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【脅威】世界最大の巨大コウモリ6選

夏の夕方、赤い空にバタバタと小さな黒い影が飛んでいるのを見かけたことがあるでしょうか?

鳥とは違う空を飛ぶその姿は、哺乳類で唯一空を飛ぶことのできる生き物、コウモリです。

日本に生息するコウモリだと、大きさも手のひらサイズ程度だとイメージしている人が多いと思います。

ここでは、世界最大級の巨大コウモリを6種、ご紹介します。

 

エラブオオコウモリ

引用:http://doubutsu.club

エラブオオコウモリは、口永良部島(くちのえらぶじま)、宝島、中之島、平島、悪石島に分布するオオコウモリの仲間です。

琉球列島に広く分布するクビワオオコウモリとは、亜種の関係と考えられています。

エラブオオコウモリは学術的に貴重であるとされ、日本では1975年に国の天然記念物に指定されています。

体長は19~25cm程で、翼を広げた長さは40cm程に達します。

眼が大きく資格が優れ、嗅覚も発達しています。

体毛は全身暗褐色で、首は幅広く、明るい黄色の毛で取り巻かれてるのが特徴です。

夜行性であり、昼間は木にとまって休み、夜に食べ物を探しに飛び立ちます。

主な食物はクワ科の果実で、その他にイチョウの葉、ガジュマルの葉や樹皮なども利用します。

季節によって食物にする果実の分布が大きく変化するため、食物の分布範囲とねぐらの位置によって、行動範囲が決まっているとされています。

エラブオオコウモリの詳しい生息状況は不明ですが、各島での確認生息数は非常に少なく、全体でも200頭以下と推定されています。

また、過去に生息記録のあった、口之島や諏訪之瀬島では、近年全く生息確認がされていません。

生息の確認されている島でも、開発による森林伐採が進んでおり、生息環境の縮小がエラブオオコウモリにとって脅威になっており、保護が急がれています。

 

オガサワラオオコウモリ

引用:https://matome.naver.jp

オガサワラオオコウモリは、名前の通り小笠原諸島全体に生息するオオコウモリの仲間で、小笠原諸島で唯一の日本固有の哺乳類です。

国の天然記念物であり、国内希少野生動植物種に指定されています。

体長は20~25cm程で、体重は400~550g程、翼を広げると80~90cm程の大きさになります。

全身が黒色の毛で覆われ、白銀の毛が交じります。

腰の部分に長毛があるのが特徴的です。

植食性であり、果実や花粉、蜜、葉を食べます。

これらの食物の水分のみを飲み込んで、繊維質は吐き出してしまうとされています。

冬には集団化して、森林内にねぐらを作ることが知られています。

この集団ねぐらは、繁殖に関係する大切なものであることが分かっています。

地上を徘徊する捕食者のいない海洋島で進化したために、外敵に対する警戒心が低く、外来の地上捕食者に対して無防備であるとされています。

オガサワラオオコウモリは、小笠原諸島において、樹木種子の運搬や花粉の媒介など、小笠原諸島の森林を育む大切な役割があると考えられています。

特に、タコノキやムニンノキなどの種子が大きな植物にとっては、オガサワラオオコウモリは必要不可欠なパートナーと言えます。

現在、小笠原諸島では、外来植物の排除が進んでいます。

オガサワラオオコウモリは、外来種を排除した後で日本固有の種子を運ぶ「自然再生の担い手」であると考えられます。

そのため、オガサワラオオコウモリの繁殖に大切だと考えられている冬の集団ねぐらが作られる森林や、周辺の環境を保全する活動が行われています。

 

オリイオオコウモリ

引用:http://www.doubutsu-no-kuni.net

オリイオオコウモリは、沖縄県やその周辺の島々に分布しているオオコウモリの仲間です。

日本の南西諸島や台湾などに分布しているクビワオオコウモリと、亜種の関係であると考えられています。

体長は20~21cm程、体重は300~400g程、翼を広げると1.2~1.4m程に達するとされています。

毛色は赤褐色や暗褐色で、長い羊毛状になっています。

首の周りの毛色は淡い黄色や白っぽくなっています。

他のオオコウモリの仲間と同様に、超音波による反響を頼りに飛行するのではなく、視覚によって飛翔するため、眼が大きくなっています。

オリイオオコウモリは森林内に生息しており、谷間の斜面や樹幹部でよく見られます。

夜行性で、昼間も活動することがありますが、普通は日中の間は森林内で木の枝にぶら下がって休んでいて、夕方から夜間にかけて活動しています。

英名では「Fruit bat」と呼ばれるように、主に果実類を食べますが、花や葉の他、昆虫類も少し食べることが知られています。

近年、生息地の開発などによって生息地が減少しており、オリイオオコウモリの個体数も減少しており、保護が急がれる生き物となっています。

 

クビワオオコウモリ

引用:https://www.odd.jp

クビワオオコウモリは、日本の南西諸島や台湾などに分布しているオオコウモリの仲間であり、いくつかの亜種が知られています。

英名は「Flying fox(空飛ぶキツネ)」と呼ばれますが、吻が突き出ていて、横から見るとキツネを思わせることから、その名前が付けられたとされています。

体長は18~25cm程、体重は300~500g程、翼を広げると1.2~1.4m程に達するとされています。

体毛は長い羊毛状で、赤褐色や暗褐色をしています。

首の周りの毛色は淡い黄色で白っぽく、これが首輪のように見えることから和名が付けられているとされています。

また、飛膜は暗褐色や黒褐色で、体色よりも黒い色をしています。

クビワオオコウモリは、亜熱帯から熱帯にかけての森林などに生息しており、一般に単独や小さな群れで生活しています。

夜行性であり、日中は木の枝にぶら下がって休んでいて、夕暮れから夜になると活動を始めます。

他のオオコウモリの仲間と同様に、飛翔を視覚に頼るために眼が大きくなっています。

主に果実類を食べており、他に花や葉なども食べるとされています。

前肢の第1指の爪は鉤状で大きく、枝から枝へ移動するのに役立っており、果実がついた枝などを引き寄せることにも使われています。

果実は果汁だけを飲んで、繊維質が吐き捨てますが、噛む力が強いため、硬い実でも砕くようにして果汁だけを飲むことができるとされています。

近年の森林開発がクビワオオコウモリの生息地の減少を招き、生息数の減少が心配されています。

クビワオオコウモリは、花や果実を主に食べることから、種子の分散や花の受粉などに大切な役割を果たしていると考えられています。

クビワオオコウモリは繁殖率が低いこともあり、生息数が減少すると回復に時間がかかることも考えられ、更なる個体数の減少が心配されており、保護が急がれています。

 

インドオオコウモリ

引用:https://pz-garden.stardust31.com

インドオオコウモリは、インドやミャンマー、中国西部に生息するオオコウモリの仲間です。

体長は20~25cm程で、体重は1300~1600g程、翼を広げると1.2~1.5m程に達する大型のコウモリです。

顔は長く、鼻口部も細長く、耳が大きいことが特徴です。

横から見るとキツネに似ていることから、英名では「空飛ぶキツネ」と呼ばれているとされています。

体毛は荒くて短い黒褐色で、首から肩にかけては橙色や茶色をしています。

インドオオコウモリは完全な夜行性で、昼間は無数の群れを作って大きな樹に後ろ足でぶら下がって眠っています。

果汁が主食であり、夕方になるとマンゴーやバナナなどの果実や果汁を求めて、大群をなして飛び立っていきます。

オオコウモリの仲間は飛翔する力が強く、インドオオコウモリは陸地から320kmも離れた海上の船の上に舞い降りたことが知られています。

地面や木の幹などを移動する時は、後ろ足と鉤爪になっている前足の親指を使って這うように移動します。

インドオオコウモリも、飛ぶ時には超音波を出さず、視覚に頼っているため、眼がかなり大きくなっています。

インドオオコウモリは果樹園を荒らすことがあるため、多くの地域で害獣としてみなされてます。

 

フィリピンオオコウモリ

引用:https://yukawanet.com

フィリピンオオコウモリは、フィリピンに生息するオオコウモリの仲間で、世界最大のコウモリと言われています。

体長は18~25.5cm程で、体重は450~565g程、翼を広げた大きさは最大で1.7mに達するとされています。

他のオオコウモリの仲間と同じように、顔がキツネに似ていることから英名では「空飛ぶキツネ」と呼ばれます。

特にフィリピンオオコウモリは、首の回りがぐるっと赤色の毛で追われているために、余計にキツネにそっくりに見えます。

また、他のオオコウモリの仲間と同様に、情報収集を視覚に頼るために、眼が大きくなっています。

夜行性で、日中は木の枝に逆さまにぶら下がって休みます。

熱帯の熱帯雨林に生息し、集団で生活することが知られています。

植食性で、主に果物や花の花粉を食べています。

フィリピンオオコウモリは羽ばたく力が強く、50kmもの距離を飛行することができるとされています。

飛行スピードは時速40kmで、1分間に120回も羽ばたくことが知られています。

フィリピンオオコウモリは遠く離れた場所まで飛んでいくことが可能であり、主食が花粉や果実であるため、種子を遠くまで運んだり、花の受粉に大切な役割を果たしていると考えられています。

フィリピンオオコウモリは魅力的ですが、現地で見つけても決して触ってはいけません。

とてもきれい好きな生き物で、自分でグルーミングをするのですが、人間にとっては恐ろしい致死性のウイルスを運ぶという側面も持ち合わせているからです。

ウイルスを媒介するとはいえ、生態系にとって大切な役割を果たしている生き物なので、人間のエゴで絶滅させることがないようにすることが求められます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

日本にはよく見る小さなコウモリしかいないかと思いきや、オオコウモリの仲間も意外と多く生息しています。

しかし、そのほとんどの種が絶滅の危機に瀕していると言っても過言ではありません。

実際に、絶滅してしまったと考えられているオオコウモリの仲間もいます。

力強く空を飛ぶその姿を後世に残すためにも、環境の保全に努めていきたいものです。



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