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ロシア最新ステルス戦闘機Su-57!最強F-22に匹敵するその性能を徹底解剖!

Su-57はロシアの誇る最新型ステルス戦闘機ですが、多くの人はその名前を聞いても、ピンとこないかもしれません。

自衛隊やアメリカの戦闘機に比べれば、日本での知名度はまだまだ低いと思いますが、Su-57はロシアが最新の技術を使って開発し、F-35ライトニングと同じ第5世代戦闘機に匹敵する能力をもっているとされています。

ですが、Su-57はまだ試作機の段階で、実戦配備されておらず、その能力については未知数の部分もあります。

ここでは、我々にあまり馴染みのないロシア製最新鋭戦闘機Su-57についてご紹介します。

Su-57とは

引用:https://jp.sputniknews.com

Su-57(ロシア語表記:Сухой Су-57)は、ロシア連邦のスホーイ社が開発し、コムソモーリスク・ナ・アモーレ航空機工場(KnAAZ)が製造を行うステルス多用途戦闘機です。

1986年、当時のソ連ではI-90(90年代戦闘機)としてミコヤン(現在のMiG)によって、試作機が製作されていましたが、91年のソ連崩壊によって計画は立ち消えとなってしまいます。

一方、スホーイ社は前進翼とカナード(小翼)をもつ概念実証機Su-47(S-37)ベルクトを自主的に試作し、1997年から200回以上に及ぶ試験飛行を行っていました。

1998年、ロシアはSu-27やMiG-29の後継となる次世代戦闘機で、アメリカのF-22ラプターに対抗できるステルス戦闘機PAK FA(前線航空部隊の将来航空複合体)またはI-21(21世紀戦闘機)の研究を開始します。

これに対して、スホーイがT-50を、ミグがE-721を提案します。

2002年4月にはT-50が選定を受けますが、これはやはりスホーイ社がSu-47で磨いてきたステルス戦闘機の開発能力が発揮された結果といえるでしょう。

T-50の初期設計案は2004年12月にロシア空軍の承認を受け、当初の計画では2007年に試作機が初飛行する予定でした。

しかし、ロシアにとって初めての第5世代ステルス戦闘機開発は計画通りには進まず、ようやく6機の試作機(T-50-1~T50-6)が完成し、試作1号機が初飛行を行ったのは2010年1月29日のことでした。

2011年3月9日には初の超音速飛行に成功します。

一方で、試験飛行ではトラブルも多発し、2011年8月には1号機が機体構造に亀裂が生じ、オーバーホールには2012年9月までを要し、さらに2014年6月には5号機の機体上面が炎上し、6号機と共食い整備を行っての修理には1年以上かかりました。

その間、さらに第2バッチの試作機6機(T-50-7~T-50-12)の製造が決定し、2017年末までにT-50-11までが完成しています。

2017年8月11日、ロシア航空宇宙軍司令官(ロシア空軍)のボンダレフ大将がT-50の制式名称はSu-57になると発表しました。

それまではPAK FAかT-50と呼ばれていたこの戦闘機は、現在ではSu-57と呼ばれるようになっています。

Su-57は現在も各種試験が行われていますが、試作機が製造されているのみで、量産機の生産開始と実戦部隊への本格的な配備はいまだ行われていません。

2017年5月には、ロシアのショイグ国防相がSu-57の部隊配備は2019年に開始されると発表しています。

Su-57の性能

引用:https://www.businessinsider.jp

Su-57はソ連時代も含めてロシアの実用機としては初めてステルス性を重視した設計がされているのが最大の特徴です。

その特徴にはF-22と類似したところも少なくありません。

ステルス性を確保するため、機体各部の直線は極力角度を揃えるようにして作られており、機体形状も非常に薄くてのっぺりとしていて、開口部や溝もレーダー波より小さい格子でカバーしています。

レーダー波は吸収・遮断する材料や塗料も各部に使用し、エンジン正面のファンでの反射を減少させるレーダー・ブロッカーを装備しています。

空気取入れ口からエンジンまではほぼまっすぐの位置関係にありますが、空気をまっすぐに導くと取入れ口に入ったレーダー波がエンジンのファンに直接当たってそのまま反射波を戻してしまい、RCS(レーダー反射断面積)を増大させてしまいます。

そのため、Su-57のダクトは少し内側に曲げたS字型になっています。

スホーイ社の設計担当者は、「F-22のRCSは0.3~0.4㎡だが、Su-57はそれに非常に近いステルス性を持つ」と述べています。

アメリカ側の資料ではF-22のRCSは0.0001㎡程度とされていますが、スホーイ関係者は0.3~0.4㎡との認識をしているようで、専門家の中にはSu-57のステルス性はF-22に劣るとみる人もいるようです。

ステルス性能に関してはF-22を開発しているロッキード・マーティン社もスホーイもほとんど情報を出していないため、現状では、実際にSu-57がどれだけのステルス性能をもっているのか、本当に第5世代戦闘機に合致する機体なのかはっきりとしたことはわかっていません。

Su-57は敵から身を隠すだけでなく、敵機を探知する性能にも優れていて、最新のアクティブ電子走査アレイ(AESA)・レーダーを装備しています。

メインのセンサーとなるのはSh-121火器管制装置で、これは機種前方のアクティブ電子走査アレイ・レーダーN036ベルカ(リスの意)Xバンド・レーダー、機首側面左右のAESAレーダーN036 Xバンド・レーダー、左右主翼の外翼部前縁のN036L Lバンド・レーダーの5つのアンテナを持つ装置です。

機首レドームには1552個の送受信モジュールが設けられており、機首前面のアンテナは90㎝、70㎝の楕円形で、400㎞の距離から地上目標4個、空中目標62個を同時に捕捉・追跡し、16個の空中目標を同時に攻撃できるとされています。

レーダーの情報は新しいデータリンクを介して、ほかの作戦機と情報共有が可能で、これには友軍航空機だけでなく地上や空中の統制機関も含まれていて、パイロットの情報認識能力を高めるともにワークロードを軽減することができるとされます。

また、敵機からのミサイルなどの防御用に101KSアトール電子工学システムをもっており、これはコクピット右前の球状の101KS-V IRST(赤外線捜索追尾システム)、101KS-Uミサイル警戒システム、101KS-O赤外線ジャマーなどから構成されています。

これにより敵機が発する赤外線(周囲との温度差)を検出してそれを目標として認識し追跡する装置で、複数の目標を同時に探知・識別・追跡する能力があり、敵のレーザーによる熱源追尾ミサイルに対して妨害を行うこともできます。

Su-57は強力なエンジンを装備していて、これによって超音速巡行が可能となり、推力偏向ノズルも装備していて、高い機動性も発揮できます。

1号機~6号機までの第1バッチの試作機ではサトゥルンAL-41F1推力偏向ターボファンエンジンを2基搭載し、アフターバーナー時は147kN(14.5t)を発揮し、F-22のエンジンにも匹敵する推力を持ち、スーパークルーズ(超音速巡行)が可能なF-22に続く2番目のスパークルーズ・ファイターです。

超音速巡行速度はマッハ1.6程度とみられ、F-22のマッハ1.82よりは少し遅くなっています。

ノズルは左右に16度、上下に20度ずつ稼働する推力偏向式で、ライバルであるF-22と同様に、ステルス戦闘機でありながら高い格闘戦能力をもっています。

量産機ではAL-41F1を上回る性能をもつイズデリエ30(イズデリエは製品の意)エンジンを搭載する予定です。

イズデリエ30はアフターバーナー時176kNの推力を発揮し、さらに部品数が少なく運用コストが抑えられ、燃費も向上した新開発のエンジンで、第2バッチの試作機からはイズデリエ30を搭載し、2017年12月からは飛行試験も行われています。

F-22が2基のエンジンをほとんど間隔を開けずに横並びにしているのに対し、Su-57は広く間隔をとっています。

これは第4世代以降のロシア戦闘機に見られる設計上の大きな特徴で、これにより後部胴体でも揚力の発生を得ることができるようになり、運動性能の向上や航続性の延伸が可能になります。

一方で、平面の面積が増えてしまうので、ステルス性能においてはデメリットとなっていまいます。

Su-57の主翼は標準的な切落としデルタ翼ですが、主翼付け根延長部(LERX)が前方に大きく張り出していて、前縁が可動式となっているのがアメリカの戦闘機にはみられない大きな特徴で、これによって超音速飛行時でも大きな機動性を発揮することができます。

この部分はレブコン(LEVCON:主翼前縁渦流制御)と呼ばれ、強い空気渦流を発生することが、機動飛行時の写真からも確認されています。

主翼前縁には可動式の前縁スラットが、後縁には外側と内側に分けたフラッペロンがあり、水平安定板もともに全遊動式にしていて、これらはF-22と同様です。

もちろん相違点もあり、ヨー操縦(上下を軸とした水平面での回転)はF-22が垂直安定板後縁の方向舵で行っているのに対し、Su-57は垂直安定板も水平安定板同様の全遊動式となっています。

Su-57のコクピットはフレームの一切ない風防と後方スライド式で開くキャノピーに覆われ全周視界は良好で、カラー液晶表示装置を中心とするグラス・コクピットとなっており、主計器盤の上には視野角30×22度の広視野型ヘッドアップ・ディスプレイが備わっています。

Su-57の燃料搭載量は10300㎏といわれていて、機体サイズ的にはSu-57よりも大きいSu-27SMフランカーの9400㎏よりも多く、その分航続力も延伸されているとみられます。

このように、打倒F-22を目指して開発されたSu-57の機体には、ロシア軍の最新装備が詰まっており、開発の遅延や試作機の問題など心配なところも多いものの、全体的には高い性能をもったステルス戦闘機であるといえます。

Su-57の派生形

引用:https://defencelover.in

Su-57の派生形として、ロシアとインドによる戦闘機共同開発計画であるFGFAが存在します。

2003年、ロシアはインドとの間で共通将来多目的戦闘機(PMF。インド名はFGFA:Fifth Generation Fighter Aircraftで第5世代戦闘機の意)を共同で開発することに合意します。

開発中であったT-50(のちのSu-57)をもとにしてFGFAを共同開発することになりましたが、T-50開発の度重なる延期にくわえ、インド空軍がT-50の性能を不安視していたこともあり、FGFA計画の前途は不透明になっていました。

2018年4月20日、インド空軍の当局者はFGFAの共同開発を中止にしたと発表しました。

理由としてあげられたのは、主にコスト面の問題と技術面でSu-57のステルス性や電子機器、レーダーの性能などがインド空軍の要求を満たしていなかったというものです。

ただ、インド軍は兵器の開発・輸入計画をやめたり、続けたり、復活させたりと端から見ると迷走のような調達計画を行うことで知られていて、FGFA計画も今後復活する可能性がないとは言い切れません。

ほかに、Su-57には艦載型の計画が存在していることを、ロシア海軍総司令官代理ヴィクトール・ブルスク少将が明らかにしています。

もしこれが開発されればロシアの将来空母に搭載されることになりますが、新型の海軍機を巡ってはスホーイ、ミコヤン、ヤコブレフ設計局間で競争が生じるとみられています。

Su-57の価格

引用:https://www.businessinsider.jp

ロシア国家院の航空専門家メンバーであるウラジーミル・グデネフ氏は、「Su-57の価格はF-22と比較して5分の2の安価におさまる」と指摘しています。

F-22の価格は1機あたり1億7760万ドル(約195億円)なので、この言葉が事実だとすると、Su-57の価格は7104万ドル(約78億円)ほどということになります。

F-22に類似したステルス性をもつ機体がこの価格で調達できるとすれば、たしかに優れた機体であるといえます。

ですが、Su-57はまだ試作機であり、現時点で量産機の価格がどうなるかは不透明で、今後価格高騰の可能性もあるでしょう。

それでもロシアは2018年に最初の量産機の契約が締結されたと発表し、2019年には最初の量産機が運用に入るとされています。

プーチン大統領は強いロシアの復活を目指し、ロシア軍の近代化を進めており、航空戦力もロシアの軍備計画では最優先目標と位置付けられています。

しかし、ここ何年かは財政面での問題のため、国防費は減少傾向となっています。

反対に遭いやすい人件費や福利厚生費の削減を避けたため、装備調達費が割を食う結果となり、2017年の航空機調達実績は49機と、ピークだった2014年の101機の約半分になってしまいました。

Su-57が量産化されたとしても、実際に戦力化できるのか、また十分な数を調達できるのか、など課題も多く、ロシア空軍では今後も当分のあいだは従来戦闘機が主力になるものとみられます。

Su-57の兵装

引用:https://www.businessinsider.jp

Su-57は機体腹部に前後2つの大きなウェポン・ベイを備えており、その中に兵装を格納します。

大きさは、2つとも長さ4.6m×幅1mで、各700㎏の兵装を搭載可能です。

Su-57は、R-77中射程空対空ミサイルの改良型であるK-77M(射程約220㎞)、R-37長距離空対空ミサイルの改良型であるイズデリエ810(射程200㎞)、Kh-58UShK対レーダーミサイル(射程250㎞)、Kh-38空対地ミサイル(射程40㎞)、Kh-35空対艦ミサイル(射程250㎞)、KAB-250 250㎏誘導爆弾など多彩な兵器を搭載できます。

主翼付け根下の細長い三角形のフェアリングにはR-77短射程ミサイルの改良版であるK-74M2を2発内蔵でき、これは大きなレーダー反射源となるウェポン・ベイを開かずに格闘戦をするためのものとみられます。

また、ステルス性の必要ない任務においては、翼下に4つのパイロンを装着し、そこに兵装を懸吊することができます。

固定装備としてはGSh-30-1 30㎜機関砲(携行弾薬150発)を機体前部右舷に内蔵しています。

これはリコイル式自動機関砲で、コンパクトで軽量ですが、砲身寿命は非常に短く100~150発の連射を繰り返すと、2000発程度で寿命に達するといわれます。

2015年1月からは任意のモードで弾薬容量を使い果たすことのできる近代化型も開発中です。

2018年2月24日、アメリカ軍当局はロシア軍が内戦の続くシリアにSu-57を派遣し、フメイミム空軍基地に配備したことを発表しました。

シリアにはアメリカ軍のF-22も派遣されているため、ロシアがF-22に対抗してSu-57を派遣したのではないかという見方もありましたが、Su-57はまだ試作機であり、実戦経験豊富なF-22にぶつけるのはさすがに無謀といえます。

このため、今回の派遣については、武装勢力への対地攻撃など軽度な任務によって実践経験を積ませることや実戦データを取得することが目的だとみられます。

2018年3月1日にはロシアのショイグ国防相も、2機のSu-57をシリアに派遣し、2日間の実運用試験を行っていたことを認めました。

また、ショイグ国防相はSu-57がシリアでテロリストに対し巡航ミサイルによる攻撃を行ったとも発表していて、Su-57にとって初めての実戦経験となりました。

まとめ

以上、ロシアの新型ステルス戦闘機Su-57について紹介してきました。

ロシアがF-22を意識したステルス戦闘機で、その性能もかなりのものと思われますが、最新鋭だけあって公開されている情報も少なく、また、今後の量産計画や運用など現時点ではわからないこともたくさんあります。

Su-57はまだ試作機であり、すでに実戦経験を積んでいるF-22に追いつくのはまだ先のことになるかもしれません。

しかし、ロシア独自の技術がふんだんに取り入れられたSu-57はF-22をはじめ他国のステルス戦闘機の強力なライバルとなる可能性を秘めた機体であるといえます。

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