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史上最大の亀・アーケロンの知られざる生態(大きさ、現生最大オサガメとの比較ほか)

かつて“陸上”を支配していたのは、鋭い爪や牙を持ち、強靭な体を持つ恐竜でした。

そして、そんな古代の海にはあり得なくくらい巨大な亀が生息していました。

今回は、大昔の海の支配者「アーケロン」について紹介していきます。

 

アーケロンの大きさ

まずはその姿を見ていただきましょう。

これが、「アーケロン」です。

引用:https://www.zetsumetsudoubutsu.com

もちろん、現在ではすでに絶滅した動物とされているので、これは復元図です。

学名は「Archelon(アーケロン)」で、その名をそのまま取って「アーケロン」もしくは「アルケロン」と呼ばれます。

名前の意味は、「古代の亀」もしくは「統治する亀」です。

中国では、「帝亀」と呼ばれています。

このような名前がつくほど、当時の海では支配者であったということが推測されます。

見た目は現生のウミガメとさほど変わりはなく、超巨大なウミガメと言えます。

全長は最大4mにも達し、甲長2.2m、頭骨の大きさは約80cm、全幅は約5m弱、体重は約2tであったと考えられています。

人間が乗れるほどの巨大なカメと言えますが、その甲羅は現生のウミガメのような硬い甲羅ではなかったとされています。

幅が広く、開いた肋骨からなる骨組みの上に、丈夫な革状の皮膚か、角質の板で覆われていたと考えられています。

引用:http://www.kushimoto.co.jp

この甲羅の構造から、見た目以上に軽量化されていて、想像以上に速いスピードで水中を泳ぐことができたのではないかと推測されています。

先ほど体重は2tほどと記述しましたが、この甲羅の構造を考慮に入れた説では、アーケロンの体重は400kgほどだったのではないかと言われています。

 

アーケロンの獲物と武器

アーケロンは、現生のウミガメと同じようなものを食べていたと考えられています。

主に海藻、クラゲ、イカ、アンモナイト、小魚などです。

これらの獲物を狩るために、頭部にある大きな口は、ワシなどの猛禽類の鳥と同じように鉤形に曲がっていたとされています。

引用:http://blog.livedoor.jp

この特徴からアーケロンは、獲物に食いついて押しつぶして殺し、その肉を食べていたと考えられています。

口蓋が頑丈であったことも、その狩猟方法で狩りを行っていたことを裏付けていると言われています。

また、前ヒレは非常に巨大であり後ろのヒレと合わせて動かせば、相当な推進力を生みだすことができ、非常に速いスピードで泳ぐことができたと考えられています。

体重が400kgであったという説を採用するなら、さらにそのスピードは跳ね上がると考えられます。

この素早い動きと頑丈な口がアーケロンの武器であったと言えます。

 

アーケロンの生きた時代と絶滅

アーケロンが生きた時代は、7000万~6500万年前の白亜紀後期だとされています。

この時代は、恐竜が最も進化し、繁栄した時代であったと言われています。

しかし、アーケロンは海で生活する動物であったために、恐竜たちからの影響を受けることはあまりなかったと考えられています。

とはいえ、陸上の生存競争もさることながら、海の中での生存競争も激しいものだったことでしょう。

それを物語るかのように、発見されたアーケロンの化石はヒレが欠損したものが多いのです。

特に後ろのヒレが欠損した化石が多く、彼らが外敵に狙われやすかったことを示唆しています。

主な天敵がアーケロン以上の体格を持つ生物だったことを考えると、モササウルスの仲間などが彼らの天敵だったことがうかがえます。

参考として、モササウルスの復元図を以下に記載します。

引用:https://netlifehack.com

他にも、当時の海にはサメ類やワニのように頭部が非常に発達した肉食爬虫類が生息しており、アーケロンたちが過酷な環境の中を生き抜いていたことが予想されます。

このような天敵たちに脅かされた彼らの唯一の対抗手段は、逃げることのみでした。

彼らの甲羅は現生のカメのように、首や手足を中に収納できるような構造ではなかったのです。

もしも首や手足を収納できたとしても、現生のカメのように硬い甲羅を持ってはいなかったので、さほど意味はなかっただろうとも言われています。

過酷な環境を生き抜いたものの、彼らも恐竜たちと同じように巨大隕石の衝突により、地球から姿を消したと考えられています。

 

アーケロンの生息域と化石


アーケロンの化石は、北米のサウスダコダ州とコラロド州のみで発見されています。

他の地域では発見されておらず、アーケロンには外洋を回遊する習性がなかったことが示唆されています。

また、前ヒレは前後には動きやすい構造ですが、上下方向にあまり動かなかったとされています。

そのため、深く潜ることには適しておらず、海面付近で遊泳していたとも考えられています。

 

現生で最大のカメ オサガメ

史上最大のカメ、アーケロンは残念ながら絶滅してしまったので、もう生きている姿を見ることは叶いません。

しかし、アーケロンの姿を彷彿させるウミガメが今も世界の海を泳いでいます。

それは現生で地球上最大のカメ、「オサガメ」です。

引用:https://jp.globalvoices.org

オサガメの体長は約3mほど、体重は900kgを超える大きさです。

オサガメはほとんどその姿を変えずに、1億年以上も前から地球上に生息していたと言われています。

オサガメの生息地は広く、大西洋や太平洋、インド洋の熱帯および温帯の海域に渡ります。

他の爬虫類とは異なり、オサガメは体温を水温より上に保つことができるので、北はカナダ、南は南アフリカの喜望峰など、氷に覆われた海でもその姿が発見されています。

他のウミガメたちよりも、回遊性が高いと考えられます。

オサガメの獲物は、アーケロンと同じようにクラゲや海藻などです。

アーケロンは鉤形の口で獲物を押しつぶして食べていたとされていますが、オサガメの口はどのようになっているでしょうか。

驚くことに、オサガメの口はこのようになっています。

引用:http://karapaia.com

オサガメは口から食道にかけて100本以上のギザギザの歯が生えています。

オサガメの主な獲物であるクラゲはそれほど栄養価が高くないため、自分の体重と同じくらいの量を食べなければなりません。

この歯があるおかげで、クラゲを素早く細かくし、消化することができると言われています。

また、他のウミガメは硬く骨のような甲羅を持っていますが、オサガメの甲羅は黒く滑らかで柔らかく、触るとゴムのような感触だとされています。

どちらかというと、甲羅はアーケロンに似通っていると言えるでしょう。

しかしアーケロンと違い、オサガメはカメの中で最も深い水深1200mまで潜ることができ、最高で30分以上も潜っていられると言われています。

寿命は45年以上と非常に長生きです。

しかし現在、釣り糸や漁業用の網など、人間の脅威によって多くのオサガメが天寿を全うすることなく死を迎えています。

また、海に浮かぶプラスチックのゴミを好物のクラゲと間違えて食べてしまい、多くの個体が死に至っているとされています。

成体への影響だけにとどまらず、孵化したばかりの幼体が海岸沿いのネオンに引き付けられて海から離れてしまい、命を落とすことも多いと言われています。

引用:http://bre.soc.i.kyoto-u.ac.jp

オサガメは、地球上で最も深刻な絶滅の危機にある生物の1つなのです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

残念ながら、史上最大のカメ「アーケロン」は絶滅してしまいました。

その遠い子孫である現生のウミガメたちは今も優雅に海を泳いでいますが、このままの状態が続いてしまえばアーケロンと同じ道をたどることになるかもしれません。

現代を生きるウミガメたちが過去のものになってしまわないよう、適切な保護活動が世界一丸となって広まっていくことを願うばかりです。



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