太古の昔から生き続けていて、多種多様な進化を遂げている昆虫ですが、一体、世界最強なのはどんな昆虫なのでしょうか。
獰猛な性格で、昆虫だけでなく爬虫類や小型哺乳類も捕獲してしまうような肉食昆虫や、猛毒で敵を死に至らしめる昆虫、何をされても死なない強い昆虫など、最強の能力を持った昆虫を、ランキング形式でご紹介します。
第15位 カマキリ
擬態をする昆虫はたくさんいますが、その多くは自分の身を守るための擬態です。
ですが、カマキリは攻撃のために擬態を利用しています。
獲物に気づかれないようにするために行う、ベッカム型擬態を使い、奇襲攻撃を仕掛ける最強昆虫がカマキリなのです。
カマキリは昆虫だけでなく、小型の爬虫類や哺乳類を捕まえることもあります。
ネズミやハチドリ、小型のヘビをターゲットとする場合もあるのです。
捕食する際には、鎌状になっている前足で獲物を捕えて、大アゴでむしゃむしゃと食べます。
カマキリは優れた耳と目を持っています。
通常の昆虫はものを三次元で捉えることはできないのですが、カマキリは他の昆虫とは違って、ものを三次元で見ることができるのです。
第14位 蚊(カ)
世界中で人間を一番殺している最強の生物は蚊です。
蚊に刺されることでウイルスが伝染し感染症にかかり死亡するケースは途上国で多く見られ、その数は年間で70万人以上にもなります。
蚊によって媒介される恐ろしい病気として、デング熱やマラリア、脳炎、黄熱病などが挙げられます。
蚊は、二酸化炭素や体温、臭いをセンサーで感知して人間を探し当てて吸血します。
蚊の針の先端はギザギザになっていて、注射のように刺すというより、ドリルのように出し入れしながら皮膚を切り裂きながら針を刺しています。
さらに、針の先は味が感知できるようになっていて、血の味を手掛かりに血管を探し当てていると言います。
蚊に刺されそうになった時には叩いて殺そうとしますが、その際の体験をカは記憶していて、死にそうになった記憶とその人の臭いを結び付けて、次からはその人を避けるようになるとの研究結果も出ていて、学習能力が意外と高いことも分かってきています。
第13位 エメラルドゴキブリバチ
過酷な環境でもたくましく生きる昆虫と言えば、まずゴキブリが思い浮かぶと思いますが、ゴキブリをゾンビ化させて利用するという恐ろしいハチがいます。
エメラルドゴキブリバチは、ゴキブリの体内に毒を注入することで意のままに操るという寄生バチです。
南アジアやアフリカといった熱帯地域に生息しています。
エメラルドゴキブリバチはゴキブリを自分の力では動けないようにしてから、触角を引っ張りながら自分の巣に連れて行って、ゴキブリの体に卵を産みつけます。
ふ化した幼虫は、生きたまま動けなくなっているゴキブリを食べつくして外に出てくるのです。
最強ともいえるゴキブリを操る強者であるエメラルドゴキブリバチですが、見た目はエメラルド色に輝く美しいハチで、「宝石蜂(ジュエルワスプ)」とも呼ばれています。
第12位 タイタンオオウスバカミキリ
世界最大のカミキリムシとして知られているタイタンオオウスバカミキリは、ベネズエラやコロンビアなど南米の熱帯雨林地域に生息していて、体長が15~20cmにもなる巨大な昆虫です。
カミキリムシは気性がたいへん荒く、複数のカミキリムシを同じ容器に入れると、すぐに咬み合いを始めるほどです。
タイタンオオウスバカミキリは、その大きな体長に伴って、とても大きく強力な大アゴを持っており、攻撃力も相当なことが想像できます。
体のサイズとアゴの破壊力で、最強の昆虫と言えるでしょう。
そんなタイタンオオウスバカミキリですが、希少な昆虫であることから標本が高値で取引されています。
また、現地ではかつて人間が食用としていた歴史もあり、最大の天敵は人間と言えるかもしれません。
第11位 ミイデラゴミムシ
体内で化学反応を起こし、武器を作るという最強昆虫がミイデラゴミムシです。
ミイデラゴミムシは「ヘッピリムシ」というあだ名が付いているとおり、霧状の臭いガスを大きな音とともに噴射します。
噴射されるガスは100℃にも達し、天敵である鳥やカエルに火傷を負わせるほどの威力を持ちます。
ミイデラゴミムシのお腹には、毒霧の成分である化学物質2種類が2か所に分かれて貯蔵されています。
危険を感じると、反応室と呼ばれる器官に化学物質を送って反応させてガスを作るのです。
もし仮にミイデラゴミムシが2mの大きさだった場合、近くに置かれたマネキン人形が木っ端微塵に吹き飛ぶくらいのパワーがあります。
これだけ強力なガスを瞬時に発生させられる点が最強だと言えます。
第10位 ナンベイオオタガメ
水生昆虫の中で最強なのはタガメです。
その中でも、南アメリカに生息するナンベイオオタガメは、水生昆虫かつ半翅目最大の種で、体長は10cmにもなる巨大な昆虫です。
性格は獰猛で、目の前で動くものは何でも捕えて食べようとするため、カメやヘビまで捕まえてしまうこともあるそうです。
水中のギャングとの別名を持つタガメは、捕食方法が残忍なことでも知られています。
鎌のようになっている前脚で獲物を捕まえると針のようになっている口吻を突き刺して消化液を注入します。
消化液で溶けた肉を吸うため、後に残るのは、生物の皮膚と骨のみです。
タガメのメスは、他のメスの卵を食べてしまうことで交尾の相手を獲得するという性質も持っており、まさに弱肉強食な最強昆虫と言えます。
第9位 オオベッコウバチ
オオベッコウバチは世界最大のハチで、「タランチュラホーク(Tarantula hawk)」という別名があるとおり、オオツチグモ科のクモを狩るという習性のあるハチです。
体長は6cm以上にもなり、翅や脚を含めると人間の手のひらくらいの大きさになります。
オオベッコウバチがクモを襲うのは、自分が食べるためではなく、幼虫が食べる餌にするためです。
そのため、餌の鮮度を保つために、クモを殺さず麻痺させて捕えるのです。
オオベッコウバチの毒は殺すほどの毒性ではなく、クモを麻痺させる程度なのですが、大きな刺し針を持っていて、刺された場合には激痛を伴い、数ある昆虫の中でも最上級レベルの痛みと言えるでしょう。
クモを狩るために攻撃をするため、人間を狙って襲ってくることはありませんが、気づかずに刺激してしまうと刺されることもあります。
その際には激痛を伴うことになるので、注意が必要です。
第8位 ネムリユスリカ
ネムリユスリカの幼虫は、体から完全に水分が無くなっても死なないという、最強の体を持っている昆虫です。
ネムリユスリカの幼虫の持っている細胞や器官は、クリプトビオシスという、完全に脱水した無代謝状態で長期間生きることができます。
最長記録では17年間、クリプトビオシスの状態で生きていたという記録があります。
乾燥した状態のネムリユスリカ幼虫に水を与えると給水し、1時間ほどで生き返ります。
また、クリプトビオシスのネムリユスリカ幼虫は、乾燥以外にも耐性があることが知られています。
これまでの実験では、103℃で1分間、マイナス270℃で5分間、マイナス190℃で77時間、100%エタノールに168時間、7000Gyの放射線照射などの過酷な状態にさらされても、死ぬことなく蘇生しています。
第7位 クロカタゾウムシ
世界一硬い昆虫と言われ、守りの面で世界最強と呼べるのがクロカタゾウムシです。
クロカタゾウムシの外骨格はたいへん硬く、車に踏まれても潰れないほどの強度を持っていて、防御重視で硬くなることに全力を注いだ結果、飛ぶことを諦め、硬すぎて羽も開けないようになりました。
ステンレスでできた標本用の昆虫針の、一番太いものでも貫通しないほどです。
もしもクロカタゾウムシが鳥に食べられたとしても、硬すぎて消化できず、そのまま糞として排泄されると言います。
ゾウムシの硬い外骨格の秘密は、体内に棲む「ナルドネラ」という共生細菌にあります。
ナルドネラの生成するチロシンというアミノ酸が、外骨格を硬くするのに使われているということが、研究で明らかになったのです。
ナルドネラとは1億年以上前から共生関係を続けていて、ずっと太古の昔からゾウムシを守ってきたのです。
第6位 ジャイアントテキサスキリギリス
ジャイアントテキサスキリギリスは10cmを超える体を持つ、大人の握りこぶし大ほどにもなる超大型のキリギリスです。
別名は「レッドアイ・デビル(赤い目の悪魔)」という物騒な名で呼ばれる、バッタ界最強クラスのキリギリスです。
アメリカ・テキサス州の乾燥地帯に生息しています。
ジャイアントテキサスキリギリスは獰猛な性格に加えて食欲も旺盛です。
餌となる昆虫を見つけると、有刺鉄線のように鋭いトゲで覆われた脚でホールドし、人の皮膚をも簡単に食い破れる力を持つアゴで捕食します。
ジャイアントテキサスキリギリスは体がとても大きいので、俊敏さには劣る部分がありますが、一度捕まってしまうと、逃げることは不可能なほどの強さを持っていると言えるでしょう。
第5位 ディノポネラ
南米の奥地には、世界最大にして最強と言われているアリがいます。
その名はディノポネラです。
まだまだ研究が進んでおらず、生態に関しては解明されていない部分が多いアリですが、強い毒と強靭なアゴを持ち、攻撃的な性格をしている点では脅威となりうる種と言えるでしょう。
ディノポネラは働きアリで2.5cmほど、女王アリだと3~4cmと、アリとは思えないサイズの体をしています。
餌は昆虫だけでなく、爬虫類やカエルなどの両生類まで捕食してしまう獰猛さも持ち合わせています。
アゴはたいへん強く、人間でもディノポネラに噛まれると皮膚が食いちぎられて血が出るほどだと言います。
また、ディノポネラの毒針から出る毒はスズメバチ並みと言われ、刺されると激痛とともに、嘔吐や発熱、倦怠感などを伴い、ひどい場合にはアナフィラキシーショックにより命の危険があります。
第4位 オオエンマハンミョウ
オオエンマハンミョウは、世界最大のハンミョウとして知られている甲虫で、昆虫界で最強ではないかとも言われている昆虫です。
体長は6cmほどで硬い外骨格に覆われ、巨大で強力なアゴを持っています。
大アゴを持つ容姿が、クワガタのようです。
オオエンマハンミョウの獲物は、生きた昆虫はもちろんのこと、トカゲやネズミまで捕獲して食べてしまうこともあります。
俊敏に動ける戦闘力、大アゴという強い武器、外骨格による優れた防御力の三拍子が揃っているため、オオエンマハンミョウが肉食昆虫界で最強だと言われているのです。
オオエンマハンミョウに挑んだ虫は、恐れをなして戦意喪失して逃げ出したり、アゴで切られて体をバラバラにされてしまったりと、無残な状態になってしまいます。
第3位 オオスズメバチ
オオスズメバチは、強力な毒を持っていて攻撃性の高い、非常に危険な種類のハチです。
10匹弱のオオスズメバチだけで数万匹のミツバチの巣を壊滅させるほどの戦闘能力を持っている、最強のハチなのです。
オオスズメバチの体の大きさは2.5cmから5cmにもなります。
毒性は非常に強く毒量も多いのが特徴で、人がたくさんのオオスズメバチに刺された場合には死ぬこともあるほどです。
目が良くて、動くものに対しては敏感に反応します。
他のスズメバチの場合は、ハチを刺激したり巣に近づいたりしないのであれば襲ってくることはほとんありませんが、オオスズメバチは巣から離れていても積極的に人を襲うことがあります。
特に、夏の終わりから秋にかけてはオオスズメバチの攻撃性が高まるため、むやみに刺激して攻撃されないように気をつけましょう。
第2位 リオック
リオックとは、インドネシアに生息するコオロギで、「インドネシアの悪霊」という異名を持つ巨大肉食コオロギです。
リオックは6~8cmほどに成長する大型の昆虫で、強力なアゴを持っています。
肉食で性格は凶暴、自分より大きなサイズの獲物を獲って食べることもあります。
リオックはインドネシアの奥地に生息していることもあって、生態に関して研究があまり進んでおらず、世界的にはあまり有名な昆虫ではありません。
ですが、日本では新甲虫王者ムシキングに最強の昆虫として登場するなどで知名度が上がりました。
とはいえ、生態が不明な点が多くあるので、飼育するのには難しいでしょう。
日本に輸入されることはほとんどなく、ごく稀にペットとして輸入されるケースもあるようです。
第1位 ゴキブリ
2億5千万年前から生きていた、驚異の生存能力を持つ昆虫と言えば、やはりゴキブリではないでしょうか。
生命力が強い上に、最近では殺虫剤などの致死量にも耐えうる抵抗性ゴキブリまで増えてきています。
ゴキブリは足がとても速く、体長の50倍の距離を1秒で移動できます。
咬む力もとても強く、餌がない状況におかれると、共食いを始めるというしたたかさも持っています。
何でも食べることができ、何ヶ月も食べなくても生きることができ、空気がない環境でも45分ほど生きていられるという最強ボディで、持久戦だったら、間違いなく最強であると言える昆虫です。
学習能力も高く、危険を察知する能力にも優れているので、ゴキブリを駆除したい人間と、それを許さないゴキブリとの争いは決着しそうにありません。
まとめ
いろいろな意味での世界最強の昆虫をご紹介してきました。
もしもこれらの昆虫が人間サイズだったら、私たちはひとたまりもなく、やられてしまうのではないでしょうか。
昆虫は地球上でもっとも繁栄している種類ですが、その繁栄の理由も納得できるほどの強さを持っていることがわかるでしょう。