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自衛隊 最強部隊TOP8

日本は、専守防衛という世界的にも珍しい軍事戦略を掲げている国家であり、自衛隊はこの思想の下、日本の平和と独立を守り、国土防衛を担っている組織です。

近年では、災害派遣などでもその活躍が知られるようになりました。

自衛隊には、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の3つがあり、それぞれ創設までに異なった経緯をもっています。

最近では、三自衛隊の共同運用が推進されており、陸上自衛隊で中央即応集団が廃止され陸上総隊が発足するなど、改革も進んでいます。

それぞれの自衛隊には種類の異なるたくさんの部隊が存在しており、その役割も様々です。

そのなかには、精鋭で知られる空挺部隊や、上陸作戦を行うための部隊、アメリカ軍のグリーンベレーやデルタフォースに相当する日本における特殊部隊も存在しています。

ここでは、自衛隊のなかでも特に精鋭として知られる強力な部隊を紹介していきたいと思います。

特殊作戦群

引用:gendai.ismedia.jp

特殊作戦群は、陸上自衛隊が発足させた初めての本格的な特殊部隊です。

特殊作戦群は、組織や訓練の内容もほとんどが秘密にされていて、自衛隊の中で最も謎に包まれた部隊です。

特殊作戦群は、発足当初「Special Operation Group」を略してSOGと呼ばれていましたが、その後、「Special Forces Group」を略したSFGpへと変更されました。

特殊作戦群の誕生

引用:http://blog.livedoor.jp

特殊作戦群の創設が計画されたきっかけとなったのは、2001年にアメリカで起きたニューヨークの9.11同時多発テロとそれに伴う世界規模でテロとの戦いの広がりによって、それまでの正規軍同士の戦闘から、テロ行為などに対する不正規戦への備えが必要と考えられたことでした。

当時の日本には、こうした事態に対処できる部隊が存在していませんでした。

そこで、2002年に後に特殊作戦軍の初代群長となる荒谷卓氏がアメリカに渡り、アメリカ陸軍特殊戦部隊群(グリーンベレー)に1年留学して研修を受け、特殊部隊の基礎を本場で学びました。

荒谷氏が帰国すると、習志野の第一空挺団内に「編成準備室並びに特殊作戦研究部隊」が発足します。

荒谷氏は特殊作戦群編成準備隊長に就任し、特殊部隊の訓練カリキュラムが整備されます。

要員は全国から志願してきた自衛隊員のなかから選ばれましたが、選考に関してはアメリカ軍の特殊部隊並みに厳しい基準が設けられ、1人の合格者も出ない師団もあって、師団長から抗議がくるほどでした。

最初の隊員には、第1空挺団から選ばれた人間が多かったということです。

2004年3月27日、特殊作戦群が正式に発足しました。

この時から、部隊の情報の多くは非公開とされていて、部隊の発足に伴う隊旗授与式でも、当時の石破防衛庁長官から部隊旗を受け取る特殊作戦群初代群長荒谷氏の写真が公開されたのみでした。

特殊作戦軍の基礎を築いた荒谷氏は、日本特殊部隊の父と呼ばれ、「特殊群戦士の武士道」を指針として、3年間特殊作戦群を率いました。

特殊作戦徽章

引用:page.auctions.yahoo.co.jp

特殊作戦群の発足と同時に特殊作戦徽章も制定され、左胸のポケットに着用するこの徽章が特殊作戦群隊員の証となっています。

特殊作戦徽章は日本の国旗である日の丸、正義や軍事力を意味する剣、急襲が得意な鷲、陸上自衛隊の徽章である桜と、古来より神聖な木とされる榊からデザインされています。

特殊作戦徽章の着用資格に関する通達の中には、外国軍隊において特殊作戦に関する教育訓練を修了したものという文言もあり、外国の特殊部隊での研修や共同訓練も隊員に必要な資格とされています。

特殊作戦軍の編成

引用:rikuzi-chousadan.com

特殊作戦群は、第一空挺団と同じく陸上自衛隊の習志野駐屯地を本拠地にしており、部内では「S」という隠語で呼ばれているそうです。

特殊作戦軍の隊員は約300人でうち戦闘要員は約200人とされ、群長は1等陸佐が務めます。

特殊作戦軍は自衛隊の陸上総隊に所属しており、同じく陸上総隊に属する第1ヘリコプター団には特殊作戦群が空中機動を行うときの専用のヘリ部隊「第102飛行隊」があります。

アメリカ軍にも特殊部隊を支援するヘリ部隊である、第160特殊作戦航空連隊「ナイト・ストーカーズ」が存在していますが、第102飛行隊はそれの日本版と呼べるものです。

第102飛行隊は、UH-60ブラックホークの日本独自改良版であるUH-60Jや観測ヘリOH-6カイユースなどを装備し、隊マークは特殊作戦徽章をモチーフにしています。

特殊作戦軍の装備と訓練

引用:gendai.ismedia.jp

入隊資格は3曹以上の空挺、レンジャー資格保有者とされていて、全国の部隊から志願者を募っていますが、隊員の多くは第1空挺団の出身者で占められているといわれます。

群本部、本部管理中隊、第1~3特殊作戦中隊、特殊作戦教育隊という編成になっています。

特殊作戦軍の隊員は、いくつかある陸上自衛隊の制服のうち、「戦闘服市街地用」を着用しています。

特殊作戦軍の隊員は、一般の自衛官と同じく89式5.56㎜小銃や9㎜拳銃(SIG P220)、対人狙撃銃を装備しているとされていますが、アメリカ陸軍の特殊部隊でデルタフォースに準じる装備をもつともいわれ、M4A1やHK416、H&K USPピストルを使用しているという話もあります。

特殊作戦群の発足時、その実戦化には10~15年がかかるといわれていましたが、特殊作戦軍の隊員がイラクで普通科部隊と共同で訓練した際、生身の隊員を両脇に建たせて10m以上離れた場所から移動しながら銃弾を的に命中させるという、外国の特殊部隊と同じく一般部隊では考えられないような訓練を行っている様子をみせました。

隊員たちの士気は高く、自費で装備を購入したり、休暇中に海外の民間軍事会社(PMC)で研修を受ける隊員もいるそうです。

特殊作戦群は、現在でも秘密のベールに包まれており、活動内容や訓練も公開されたことはありません。

式典に参加するときなどマスコミの前に姿を見せるときは、一般に隊員たちは全員バラクラバ(目出し帽)を被り、顔を覆うという特異な姿をしています。

これは、隊員の素性を晒して、本人や家族がテロなどの標的にされないようにするためのものと考えられています。

特殊作戦軍の活動

引用:twitter.com

特殊作戦軍がどのような活動を行っているかについては、公開されていない部分がほとんどですが、2003年からはイラクの復興業務支援隊として、イラクへ派遣されていたことがわかっています。

ほかに、2013年のフィリピン台風災害の救援活動を視察した小野寺防衛大臣の護衛や、2016年の伊勢志摩サミットにおけるテロ警戒のため近くの駐屯地に待機していたことなどがあります。

特殊作戦軍は日本を代表する特殊部隊であり、かなりの精鋭部隊であるようですが、部隊に関することは現在もほとんどが極秘扱いであり、情報が公開される日が来るのが待たれます。

第302飛行隊

引用:www.sankei.com

第302飛行隊は、航空自衛隊北部方面隊第3航空団に所属する戦闘機部隊で、青森県の三沢基地に配備され、航空自衛隊で初めてF-35を運用する飛行隊です。

302飛行隊はもともとF-15やF-4EJ改を運用してきた部隊ですが、現在は日本における唯一のF-35運用部隊となっています。

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカの第5世代のステルス戦闘機で、空戦だけなく対地攻撃など様々な任務をこなすことのできるマルチロールファイターです。日本でもこの最新鋭戦闘機を導入するべく、2017年12月に臨時F-35A飛行隊を発足させました。

F-35には、空軍型のA型とSTOVL(垂直離陸)機型であるF-35B、空母艦載機型のF-35Cがありますが、302飛行隊で運用するのは、このうち最も標準的な戦闘機であるF-35Aです。

2018年1月16日に、F-35Aの三沢基地への配備がはじまり、三菱重工業によって、国内で組み立てられた機体です。

この国内組み立ては、三菱重工小牧南工場で作業が行われ、完成後はロッキード・マーチンによって最終組み立て・検査(FACO:Final Assembly Check Out )が行われるという仕組みになっています。

2018年度には9機を取得し、そのうち5機がアメリカから、4機が国内で組み立てられた機体です。

なお、2019年4月9日に、302飛行隊のF-35Aが訓練中に行方不明となり、のちに墜落と判明する事故が起きていますが、この機体も、日本国内で組み立てられた4機のうちの1機です。

302飛行隊が三沢基地の配属となったのは、三沢基地にしか2個飛行隊分のF-35を格納できるシェルターがないからだとされています。

航空自衛隊ではでは、F-35Aを2個飛行隊42機導入することを決めていて、2020年までに6機ずつを取得していく予定となっています。

2020年にはさらに、現在茨城県の百里基地に所属し、首都防空を担っている301飛行隊も三沢基地に移動し、F-35運用部隊になる予定です。

第1ヘリコプター団

引用:www.mod.go.jp

第1ヘリコプター団は、陸上自衛隊の陸上総隊直轄の航空科部隊で、陸自最大のヘリコプター部隊です。

第1ヘリコプター団は、千葉県木更津駐屯地に団本部を置いています。

陸自では、各師団・旅団の隷下として全国にヘリコプター隊を配備していますが、ヘリコプター「団」と名のつくのはこの第1ヘリコプター団のみとなっており、その規模も、陸自の保有するヘリ56機のうち30機以上を保有するという他のヘリ部隊とは一線を画するものとなっています。

第1ヘリコプター団では、第1輸送ヘリコプター群(第103・104・105・106飛行隊)に輸送ヘリCH-47Jを集中的に配備して高い輸送能力を保有し、習志野駐屯地の第1空挺団や、相浦駐屯地の水陸機動団とも連携した空中機動作戦を行う能力をもちます。

さらに陸自の特殊部隊である特殊作戦群との連携のために作られた第102飛行隊もあり、こちらは、多用途ヘリUH-60JAや観測ヘリOH-6Dを保有しています。

さらに、皇室や内閣総理大臣などのVIPを輸送する特別輸送ヘリコプター隊も存在し、こちらはユーロコプターの大型輸送ヘリEC-225LPを使用しています。

ほかには連絡偵察飛行隊があり、この部隊では、ヘリがメインの陸上自衛隊で唯一となる連絡偵察用の固定翼機で、ハヤブサの愛称をもつLR-2が集中的に配備されています。

護衛艦付き立入検査隊

引用:ja.wikipedia.org/wiki

護衛艦付き立入検査隊は、海上自衛隊の各護衛艦単位で編成されている部隊で、洋上で船舶に対する立入検査を行う海上阻止行動(MIO)を担う部隊です。

海上自衛隊では立検隊(たちけんたい)もしくは立検(たちけん)と呼ばれます。

立入検査隊の使命は、検査対象船舶の乗員や貨物に違法性がないかをチェックすることで、拳銃や短機関銃によって武装し、場合によっては敵性乗員の制圧も想定しています。

立入検査隊の誕生

引用:twitter.com

1999年、能登半島沖で北朝鮮の工作船と思われる不審船が発見され、海上保安庁と海上自衛隊によって追跡が行われるという事件がありました。

この時、海上自衛隊は創設以来初めての「海上警備行動」を行いました。

海自と海保は協力して不審船の拿捕を目指しましたが、当時の日本には相手の船に乗り込んでいくような部隊は存在せず、そうした訓練を受けた隊員もいませんでした。

結局、不審船には日本の領海外へ逃げられてしまうという結果に終わります。

これを受けて、翌年には「周辺事態法」「周辺事態に際して実施する船舶検査に関する法律」が制定され、海上自衛隊でも、今後同様の事件が起きた場合に対処するために、海上阻止行動の実行部隊として立入検査隊が創設されることになったのです。

立入検査隊は、海上保安庁やアメリカ沿岸警備隊から立入検査の技術と司法関係のノウハウを学びました。

立入検査隊の編成

引用:withnews.jp

立入検査隊は護衛艦ごとに編成されていますが、常設の部隊というわけではなく、普段は射撃や機関、魚雷科といったそれぞれの部署ごとでの任務についています。

あらかじめ立入検査隊要員としていた乗員のなかから選抜・訓練を行っておき、必要に応じて招集・編成を行うという方式を採用しています。

この必要に応じて艦内の要員を招集して部隊を編成するというシステムは旧日本海軍に存在した海軍陸戦隊と同じです。

広島県の江田島にある海上自衛隊第1術科学校で、立入検査過程を修了した選抜隊員の指導の下、護衛艦ごとに訓練を行っています。

立入検査隊は、護衛艦ごとに1班を4名とする4個班で構成されていますが、対象船舶の規模によって変更されることもあります。

第1検査班は主に幹部自衛官を中心とし、立入検査の指揮を執ります。

第2検査班は貨物を、機関科隊員で構成された第3検査班が機関の検査を担当し、小火器の扱いに慣れた隊員で構成された保安班が部隊の安全確保を行います。

立入検査隊の装備と訓練

引用:www.facebook.com/JMSDF.PAO.fp

立入検査隊の隊員になる条件は、3等海曹以上で、体力測定・水泳測定2級以上の者が対象になっています。

第1術科学校の立入検査過程では4週間の教育が行われます。

立入検査に際しては、特殊2号作業服と呼ばれる紺入りのつなぎを着用し、9㎜拳銃や9㎜機関拳銃M9、アルミ製3段伸縮の特殊警棒、アルミ製の簡易手錠、防弾救命胴衣、戦闘用ヘルメットなどを装備します。

拳銃で対処できない相手には、64式7.62㎜小銃を装備していましたが、海外での海賊対処に派遣されている部隊では、89式5.56㎜小銃への更新も行われています。

特別警備隊(SBU)

引用:diamond.jp

特別警備隊とは、2001年に創設された海上自衛隊の特殊部隊で、全自衛隊のなかで初めての特殊部隊です。

海上自衛隊内部では特警隊とも呼ばれ、英語表記の「Special Boarding Unit」の略としてSBUとも呼ばれます。

特別警備隊も、1999年の能登半島沖不審船追跡事件をきっかけとして創設された部隊です。

軍隊では、不審船舶に直接乗り込み停船させる行為を「臨検」と呼んでおり、特別警備隊はこれを任務としています。

海上自衛隊は軍隊ではないということになっているため、臨検ではなく立入検査という名称を用いていますが、実施する内容は同じです。

特別警備隊も特殊作戦群同様にほとんど情報が公開されておらず謎に包まれた部隊ですが、特別警備隊の所属と思われる黒い戦闘服姿の隊員が江田島湾内を黒いボートで疾走する姿が目撃されています。

特別警備隊はアメリカ海軍特殊部隊シールズをモデルに創られたといわれ、立入検査任務の他にも、シールズ同様に水中工作や偵察、海上からの急襲作戦を行うこともできると考えられています。

特別警備隊の編成

引用:www.pintaram.com

特別警備隊は体長以下約70名で、隊本部と4個小隊で構成され、部隊長には1等海佐が、各小隊長は3等海佐が務めます。

小隊は2個班から構成され、1小隊18名で、各班には9名の隊員が所属しています。

隊本部は総務班、運用班、資材班などに分けられ、小隊のうち1つは教育専門部隊になっています。

特別警備隊の装備

引用:http://blog.livedoor.jp

特別警備隊が装備している武器については、一般の海上自衛官と同様に、89式小銃や9㎜拳銃とされています。

拳銃については、シールズと同じくSIG P226Rも使用しており、海自は認めていませんが、海自が研究用に購入したHK416ライフルの配備先も特別警備隊だといわれます。

このほか、海外の特殊部隊ではお馴染みのMP5短機関銃も運用しています。

特別警備隊には、不審船に乗り込むための特別な装備として、11m級の特殊高速ゴムボート「RHIB(Rigid-hulled Inflatable Boat:高速機動艇)が配備されています。

航空機と連携した訓練も頻繁に行われ、MH-53E大型ヘリやUS-1救難飛行艇を使った訓練が実施されているようです。

特別警備隊の隊員は、独自の特別警備服を支給されており、任務の際には特殊作戦群のような顔面覆も着用します。

特別警備服の左胸には、隊員の証である羽を広げたコウモリとサソリ、錨をデザインした特別警備隊徽章を着用します。

特別警備隊の訓練と活動

引用:www.jiji.com

特別警備課程は基礎課程36週間・応用課程1年3か月の計2年間を要し、基礎課程は海上自衛隊第1術科学校で、応用課程は特別警備隊内で行われます。

年に一度、海上自衛隊全体に募集要項が通達され、3等海曹以上で30歳未満の隊員が対象で、職種に関わらずどの隊員でも応募できます。

初期の頃は潜水能力の高さで知られる水中所分隊の隊員を中心に編成が行われたといわれます。

隊員は、射撃や運動、水泳などに優れているという高い能力が求められますが、2008年には訓練生の1人が死亡する事故も起きています。

アメリカ海軍のシールズとも交流があり、共同での訓練も行っているといいます。

2007年には、「これが最初で最後」として初めて特別警備隊の訓練がマスコミに公開されました。

2009年には海賊対処のためにソマリアのアデン湾にも派遣されており、2004年のイラクでの日本人人質事件の際には、実行はされなかったものの、特別警備隊がアメリカ軍と合同で人質を救出する「バビロンの桜」作戦が計画されたという話もあります。

中央特殊武器防護隊

引用:blogos.com

中央特殊武器防護隊は、陸上総隊の隷下に所属する、陸上自衛隊のNBC兵器(化学兵器・生物兵器)対処の専門部隊です。

隊員はNBCに対する専門の知識をもち、技能訓練を受け、こうした兵器が使用された際には、汚染を検知し、汚染された隊員・車両などの除染作業を行うことを任務としています。

中央特殊武器防護隊は、埼玉県さいたま市大宮駐屯地を本拠地としている部隊です。

中央特殊武器防護隊は陸自の化学科部隊の1つで、化学科部隊は、各師団・旅団の隷下にもそれぞれ1個防護隊が配備されています

日本はかつて、地下鉄サリン事件という人口密集地での化学兵器によるテロ事件を経験した世界でも唯一の国です。

中央特殊武器防護隊は、地下鉄サリン事件や東海村のJCO核施設で起きた臨界事故の際にも出動した第101化学防護隊を前身とした部隊です。

中央特殊武器防護隊の装備

引用:rikuzi-chousadan.com

中央特殊武器防護隊には、化学防護車やNBC偵察車など、化学防護部隊ならではの特殊な車両が配備されています。

化学防護車は82式指揮通信車を改良した車両で、NBC兵器による汚染下において、放射線残量や汚染の度合いなどを調査するのに使われます。

空気浄化装置によって汚染された外気から隊員を保護し、マニピュレーターを使って調査サンプルを取得し、隊員が降車することなく調査を行うことが可能です。

NBC偵察車は、放射線の測定や化学・生物兵器の検知・識別・汚染調査を行うことができる車両で、マニピュレーターに代わって外気から遮断されたグローブボックスをもち、サンプルの採取が行えるようになっています。

中央特殊武器防護隊の隊員は、汚染された地域で活動するために、難燃繊維と活性炭を織り込んだ特殊繊維で作られた専用の化学防護衣をはじめ、防護マスク、防護ブーツ、防護手袋を装備しており、全身を密閉した状態で作業を行うことができます。

2011年の東日本大震災による福島第一原発の事故でも、中央特殊武器防護隊が派遣されましたが、このときは、隊員たちの着ている防護衣は放射線を防ぐ鉛を入れたものになっていましたが、前面のみで横からの放射線には弱いと判断されたため、原子炉を冷却するための地上からの放水は取りやめることとなり、たとえ自衛隊の防護衣といえども、高レベルの放射線に対しては十分ではないという課題も明らかになりました。

第1空挺団

引用:www.sankei.com

第1空挺団は、陸上総隊の隷下に置かれる陸上自衛隊唯一の空挺部隊で、千葉県習志野駐屯地に団本部を置いています。

第1空挺団はヘリによる空中機動作戦を展開し、落下傘降下による空挺作戦(エアボーン作戦)とヘリを使ったヘリボーン作戦を行う能力をもった部隊で、正規軍との戦闘以外にも、ゲリラコマンド戦を行う能力をもっています。

第1空挺団は、第1ヘリコプター団と同様に、陸上自衛隊で唯一の空挺「団」となっていて、第1とついているものの、第2や第3の空挺団は存在していません。

第1空挺団は陸上自衛隊屈指の精鋭部隊として名高く、特殊作戦軍の母体となったのもこの部隊だといわれます。

「精鋭無比」をモットーに、独自の空挺精神を標榜し、どのような犠牲があろうとも任務遂行のために邁進する不屈の精神と強靭な肉体の研鑽を常に追及する姿は、他部隊の隊員から「第1狂っている団」などと呼ばれるほどです。

第1空挺団はもともと、日本陸軍の落下傘部隊に所属していた隊員らによって創設されたもので、太平洋戦争のパレンバン空挺作戦などで活躍し、「空の神兵」と讃えられた帝国陸軍挺身隊の流れを汲むものです。

第1空挺団の編成

引用:www.mod.go.jp

第1空挺団は、3個大隊に加え、空挺特科大隊、空挺後方支援大隊などで構成され、定員1900名となっています。

第1空挺団の隊員となるためには、陸曹(職業自衛官)で36歳未満、陸士(任期制自衛官)で28歳未満という制限があり、ほかにも体力検定や適性検査、身長161㎝以上・体重49kg以上・肺活量3200㎤以上・握力30kg以上・呼吸停止50秒以上などの条件があります。

第1空挺団の活動

引用:http://atlas-web.com

第1空挺団は、その能力を活かして救助活動を行うこともあり、1985年の日本航空123便墜落事件の際には、隊員らが山頂付近に降下して生存者の捜索活動を行いました。

2006年には復興支援のためイラクにも派遣されたほか、1995年のオウム真理教事件のときには、教団施設の強制捜査の際には万一の事態を考慮して、第1空挺団の1個中隊が訓練名目で近くの富士駐屯地に待機していたことが知られています。

2013年オーストラリアで開催されたオーストラリア軍主催の射撃大会の種目の1つで、第1空挺団の隊員が優勝するなど、国際的に見ても高い練度をもつ部隊だということを示すエピソードもあります。

水陸機動団

引用:www.sankei.com

水陸機動団は、2018年3月27日と最近新編されたばかりの部隊です。

水陸移動団は、島国である日本において、島嶼部に侵攻を受けた場合に、敵に占領された島に上陸して奪還することを使命としています。

略称は水機団で、英語ではARDB(Amphibious Rapid Deployment Brigade:水陸両用即応展開旅団)となります。

従来の陸自部隊と違って揚陸作戦を強く意識している部隊で、アメリカ海兵隊のような水陸両用の上陸作戦を目的とする部隊であるため、「日本版海兵隊」と呼ばれることもあります。

水陸機動団は、陸上総隊の直轄部隊で、団本部は長崎県佐世保市の相浦駐屯地に置かれています。

水陸機動団の発足

引用:ja.wikipedia.org

中華人民共和国海軍は近年、空母の導入などにより海軍力向上と外洋進出を目指しており、それによって近隣諸国との間で摩擦も生まれているため、日本でも南西諸島などに対する脅威の高まりや緊迫する情勢を受けて、不測の事態に対処するためにこうした部隊が創設されることになりました。

水陸機動団の基盤となっているのが、西部方面普通科連隊です。

島嶼防衛を主任務とする西部方面普通科連隊は、アメリカ海兵隊との合同訓練を重ね、ゴムボートや潜水による潜入・情報収集・破壊工作や、ヘリでの強襲、上陸部隊の誘導などを行う能力をもっていて、隊員のなかに多数のレンジャー資格保有者をもつ精鋭部隊です。

西部方面普通科連隊は、水陸機動団の発足に伴い、第1水陸機動連隊へと改編されました。

水陸機動団の創設に先立ち、「アイアンフィスト」や「ドーンブリッツ」といった、アメリカに派遣されての、アメリカ軍と自衛隊合同での演習が実施され、水陸両用作戦に必要なノウハウの取得が行われました。

水陸機動団の部隊章

引用:news.militaryblog.jp

水陸機動団の部隊章は、水色・青色・緑色を用い、陸海空自衛隊の統合による水陸両用作戦を表現し、無血勝利の象徴である金鵄(金色の鳶)と強さの象徴である草薙の剣が描かれ、黒のラインは水を表現しています。

水陸機動団の編成

水陸機動団は、第1・第2の2つの水陸機動連隊を基幹とし、水陸両用戦闘車AAV7を装備する戦闘上陸大隊をもっています。

水陸機動団は、当面は約2100名とされていますが、将来的には約3000名態勢となる予定です。

各連隊は約660名からなり、3個中隊から編成され(各中隊約200名)、第1中隊がAAV中隊、第2中隊がヘリボーン中隊、第3中隊がボート中隊となっています。

第1中隊がAAV7を使っての強襲上陸を行いそのまま内陸部へ侵攻、第2中隊はヘリやオスプレイのようなティルトローター機を使ってのヘリボーン攻撃で目標を直接攻撃、第3中隊がボートや潜水によって、敵の支配する海岸の防御の弱い場所への襲撃・奇襲上陸を行うという、それぞれに専門的な役割・スキルをもった中隊となっています。

ほかにも、水陸機動団では、特科大隊や偵察中隊、通信中隊、施設中隊、後方支援大隊、教育隊を有しています。

水陸機動団の装備

引用:blogs.yahoo.co.jp

水陸機動団は、89式小銃など基本的な装備に関しては普通の陸自部隊と変わりませんが、なんといっても、一番の目玉となるのが、水陸両用作戦には欠かせない水陸両用車AAV7です。

AAV7はアメリカ海兵隊も使用しているもので、防弾アルミ製の車体で作られ、陸上では履帯(キャタピラ)で、水上ではウォータージェットにより走行・航行を行います。

AAV7は、歩兵21人を乗せて上陸作戦を行うことが可能で、陸上自衛隊では26中期防で、一気に52両の調達を決定しました。

運転するには、大型特殊免許と小型船舶操縦免許の両方が必要になります。

自衛隊の装備車両には日本の法律にあわせて、海上衝突予防用のサイレンと、公道を走行するためのウインカーがつけられています。

水陸機動団の隊員が着用する戦闘服は普通のものと比べて特殊で、背中には水に落ちた仲間を助け上げるための太い帯が縫いつけてあり、ブーツに水抜き穴があるなど細かな工夫が施されています。

2018年4月7日に行われた団長旗の授与式では、団長をはじめ隊員全員が顔に迷彩のグリース・ペイント(ドーラン)を塗り、ブッシュ・ハットを被って整列するという、他の陸自部隊とは一味違う姿を見せています。

水陸機動団の訓練

引用:ameblo.jp

他部隊から水陸機動団に転入してきた隊員は、まず水陸機動教育隊でボート・オペレーションなどの訓練を受け、水陸機動団の証である「水陸両用」「洋上潜入」などの徽章を取得します。

水陸機動教育隊では、大型の深水プールと緊急脱出訓練装置も新設され、ヘリキャスト(ヘリでの洋上投下)中に不時着した場合の訓練、水への恐怖をなくすための心理教育などを受けます。

初代団長が「現時点では能力は完璧ではなく、さらなる訓練が必要」と語り、まだまだ能力的には未発達な面もあるとされる水陸機動団ですが、今後、アメリカ海兵隊とも訓練を重ねていくことにより、島国である日本の防衛にはなくてはならない頼もしい部隊となることでしょう。

まとめ

以上、自衛隊の最強部隊を紹介してきました。

日本は他の先進国と比較しても低い水準の防衛費しか支出していないにも関わらず、自衛隊の装備や練度は世界的にみても高い水準を維持していることが知られています。

これは、自衛隊の日々の訓練の賜物といえ、ここで紹介した最強部隊も、こうした地道な訓練の積み重ねによって生まれてくるものです。

日本をとりまく国際情勢は年々激しい勢いで変化しており、自衛隊もそれに合わせて組織を変革し、新しい任務に対応したり、新しい部隊を創設する必要に迫られています。

2000年代のテロとの戦いによるゲリコマ戦に対応するため特殊作戦群が生まれ、南西諸島における島嶼防衛に対応するため水陸機動団が新編されたように、これからも時代とともに新たな最強部隊が生まれてくることがあるかもしれません。



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