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世界一危険な寄生虫ランキングTOP15

人間が感染する寄生虫というと蟯虫や回虫、シラミやノミが広く知れらていますが、寄生虫の中には宿主を死に至らしめる程凶悪なものも多く存在し、大きな被害をもたらすものほど巧みな生存戦略を持つという特徴を持ちます。

以下に人間を宿主とする寄生虫の中から、特に危険性の高いもの15選を紹介していきます。

 

15位 肝蛭

肝蛭は牛や羊などの草食動物の胆管に寄生しており、これらの動物の糞に混ざって排泄された卵が小川や水田などで孵化した後、孵った幼虫は水中にいるヒメモノアラガイに侵入します。

そしてセリやクレソンなどの水草や、イネなどの表面に付着するため、これらの植物を良く洗わないで食べてしまった場合に人間の体に侵入するのです。

人間に寄生した肝蛭は胆管や胆のうに寄生して3ヶ月~4ヶ月で体長2cm~3cmの大きさの成虫に変化し、胆のう周辺の細胞に炎症を起こします。

肝蛭症と呼ばれるこの症状では、みぞおちや右腹部への激しい痛みや発熱、嘔吐、倦怠感といったような胆のう炎に似たものが見られ、特に腹痛は耐えがたいほど酷いとされます。また、放置すると幹細胞と血液が食い尽くされて肝硬変になる恐れもあります。

日本でも野生のセリなどから感染した例が確認されており、例え綺麗な水辺に生えていたものであってもセリやクレソンは良く洗って、加熱してから食べるよう注意が必要です。

 

14位 バンクロフト糸状虫

バンクロフト糸状虫は熱帯・亜熱帯地域に広く分布する寄生虫で、フィラリアの一種です。人間へはアカイエカの吸血を通して、260㎛程の幼虫の状態で体内に侵入してくることが確認されています。

ミクロフィラリアと呼ばれる幼虫は人間のリンパ系で4cm程の大きさの成虫になり、発熱やリンパ節などの炎症を引き起こします。そしてこれを繰り返すうちに手足がむくみ、細胞が不自然に拡大することで、脚が極端に肥大化し皮膚が硬化する象皮病を引き起こすのです。

また男性がバンクロフト糸状に感染した場合は陰嚢水腫の症状が見られることもあります。かつては日本でも沖縄や九州南部で感染例が多くあり、この寄生虫が原因の発熱を“くさふるい”と呼んでいました。

感染者の中には西郷隆盛もいたと言われており、馬に乗ることが困難になるほど陰嚢が腫れてしまったという記録も残っています。南西戦争後に自決した西郷の遺体は頭と胴が切り離されていた状態だったそうですが、陰嚢で胴体が選別できたそうです。

バンクロフト糸状虫の寿命は20年にも及ぶため、処置を怠ってしまった場合に体の部位の肥大も酷くなるというグロテスクな性質を持ちます。

 

13位 ウェステルマン肺吸虫

ウェステルマン肺吸虫は東南アジアに広く分布し、中でも韓国、ベトナム、タイ、フィリピン、そして日本に多く生息する寄生虫です。人間への感染経路は幼虫が寄生したモクズガニやサワガニを食べることで、肺に寄生することで発熱や呼吸困難を伴う胸部肺虫症を引き起こします。

また咳とともに血液の混ざった痰が出ることもあり、レントゲンでは寄生されている部分が影になることから肺がんや結核と誤診されやすいという特徴も持ちます。

成虫は15mm程の大きさで脳に寄生されると脳肺吸虫症となり頭痛や吐き気、嘔吐、痙攣といった症状を引き起こすのですが、感染者の痰や便、吐しゃ物の中にはウェステルマン肺吸虫の卵が潜んでいることがあるため、2次感染が起こらないよう注意が必要です。

また体外に排出された肺吸虫の卵はサワガニやモクズガニの生息する泥水にたどり着き、カニに寄生、それを食べることでまた人間が宿主となって繁殖の手伝いをする、というサイクルが完成されているのもウェステルマン肺水虫症の恐ろしい点と言えます。

 

12位 アカントアメーバ

アカントアメーバは地中や水中に普遍的に分布する原生生物で、活発に動き成長と増殖を繰り返す“栄養型”と呼ばれる時期と、休眠中の卵のように一切の活動を停止する“シスト”という時期の2つの形態を持ちます。

栄養型の大きさは25㎛~30㎛で表面に偽足と呼ばれる棘のようなものが見られることから、棘を意味する“acanth”にちなんで名前が付けられました。

人間の体内へは角膜の傷を通して侵入するため、角膜が健康な状態であれば感染することはありません。しかしコンタクトレンズを使用している人、特に誤った使い方や不衛生な使い方をしている人の角膜は傷があるうえに、アカントアメーバの餌となる雑菌も豊富なため、大増殖して角膜を溶解してしまう恐れがあります。

この寄生虫が原因で起こる角膜炎は放置すると激しい痛みとともに失明に至るのですが、現在特効薬は存在せず、角膜移植手術でのみ根治が可能です。

 

11位 ビルハルツ住吸血虫

引用:https://www.phsource.us

ビルハルツ住血吸虫は中近東やアフリカの全域に分布する住血吸虫の一種です。淡水に生息する巻貝の体内で幼虫になった後に水中に浮遊し、人間の皮膚から体内に侵入します。

体内に入り込んでから3ヶ月程で10mm~20mm程度の大きさの成虫になり、骨盤に集まった静脈に寄生して産卵を行うのですが、これが原因で膀胱付近の静脈が詰まり血尿や排尿時の痛みなどの症状を引き起こします。そしてこの血尿とともに卵が排泄され巻貝に寄生、宿主となる人間を探すというサイクルで繁殖を続けるのです。

ビルハルツ住血吸虫に感染した子供の中には十分な治療が受けられずに肝臓が複数の血吸虫に寄生されたまま成人し、成長を阻害されて低身長になる、肝硬変を発症する、尿路からの出血が原因で慢性的な貧血状態にあるといった症状を抱え続けるケースも少なくありません。

ブリュッセルにあるジェローム・デュケノワ作の『小便小僧』の像は、血の混じった尿を排泄する血吸虫感染者のアフリカ人少年を模したものだともいわれています。

この寄生虫に感染していたと思われる肝硬変の痕跡がある古代エジプトのミイラも発掘されていることから、人類とビルハルツ住血吸虫の戦いは長い歴史を持つことが推測されます。そして近年ではこの寄生虫が貧血や肝硬変だけではなく、膀胱がんを引き起こす危険性があることも示唆されています。

 

10位 トキソプラズマ

トキソプラズマは世界中に多く分布する寄生虫で、成虫はネコ科動物の小腸に寄生しています。宿主となっている猫が排出する糞の中には直径12㎛程の“オーシスト”と呼ばれる殻に包まれた卵のような状態のものが含まれ、それを経口摂取することで人間にも感染します。

感染時には発熱やリンパ節の腫れを伴うこともありますが、多くの場合は無症状のため感染に気が付かないケースがほとんどです。しかしHIV感染者など免疫力が落ちている場合には体内で急激に増殖したトキソプラズマが様々な臓器に寄生するため、最悪の場合は重篤な脳炎を発症して命を落とす可能性もあります。

また妊婦がトキソプラズマに感染すると妊娠初期の状態では流産を引き起こす可能性があります。更に妊娠の中期以降で感染した場合は母体に症状が出なくても、一緒に感染した胎児には出産後に目の脈絡網膜炎、水頭症、精神障害、運動障害、脳内石灰化といった重篤な先天性の疾患が見られるのです。

他にも報告例は少なくなっているものの加熱が十分ではない豚肉を食べた際にトキソプラズマに感染する例も沖縄ではあるため、特に妊婦が豚肉を食べる際にはしっかり加熱するよう注意が必要です。

治療に関しては現在海外では投薬による治療が行われているものの日本では未承認の薬を使用しているため、国内で治療を受けたい場合は保険対象外となります。

 

9位 リーシュマニア

人間に寄生するリーシュマニア属の寄生虫は20種ほど確認されており、それぞれに異なった分布域や感染症状が見られます。

例えば皮膚に影響を及ぼす皮膚リーシュマニアにはアジアや地中海沿岸、アフリカに分布するものと中南米のものが存在し、粘膜皮膚リーシュマニア症の原因となるブラジルリーシュマニアは、ブラジルを中心に南米に広く分布しています。

いずれの場合もこの寄生虫はサシチョウバエに皮膚を刺されることで感染し、吸血する際に送り込まれる唾液とともに大量に体内に送り込まれます。刺された箇所は最初はむず痒いような症状を起こした後に、かさぶたに覆われて寄生虫の温床になります。寄生された皮膚は腐敗、細胞が壊死して2度と治らないような傷跡を残すのです。

感染の症状は大人ほど重篤となり、一度寄生された人間は宿主とならないためイスラエルなどでは敢えて症状が軽度で済む子供のうちに、顔を覆った状態で足などの目立たない場所を刺されて免疫をつけるという風習もあるのだそうです。

リーシュマニアは種類によって引き起こす症状も様々で、皮膚粘膜リーシュマニアの中には耳や鼻を腐らせて削ぎ落してしまう程恐ろしいものも存在します。

 

8位 三日熱マラリア原虫

三日熱マラリア原虫は主に熱帯地域に分布しており、この寄生虫に感染したハマダラカに吸血されることで人間にも感染が広がります。

寄生されるとまず体が震えるほどの悪寒に襲われるようになり、続いて40℃~41℃の高熱と激しい頭痛、嘔吐などの症状が数時間続いて大量の汗とともに熱が下がります。そして48時間後に再度、同様の症状に襲われるのです。

三日熱マラリア原虫により引き起こされるマラリアは良性マラリアに区分され、同じく良性の四熱マラリア原虫や卵形マラリア原虫とともに比較的治療もしやすい病気といわれています。そのため、きちんと処置をすれば再発の恐れもありません。

マラリア原虫には宿主の肝臓の中で発育する段階、宿主の赤血球の中に入り込んで発育する段階、媒介者である蚊の体内で発育する段階の3つの生活サイクルが存在します。

さらに宿主の赤血球の中では5つの発育過程があり、原虫の形態や寄生された赤血球の形は様々な変化を見せます。この形態を顕微鏡で観察することでマラリア原虫の種類を特定することが可能とされ、三日熱マラリア原虫の場合は赤血球の中で分裂する様子が見られます。

 

7位 赤痢アメーバ

引用:https://http://gethealthycarsoncity.org

赤痢アメーバは全世界に分布する原生生物で、主に経口感染や性行為により感染します。

体内へ侵入した赤痢アメーバは分裂を続けながら大腸までたどり着き、大腸の粘膜層に入り込んで赤血球を餌にして増殖します。

赤痢アメーバが引き起こす症状は2つに分かれ、ひとつは血液の混じった下痢と腹痛が見られるアメーバ赤痢です。アメリカ人作家のヘミングウェイもアフリカのサファリツアーで感染後、アメーバ赤痢を発症しており、肛門から腸が出るかと思う程の苦しみを味わったといいます。

もうひとつの症状は大腸の壁から血流にのって肝臓や肺、脳などに移動して膿瘍を形成する腸管外アメーバ症です。こちらは危険性が高く、放置すると死に至ることも少なくありません。

毎年世界では5000万人もの感染者が出る赤痢アメーバですが、そのうちの4万人~10万人は死亡していると推定されており、感染報告は発展途上国に集中して見られます。

この寄生虫は生物の体内でしか活動ができないため、宿主がいない状態では休眠状態のシストとして存在し、生物に寄生した後に分裂増殖をしてその一部が再び排泄物とともにシストとして排出されます。

シストはハエやゴキブリ、ネズミによって運ばれて川にも流れ込み、川で野菜を洗ったり手を洗ったりすることが多いために発展途上国ではアメーバ赤痢が流行しやすいのです。

日本でも発展途上国からの帰国者や、感染者との性交渉が原因で一定数の患者が毎年確認されています。

 

6位 エキノコックス条虫

日本でも北海道に生息するキタキツネが感染源となって人間に寄生するとして、話題になったエキノコックス条虫。

現在も北海道に生息するキタキツネの約40%、犬の約1%がこの寄生虫の宿主になっているとされ、大きな問題となっています。

エキノコックス条虫の成虫が寄生するのはイヌ科の動物のみで、日本で姿を見られるものではキツネ、タヌキ、犬が挙げられ、これらの体内で卵を産みます。卵は糞とともに排出され、宿主の体毛に付着したものは糞のある場所以外にも広く拡散されるのです。

そして草木や野イチゴなどに付着した卵はネズミの体内に入って孵化、幼虫は野ネズミの肝臓で増殖を繰り返し、次第に肝臓を破壊された野ネズミの動きは鈍くなり、キツネに容易く捕食されます。

野ネズミを介して再びキツネの体内に潜り込んだ幼虫はまた成長して産卵する、というサイクルでエキノコックス条虫は増殖していくのですが、寄生されたネズミは著しく衰弱するのに対して、キツネを含むイヌ科の動物は寄生されても影響がないのです。

これはイヌ科の動物がこの寄生虫の終宿主だからであり、ネズミ同様に終宿主ではない人間がエキノコックス条虫に感染した場合も肝臓を食い尽くされてしまう恐れがあります。

しかし感染した当初は自覚症状が無いため気付きにくく、放置すればゆっくりと肝臓が破壊されていき、肝不全で死に至るケースも少なくありません。近年では本州でもエキノコックス条虫に寄生された犬などが少数ながら発見されており、特に飼い犬への感染が危惧されています。

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