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世界最強のスナイパーライフル9選

「スナイパーライフル(狙撃銃)」とはその名の通り、狙撃に特化した小銃のことで、高倍率のスコープを装着し、長距離から目標を狙い撃つものです。

狙撃銃には用途によって、対人用狙撃銃と障害物や車両等を狙撃する対物狙撃銃(アンチ・マテリアルライフル)の2種類に分かれます。

アンチ・マテリアルライフルは、もとは対戦車ライフルから発展してきたもので、大口径で大威力ですが、国際条約に抵触する恐れがあるため、これを対人狙撃に使用することは自粛が求められています。

また構造によってもボルトアクション式とオートマチック式の2種類に分かれます。

ボルトアクション式は一発ごとに装填する方式で、射撃精度は勝りますが、装填時にスコープの照準がズレてしまうため、初弾を外すと目標に逃げられてしまう可能性があり、複数の目標を相手にするのも苦手です。

オートマチック式はスコープを覗き込んだまま連射ができるため、初弾を外しても次で仕留められる可能性がありますが、連射の際に銃身が振れるため命中精度そのものは劣ります。

要はどちらの方式にも一長一短があるということですね。

この記事では、世界の軍や警察で使用されているスナイパーライフルについてご紹介していきます。

【伝説】世界最強のスナイパー8選

 

デネル NTW-20 (南アフリカ)

引用:https://www.deviantart.com/

NTW-20は南アフリカのアエロテクCSIR社が1990年代半ばに開発したボルトアクション式アンチ・マテリアルライフルです。

デネル社により輸出されたため、開発元のアエロテク社よりもデネルの名前で呼ばれることが一般的となっています。

この銃は、見晴らしがよく、敵と対峙する距離が長くなりがちなアフリカの草原での運用を想定して設計された、長射程かつ大威力の複数の大口径弾薬を使用者のニーズや状況によって使い分けられるのが大きな特徴となっています。

通常は20㎜×82弾を使用しますが、用途に応じて14.5㎜×114弾や12.7㎜×108弾に変更するができます。

これらの弾薬は第二次世界大戦前に対戦車ライフル等の弾丸としてドイツやソ連で設計され、今日まで生産が続けられているものです。

口径の変更にはコンバージョン・キットを使用し、銃身・ボルト・弾倉・スコープの交換が必要になります。

一見すると大変な作業に思えますが、慣れた兵士なら1分以内ですべての交換作業を終えられるため、戦闘時の実用性にも問題はありません。

戦場においては敵司令部からレーダー、ミサイルステーションから軍用車両、航空機、ヘリコプター、敵の狙撃手排除や遠距離からの爆発物除去と幅広い目標に対応できます。

さらに、NTW-20には油圧式と空気圧式を組み合わせたショック・アブソーバーと、銃口の先端に装備した大型のマズルブレーキにより、反動の50~60%を減衰することが可能です。

また、特別な工具を使わずに分解することができるため整備性もよく、専用のバックパックに収納して兵士二人で徒歩により持ち運べるなど取り扱いの面でも優れています。

本銃は南アフリカ軍に高く評価され、1998年に制式採用されました。

しかし、輸出の面ではあまりふるわず、インドとインドネシアの2か国に採用されたにとどまっています。

このうち、インド軍ではNTW-20のメカニズムを参考に、国産アンチ・マテリアルライフル「Vidhwansak(サンスクリット語で「破壊者」という意味)」を2005年に完成させています。

 

PGM ヘカートⅡ (フランス)

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/PGM

PGMヘカートⅡはフランスのPGMプレジション社が1990年代半ばに開発したボルトアクション式ロングレンジ・スナイパーライフル(長距離狙撃銃)です。

ヘカートの名称はギリシア神話の女神ヘカテーからとられたものです。

アニメ化もされたライトノベル作品『ソードアート・オンライン』でヒロインの一人が使用する愛銃として登場するので、ご存知の方も多いかもしれません。

ヘカートⅡの開発は1987年からフランス陸軍ではじまった12.7㎜口径銃の評価試験に端を発します。

当時は、アメリカ製の12.7㎜アンチ・マテリアルライフルが登場しはじめた時期でした。

試験の結果12.7㎜口径には特に長距離狙撃において有用性が認められ、フランス軍もこうした銃の取得を目指すことになりました。

しかし、フランスはアメリカ製の狙撃銃をそのまま輸入することはせず、自国で開発することを決めたのです。

開発メーカーとして選定されたPGMプレジション社は12.7㎜口径の開発経験がありませんでした。

そこで、PGM社は同社の主力商品であった7.62㎜×51口径のウルティマ・ラティオ・スナイパーライフルを大口径化して開発を行うことにしました。

そのため、本銃はウルティマ・ラティオと共通点が多く、外観もウルティマ・ラティオをひとまわり大きくしたようによく似ておりが、12.7㎜×99弾を撃ち出すときの強烈な反動を抑えるためのマズルブレーキをとりつけたことが外見上の特徴となっています。

ヘカートⅡはメーカーによる無理のない設計と精度の高い部品との組み合わせにより期待通りの高い性能を発揮し、「FR-12.7(フランス語で12.7㎜口径ボルトアクションライフルを略したもの)」の名称でフランス軍に制式採用されたほか、エストニア、ラトヴィア、スロヴェニア、スイスでも採用されています。

また、本銃にはスイス人技師が設計し、PGM社が生産する「PGM.338」があり、これは強力な.338ラプアマグナム弾を使用するスナイパーライフルで、ウルティマ・ラティオとヘカートⅡの中間に位置するため「ミニ・ヘカート」と呼ばれています。

 

M24 SWS (アメリカ)

引用:https://www.youtube.com/watch?v=imJ6WczRMtI

M24SWSはアメリカのレミントン・アームズ社が開発した狙撃システム(Sniper Weapon System)で、狙撃銃であるM24に加え、光学照準器やバイポッド(二脚)、パラシュート投下の衝撃にも耐えられる収納ケースなど狙撃に必要な装備品一式をパッケージ化したものです。

M24SWSはレミントン社が販売していたM700というスポーツ射撃用ライフルが原型となっていて、ベトナム戦争中にスナイパーライフルの不足に悩まされたアメリカ海兵隊がM700をテストしてみたところ、優れた性能を示したため、戦後これを改良したM40を採用して独自に生産を行いました。

一方、本家のレミントン社でもM40の改良点を参考にしつつ、スナイパー専用モデルM24を開発し、M24SWSとして売り出しました。

M24SWSはアメリカ陸軍に採用され、歩兵部隊、特殊部隊、レンジャー部隊等に配備されました。

1991年の湾岸戦争や2000年代のアフガニスタン戦争、イラク戦争など実戦にも何度も投入され、多くの戦果をあげています。

アメリカのほかにはイスラエルや台湾、ブラジルなどでも採用されていて、日本の陸上自衛隊も「対人狙撃銃」という名称で導入しており、2017年までに1298挺が調達されました。

 

ドラグノフ狙撃銃(SVD)  (ロシア)

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ドラグノフ狙撃銃

ドラグノフ狙撃銃は1963年にソビエト連邦で正式採用されたセミオートマチック式スナイパーライフルです。

ドラグノフの名称は設計者であるエフゲニー・F・ドラグノフからとられたもので、西側諸国ではアルファベット表記(Snayperskaya Vintovka Dragunova)の頭文字をとってSVDと呼ばれることも多くあります。旧共産圏を代表するスナイパーライフルです。

ドラグノフは旧ソ連をはじめ、東欧やアジア、中東など世界30か国以上で採用され、中国でも「79式狙撃歩槍」としてライセンス生産が行われています。

ドラグノフの特徴は、西側諸国のスナイパーライフルの多くと違い、最初から歩兵が最前線で使用することを前提に開発され、歩兵が持ち歩きに困らないよう細身で非常に軽量化されていることです。

銃床は大きくくりぬかれ、銃身も厚みを抑えたものとなっていて、スコープも4倍率固定と倍率を低くすることでレンズの直径を小さくし、軽量化が図られています。

また、銃剣を装着できたり、スコープのバックアップ用にアイアンサイトを備えていたりと、最前線での運用を想定していることが見てとれます。

こうした特徴から、ドラグノフは単なる狙撃銃というより、部隊の選抜射手が使うマークスマン・ライフルのような性格をもっています。

旧ソ連軍では小隊に一人ドラグノフを装備した兵士が配置され、小隊の前進を妨げる障害を排除する任務を負っており、ロシア軍では分隊につき1挺のドラグノフが配備されています。

ドラグノフは同じく旧ソ連のAKアサルトライフルと似ていますが、構造は別物で部品に互換性もありません。

1990年代前半には近代モデルが登場し、ソ連のアフガニスタン侵攻の際に装甲車の車内で使用できなかったことから、1994年には折り畳み式のカービンモデルSVDが登場しました。

また、ティーグルと呼ばれる民間向けの猟銃モデルも販売されており、これは資格があれば日本でも所持することが可能です。

 

H&K PSG1 (ドイツ)

引用:http://gungeek.doorblog.jp/

PSG1はドイツのH&K(ヘッケラー&コッホ)社が対テロ特殊部隊向けに開発したセミオートマチック式スナイパーライフルです。

PSGとはドイツ語の「PräzisionsSchützenGewehr」の略で、「精密狙撃銃」を意味します。

開発のきっかけとなったのは1972年9月5日に西ドイツで起きたミュンヘンオリンピック事件でした。

この事件ではイスラエル選手9名を人質にとったパレスチナ過激派のテロリストと西ドイツ警察の警官隊との間で銃撃戦が起こり、当局の不手際と装備の不足から人質全員とテロリスト5名、警官1名が死亡する惨事となってしまいました。

開催当事国として面子丸潰れとなった西ドイツ政府は、銃器メーカー各社に中~長距離で複数の目標を素早く正確に狙撃できるスナイパーライフルの設計を依頼しました。

これは、犠牲者が増えた原因として、当時の警察に人質の安全を確保しながら遠距離にいる複数のテロリストを瞬時に無力化する装備がなかったことが指摘されたためです。

政府の要請に対し、ワルサー社がWA2000を、H&K社がPSG1を開発し、最終的にPSG1が採用されることとなりました。

二つの銃は性能的には甲乙つけがたく、また価格もほぼ同額だったのに、なぜPSG1が採用されたのか、正確な理由は不明です。

セミオートマチックライフルは複数の目標に素早く対処できる利点があるものの、一般的にボルトアクションに比べて命中精度は劣るとされています。

しかし、PSG1ではH&K独自のローラー・ロッキング式ディレイド・ブローバックを採用し、銃身が機関部以外と触れない構造となっているため、発射時に銃身に伝わる振動が少なく、高い命中精度を誇ります。

ドイツで採用されたPSG1は、イギリスのSAS、韓国のKNP-SWATなど世界20か国以上の警察系特殊部隊やテロ対策機関などに採用され、日本警察のSATや海上保安庁特殊警備隊(SST)にも配備されたといわれています。

またPSG1の軍用モデルであるMSG90はアメリカ海軍のSEALsや陸軍のデルタフォースの特殊部隊をはじめ、フランス、ノルウェー、韓国など多くの軍に採用されています。

単独行動で長距離(300m以上)からの狙撃が多い軍のスナイパーと比べ、警察のスナイパーは近距離(90m以下)から複数人がタイミングを合わせ複数の目標を狙撃するというように、任務の性質が大きく違っており、PSG1はこの両方に対応できる希少なスナイパーライフルとなっています。

 

M110 SASS (アメリカ)

引用:http://mgdb.himitsukichi.com/

M110SASSはアメリカのナイツアーマメント社が開発し、2005年にアメリカ陸軍が採用したセミオートマチック式スナイパーライフルです。

アメリカ陸軍ではM24SWSの後継として2008年から配備が進められてきました。

アメリカ海軍や海兵隊が採用したMk.11も基本的にはM110と同じものですが、2016年にM110の後継として採用されたM110AはH&K社が開発したまったく別の銃となっています。

イラク戦争で多発した市街戦ではM24SWSのようなボルトアクションライフルは命中精度は高いものの、連射速度が遅いため、イスラム過激派等が使用するセミオートマチックのドラグノフに対して不利でした。

そこで、M110ではセミオートマチックとしたのですが、命中精度が落ちるのはやはり困ります。

M16アサルトライフルの設計者であるユージン・ストーナーと愛弟子リード・ナイツが共同で興したナイツアーマメント社では、自社開発のSR-25自動小銃を軍用に改良したMk.11狙撃銃をさらに改良し、M110へと発展させました。

M110ではリュングマン方式というオートマチックの作動方式が採用され、発射ガスの一部をガスチューブを使って後方に導き、ガスを直接吹き付けてボルトを後退させる仕組みで、また、銃身が機関部のみに結合されているなど、様々な方法で銃身に伝わる振動を小さくし、ボルトアクションにも引けをとらないほど命中率を高めています。

 

バレットM82 (アメリカ)

引用:http://gungeek.doorblog.jp/

バレットM82は1980年代にバレット・ファイアアームズ社が開発したセミオートマチック式アンチ・マテリアルライフルです。

通称「バレットライフル」と呼ばれています。

世界でもっとも成功したアンチ・マテリアルライフルとして知られ、現在までにアメリカ陸軍や海兵隊をはじめ、30か国以上の軍・警察に採用され、映画やマンガ、アニメ、ゲームなどにも数多く登場しています。

開発当初から軍用として使用することを想定した設計で、通常のスナイパーライフルでは対処できない装甲車両や1マイル(1.6km)以上の遠距離にいる目標を無力化することを目的とし、そのために運動エネルギーが大きく弾道の低伸性に優れる大口径弾薬として、当時M2重機関銃の弾薬として広く使用されていた12.7㎜×99(.50BMG)が選定されました。

バレットM82は、兵士一人でも持ち運べる大きさと重量で、軽量化のために普通、オートマティック・ライフルで用いられるガス圧利用式ではなく、ショートリコイル方式を採用しました。

分解した状態でキャリング・ケースに入れて運搬でき、組立は1分以内に行えます。

零点規制(スコープ上で目標の中心を狙ったとき、弾丸がきちんと目標の中心に命中するようスコープの上下左右を調整すること)を済ませた状態で出荷されるため、組立後はスコープの調整いらずですぐ使用することが可能です。

バレットM82は実戦での使用例も多く、1991年の湾岸戦争では改良型のM107を装備した部隊が2km先にいたイラク軍の装甲車両を撃破したといいます。

軍用以外でも、アメリカ空港警察がハイジャック犯を旅客機の窓越しに狙撃するために採用したり、ニューヨークなどの警察特殊部隊SWATでも配備が進められました。

また、アメリカでは民間にも販売されていますが、銃本体・弾薬ともに高価で、一部の専門店でしか取り扱っておらず、州によっては条例で所持が禁止されているところもあるため、それほど普及してはいないようです。

 

L96A1 (イギリス)

引用:http://gungeek.doorblog.jp/

L96A1はイギリスのアキュラシー・インターナショナル社で開発されたボルトアクション式スナイパーライフルです。

はじめはPM(Precision Marksman:「精密射撃」の意味)ライフルという名称でしたが、イギリス軍の狙撃銃トライアルに勝利したことで、L96A1として制式採用されました。

銃床はアルミニウムを芯としたプラスチック製で、銃身は銃床と接触することのないフローティング・バレルになっていて、振動を抑えられるため高い命中精度を実現しており、イギリス軍の狙撃銃トライアルでは外国製の狙撃銃との比較で最も命中率の高い銃との評価を受けました。

また、機関部の特徴として、アルミニウム製のフレームに固定してあるのですが、そこでボルトのほかにエポキシ系接着剤が使用されているという点があります。

これは設計当時最先端だったベンチレスト競技用ライフルの製作技術を取り入れたものでした。

L96A1にはいくつもの改良形や派生形があり、AW(Arctic Warfare)ライフルはスウェーデンでのトライアルに対応するために改良されたもので、-40度での動作を可能としていて、イギリス軍でもL118A1として採用されています。

AWMはAWをマグナム弾に対応させたもので、イギリス軍がL115の名称で、ドイツ軍がG22の名称で、それぞれ採用されているほか、ノルウェー、韓国でも採用されています。

AW50はL96A1をベースに開発された精密長距離狙撃用アンチ・マテリアルライフルで、ドイツ軍でG24の名称で採用されているほか、韓国軍でも採用されています。

このほかにも多くの国で使用されており、オーストラリア、スペイン、イタリア、オランダ、ポルトガル、マレーシアなどで、日本警察の特殊強襲部隊(SAT)にも導入されているといわれています。

2017年に抜かれるまで狙撃の世界記録は本銃(派生形のL115)による距離2475mで、その優秀な性能こそ世界の国々で使われている理由といえるでしょう。

 

TAC-50 (アメリカ)

引用:http://gungeek.doorblog.jp/

TAC-50は高精度ライフルで知られたアメリカのマクミラン社が開発したボルトアクション式アンチマテリアルライフルです。

マクミラン社は銃のストック(銃床)をハンドメイドしていたゲール・マクミランが兄弟のミラード・マクミランとともに興した会社で、やがてストックだけでなく銃器の製造もはじめます。

マクミラン社はアメリカ海軍特殊部隊との関係が深く、その要請に応じて様々な銃器を製作しており、パナマ侵攻や湾岸戦争で海軍特殊部隊が使用したM88もマクミラン社が手がけたものです。

TAC-50は第二次大戦時には対戦車ライフルとして使用されていた威力の高い50口径のライフルです。

対テロ戦でハイジャック犯をコクピットの分厚いアクリルガラス越しに撃ち抜いたり、イラクやアフガニスタンといった見通しのよい戦場で敵をアウトレンジできるなどの理由から、50口径による精密射撃が注目されています。

TAC-50はこうした要望に応えられる性能をもっていて、2002年にカナダ軍の狙撃チームがアフガニスタンで2430mの長距離狙撃世界記録を出した時や、2017年にカナダ軍スナイパーがイラクでさらにその上をいく3540mの距離からイスラム国兵士を狙撃したときにも使用され、何度も狙撃距離の世界記録を塗り替えています。

ちなみに、狙撃世界記録の上位5人のうち、3人がカナダ軍の兵士なのですが、3人ともTAC-50を使用しており、カナダ軍スナイパーの質の高さとともに、本銃の性能の高さの証明といえるでしょう。

TAC-50は現在、カナダ軍およびアメリカ軍で採用されています。

 

番外:スクリーンの中の最強狙撃銃

引用:https://twitter.com/waltherp383/status/909799894642073600

最後におまけをひとつ。

――殺し屋や暗殺者がビルの屋上やホテルの一室など人目につかない場所でスーツケースから分解された銃を取り出し組み立てる――銃身を本体に差し込みスコープを装着――慣れた手つきで作業を終えると銃弾を装填し、こちらのことなどまったく気づいていないターゲットに銃を向け、スコープを覗き引き金に指をかける――

「狙撃」という言葉を聞いて、こんなイメージを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。

これはおそらく、ハリウッド映画などから生まれたイメージだと思われ、特に昔のハリウッド映画にはこのような分解できるボルトアクション式狙撃銃がよく登場していました。

この銃は銃身を含む前部と機関部を含む後部のねじ山をかみ合わせて固定するという精巧な造りで、実物はとてもレアな銃なのです。

その正体は旧日本陸軍が使用していた「二式小銃」。

九九式短小銃を改造してつくられたもので、パラシュートで敵地に降下する空挺部隊用に開発された銃で、降下する兵士の体にくくりつけられるよう、分解式になっているのです。

旧日本軍ではこうした空挺用分解式小銃を「挺身落下傘用」を略して「二式テラ銃」とも呼ばれます。

本来は狙撃銃ではなく、通常の小銃として使われるものでした。

二式小銃は日本軍の銃器のなかでも決して大量に作られた銃ではなく、配備が開始されたのも1943年からと、すでに初期の快進撃は鳴りを潜め、守勢に立たされていた日本軍には大規模な空挺作戦を行うことなどできず、この銃が実戦で活躍する機会もほとんどありませんでした。

しかし、この珍しいギミックが映画関係者の興味を引いたのか、戦後、ハリウッド映画の小道具として脚光を浴びることになります。

分解すればスーツケースにも収納できる上、狙撃も可能という二式小銃はアクション映画などに盛んに用いられ、「ダーティハリー」「影なき狙撃者」など様々な映画の中で、多くのスナイパーやヒットマンたちを生み出しました。

実戦ではその機能を活かすこともなく不本意な結果に終わった二式小銃ですが、スクリーンの世界で大活躍することになるとは、開発当時は夢にも思わなかったことでしょう。

 

まとめ

以上、世界のスナイパーライフルをご紹介しました。

現代の戦場においては、2km先や3km先からも狙われている可能性があるのです。

そう考えると、兵士たちはどこにいても心休まるときはないのではないでしょうか。

スナイパーという存在が畏怖される理由です。

そして、スナイパーの腕前もさることながら、狙撃銃の性能向上にも驚かされます。

現代兵器のもつ能力は私たちの想像よりも、はるか上にまで到達しているのだと思わされますね。

伝説となっている世界最強のスナイパーについては下記の記事でご紹介しています。

【伝説】世界最強のスナイパー8選

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