ベランダで洗濯物を干したり、部屋でくつろいでいる時に、ふと手すりや壁、天井を見ると、ハエトリグモがいた、という経験は誰しもがしたことがあるのではないでしょうか。
田舎の方へ行くと、ハエトリグモの何倍も大きなクモが家に侵入してくるなんてこともあります。
日本では「毒グモ」というものを意識する機会はあまりないかも知れません。
しかし、世界には現地の人々に恐れられる毒グモが多数存在します。
ここでは、世界の危険な毒グモをランキング形式でご紹介します。
9位 クロガケジグモ
引用:http://mushi-akashi.cocolog-nifty.com
クロガケジグモは、オーストラリアに広く分布している毒グモの一種です。
現在では日本にも外来種として生息しており、関西地方を中心にその姿が確認されています。
大きさは10~15mmで、全身真っ黒であり、腹部背面には小さな淡い斑紋が見られるのが特徴です。
壁や塀、橋の欄干などにボロ網と呼ばれる不規則な網を張り巡らせ、網で出来たトンネルの中に潜んでそこにかかった小さな虫を捕食するとされています。
オーストラリアでは毒グモとして認識されており、噛まれると痛み、腫れ、吐き気、嘔吐などの症状を引き起こす可能性があるとされています。
しかし、死に至るほどの毒ではないと考えられています。
日本ではこの毒グモに噛まれたという報告はまだされていません。
しかし、小さくても毒グモなので迂闊に手を出してしまわないようにしたいものです。
8位 キングバブーンスパイダー
引用:https://gloomytarantula.exblog.jp
キングバブーンスパイダーは、タランチュラの仲間で、東アフリカを原産とする大型のクモです。
その名前に相応しく、体長は8cm、足を広げた長さは20cmにもなることがあると言われています。
大型で全身に毛が生えているオオツチグモ科に属するクモを、一般的にタランチュラと呼びます。
見た目の恐ろしさに反してタランチュラの毒はそこまで強くはなく、実際にはアレルギーのない人であれば噛まれた時に少しの痛みと、タランチュラの足に生えている毛による肌荒れを引き起こす程度だと言われています。
ところが、キングバブーンスパイダーはタランチュラの仲間であるにも関わらず、その毒は比較的強力だと言われています。
1cm程度の子供のキングバブーンスパイダーにひと噛みされただけでも、鋭い痛みと、その後5日間ほどは痒みが続くと言われています。
その毒が、強い幻覚作用を引き起こすという説もあります。
また、性格も攻撃的であり、刺激すると牙を擦り合わせ、カチカチという音を出して襲い掛かってきます。
キングバブーンスパイダーはペットとして飼育することも出来るようですが、危険なクモであるということを忘れないようにしましょう。
7位 カティポ
引用:https://world-note.com
カティポは、ニュージーランドの在来種のクモのうち、唯一毒を持っている種です。
カティポとはマオリ語で「night stinger(夜に刺す者)」という意味を持っています。
ニュージーランドのビーチやその周辺の流木や岩の割れ目などに生息しています。
噛まれると腫れて痛みが生じたり、血圧が上昇したり、他にも腹痛、発汗、発熱、震えなどの症状が出るとされています。
過去100年間死亡例の記録はありませんが、カナダ人男性がカティポに噛まれ、病院で動悸や血圧の上昇、胸の痛みなどを訴えて16日間入院したという報告がされています。
最悪の場合には死亡する可能性も、無きにしも非ず、と考えられています。
しかし、人間を噛むのはメスだけであり、さらに絶滅の心配もされている毒グモです。
6位 セアカゴケグモ
引用:https://www.pref.aichi.jp
セアカゴケグモは、日本で最も有名な毒グモと言って差し支えないでしょう。
元々はオーストラリアが原産地でしたが、その後、外来種として世界中に広がりました。
日本では、1995年に大阪府で発見されて以降、他44都道府県でその姿が確認されています。
メスの体長は7~10mm、オスの体長は4~5mmと、オスの方が体は小さい。
背中にある独特の赤い模様が特徴的です。
小型のクモであるにも関わらず、その毒性は比較的強く、噛まれると痛いだけでなく、オーストラリアでは死亡例も報告されています。
実際に1956年にはセアカゴケグモの毒に対する血清が作られているほどです。
しかし、おとなしい性格のため、素手で触ってしまうなどの接触がなければ噛まれる心配はまずないとされています。
5位 クロゴケグモ
引用:https://gairaisyu.tokyo
クロゴケグモは、日本でも有名なセアカゴケグモと同じ仲間で、英名では「Black Widow(黒い未亡人)」と呼ばれます。
クロゴケグモは交尾の後、メスがオスを食べてしまうことがあるとされています。
そのような行動から、「Black Widow(黒い未亡人)」という英名がついたと言われています。
生息地は南北アメリカ大陸で、主にアメリカやカナダ南部、中央アメリカに分布しています。
実はあまり有名ではありませんが、日本では滋賀県と山口県でその姿が確認されています。
日本への航空機の荷物に紛れ込んで移入してきたと考えられています。
体長は基本的にメスの方がオスよりも大きく、メスが10~28mmであるのに対し、オスは5~8mm程度しかありません。
メスの体は黒光りしており、大きく膨らんだ腹部背面の下の方には砂時計のような形を下赤色の模様がついています。
クロゴケグモの巣は大きく、不規則な網を張ります。
獲物が巣にかかると、後ろ足を使って獲物を糸で包み込み、身動きが取れなくなった段階で噛みついて毒を注入し、獲物が動かなくなってからゆっくり体液を吸い上げるのです。
クロゴケグモの毒は非常に毒性の強い神経毒であり、噛まれると全身に強い痛みを生じ、筋肉の痙攣、吐き気、発熱、血圧上昇、呼吸困難といった症状が現れます。
症状は数日でほとんど治まるとされていますが、重症化した場合は筋肉麻痺が起きて、治るまでに時間がかかるようです。
ただ、一度に注入される毒量が微量であるため、死亡率は1%未満で、人間が死に至るケースはほとんどないと言われています。
しかし、海外では死亡例が報告されていますので、注意が必要です。
4位 6つ目砂クモ
引用:https://world-note.com
6つ目砂クモは、あまり人目につくようなところには出てきませんが、非常に強い毒を持つとされています。
一般的なクモの仲間の目は8つですが、このクモの目は名前の通り6つです。
アフリカ南部の砂漠などの乾燥地帯に生息しているとされており、万が一にもこのクモに噛まれてしまうと、その周辺の組織が壊死してしまうと言われています。
実際、このクモに噛まれて壊死が起こった結果、腕を失ってしまったという事例が報告されています。
強力な毒であるにも関わらず、血清がないために、このクモに噛まれると命に関わる可能性が十分に考えられます。
しかし、このクモは自ら人間に近づいていくことがほぼないため、こちらから近づかなければ噛まれることはほとんどないと言ってよいでしょう。
人前に姿を現さないため、情報が少ないというのが現状です。
3位 ドクイトグモ
引用:https://gairaisyu.tokyo
ドクイトグモは、北アメリカ南部の亜熱帯地域が原産のクモの一種です。
体長は7~12mmで、基本的にメスの方がオスよりも大きな体を持っています。
体色は薄黄色から薄茶色で、腹部背面の真ん中にこげ茶色をしたバイオリンのような模様があるのが特徴です。
この模様から、「バイオリンスパイダー」と呼ばれることもあります。
足は細長く、胴体よりも薄い色をしています。
原産地は北アメリカ南部ですが、近年は生息数の増加に伴い、徐々に生息域が広がってきています。
夜行性で、巣穴の近くに張った糸にかかった昆虫を捕食します。
ドクイトグモの糸には粘り気があり、白色や灰白色をしています。
人目につかない暗く、乾燥したところに巣を張ることが多く、石の下や腐った樹皮の中などに巣を作るとされています。
人家に侵入することも多く、屋根裏やクローゼット、地下室、タンス、使用していない靴の中などで見つかることがあります。
ドクイトグモの毒の主成分は、神経毒ではない非常に特殊な成分で、この毒が体内に入ると血液中の赤血球、白血球、そして血管自体を破壊してしまいます。
現時点でドクイトグモの毒に対する解毒剤はなく、体内から毒が消えるのを待つしかない状態にあります。
ドクイトグモに噛まれた際には、あまり痛みがなく噛まれたことに気づかないという人もいます。
しかし、1時間が経つと次第に噛まれた箇所に水疱ができます。
そして4、5時間もすれば患部は腫れあがり、強い痛みが生じ、患部周辺は徐々に青黒くなっていきます。
これは、傷口を塞ぐために集まった血小板が集まりすぎて団子状に固まり、血栓ができてしまい、組織が酸欠状態になるためだと言われています。
その後、皮膚の細胞組織が破壊され、最終的には噛まれた部分は壊死して剥がれ落ちてしまいます。
人によってはその他に、嘔吐、寒気、発熱、関節痛といった症状も現れます。
重度の場合には赤血球が破壊されたことが原因となり、最悪の場合死亡してしまうこともあるとされています。
基本的には積極的に人間を襲うことはありませんが、身を守るために人間を噛むことがあります。
北アメリカ南部では、ドクイトグモに噛まれてしまう被害が多発しており、家に大量発生したために引っ越しを余儀なくされたという事例も報告されています。
幸い、日本ではまだ発見されていませんが、これから移入してくる可能性も十分に考えられるので注意が必要です。
2位 シドニージョウゴグモ
引用:https://nasore.com
シドニージョウゴグモは、オーストラリアのシドニー周辺に生息することからその名がついた毒グモの一種です。
体長は3~4cm程度ですが、足を広げると10cm程になる大型のクモです。
体長に関しては他のクモの仲間同様、オスよりもメスの方が大きいですが、オスには大きな牙があるのが特徴です。
そして、その毒性もオスの方が強力であると言われています。
体色は青みのある黒色で、背中や足には光沢があります。
足が太く、足と腹部にたくさんの剛毛が生えているために、体つきはタランチュラに似て威圧感があります。
倒木や岩の下、割れ目、隙間などに漏斗状の巣を形成します。
住宅街にも巣を作ることがあり、その場合も岩が多かったり、低木が立ち並んでいる庭などを好むとされています。
シドニージョウゴグモの毒は神経毒あり、非常に致死性が高いとされています。
世界に存在する毒グモの中でも、最恐クラスの毒グモと言われています。
現在でこそ血清が作られていますが、1950年代までは血清がなかったため、この毒によって亡くなる方もいたとされています。
そのため、現地では今でも非常に危険な毒グモとして恐れられています。
もし人間がシドニージョウゴグモに噛まれると、強い痛みを感じ、次第に小さな炎症や水疱が現れます。
噛まれて10分程で激しい吐き気に襲われ、体から汗や涙などの様々な体液が流れ出して痙攣状態になります。
そして心臓がショック状態となり、適切な処置をしないとそのまま死に至ります。
何の治療も施さなかった場合、大人の場合は約30時間、子供であれば数時間で命を落とすとされています。
また、シドニージョウゴグモのオスは大きな牙を持っているため、噛まれるだけでも激痛があり、大怪我をします。
オスの牙は非常に鋭利で硬いため、人間の皮膚だけでなく爪までも簡単に貫くほどの威力があるのです。
人間に対して非常に大きな効力を発揮するシドニージョウゴグモの毒ですが、実は彼らの毒が有効なのは私たち人間やサルなどの霊長類のみです。
天敵である鳥やトカゲ、獲物となる昆虫類には全く効果のない毒を持っているのです。
シドニージョウゴグモがなぜ、このような猛毒を持つようになったのかは現在でもはっきりしたことは分かっていません。
1位 クロドクシボグモ
引用:https://dangerous-creatures.com
クロドクシボグモは、シボグモ科フォニュートリア属に属する毒グモの一種です。
英名では「ブラジリアン・ワンダリング・スパイダー」と呼ばれます。
同じフォニュートリア属に属する「フォニュートリア・フェラ」と呼ばれる毒グモと共に、世界一猛毒を持つクモとして2007年にギネス登録されています。
生息地は、ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイなどの中南米です。
温暖な気候を好み、日中は日光が当たらない木の陰や湿地帯に潜んでいることが多いです。
また、バナナの中に潜むという習性があるため、時としてクロドクシボグモが入ったままのバナナが他国に出荷されてしまうこともあるようです。
引用:https://matome.naver.jp
このような習性から「バナナスパイダー」という別名もあります。
体長は5~8cm、足を広げると13~15cmにもなる大型のクモです。
体色は名前の通り黒色ですが、口元は赤色をしています。
足が太く、体が大きい分毒腺も大きく、牙の長さは13mmと長くなっています。
人間に対しても非常に攻撃的であり、特に手を出さなくても噛みついてくるので、発見した際には注意が必要です。
クロドクシボグモは巣を張らないクモで、歩き回って獲物を探します。
夜行性のため、夜になるとジャングルをさまよい歩き、近づいてきた獲物を猛毒のある牙で捕らえるのです。
「ワンダリング・スパイダー(放浪するクモ)」という名前は、この習性に由来すると考えられています。
クロドクシボグモの毒は非常に強い神経毒で、もし噛まれたら激痛が襲い、その痛みは全身に広がります。
そして血圧上昇、全身麻痺、呼吸困難などの症状が現れ、何も処置をしなかった場合人間は30分以内に死に至ります。
クロドクシボグモ1匹が持つ毒で、人間の大人を80人は殺すことができるとされています。
中南米では多くの方がクロドクシボグモに噛まれたことにより亡くなっていましたが、現在は血清ができたために死亡例はほとんどなくなりました。
しかし、いくら血清があっても、噛まれないにこしたことはありません。
中南米に旅行に行く際、また、スーパーでバナナを買う際にも要注意です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
日本への移入種も紹介しましたが、ごくわずかであり、死亡例が報告されていないものばかりでした。
しかし、国から国への人や物の出入りの多い時代です。
いつ、どこで、危険な毒グモが日本へ侵入してくるか分かりません。
滅多に見ないクモを見つけた際には、むやみに手を出さないことをおすすめします。