オカルト

世界で最も有名な精霊・妖精33種まとめ

昔の人たちは、草木や動物から、人工物までありとあらゆるものには、ひとつひとつにそのものの精が宿っていると考えています。

それらは精霊や妖精と呼ばれ、不思議な力をもつ超自然的な存在だと考えられていました。

精霊や妖精と聞くと、ティンカーベルのように羽を生やした小人の女の子や、白雪姫の7人の小人のようなとんがり帽子に髭を生やした姿を思い浮かべるかもしれません。

ですが、それだけでなく、世界中で人々は様々な姿をもったユニークな精霊たちを思い描いてきました。

ここでは、世界の伝承に登場する個性豊かな精霊たちを紹介していきます。

精霊と妖精の違いとは

引用:https://mnsatlas.com

精霊(spirit)と妖精(fairy)の2つは、よく似た言葉で、普段はほとんど同じ意味で使われていると思います。

精霊と妖精は似通ったものですが、正確にいうと、そこには微妙な違いがあります。

精霊とは、草木や動物から大気など自然界に存在するすべてのものに宿っている超自然的な存在で、基本的には目に見えないものとされています。

妖精も、自然界に存在するものに宿るもので、基本的には精霊の一種なのですが、精霊と違って姿形を持っています。

妖精は女性の姿をしていることが多く、そして、人間と遊んだり、力を貸してくれたり、反対にいたずらをして困らせたりと意志や人格をもっているのも精霊と異なるところです。

ちなみに、キリスト教の祈りの言葉に登場する「父と子と聖霊の御名において~」の聖霊は、キリスト教における三位一体と呼ばれるもので、説明し辛い概念ですが、要するに神の姿の1つとでもいえるようなもので、もちろんこれは精霊とはまったくの別物です。

シルフ

引用:www.whats-your-sign.com

ヨーロッパに伝わる風の精霊で、この世の物質が地水火風の四大元素でできているという概念のもと、16世紀の錬金術師パラケルススによって考えられた四大精霊の1つです。

シルフは人間と精霊の中間的存在とされ、美しい女性の姿をしているため、シルフィードという女性形で呼ばれることもあります。

年をとってもその容貌が衰えることはなく、とても自由奔放で浮気っぽい性格をしています。

そよ風はシルフの声だともいわれ、シルフの体は物質と非物質の中間のようなもので、姿を消すことを得意とします。

貞淑な女性は死んだ後、シルフになることができるといわれています。

ウンディーネ

引用:www.storynory.com

ウンディーネはヨーロッパの川や湖に住む水の精霊で、パラケルススはウンディーネを四大元素のうちの水の精霊としました。

ウンディーネは人と精霊の中間的存在で、人間と同じ姿をしていて、男も女もいますが、多くの場合、細身の美しい乙女とされます。

しばしば人間と恋に落ちることがあり、ほかの精霊よりもその割合は高いようです。

ウンディーネは魂をもっていませんが、人間と結ばれて子を産むと魂が与えられるといわれています。

ウンディーネと結婚した夫は水辺で決して自分の妻をののしってはいけません。

これを破ってしまうと、ウンディーネは永遠に水の中に戻らないといけなくなってしまいます。

そして、これ以降、男は他の女性と結婚することもできなくなり、再婚しようとすると、ウンディーネが男の命を奪いに現れます。

サラマンダー

引用:cosmicktraveler.wordpress.com

サラマンダーは、パラケルススによって四大精霊の1つとされた、火の精霊です。

ローマの火と火山の神ウルカヌスから、ヴルカンとも呼ばれます。

サラマンダーは、錬金術師たちが鉛から金を作り出すときの温度計代わりに使われ、炎が転換に必要な温度に達すると、サラマンダーが炎の中に飛び込み、浮かれ騒ぎます。

サラマンダーはトカゲの姿をしたモンスターとされることもありますが、錬金術師たちのいうサラマンダーは人の姿をしています。

情熱的な女性は死後、サラマンダーになるといわれ、美しい女性の姿をして現れます。

ノーム

 

引用:ja.wikipedia.org

ノームは、パラケルススによって自然界の四大精霊のされたものの1つで、土を司る精霊です。

別名ピグミーとも呼ばれ、女性形はノーミードで、ゴブリンやドワーフといった妖精もノームの仲間だといわれます。

ノームは老人の姿をしていて、体長は12㎝ほどの小人で、地下世界に暮らして財宝を守っており、地下にある金や銀の鉱脈に精通しています。

ノームは、とても勤勉な種族で、それと同じくらい食欲も旺盛です。

ノームは土で織った服を着ており、赤い三角帽子に青いマントという派手な格好をしていて、その服は彼らの成長にあわせて大きくなっていきます。

男はみな胸まで垂れ下がる髭を蓄えていて、女のノームでも、350才を越えるとうっすらと産毛が生えてくるといわれます。

ドライアド

引用:gods-goddess.fandom.com

ドライアドは、ギリシア神話に登場する樹木の精ドリュアスの英語読みで、樹木に住み、樹木と運命をともにする精霊です。

ドライアドは、小柄で緑色の髪の美しい女性で、歳をとることもありません。

強い力をもった精霊のため、見た目に反してかなり危険な存在です。

ドライアドは人間に頼みごとをすることがあり、それを聞いてあげるとそれなりのお礼をしてくれます。

ドライアドは木のうろに巣を作るミツバチたちを手なづけて自由に操ることができ、彼女を怒らせた人間を失明させてしまうこともあります。

ドライアドは特に樫の木に住んでいるといわれ、木が枯れると一緒に死んでしまい、木から離れすぎたときにも、生きていくことができません。

ニンフ

引用:de.fanpop.com

ニンフとは、ギリシアの伝承に登場する精霊たちの総称です。

ニンフは女神と人間の中間的な存在で、山や川、森、町などいろいろなところに住んでいます。

ニンフたちは普段、歌を歌ったり、踊りを踊ったりして楽しく暮らしていて、純粋無垢な性格をしています。

ニンフは若くて美しい少女の姿をしていて、人間や神々と結婚して子供を産むことも多くあります。

ニンフは人間の7290倍もの寿命をもつともいわれます。

ニンフには、海のニンフはネレイデス、森のニンフはアルセイデス、泉のニンフはナイアデスというようにいろいろな種類が存在します。

木のニンフはとてもすばしこくて足が速く、海のニンフは楽器が得意で下半身が人魚になっている、泉のニンフは未来を予言する能力をもつなど、それぞれに違った能力をもっています。

エアリアル

引用:britishfairies.wordpress.com

エアリアルは、ヨーロッパの空気の精霊で、シルフと同一視されることもあります。

ヘブライ語では、「神の炉」を意味するアリエルと呼ばれ、シャイクスピアの『テンペスト』をはじめとする、多くのフィクションに登場する超自然的存在です。

エアリアルは、体は小さく、優美な翼で地水火風の四大元素の中を自由に飛び回ることができます。

激しい嵐を起こして船を難破させることもありますが、不思議なことに船に乗っている人間には髪の毛一筋の傷さえつかないといいます。

エルフ

引用:http://zh.fanpop.com

エルフはもともとゲルマン神話に起源をもち、北欧に伝わる妖精の種族です。

エルフという名前は、もとは古ノルウェー語のアールヴからきていて、そのものズバリ「妖精」という意味をもっています。

アールヴには、太陽よりも美しいリョースアールヴ(白い光のエルフ)とデックアールヴ(黒き闇のエルフ)がいて、普通、アールヴというときにはリョースアールブのことをいいます。

もともとは、見た目も大きさも人間と同じくらいの妖精でしたが、時代が下るほどに背丈が小さくなっていき、小人の妖精といわれるようになっていきました。

エルフは男女ともに若く美しく、人間が見れば一目惚れせずにはいられません。

時折、人間と本当に恋に落ちることもあり、ハーフエルフが生まれます。

身のこなしも素早く手先も器用で、弓の扱いに長け、魔術も使いこなします。

エルフは豊富な知識を有していて、人間に言葉や文字を教えたのはエルフだといわれています。

エルフはあまり眠らず、寿命は人間の2倍以上か、不死だとされることもあります。

エルフは一般に森の中に住んでいるといわれますが、異次元に住んでいるといわれることもあります。

ドワーフ

引用:www.monsterinmypodcast.com

ドワーフはドイツやスイスの山地、北欧などに住むといわれる小人の妖精です。

もとは北欧のドヴェルク(小人の意味。ドイツ語ではツヴェルク)が英語化したもので、コボルトの親戚ともされます。

ドイツの北東バルト海沿岸のリューゲン島には白ドワーフと黒ドワーフがいるといます。

ドワーフは身長1m前後で、髪は長く、赤毛や栗毛の体毛をもっていて、男は地面につくほどの長いあごひげを蓄え、三つ編みにしている者もいます。

寿命は200年以上といわれ、屈強な体をもち、地下世界で穴を掘って都市を建設しています。

人間とドワーフのハーフはウムリ族と呼ばれます。

陽気な性格で、酒を飲めば歌を歌ってたちまち宴会に発展します。

暗いところでも夜目が利き、これは赤外線を見ているからだともいわれます。

鉱山や鉱石を発見する能力に長け、鉱夫、細工師、石工、鍛冶屋、建築家などの高いスキルを持つ職人で、集団で生活しています。

ドワーフは、自らが作り出したものに魔力を込め、不思議な能力を授けることができ、一説によるとその昔、神々が使う武器を造ったこともあるとされます。

ドワーフは優れた戦士でもあり、戦斧や槌といった仕事で使う道具から発展した武器を好み、もちろん剣や槍といった武器も自在に使いこなします。

ドラゴンなどの強大な敵にも立ち向かう勇気を持っていて、仲間同士では強い絆を形成していますが、そのぶん他の種族に排他的な面もあります。

ジン

引用:www.nurmuhammad.com

ジンとは、妖霊、精霊、霊鬼、魔神などと訳されるもので、アラビア世界の精霊の総称です。

ジンとは複数系のことをいい、単体ではジニー、女性系はジンニャーといいます。

ジンの起源についてはよくわかっていませんが、知性ある存在とされ、『アラビアンナイト』に出てくるランプの精が有名です。

コーランによると、人間は土から造られ、ジンは灼熱の炎から造られたとされます。

ジンには実態はなく目にも見えず、出現するときは煙や雲のようなうずまく気体として現れ、それからだんだんと人間や巨人、ヘビ、ジャッカルなどの姿に変化します。

空を自由に飛び回ったり、天界に行った天使の話を盗み聞きしたりすることができます。

ジンは廃屋や川、井戸、市場、砂漠など人のいる場所ならだいたいのところに出現します。

ジンは人間の及ばない知恵と力をもっていて、イスラム教が広がる以前から人々に信奉されてきた存在です。

ジンにもイスラム教徒のジンとそうでないジンがいて、良いジンもいれば悪いジンもいます。

ジンの始祖はイブリースといい、もとは天界で暮らす天使で、天界を追放されたものです。

イブリースの下に、ジンの5つの階層があり、マリード(魔霊)、イフリート(鬼神)、シャイターン(悪魔)、ジン(妖霊)、ジャーン(悪霊)と呼ばれます。

マリードとイフリートは特に力をもった魔神の王とされ、アラジンのランプの精もイフリートでした。

シャイターンはキリスト教のサタンからきたもので、悪性の強いジンで、常に人を惑わせ罪を犯させようとしています。

この5つに当てはまらないグールという怪物もいて、これは低級なジンもしくは死体に陣が乗り移ったものです。

ジンは生きた人間にとり憑くこともあり、憑依された人間のことをマジュヌーンといって、巫女のように霊的な能力をもつ人間もこのマジュヌーンだとされます。

フェイ

引用:444kaorin888.themedia.jp

フェイは魔術をよく知る妖精で、フランスやイギリスに数多く存在したといい、魔術によって若さと美貌と富をほしいままにすることのできる女の妖精です。

もともとはフランスの民間伝承のなかの存在で、シンデレラをお姫様に変身させ、カボチャの馬車を与えたのもフェイの1人だったといわれます。

魔女とも似ていますが、魔女のような邪悪なイメージはありません。

フェイは水辺を住み家としていますが、普通の人には見ることができず、実はそこから通じている異世界で暮らしているともいいます。

フェイは魔術や薬草、宝石の知識に詳しく、これによって騎士に助言やサポートを与えることがあります。

アーサー王の異母姉モルガン・ル・フェイや、騎士ラーンスロット卿の守護精霊である湖の貴婦人ヴィヴィアンなどが有名です。

フェイはラテン語で運命を意味する「Fatum」からきていて、フェイの加護を受けた騎士はどんな運命にも立ち向かう力を授けられ、ときには夢のような妖精の国へといざなわれることもあります。

ホブゴブリン

引用:en.wikipedia.org

ホブゴブリンは、ヨーロッパに伝わるいたずら好きな妖精で、パックやロビン・グッドフェローとも呼ばれます。

ホブゴブリンには「田舎者のゴブリン」という意味があるそうです。

ホブゴブリンは、家に住む守護精霊で、毛むくじゃらで半身が人間、半身がヤギで、長い尻尾をもっています。

ずんぐりとした背の低い妖精で、人間の子供に似ており、よく箒をもっています。

これは、家事好きで手伝い好きな性格を現していて、ミルク一杯で粉をひいたりまきを割ったり馬を洗ったりしてくれます。

ですが、お礼の一杯を忘れてしまうと、紫の痣が出るほど強くつねられ、家から出ていってしまいます。

普段は気のいい精霊ですが、人間がからかったりするとお返しに悪質なイタズラをすることもあり、バターやお酒をダメにしたり、夜道で人を迷わせたり、椅子に化けて人が座ったところでひっくり返らせたりします。

ホブゴブリンは家事を手伝ったお礼に服などの贈り物をすると、もう家事なんかしないといって出ていくといいます。

他にも、勝手な名前をつけて呼ぶと、嫌がって二度と現れなくなったりします。

バンシー

引用:www.wired.com

バンシーは、ゲール(アイルランド)語で「女の妖精」を意味する妖精で、死の予言をするといわれています。

ちなみに、男の妖精はファー・シーといいますが、こちらはそれほど知名度がありません。

バンシーは貴族の古い大きな屋敷などに住む守護精霊で、その家の者が死ぬ前触れとして現れ、すすり泣く声や悲鳴を聞かせ、手を打って泣きながら夜空を飛び回ることもあります。

川のほとりでこれから死ぬ人間の着物を洗ったりするため、「悲しみの洗い手」とも呼ばれます。

バンシーは青白い顔と地面に引きずるほどの長くて白い髪をもち、娘とも老婆ともつかない不気味な外見をしていて、たくさんのそばかすがあり、いつも泣いているために目は真っ赤です。

バンシーの正体はその家系で若くして死んだ娘の化身だといわれます。

バンシーは死を知らせるだけでなく、その家の子供の誕生を教えてくれたり、子供の守をしてくれたりすることもあります。

バンシーを捕まえると、死ぬ人間の名前を知ることができる上、さらに3つの願い事を叶えてくれますが、そのためにはバンシーの醜く垂れ下がった乳房を吸わなければなりません。

デュラハン

引用:www.theirishplace.com

デュラハンは、アイルランドに伝わる首のない騎士の姿をした要請で、コシュタ・バワーと呼ばれる首なし馬の二頭馬車に乗り、誰かの死の前兆として町の中を走り回ります。

騎士というから男のようですが、実際にはデュラハンは女の姿をしています。

デュラハンは死者の住む家の前に止まり、もしその家の人間が扉を開けることがあれば、バケツ1杯の血を頭から浴びせかけます。

デュラハンは自分の姿を見られることを嫌っていて、デュラハンを見た者は鞭で目を潰されます。

しかし、コシュタ・バワーは水の上を走ることができないので、川を渡れば逃げおおせることができます。

ヨーロッパでは、死者がアンデッドとして復活しないよう、首を切り落とす習慣があり、これがデュラハンに関わっているのではないかという説もあります。

ゴブリン

引用:www.mirror.co.uk

ゴブリンは、フランスやイギリスなどで、洞窟や鉱山の地下に住んでいるいたずら好きの妖精です。

ゴブリンは、ギリシャ語で「意地の悪い霊」を意味するコロバスが語源だといわれ、妖精に分類されますが、なかには邪悪な悪魔や小鬼の類が混ざっているともいわれます。

ゴブリンは大人でも30㎝ほどで色黒でずんぐりした体つきをしていて、その顔は醜く、粗暴で気難しがり屋です。

いたずらが大好きで、コップの水をひっくり返したり、人を転ばせたりというのはかわいいもので、人を呪ったり、悪夢をみせたりと、しょっちゅう人を困らせるようなことばかりしています。

ホブゴブリンのように家事の手伝いをしてくれる者もいますが、それは例外です。

ヨーロッパでは、母親が悪い子供に、そんなことをしているとゴブリンが来るよ、と言ってしつけます。

ゴブリンの住み家は、家の隅っこや馬小屋、洞窟の中や木のうろなどですが、一か所に定住することは少なく、からかう相手を求めていろいろなところを渡り歩いています。

人の家に住み着く前には、置いてある牛乳の容器のなかにおがくずを投げ入れて様子をみます。

これを気にしないような無頓着な人間の家なら、彼らにとっても居心地がいいので、見つけたらすぐに取り除かなければいけません。

ゴブリンは人間からだけでなく、妖精からも嫌われていて、ほかの妖精たちはゴブリンと間違われることを忌み嫌うといわれます。

ピクシー

引用:art.alphacoders.com

ピクシーはイングランド南西部に住む緑色の服を着た小人の妖精です。

ピクシーは身長20㎝くらいの人間の姿をしていて、その正体は生まれたばかりで死んでしまった子供の魂だともいわれます。

ピクシーは集団で生活していて、赤い髪の毛に、上向きのとんがった鼻、やぶにらみの緑色の瞳をもち、いつも悪戯っぽい微笑を浮かべています。

ピクシーは踊りが好きで、夜になると虫やカエルの奏でる音楽に合わせて輪になって踊り、彼らが躍ったあとはフェアリー・リング(妖精の輪)として残ります。

人間は普通ピクシーを見ることはできませんが、頭に四葉のクローバーを乗せると見ることができるようになるといわれています。

人にとり憑いて惑わせたり、馬を盗んで乗り回したりといったイタズラもします。

牛の乳の出が悪くなったときは、ピクシーが櫓を組んで牛の乳を搾っているので、そういうときは牛の乳房にピクシーの嫌がる塩水を塗ると逃げ出します。

農民たちはよく、ピクシーのために夜にバケツに水を入れて家の外に置いておきます。

これでピクシーが体を洗ったり、喉が渇いた時に水を飲んだりできるようにということで、俺にピクシーはバケツの中に毎晩1枚の銀貨を入れてくれます。

コボルト

引用:ja.wikipedia.org

コボルトはドイツの家に住む小人の精霊で、ギリシャ語で「子ども」を意味するコバドスが語源です。

ゴブリンという名は本来、コボルトが英語形に変化したものです。

タルンカッペという姿を消せる帽子を持っているため、滅多に人に姿を見せることはありませんが、金髪で、赤い絹のコートをまとった子供だといいます。

ホブゴブリンのように、家主が眠っている間に馬の世話や皿洗いといった仕事をやってくれます。

このとき、お礼として一杯のミルクを与えないといけませんが、これを怠るとすぐに出ていってしまいます。

なかには壁や天井を叩いて自分の存在をアピールし、どこからともなく聞こえてくる声で、家主と会話をするコボルトもいます。

コボルトも、住み着こうとする家では牛乳の中におがくずを入れたりして様子をみます。

コボルトは鉱山に出没することも多く、地中を自由自在に移動することができます。

気に入った人間には石を叩いて鉱脈の在り処を知らせ、嫌いな人間からは掘り出した鉱石を盗み、彼らが役に立たないと思っている鉱物にすり替えてしまいます。

このとき、コボルトが置いていった鉱物を、後に学者はコバルトと名付けました。

スプリガン

引用:http://www.mythicalcreaturesguide.com

スプリガンはイングランドのコーンウォール地方に住む妖精で、妖精のなかで最も醜いといわれています。

スプリガンは、体の小さな老人の姿をしていて、古代の環状列石や巨石の遺跡に出没します。

遺跡に眠る古代の巨人たちの財宝を守る存在で、その正体は巨人の幽霊だといいます。

体の大きさを自由に変えることができ、なにかあると巨大化して凶暴な本性によって人間たちに恐怖を味わわせます。

スプリガンは、嵐や地震、原因不明の家畜の死や子供の失踪事件を引き起こすとされます。

スプリガンは妖精たちのボディガードも務めていて、妖精がいじめられているとかけつけ、こういうときには歩くたびにどんどんと体が大きくなっていきます。

ドモヴォーイ

引用:ja.wikipedia.org

ドモヴォーイは、ロシアの家に住むといわれる精霊の一種です。

スラブの精霊たちは、もとは天使だったものが天から落ちた末路だといわれています。

人のいない山や森に落ちたものは天を恨んで人に害をなす悪霊になり、人里に落ちたものは人間と仲良くなって守護精霊となりました。

ドモヴォーイもそうした精霊のひとつで、家や家族を守ってくれるとされています。

ドモヴォーイは人の姿をしていますが、全身が絹のような灰色や白の体毛に包まれ、髪と顎髭をもつ小人や老人です。

家畜小屋に住んで家畜を守ってくれることもあります。

ドモヴォーイは夜中になると話し声を立てることがあり、それが優しい口調で話をしているときは平穏な証拠ですが、もしもすすり泣くような声が聞こえたら、身内の不幸など悪いことが起こります。

ドモヴォーイは犬や猫、羊などの家畜やワラ束などに化けることがありますが、人間の前に姿を見せることは稀です。

もしドモヴォーイを見ることがあったら、それは不吉の前兆だといわれていて、そういうときは、早く荷物をまとめて新しい家に引っ越すべきとされます。

新しい家に引っ越したときは、ドモヴォーイがよく棲み処にする敷居や暖炉のそばにパンきれを置いておくと、ドモヴォーイを家に呼び込むことができるといい、ロシアの農村にはこうした風習がありました。

ドモヴォーイにはドモヴィーハという妻がいて、こちらは地下室に住んでいて人間に姿を見せることはありませんが、知らない間に畑仕事を手伝ってくれたり、鳴き声を立てて不幸の前兆を知らせてくれたりします。

他にも、スラブ(ロシア)には人間の暮らしを守ってくれる守護精霊たちがおり、庭の精ドモロヴォーイ、穀物を守ってくれる納屋の精オビィンニク、サウナ風呂に住む浴槽の精ヴァンニクなどがいます。

ザントマン

引用:http://www.phantaporta.com

ザントマンは、ドイツの民間伝承に登場する眠りの精です。

英語読みではサンドマンといい、「砂男」を意味します。

ザントマンは、砂の詰まった袋を背負った老人の姿をしており、この砂を目の中にかけられた人間は、どうしても抗うことのできない睡魔に襲われるといわれています。

抵抗しようとしても、ザントマンはまぶたのうえに座り込んで、無理やりに目を閉じさせてしまいます。

ザントマンは夜更けになると現れますが、遭遇した人間は眠ってしまうため、その姿を見た人はいません。

ドイツの母親たちは夜更かししてなかなか寝ようとしない子供に、「早く寝ないとザントマンがやってくるよ」といって寝かしつける習慣がありました。

ザントマンは子供たちの目玉をえぐり取り、月にいる自分の子供のところへもって帰って喰わせるのだそうです。

実際には、ザントマンはそこまで残酷な妖精というわけではなく、これは子供をしつけるための作り話だと思われます。

オーレ・ルゲイエ

引用:en.wikipedia.org

デンマークにもオーレ・ルゲイエというザントマンに似た眠りの妖精がいて、同じく老人の姿をしていて、こちらは魔法のミルクを子供たちの目にさして眠らせてしまいます。

オーレ・ルゲイエは、誰にも気づかれないために忍び歩きをするために、靴下しか履いておらず、七色に輝く絹の上着に、絵が描かれた傘と無地の傘をもっています。

良い子には絵の傘をさして美しい物語の夢をプレゼントしてくれますが、悪い子には無地の傘をさして、朝まで夢も見ないように退屈な眠りの中に落としてしまいます。

オーレ・ルゲイエには弟がいて、こちらは銀の軍服を着て、馬に乗っていて、生前善い行いをした者は前に、悪い者は後ろに乗せて、死者を冥界へと運びます。

セルキー

引用:www.pinterest.jp

セルキーは、スコットランド北東部のオークニー諸島やシェトランド諸島に棲息するアザラシの妖精です。

この地方には実際にオオアザラシがいますが、ここの人びとは、アザラシは毛皮を身に着けた妖精であって、毛皮を脱ぐと人間の姿をしていると考えていました。

セルキーは、見た目は人間そっくりですが、よく見ると、その手足の指の間にはアザラシのような厚い水かきがあります。

セルキーは海底の洞窟に住んでいて、中には空気もあって人間と同じような暮らしをしています。

セルキーがアザラシの皮を被るのは、海のなかを泳ぐためで、これがないとセルキーは水の中を抜けて岸に上がることができないのです。

そのため、毛皮がなくなってしまうと、セルキーは自分たちの棲み処に帰れなくなります。

ある漁師の男が、月夜に浜辺で女のセルキーを見つけ、その毛皮を隠してしまったことがありました。

毛皮を無くしたセルキーは男と結婚して、子供を産みますが、やがて自分の毛皮を見つけだして、海底の世界へと帰ってしまうという話で、日本の天女の羽衣伝説のような伝承も伝わっています。

これに対して、男のセルキーは見た目が美しい上、非常に女好きです。

人間の女のちょっかいを出すことがあり、家を空けている漁師の妻のように、生活に不満をもっている女性を見つけだします。

人間の女のほうからセルキーに会うには、海に7滴の涙を落とさないといけないとされます。

スコットランドでは、今でもセルキーの血を引いた人間がいるといわれ、そういう人は指の間に遺伝として水かきをもっていて、手術で切除するとコブのようなものができ、指が不自由になってしまいます。

セルキーは人魚と仲良しで、相手のためなら自分の命まで投げ出します。

もし、セルキーや人魚の身になにかが起きれば、怒り狂ったもう一方の手によって海は大時化になり、大きな被害を出します。

そのため、オークニー諸島の人びとはアザラシを採るとき、必ず小さなアザラシだけを採り、セルキーが化けている可能性のある大きなアザラシには手を出さないようにしています。

ケット・シー

引用:upload.wikimedia.org

ケット・シーは、スコットランドの高地地方(ハイランズ)やアイルランドの伝承に登場する妖精猫です。

一見すると、黒猫ですが、よく見るとその毛は深緑色で、長い耳をもっていて、胸に妖精猫の印である白いブチ模様があります。

気配を完全に消す能力があって、誰にも知られず闇から闇に移動することができ、目には治世の輝きを宿し、人間の言葉を理解することができ、人間と話をすることもできます。

二足歩行をすることもできますが、普段は正体を隠して普通の猫のふりをして暮らしています。

ですが、慌てるとうっかり言葉を発したり、二本足で立ち上がったりすることがあります。

猫を虐待する人間を懲らしめたりすることもあります。

童話「長靴をはいた猫」にもモチーフとしてケット・シーが取り入れられています。

ケット・シーは自分たちの王国をもっていて、木のうろや廃屋に宮殿があり、人間と同じように王や后、僧侶、一般国民が暮らしています。

自分が飼っている猫がケット・シーであるかどうか確かめるには、耳の端を少し切ってみるという方法があり、もしあなたの猫がケット・シーだったら「無礼者!!」とすぐさま怒り出すといわれています。

スコットランドには妖精犬クー・シーの言い伝えもあり、牛のように大きな犬で、妖精たちの番犬として飼われています。

ハッグ

引用:www.monsterinmypodcast.com

ハッグは、イギリスの伝承に登場する怪しい老婆の姿をした精霊の総称です。

ハッグは人里離れた草原や山の中にひっそりと暮らしていて、日本でいうなら鬼婆のような存在です。

ハッグは、しわくちゃの醜い顔に、鋭い目をしていて、尖った鉤鼻に、恐ろしく長い爪をもっていて、人を襲って喰ってしまいます。

杖や大釜に乗って空を飛んだり、魔法を使ったりといった魔女のような側面や、寝ている人間の胸の上に乗って苦しませるという夢魔のような側面ももっています。

大釜で捕まえた人間を料理したり、魔法の薬を調合したりします。

童話『ヘンゼルとグレーテル』に登場する老婆もこのハッグだとされています。

ハッグのなかにもいろいろな種類がいて、特にスコットランドのブラックアニスとカリアッハ・ヴェーラが有名です。

ブラックアニス

引用:www.artstation.com

ブラックアニスはスコットランドをさまよう人食いハッグで、片目の潰れた不気味な老婆の姿をしており、棲み処の洞窟には食べた動物や人間の骨が転がっています。

ブラックアニスは家から子供を攫ったり、木の上で待ち構えて通りがかりの人間を襲ったりします。

ブラックアニスは長くて硬い爪をもっていて、「ブラックアニスの隠れ家」と呼ばれる棲み処の洞窟もその爪で掘ったものです。

ブラックアニスは非常に足が速いため、出くわすと逃げ切るのはまず不可能です。

しかし、ブラックアニスの妖力は彼女の血の力によるもののため、ブラックアニスに傷を負わせることができれば、傷の手当てをするために帰っていくといわれます。

カリアッハ・ヴェーラ

引用:http://karolful.blogspot.com

カリアッハ・ヴェーラは、スコットランド高地地方やアイルランドに住む、青く醜い顔の老婆の姿をした冬の妖精です。

その名はゲール語(スコットランドやアイルランドの古語)で、「青い老婆」という意味があります。

カリラッハ・ヴェーラは、ハロウィーンに生まれ、魔力を込めた杖をもって森や林を歩き回り、杖が触れた木は葉を落としていきます。

春になり、5月1日のメーデーの日になると、カリラッハ・ヴェーラは石になってしまいます。

カリラッハ・ヴェーラは、動物の守護精霊でもあり、動物たちを使い魔にする代わりに、彼らを守ります。

ケルピー

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ケルピーはスコットランドに住む馬の姿をした水の精で、嵐の前に大声で泣きわめく習性があり、いざ嵐が来ると水面をギャロップで跳ねまわります。

スコットランドではどの湖にもいるとされ、岸辺の草原で草を食べていたり、水面を泳いでいたりします。

一見無害そうに見えますが、迂闊に触ると手がくっついて離れなくなり、そのまま水の中に引きこまれてしまいます。

ケルピーは、普通なら川にはまることのない安全な道を歩いている人を騙して、背中に乗せて水の中に連れていくこともあり、特に女性や子供を襲うことを好みます。

人を乗せると背中が伸びるため、何人でも乗せることができます。

ある言い伝えでは、7人の少女を背中に乗せて溺れさせたことがあり、少女たちが沈んでからしばらくすると、湖に内蔵だけが浮かび上がってきたということです。

もし、背中に乗ってときにケルピーに手綱をつけることができれば、自在に操ることができるようになりますが、あまりに酷使するとケルピーに子々孫々まで呪いをかけられてしまいます。

ルサールカ

引用:www.pinterest.jp

ロシアの水の精であるルサールカは、決まって若い娘の姿をして現れます。

なぜなら、人間の少女が川で溺れ死ぬとルサールカになるからです。

美しい女性の姿をしていますが、顔は青白く病的で、とても長い髪をもっています。

その美貌で、川辺を歩く男を誘惑して水の中に引きこんだりすることもあり、ほかにも漁師の網を破ったり、雨を降らせたりと人間に害をなすことがあります。

人に謎をかけるのが好きで、出された謎を解くと解放してもらうことができます。

普段は水中で大勢集まって暮らしていて、夏になると陸に上がって岸辺でダンスをしたり、木に登って楽しそうに遊んでいる姿が見られます。

ルサールカがダンスのステップを踊ったところは、草木がよく成長するようになるとされます。

ルサールカは北と南で2種類がいるとされます。

北のルサールカは残酷で、死体のような鉛色の肌をしていて、人間を水の中に引き込んだりします。

南のルサールカは、絹の衣をまとった美しい姿や歌・音楽で男を引き寄せ、甘美な快楽に浸らせたまま死にいざなうとされています。

レーシィ

引用:ja.wikipedia.org

レーシィはロシアに伝わる、スラブの森に住むといわれる精霊です。

ひとつの森に一匹のレーシィが住んでいるといわれます。

レーシィは真っ白な長くてぼさぼさの髪の毛と髭が地面まで垂れ下がり、顔を覆っており、顔自体も髭に隠れてしまうほど小さく、手足は細く痩せこけています。

レーシィの血は青いため、頬や唇は真っ青です。

レーシィには影がなく、歩く時も足跡を残しません。

レーシィは背丈を自由に変えることができ、森の樹木より巨大になったり、下草よりも小さくなったりすることができます。

森の中で何かの気配を感じても、レーシィは人間が振り向く前に素早く姿を隠してしまい、自分が気に入った人間の前にしか姿を現しません。

その人の知り合いとそっくりの声を出して、人々を森のなかに迷い込ませ、同じところをぐるぐると歩かせます。

これは、レーシィが森の中に人間が入ってくるのを好まないからだといわれます。

人に謎をかけるのが好きで、謎を解くと解放してくれるというところは、ルサールカと同じです。

レーシィには、家族がいて、妻はレシャチーハ、子供たちはレショーンチと呼ばれます。

レーシィは森から生まれた精霊のため、秋の終わりになると金切り声に似た悲しい声を上げ、冬になるといったん死んでしまいます。

そして、春になるとまた陽気になったレーシィが生まれ、草木に芽吹きを与えます。

ロシアには、ほかにも似たような野原の精霊として、ポレヴィ―クが存在します。

レプラホーン

引用:ja.wikipedia.org

レプラホーンは、アイルランドの妖精で、その名はアイルランド語で「片足靴屋」を意味します。

レプラホーンはその名前の通りに靴作りの妖精として有名ですが、常に片方の足の靴しか作りません。

レプラホーンは、赤い三角帽子をはすに被った小人の老人の姿をしており、上着には7つずつ2列のボタンが並んでいて、その上から革のエプロンをかけ、とんがった鼻に眼鏡をかけていて、仕事中はいつもパイプを燻らせています。

妖精たちは踊るのが好きなために、よく靴がすり減ってしまい、そんな時にはレプラホーンのところにいって治してもらうといわれます。

レプラホーンが仕事をしているところではハンマーを振るう音が聞こえてくるので、そっと近づいて取り押さえ、「殺すぞ」と言って脅せば、財宝の入った壺の在り処を白状します。

レプラホーンは、靴を売った代金を長年にわたって壺の中にため込んでいて、守銭奴妖精と呼ばれることもあります。

しかし、レプラホーンは人の気を散らすのがうまいため、逃げられてしまうことも多く、レプラホーンの壺の在り処を聞き出せた人はいないようです。

ウォーター・リーパー

引用:warriorsofmyth.fandom.com

ウォーター・リーパー(水跳ね妖精)はウェールズの沼沢地に住むといわれる妖精の一種で、別名サムヒギン・ア・ドゥールと呼ばれます。

犬くらいの大きさの、巨大なヒキガエルに似た姿をしていますが、手足はなく、全身真っ白で、長く尖った尻尾と2枚の羽根をもっています。

水棲ですが、肉食で陸上動物を好み、鼠や犬、羊などを襲います。

口の中には尖った小さな牙が無数に並んでいますが、それには麻痺性の毒が仕込まれているといわれ、獲物はたいてい一飲みで、膨れて突き出した腹の中へと収まります。

ウォーター・リーパーは、身の危険を感じると、キーキーした凄まじい金切り声を上げます。

これを聞いた者は、金縛りになったり、気絶したり、時には死んでしまうこともあります。

ヤレリー・ブラウン

引用:www.deviantart.com

妖精の中には、アンシーリー・コートと呼ばれる邪悪な者がいて、これは、非常に悪意をもった妖精のことをいい、彼らは人間からどんな善意をかけられても絶対に人間に対して好意をもつことはありません。

イングランド北東部のリンクシャーに棲んでいる妖精、ヤレリー・ブラウンもその一つです。

ヤレリー・ブラウンは沼沢地で1人孤独に暮らしている小人です。

老人の顔をしていますが、体は1歳くらいの幼児の大きさで、茶色の肌をして、長くて黄色い髪と髭が体にぐるぐると巻き付いているため、服をきているかどうかもわかりません。

その昔、トム・タイヴァーという農夫が仕事帰りに、石の下敷きになって泣いている小人の妖精を見つけ、石をどかして助けてあげました。

妖精がお礼をしたいというので、トムは農作業を手伝ってくれると嬉しいと伝えると、妖精は自分を呼ぶ方法を教え、そして、手伝いをしても決して礼を言ってはいけないと釘を刺しました。

ヤレリー・ブラウンは、呼ぶと確かにトムがなにもしなくてもいいほどに仕事をしてくれましたが、同時にトムの仲間の仕事を邪魔して嫌がらせをし、そのためにトムは罪に問われてしまいます。

そこでトムは妖精に、礼を言うからもう手伝いはやめてくれと言うと、今度はトムにつきまとって死ぬまで嫌がらせを続けたといいます。

コルンムーメ

引用:ja.wikipedia.org

コルンムーメはドイツに伝わる穀物の精霊です。

ドイツでは、麦の穂が出るころに吹く風のことをコルンムーメといい、これは精霊が麦の受粉を助けるために風を送っているのだと考え、この時にはみだりに畑に入らないようにしました。

コルンムッター(麦の母親)やホレ婆さんとも呼ばれ、ライ麦畑にはライ麦婆さん、小麦畑には小麦婆さんと呼ばれる妖精がいます。

ホレ婆さんは子供たちが麦畑で遊んでいると、突然姿を現して驚かせて畑から追い出します。

そうやって畑が踏み荒らされることのないよう、麦を守っているのです。

大人たちは、麦の実る季節にむやみに畑に入るとコルンムーメにとって喰われてしまうといって、子供たちが畑に入らないようにします。

ウトゥック

 

引用:twitter.com

ウトゥックとは、メソポタミアに伝わる精霊で、もともとは幽霊を意味する言葉でしたが、やがて超自然的な能力をもつ存在となっていきました。

ウトゥックは天界や地獄を棲み処とし、その数は何千何万ともいわれます。

人間界に降りてきては、砂漠や海、山、そして墓地なに現れます。

ウトゥックには良い者と悪い者の二種類がいて、ラマッスと呼ばれる神聖なウトゥックに対して、害悪を振りまくウトゥックはエキンムと呼ばれます。

ラマッスはたいてい鳥の頭をして、四枚の美しい鳥の羽をもっています。

神と人との仲介者として、信仰心の厚い人間を災厄から守ったり、神の恩恵を与えたりします。

エキンムは「持ち上げられた者」を意味し、幽体離脱した人間の魂だとか浮かばれない死者の魂だともいわれます。

変身能力を持ち、サソリなど毒のある生き物に化けることが多く、疫病を流行らせたり砂嵐を起こしたりと災厄をばら撒く存在です。

道端で待ち伏せしては人を襲って生者の生気を吸って生きています。

エキンムには、地獄の獄卒ガルラや人を急死に追い込むナムタル、産まれてくる子供に病気をもたらすディムメや粘膜の病気をもたらすアッハーズ、高熱と激しい頭痛を起こすクアート・エチムミなど様々な種類が存在します。

ペリ

引用:jeyrejournal.wordpress.com

イランの精霊ペリは、妖精や仙女などと訳され、天使に似た姿をもち、予言や幻術、変身といった不思議な術を操ります。

白い翼をもった人間の姿をしており、男のペリは神々しい威厳に満ち、女のペリはまばゆいばかりの美しさをもっています。

その翼を使わなければ足を踏み入れることのできないペルシア高原の峻険な山々に暮らしていて、住み家は幻術によって人の目から隠されています。

ペリは四大元素のうちの火から生まれた精霊で、ジャコウや紫檀、白檀といったかぐわしい香りを食べて生きています。

ペリの住む場所には色とりどりの草花が咲き乱れる「ペリの園」があり、この世のものとは思えないほどの、かぐわしい香りに満ちあふれています。

ペリの園では木々が果実のように宝石を実らせ、辺りには木から落ちた金銀財宝があふれ、そこから放たれる光で周囲は常に太陽の日差しを浴びたように輝いています。

ペリ自身の血液も固まると赤く輝くルビーになるといいます。

ペリは白い衣をまとい、これによって鳩になって空を飛ぶこともでき、人間界にやってくることもあります。

ペリが水浴びをしている間にこれを奪われ、無理やり人間の妻になったという話もあります。

ペリは、デーヴと呼ばれる魔物たちと常に争っていて、負けそうになると人間に助けを求めてくることがあります。

グレムリン

引用:www.astonishinglegends.com

グレムリンは、山の高いところに住んでいる妖精で、ゴブリンの一種ともいわれ、機械や道具にとり憑いて不具合を起こさせます。

グレムリンは20世紀になってその存在を知られるようになった新しい妖精です。

第二次大戦中、戦闘機のエンジンが原因不明の不調を起こすことがあり、そういうとき、イギリス空軍のパイロットたちはグレムリンが飛行機にとり憑いているのだと考えました。

戦争中、真夜中に飛行機の格納庫の上で遊んでいる妖精を見たという話もあります。

このことから、機械やコンピュータが原因不明で異常な動作を起こすことをグレムリン効果と言ったりします。

グレムリンは体がとても小さく航空機の機関部に潜り込んで、機械を狂わせてしまいます。

グレムリンは人間に発明のヒントをくれたりもしますが、人間はプライドが高いため妖精の助言をもらったことを認めようとせず、そのためにグレムリンは人間に悪さをするようになったといわれます。

フランクリンが、雷から電気を発見したときも、実はグレムリンが手伝っていたといいます。

アメリカでは、今でも航空機部品の納入時に飴玉を1つ同梱する習慣があり、これは部品に悪さをしないようにという願いを込めたグレムリンへの供え物だそうです。

まとめ

世界中のバリエーション豊かな精霊や妖精たちを紹介してきました。

昔の人びとは日常生活のちょっとした出来事や理解の及ばない自然現象をこうした精霊たちの仕業だと考え、その豊かな想像力には驚かされます。

科学の発達した時代になってからも、精霊の存在が完全に否定されたわけではなく、人間の中には、どこかにこうした超自然的な存在を信じたい気持ちがあるのでしょうか。

なかには、私たちが気づいていないだけで、本当に存在している精霊がいないともいえません。

あなたも身の回りを注意深く観察してみれば、もしかすると、これまで気が付かなかった不思議ななにかに気づくことがあるかもしれません。



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