アニメ『ガールズ&パンツァー』の影響で人気上昇中の戦車ですが、戦車のイメージと言えば「強そう」とか「どんな道でも走れる」とかであまりスピードが注目されることはないと思います。
そこで今回はあえて戦車の速度に注目してみました。
それでは意外と速かった?世界最速の戦車たちをご紹介しましょう!
10式戦車(日本)
10式戦車(ひとまるしきせんしゃ)は、2011年かは配備された陸上自衛隊の最新国産主力戦車で、主力戦車としては61式戦車、74式戦車、90式戦車に続く四代目にあたります。
陸上自衛隊で初めて「C4Iシステム」を搭載した戦闘車両であり、火力・防護力・機動力は旧式の90式戦車と同等以上の能力を持っています。
無段階自動変速操向機(HMT)を採用し、動力装置(パワーパック)の高効率・高応答化を実現。前進速度と後進速度は同じ70km/hで走ることが出来ます。
性能諸元
全長 | 9.42m |
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全幅 | 3.24m |
全高 | 2.30m |
重量 | 約44t(全備重量) |
懸架方式 | 油気圧式 |
速度 | 70km/h(前進・後進速度) |
主砲 | 10式戦車砲(44口径120mm滑腔砲) |
副武装 | 12.7mm重機関銃M2(砲塔上面) 74式車載7.62mm機関銃(主砲同軸) |
装甲 | 複合装甲(正面要部) 増加装甲(砲塔側面) |
エンジン | 水冷4サイクルV型8気筒ディーゼル |
出力 | 1,200ps/2,300rpm |
乗員 | 3名 |
開発費 | 約484億円 |
単価 | 約9.5億円(平成22年度) |
M8 AGS軽戦車(アメリカ)
M8 AGSはアメリカ陸軍が開発した軽戦車です。
M551シェリダンの後継としてアメリカ陸軍に制式採用されたものの、冷戦の終結を受けた国防予算の削減に伴い、最終的に計画はキャンセルされ、実際に配備されることはありませんでした。
動力系は、アメリカ陸軍が既に運用していた装備品との相互運用性を重視しており、エンジンは6V-92TAを採用。ジェット燃料を用いた場合は550馬力、ディーゼル燃料を用いた場合は580馬力と出力が異なり、最高速は72km/hとなっています。
性能諸元
全長 | 9.18m |
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全幅 | 2.692m |
全高 | 2.555m |
重量 | 19.25t(レベル1) 22.25t(レベル2) 24.75t(レベル2) |
懸架方式 | トーションバー方式 |
速度 | 整地72km/h、不整地48km/h |
行動距離 | 483km |
主砲 | 105mm ライフル砲M35(31発) |
副武装 | 12.7mm重機関銃M2×1(600発) 7.62mm機関銃M240×1(4,500発) |
装甲 | 鋼+チタン製アップリケ装甲 |
エンジン | デトロイトディーゼル 6V-92TA 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル |
出力 | 550馬力/2,400rpm |
乗員 | 3名 |
単価 | - |
AMX-56ルクレール(フランス)
フランス陸軍が配備する第3および第3.5世代主力戦車です。
その能力は『時速40kmで動きながら距離3,000mの動目標に対して初弾命中率95%』。さらに、『一分以内に6目標を同時に追尾し攻撃することが可能』とされ、M1A1エイブラムス(米)を越える世界最高クラスの攻撃能力を持つと言われています。
気になる速度は、高い出力と軽量化により、0-32km/hまでの加速時間は6秒以下、最高速度は路上で72km/hと「M8 AGS軽戦車」と同じですが、不整地でも55km/hという高速で走行が可能です。
性能諸元
全長 | 9.87m |
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全幅 | 3.71m |
全高 | 2.92m |
重量 | 56.5t |
懸架方式 | ハイドロニューマチック・サスペンション |
速度 | 整地72km/h、不整地55km/h、後進38km/h |
行動距離 | 550km(増槽装着時 650km) |
主砲 | 52口径120mm滑腔砲 CN120-26 |
副武装 | H2HB 12.7mm重機関銃(同軸) ANF1 7.62mm機関銃(対空) Galix戦闘車両防護システム |
エンジン | V型8気筒 ディーゼル+ガスタービン |
出力 | 1,500hp |
乗員 | 3名 |
単価 | 740万ユーロ |
TAM戦車(アルゼンチン)
1970年代、M4シャーマン中戦車の後継たる戦車とM9ハーフトラックの後継たる歩兵戦闘車を求めていたアルゼンチン陸軍が、ドイツのマルダー歩兵戦闘車を基に設計した戦後第二世代型の戦車です。
M60パットンやチーフテン、レオパルト1、74式戦車などの第二世代型主力戦車と比べても最軽量の部類に入り、最高速度は75km/hです。
性能諸元
全長 | 8.23m |
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全幅 | 3.25m |
全高 | 2.42m |
重量 | 30.5t |
懸架方式 | トーションバー方式 |
速度 | 75km/h |
行動距離 | 590km 940km(外部タンク付き) |
主砲 | 105mm ライフル砲 |
副武装 | 7.62mm機関銃MAG×2(同軸×1、対空×1) |
装甲 | 25mm |
エンジン | MTU-MB 883 Ka-500 6気筒ディーゼル |
出力 | 720hp |
乗員 | 4名 |
FV101スコーピオン軽戦車(イギリス)
FV101スコーピオンはイギリス陸軍が1972年から配備する軽戦車で、世界15ヵ国以上で運用されており、これまでに3,000輌以上が製造されています。
輸送などを考慮し装甲にアルミニウムを採用した小型・軽量の戦車であり、最高速度は87km/hと、他の戦車を圧倒する速度での走行が可能です。
性能諸元
全長 | 4.388m |
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全幅 | 2.184m |
全高 | 2.096m |
重量 | 8.073t |
懸架方式 | トーションバー方式 |
速度 | 87km/h(整地)、6.44km/h(水上) |
行動距離 | 644km |
主砲 | L23A1 76mmカノン砲×1(弾薬搭載量 40発) |
副武装 | L37A1 7.62mm同軸機銃×1(弾薬搭載量 3,000発) |
装甲 | アルミニウム |
エンジン | ジャガーJ60 No.1 Mk.100Bガソリンエンジン →カミンズBTA 5.9Lディーゼルエンジン |
出力 | 195馬力 |
乗員 | 3名 |
(参考)クリスティー戦車
クリスティー戦車は、第一次大戦時にアメリカのエンジニアだったジョン・ウォルター・クリスティー率いるフロント・ドライブ・モーター社が開発した戦車です。
クリスティー戦車は、航空機用水冷発動機をもとにしたリバティーエンジンの馬力の大きさと相まって、M1928で(非武装の状態で)装輪111.4km/h、装軌68.5km/hという当時の戦車としては圧倒的な速度性能を発揮しました。
この結果に大きな関心を示したソ連とイギリスが採用することとなり、研究・改良を重ねBT戦車シリーズ(ソ)、A-13(英)が開発されることになりました。
しかし、111.4km/hという記録はあくまで車輪で走行した場合の記録のため、今回は参考としてご紹介するにとどめます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
やはり戦車の最高速度が車やバイク等の乗り物と比べるとかなり遅いのは否めませんでしたね。
しかし、戦車の魅力はスピードではなく「強さ」や「頑丈さ」です。スピードもあるに越したことはないのかもしれませんが、あくまでオマケと言ったところでしょうか?
もし重戦車が時速100kmとかで全てを破壊しながら町中を走っていたら、それはそれで最強じゃないか?とは思いますけどねwww