動物の中には、実は私たちが思ってもみないほど高い能力や知能を持っているものがいます。
私たちにとっておなじみの賢い動物だけでなく、意外と高い知能を持っている動物もいるのです。
いろんな角度から動物の賢さ・頭のよさを検証して、ランキングでご紹介しましょう。
第10位 タコ
タコは無脊椎動物の中で最も大きな脳を持っていて、最も高い知能を持っている動物です。
タコのニューロンの数は非常に多く、カエルやげっ歯類など多くの脊椎動物をも凌ぎます。
その数はネコとほぼ互角の約5億個です。
タコの神経系は脳にあるだけでなく、約5分の3は腕や吸盤までに張り巡らされています。
例えば、吸盤で感触や味を確かめるなどする時に、さまざまな情報をニューロンで処理しているのです。
タコは道具を使用したり問題を解決したり、遊びを行ったりもできます。
敵に襲われそうになったら擬態したり、貝殻やココナツの殻で身を守ったり、ペットボトルのフタを開けることもできます。
また、短期的な記憶力に非常に優れているため、パズルや迷路を解くことまでできるのです。
第9位 ネズミ
ネズミは実験動物としてよく利用されている動物ですが、脳のサイズに比べると非常に賢いということが知られています。
記憶力や学習能力に優れているので、一度引っかかった罠には二度と引っかかることがないのです。
また、迷路を記憶することができるだけでなく、過去の経験を踏まえて最短ルートを予想することも出来ます。
さらにネズミは人間と同じく、メタ認知が可能で、感情表現をしたり、爆弾から危険を感じ取ることが出来ます。
他者の情動を理解するという機能もネズミには備わっていて、これは共同生活を営む社会性動物だからこその機能かもしれません。
日本に生息しているネズミの中で特に頭が良いと言われているのは、クマネズミです。
家屋に棲むクマネズミは、集団で役割分担をしながら暮らすことが知られています。
第8位 カラス
体重当たりの脳の重さで比較すると、人間が1.8%なのに対して、カラスは1.4%ととても重く、鳥類の中で一番なのはもちろん、馬などと比べても比率が高くなっています。
脳の比率が大きいことで、知性は霊長類並みに高く、複雑な問題を解決することまでできるとされているのです。
カラスに人の顔を見分ける実験をすれば、2日程度で顔を覚えることができます。
また、社会的概念もあると言われ、群れの中での自分の立ち位置や優劣なども理解しているのです。
人間の色覚は赤青緑の三原色なのですが、カラスをはじめとする鳥類はこの三原色に紫外線を加えた四原色を識別でき、カラスの視力は人間の5倍と言われています。
カラスは嗅覚はほとんどないため、優れた視覚によって情報処理を行っているのです。
第7位 イヌ
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カナダの心理学者、スタンレー・コレン氏が研究した結果によると、イヌは人間の2歳児程度の知能を持っていると言います。
これは、165個の言葉を理解し、4~5までの数字を理解しているという程度だそうです。
さらに、賢い犬種であるプードルやボーダーコリーになると、250の言葉やサインを理解し、簡単な計算までできるそうです。
人間とは深く関わり合いのある動物であり、番犬はもちろん、訓練次第では、警察犬や盲導犬、レスキュー犬、麻薬探知犬など、専門的な技能を身に付け、人間を大いにサポートしています。
イヌの優れた感覚と言えば、嗅覚がまず思い浮かぶでしょう。
イヌは人間の50倍以上の嗅細胞を持っていて、イヌの脳は100万種類もの臭いを嗅ぎ分けることが可能です。
人間は視覚を主に駆使して情報を得る生き物ですが、イヌは情報の約4割を嗅覚から得ているとされています。
第6位 ラッコ
ラッコは餌となる貝を石に叩きつけて開けるという、道具を使う数少ない動物のうちの一種です。
ラッコは海の生き物の中でも賢さがトップクラスの動物なのです。
石を使って、貝やカニ、ザリガニなどの殻を割るだけでなく、骨や嫌いな部位を選り分けたりもします。
水中では、振動を察知して、危害を加える肉食動物の接近を知ることができると言われています。
好奇心旺盛な性格なので、身の回りの様々なものを使って遊ぶこともよくするのです。
ラッコはこだわりが強いことでも知られていて、お気に入りの石を見つけると、体のポケットに入れてとっておきます。
また、餌は貝類、魚類、甲殻類など30種類以上を食べますが、ラッコによって好き嫌いがはっきりしていて、好きなものばかり食べるという、偏食の一面を持っています。
第5位 ブタ
ブタは意外にも知能が高く、イヌ以上、人間で言うと3歳児並みの知能を持っていると言われています。
訓練をすれば芸を覚えることができ、自分の名前も認知できると言うのです。
イヌが覚えられる、お手、おすわり、お回り、待ても可能で、トイレもしつければ覚えられます。
イヌと同じように嬉しいときには尻尾を振り、相手の好意を感じ取ることができるのです。
生活では、ブタは皆で食事をとり、睡眠し、散歩を楽しみます。
母ブタが子ブタに歌を歌ってあげることまであるそうです。
ブタは家畜として世界中で飼育されている動物ですが、他にも人間と関わり合いが深い動物です。
ブタは体重や内臓の大きさなどが類人猿よりも人間と近い動物のため、人間への臓器提供用動物としての研究が進んでいると言います。
第4位 ヨウム
ヨウムはオウム目インコ科の鳥で、大型のインコのことです。
ヨウムは人間で言うと、2歳児並の感情と5歳児並の知能を持っているとされています。
人の言葉をよく覚えることが出来るため、ペットとしての人気も大変高い鳥です。
言葉を真似るだけでなく、言葉の意味を理解してコミュニケーションをとるということまでできると言います。
ブランダイス大学のアイリーン・ペッパーバーグ助教授はヨウムを研究対象として、思考することや、色や数を組み合わせて答えを出すことが出来ることなどを証明しました。
このヨウムは100以上の単語を覚え、自分で文章を組み立てて相手に伝えることができました。
実験に飽きてくると、「帰りたい(Wanna go back)」と言ったといいます。
第3位 ゾウ
ゾウの脳の大きさは陸上動物の中で最大です。
最も賢い生き物のひとつとされ、古代ギリシアの哲学者・アリストテレスは、「ゾウは他の全てのものたちの知性と理解力を超える獣」という言葉を残しています。
複雑な作業をこなすことができ、まわりの環境や経験から学ぶこともできて、状況に合わせて対応ができます。
道具を利用して、喜怒哀楽などの感情を表現できるといいます。
数百種類もの音を聞き分けることが出来て、その音を真似することまでできるのです。
数の大小を判断して、簡単な足し算ができるという研究報告もあります。
仲間のゾウが死んだ際には、死亡したゾウに対して仲間が順番に鼻を付けるという、死を悼む儀式を行います。
このような部分は、非常に人に近いと言えるのです。
第2位 イルカ
イルカは、体重に占める脳の割合が人間に次いで高く、驚異的な能力を持つ動物です。
イルカにはそれぞれ名前があって、お互いの名前を呼び合うことでコミュニケーションをとることができます。
仲間と情報を共有するために、さまざまな合図を使うこともできるのです。
複雑な作業もこなせるほか、周囲の環境や経験から学ぶことも可能です。
実験では、答えが導き出せない時には「判らない」を選択することもできるといいます。
イルカは寝る時には片目だけをつむります。
これは脳の半分だけが眠っている状態で、片方ずつ交代で大脳半球が眠る「半球睡眠」という名の睡眠方法です。
半分の脳を休め、片方は起こしておくことで、常に周囲を警戒して、緊急時に備えています。
第1位 チンパンジー
人間と非常に近い、生きた親戚と呼べる動物がチンパンジーです。
チンパンジーのDNAの約99%は人間と同じと言われていて、人間のように思考し、行動することができます。
言葉を覚えることができ、人間の感情を理解することも可能です。
また、精神活動も発達していて、仲間の死を悼む様子を見せたり、精神的苦痛を味わった場合には、一切食事をとらなくなって餓死してしまうケースまであるとのことです。
これまでの実験では、ジェスチャーによる意思疎通、ゲームやパズルを解く、鍵の使い方を覚えて扉を開ける、簡単な道具を作って使用するなどができることがわかっています。
チンパンジーは人間と同様に、社会の共同体で生活し、さまざまな環境に適応していきることができる非常に賢い動物なのです。
まとめ
賢い動物の中には、人間の持っている能力をはるかに凌ぐものもいます。
生物学において、動物の知能に関する研究はたいへん注目を集めている分野のひとつであり、この研究により、人間の新たな可能性を切り開くことができるかもしれません。