができます。

戦闘機ということで、一応、空対空戦闘も可能とされていますが、荷重制限がSu-27の9Gから7Gに低下して運動性が劣るため、積極的には行わず、対地対艦攻撃任務がメインとなっています。

2008年の南オセチア紛争において初めて実戦投入され、2015年のシリアにおけるイスラム国への空爆作戦においては、6機のSu-34が5000m以上の高度から精密爆撃を行い、コンクリート貫通爆弾BETAB-500によってイスラム国の地下司令部を破壊しました。

ロシア空軍では年に十数機のペースでSu-34の調達が進んでおり、今後、Su-24に代わってロシア空軍の主力戦闘爆撃機となっていくとみられます。

Su-24 フェンサー(露・攻撃機)

引用:https://blog.goo.ne.jp

Su-24はアメリカ空軍の戦闘爆撃機F-111アードバークに影響を受けて開発が始められた機体で、可変後退翼装備の試作機が1969年に初飛行し、1973年からソ連空軍に引き渡しが開始されました。

NATOコードネームは「フェンサー(フェンシングをする人、剣士)」です。

1975年には公式に部隊使用が始められていますが、当時の西側諸国にはこの機体に関する情報がなく、機種名もSu-19と誤って報じられています。

生産開始後も小改修が行われ、Su-24Mでは大幅な近代化が図られ、それをもとに偵察型Su-24MR、電子戦型Su-24MPなどの派生型が作られ、輸出型のSu-24MKは中東やアフリカなどに輸出されています。

Su-24の生産は2000年頃に1200ほどで終了しました。

Su-24は1984年、アフガニスタンで初陣を飾り、携行対空火器による迎撃を避けるために高度5000m以上からの爆撃を行い、対空火器による損害をゼロとしています。

チェチェン紛争では2000回以上の出撃を記録し、2015年からのシリアでの空爆作戦にも参加しており、ここではトルコ軍のF-16によってSu-24が1機撃墜されるという事件も起こっています。

Su-24は、現在もロシアの戦闘爆撃機戦力の中核を占める機体で、一部はSu-34の電子機器を流用した近代化改修が行われています。

トーネードIDS(EU・攻撃機)

引用:http://www.zb.em-net.ne.jp

トーネードIDSはイギリス・西ドイツ(当時)・イタリアが共同開発した多用途攻撃機です。

試作機は1974年に初飛行を実施し、共同開発ということになっていますが、実際にはイギリスがほとんどの開発を行っています。

1976年から本格的な生産が開始され、冷戦時には30個のSG357子爆弾と時限爆弾としても使用可能な215個のHB876地雷を散布する爆弾ディスペンサーJP233を装備し、敵の飛行場に高速で低空侵入し、レーダーの探知を逃れて爆撃を行い、使用不能とすることを任務としていました。

湾岸戦争においてはこの能力を発揮し、イラクの飛行場に爆撃を行ってイラク軍の航空戦力を封じ込め、多国籍軍の制空権獲得に貢献しました。

しかし、緒戦における制圧任務完了に伴い、トーネードが戦術を変更すると、メディアは損失が大きかったために高高度からのレーザー誘導爆撃に切り替えたと報じました。

この報道は根拠のないものでしたが、トーネードの評価を不当に傷つけ、イギリスのみならず、日本においてもトーネードの評価は低くなっています。

2015年からはイスラム国に対する攻撃である生来の決意作戦にも参加していますが、その際、ソフトウェア・アップデートによって操縦室補助照明の照度がパイロットの視力に影響を与えるほど強くなり、夜間作戦を実施できない状況になっていると報じられました。

このように、毀誉褒貶のあるトーネードですが、現在でもイギリスやドイツ空軍で運用されており、電子偵察型のトーネードECRやイギリス空軍向けのトーネードGR.1、イギリス空軍の開発した防空戦闘型のトーネードADVなど派生形もたくさんあります。

JH-7 殲轟7(中国・攻撃機)

引用:https://seesaawiki.jp

JH-7(殲轟7型)は中華人民共和国の第603航空機設計所で開発され、西安飛機工業公司で製造された戦闘爆撃機です。

NATOコードネームは「フラウンダー」で、中国での愛称は「フライング・タイガー」、輸出名はFBC-1と呼ばれています。

中越戦争(1979年に起こった中国とベトナムの戦争)において、長距離侵攻攻撃機の必要性を痛感した中国空軍はアメリカやソ連の機体を参考に、戦闘爆撃機の開発を開始します。

JH-7は長らくソ連のコピーやライセンス生産を行ってきた中国が独自開発を行った、それまでとは一線を画する機体で、開発に際してはイギリス・フランスの技術協力を得たともいわれています。

各国の機体を参考にしたためか、タンデム複座のキャノピーはアメリカのF-4に、エアインテークは英仏共同開発のジャギュア攻撃機と、他国機に類似している点が多いのも特徴です。

JH-7は2000年から本格的な配備が開始され、レーダーの改良やハードポイントを追加したJH-7A、ステルス性を向上させたJH-7Bなどの派生形が存在しています。

現在は海軍に約120機、空軍に約140機が配備されているといわれ、中国軍の攻撃機兵力の中核をなす機体です。

F-2A/B(日本・攻撃機)

引用:http://toychan.blog.jp

F-2は三菱重工業とアメリカのジェネラル・ダイナミクス社(現ロッキード・マーチン社)との共同開発によって生まれた航空自衛隊の戦闘攻撃機です。

関係者やファンからは「平成の零戦」「ハイパーゼロ」などとも呼ばれています。

F-2はF-1支援戦闘機の後継として開発が開始されたもので、当初は日本の単独開発も模索されましたが、最終的には、F-16戦闘機をベースに日米で共同開発を行うことに決まりました。

1990年から開発が開始され、1995年に空自に制式採用となり、2000年から部隊配備が開始されました。

大型の空対艦ミサイル4発を搭載するという空自独自の要求のため、設計は大幅に変更され、主翼・尾翼面積の拡大・炭素繊維強化複合材の主翼への使用・エンジンの換装・実用機では世界初となるAESA(アクティブフェイズドアレイ)レーダーの採用等、元のF-16とは別物といえる機体に仕上がっています。

F-2Aは単座型で、F-2Bは複座型で、戦闘攻撃機とはいわれますが、F-16から引き継がれた高い運動性能をもつマルチロールファイターでもあります。

ちなみに、日本では専守防衛との兼ね合いから、戦闘攻撃機という名称を使わず、支援戦闘機と呼んできました。

しかし、近年、戦闘機の多用途化が進み、様々な任務に対応できるマルチロールファイターが主流となってきたことで、そういった区別の必要性が薄れてきたことから、2005年からはF-2も単に戦闘機と呼ばれるようになっています。

対空戦闘もできる重対艦攻撃機をコンセプトに作られたF-2は世界でもトップクラスの対艦攻撃能力をもっており、アクティブレーダー誘導のASM-1と赤外線誘導ASM-2という2種類の対艦ミサイルを搭載でき、異なる誘導方式のミサイルを同時発射して敵の艦隊を混乱させることができます。

F-2の大きな特徴が濃いブルーの洋上迷彩で、青系の迷彩塗装を採用している航空機は世界でもたくさんありますが、F-2のように濃い青を採用したものは珍しく、海外の戦闘機ファンにも高い人気を誇ります。

まとめ

以上、世界の爆撃機・攻撃機を紹介してきました。

ひとくちに爆撃機といっても、大量に爆弾を搭載するタイプのものから、ステルス性能を重視したタイプなど様々なものがあり、それは攻撃機にもいえることです。

第二次大戦時には、世界各国がいろいろな爆撃機や攻撃機を保有していましたが、現在では爆撃機をコスト増加により保有するのは一部の大国だけとなり、攻撃機も戦闘機の多用途化に伴って区別が曖昧となり、今後は減少していくと考えられます。

航空機のバリエーションが減っていくのは寂しく思いますが、敵の重要な目標を直接攻撃することのできる爆撃機・攻撃機のもつ戦力としての重要性は今後も変わりません。

これからはどんなタイプの航空機であってもステルス性能が重視される時代です。

戦闘機と違って、高性能なステルス機はまだあまり開発されていませんが、中国などでもステルス爆撃機の開発に力を入れているといわれます。

将来的にはこの分野でもB-2爆撃機のような、我々が驚くような機体が生まれてくるかもしれません。



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