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世界最強の戦闘ヘリコプターランキングTOP10

戦闘ヘリコプターとは、空飛ぶ戦車ともよばれる対地攻撃を主任務としたヘリコプターのことです。

戦闘ヘリは、地形に障害されない機動力、全天候性のある偵察能力、対地・対空とマルチに対応できる攻撃能力の高さ、そして近年では他兵科とのデータリンク能力から、陸上兵力によって欠くことが出来ない存在と言えます。

今回はそんな戦闘ヘリの中から世界最強と呼ばれる10機の戦闘ヘリをご紹介します。

 

10位 AH-2ローイファルク(南アフリカ)

1999年から運用されている南アフリカ共和国で初めての戦闘ヘリです。

アパルトヘイト政策(人種隔離政策)により、世界中の国々からの兵器輸出を拒否されていた南アフリカは、戦闘ヘリの自国開発を進め、AH-2ローイファルクが開発されました。

メインローターブレードは4枚、テールローターブレードは5枚です。

1420kW・1904shpのエンジンを2機搭載することにより十分な機動力を確保しているのに加え、暗視ゴーグル対応型コックピットを採用、前席に射手、後席に操縦士が搭乗するタンデム配置2人乗りとなっています。

武装についても20mm機関砲、V3Cダーター空対空ミサイル、ミストラル空対空ミサイル、ZT?3スイフト対戦車ミサイル、ZT-6モコ対戦車ミサイル、70mmロケット弾を備えており、他国の戦闘ヘリと比べてもそん色ない性能と言えます。

 

9位 WZ-10(中国)

WZ-10(武直10型)は、中国の昌和飛機工業公司によって開発された中国初の本格的な戦闘ヘリで、「霹靂火(へきれきか:稲妻を意味する水滸伝の登場人物)」の愛称を持ちます。

2003年に初飛行、2010年から運用開始された新しい戦闘ヘリで、開発にはヨーロッパのユーロコプター社とアグスタウェストランド社が協力したと言われています。

試作機では、プラット&ホイットニー製のターボシャフトエンジン(1679shp)×2基でしたが、量産型からは渦軸9(WZ-9)ターボシャフトエンジン(1283shp)×2基に変更されました。

これによりエンジン出力は下がりましたが、燃料を満載しても1200kgのペイロードを確保しています。

武装は、23mm機関砲1門、AKD-10空対地ミサイル、HJ-8E対戦車ミサイル、TY-90空対空ミサイル、ロケット弾ポッドなどです。

また、機首先端部に光学式センサーが搭載され、夜間や悪天候時の作戦能力も備え、精度の高い照準能力・状況認識能力を有しています。

 

8位 A129マングスタ(イタリア)

イタリアのアグスタウェストランド社が開発し1990年から運用されているイタリア初の戦闘ヘリです。

これまでにコソボ、イラク、アフガニスタンなどの紛争地帯にも派遣されています。

機体には複合素材を使用し、エンジンは、ロールスロイス製のターボシャフトエンジンで、左右にポッド式で2基装備しており、同時に2基が被弾停止するリスクを下げています。

防御装置としては、レーダー警戒装置、レーザー警戒装置、赤外線妨害装置、チャフ/フレア放出機を装備しています。

武装は、初期型には機関砲の固定武装はなく、12.7mm機銃ポッドを装着。さらにTOW対戦車ミサイル、70mmロケット弾ポッドを装備できます。

改良型のマルチロールタイプA129CBTが開発されており、メインローターが4枚から5枚に増やされ、機首に20mm機関砲のターレット、スティンガーミサイルが追加で装備されました。

アメリカのアパッチやドイツのティーガーと比べると設計的に古く、性能的にも見劣りするため、後継機となるAW249の開発が進められています。

 

7位 Mi-24ハインド(ロシア)

Mi-24は、旧ソ連のミル設計局で開発された戦闘ヘリで、1970年から運用されています。

強力な武装で地上を制圧しつつ、搭載した歩兵戦力を展開するヘリボーン作戦を想定して開発された機体であるため、歩兵の輸送能力を持ち、そのため戦闘ヘリとしては異例の大きさとなっています。

武装は30mm連装機関砲、対戦車ミサイル、ロケット弾、機関砲ポッド×4基などを装備しています。

これまで幾度となく改修が加えられており、実戦投入の機会も多く、ロシアや旧東側諸国をはじめとし、アジアから中東、アフリカまで世界40か国以上で使用されているのもその実用性と戦闘能力の証と言えます。

 

6位 AH-1W スーパーコブラ(アメリカ)

AH-1W スーパーコブラは、戦闘ヘリの代名詞とも言えるAH-1コブラ(アメリカがベトナム戦争に投入した世界初の戦闘ヘリ)の発展型で、アメリカ海兵隊の要求に基づいてベル・ヘリコプター・テキストロン社が開発し、1986年に運用が開始されました。

AH-1に、BGM-71 TOW対戦車ミサイルやM65 TOW照準器が装備されたのに加え、T700-GE-700ターボシャフト・エンジン(1285kW)×2基を搭載することにより、強襲揚陸艦の援護や発進した艦船への帰投などの長時間の洋上飛行が可能になりました。

アメリカ海軍・海兵隊のほか、イラン、台湾、韓国、トルコ軍でも運用されています。

 

5位 AH-1Z ヴァイパー(アメリカ)

アメリカのベル社が開発した戦闘ヘリで、アメリカ海兵隊で運用されています。

AH-1Wの発展形で外形は似ていますが、コクピット周辺を除く機体の95%が新規開発されたのもであり、それまでのAH-1Wスーパーコブラとは全く別物の戦闘ヘリとなっています。

現時点で唯一の艦載戦闘ヘリコプターであり、海上での運用を前提としているため、ローターブレードが折り畳み可能なことに加え、機体の塩害対策や敵艦船のレーダー等による電波干渉を受け難いなど特徴的な機能を備えているのが特徴です。

前席と後席の2人乗りタンデムタイプのヘリコプターですが、前後席は共通設計になっており、どちらの席でも操縦、射撃が可能になっています。

20mm機関砲、ヘルファイア対戦車ミサイル、サイドワインダーやスティンガーミサイルなどの兵装を備える他、高性能ミリ波レーダー、低光量テレビカメラ、ホークアイ照準システムにより高い偵察能力、火器管制能力を有しています。

サイドワインダーやスティンガーといった空対空ミサイルも搭載しており、地上攻撃だけでなく空対空戦闘も想定した空戦における最強ヘリとも言われています。

 

4位 EC655ティーガー(ドイツ)

西ドイツ(当時)とフランスが共同開発し、ユーロコプター社が設計製造している最新型の戦闘ヘリコプターです。

開発元のドイツやフランス以外に、スペイン、オーストラリア軍でも運用されており、アフガニスタンでは実戦に投入されました。

コックピットは、一般的な戦闘ヘリとは異なり前席が操縦士、後席が射手となっている他、冷暖房を備え、搭乗員がNBC防護服を装着しても搭乗できるようになっています。

機体は採用国によって細かな違いはありますが、基本構造は全て共通です。

武装は、30mm機関砲、20mm機関砲ポッド、HOT3/ヘルファイア対戦車ミサイル、ミストラル/スティンガー対空ミサイル、ハイドラ70ロケット弾などですが、ティーガーのタイプ(仏・空対空戦闘仕様HAP、仏・対戦車戦闘仕様HAD、独・多用途攻撃型UHT、豪・偵察武装型ARH)によって異なります。

 

3位 Mi-28 ハヴォック(ロシア)

ロシアのM・L・ミーリ記念モスクワ・ヘリコプター工場の開発した縦列複座式戦闘ヘリコプターです。

Mi-24のような兵員輸送能力は無く、純粋な対戦車作戦用戦闘ヘリコプターとして設計されました。

これにより最高速度がMi-24より向上し、敵戦車、ヘリコプターへの攻撃や味方のヘリコプターによる揚陸作戦における援護といった場面においてより高い戦闘能力を有しています。

兵装は30mm機関砲の他、各種爆弾、ロケット弾、ミサイル、ガンポッドなど合計2,300kgを積載可能です。

コクピットには防弾装甲が施され、至近距離からの被弾や爆発したミサイルの破片からもパイロットを守ることができるよう設計されています。

ロシア軍のほか、アルジェリア、イラク、エジプト、ケニア軍でも運用されています。

 

2位 Ka-52 アリガートル(ロシア)

ロシアのカモフ社が開発したKa-50戦闘ヘリの複座型です。

タンデム配置の多い西側諸国の戦闘ヘリとは異なり、サイド・バイ・サイド配置になっているのが特徴です。

Ka-50が単座という戦闘ヘリとしては革新的過ぎた構造によって採用数増えなかったことから、より堅実にまとめられました。

同軸反転式ローターを採用しているところは変わりありませんが、Ka-50より戦闘能力が高められ、夜間攻撃能力が付与されています。

もちろん、Ka-50と同じく高い運動性や速度は受け継がれており、射出座席も採用されています。

武装は、Ka-50と同様に30mm機関砲、ヴィーフリ対戦車ミサイル、イグラ空対空ミサイル、S-8ロケット弾用20連装ポッドが搭載可能となっています。

 

1位 AH-64E アパッチ・ガーディアン(アメリカ)

AH-64は、AH-1 コブラの後継機を開発する発展型戦闘ヘリ計画により1976年12月にアメリカ陸軍で採用された戦闘ヘリです。

兵装としてヘルファイア対戦車ミサイルやM230 30mmチェーンガン、スティンガー対空ミサイルに代表される強力な火力、メインローターの上に装備されたロングボウ火器管制レーダーによる偵察能力、強力なエンジンによる機動性、ロシア軍の23mm機関砲に抗堪することを目指した高い防御力を誇るアメリカ製の戦闘ヘリです。

1984年の初飛行以来、改良を繰り返され、現在では5世代目のAH-64Eアパッチ・ガーディアンが登場しています。

AH-64Eでは、エンジン出力が2000馬力となり、火器管制システムが一新され、新しいデータリンク機能、無人攻撃機MQ-1Cグレイイーグルの統制機能が追加されました。

アメリカ陸軍のほか、イギリス、イスラエル、インド、サウジアラビア、韓国、台湾、そして日本の陸上自衛隊など世界各国で運用されています。

陸上自衛隊では、AH-1Sコブラの後継としてスティンガーミサイルを搭載したAH-64Dアパッチ・ロングボウを採用しましたが、日本国内での運用には適さなかったこと、費用が高騰し過ぎたことから13機での採用打ち切りとなっています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

やはり上位はアメリカ軍・ロシア軍の戦闘ヘリとなっていますが、それ以外の国々でも最新の戦闘ヘリの開発が進んでおり、今後は中国など新興国のヘリ開発が注目されるところです。

近年では、地上部隊が保有している地対空ミサイルに代表される対空火器の性能が著しく向上し、攻撃ヘリは以前ほどの力を示すことは難しくなったといわれています。

しかし、戦闘ヘリがもつ優れた機動性、攻撃力、高い捜索能力はいまだ健在で、侮ることはできません。

まだまだ戦闘ヘリは陸上兵力にとって欠くことのできない存在として、注目され続けることでしょう。



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