深海は宇宙以上に不思議に満ちていると言われることがあります。
我々人類にとって深海はまさに未知の世界です。光の届かない暗闇の深海にも我々の想像を超えた生態を持つ奇妙な生き物が数多く生息しています。
今回はそんな未知の世界『深海』に生息する10種の奇妙な生き物をご紹介していきましょう。
10. クリオネ(ハダカカメガイ)
透明な体で遊泳する姿から「流氷の天使」「海の妖精」と呼ばれるクリオネです。
北極海、北太平洋、の寒流域に棲息している巻貝の仲間(成長すると貝殻を失う)です。
幼年期には植物プランクトンを捕食していますが、成長すると肉食性を示し、獲物のミジンウキマイマイ(巻貝の仲間)等を捕らえる際には、頭部からバッカルコーン(口円錐)と呼ばれる六本の触手を伸ばし、それで獲物を包み込むように捕らえて養分をゆっくり吸い取ります。
9. ミドリフサアンコウ
比較的小型のアンコウの仲間であり、赤色に黄緑の斑点模様が特徴です。
世界中の深海に幅広く分布しており、見た目は一見派手ですが深海ではあまりこの色は目立たず、海底で獲物を待ち構えています。
皮膚は風船のようにぶよぶよしており、身の危険を感じると身体を大きく見せるため海水を吸い込んで身体を膨らませたり、吸い込んだ海水を排出して身体をしぼませたりを繰り返して威嚇をします。
8. ラブカ
ラブカは、ウナギのような細長い外見から『ウナギザメ』と呼ばれることもある深海ザメの一種で、太平洋および大西洋全域の水深500–1,000メートルの海底に生息しており、日本では駿河湾、相模湾などの浅海で目撃されることがあります。
映画『シン・ゴジラ』のモデルになったり、TOKIOが出演する日本テレビ系人気番組『ザ!鉄腕!DASH!!』で捕獲されたりと、近年たびたび注目されている生物でもあります。
古代ザメ「クラドセラケ」の姿によく似ていることから、『生きた化石』とも呼ばれることがありますが、この古代ザメの直接の子孫とは考えられていません。
7. ゴブリンシャーク(ミツクリザメ)
ラブカと同様「生きた化石」と呼ばれる深海ザメです。
表層から水深1,300 m、あるいはそれ以上の深海に生息しており、世界各地で散発的に生息が確認されています。
全長は約6メートルで、平たく板状に突き出た頭部はセンサーの役割を持ち、普段収納されている口は獲物を捕食する際に突き出して獲物を口内に吸い込みます。
6. サルパ
生物学上ホヤの仲間に分類される寒天質でほぼ透明な管状の動物です。
赤道下、温帯、冷帯の海に棲息しており、吸引した水を体内の捕食フィルターで濾過し、植物プランクトンを摂取しています。
植物プランクトンが大量発生すると、サルパは急速にクローンを産み出し、それがあらゆる多細胞動物よりも速く成長することで、海から急速に植物プランクトンを除去します。
5. ブロブフィッシュ(ニュウドウカジカ)
ブロブフィッシュは世界中の海底に生息する深海魚です。
全長70cmに達することもあり、カジカの仲間では大型種として知られています。
普段はほとんど動かず、海底でひたすら獲物が現れるのを待っています。
ウロコを持たず体が柔らかいため、陸に上がると潰れて形が崩れてしまいます。
このときのブロブフィッシュの顔が坊主頭のおじさんのような顔をしていることから、『世界一醜い魚』『世界で最もブサイクな魚』として度々メディアなどで取り上げられることもあります。
4. ダイオウグソクムシ
ダイオウグソクムシは、フナムシやダンゴムシの仲間(等脚類)で、体長は最大で50センチメートルにもなる世界最大の等脚類です。
「深海の掃除屋」と呼ばれており、深海底に沈降してきた大型魚類やクジラなどの死骸や弱った生き物等の有機物を摂食するとされています。
しかし、ダイオウグソクムシは極めて少食なことが知られており、鳥羽水族館で飼育されていた個体は2009年1月2日に50グラムのアジを食べて以来、2014年2月14日に死亡するまでの5年1か月間(1869日間)まで何も口にしませんでした。
死亡後に解剖にて胃が130ccの謎の液体で満たされていたこと、死因が餓死でないことが判明しました。この液体の中に酵母様真菌が含まれていましたが、この菌と絶食の関係性はまだ判明していないそうです。
3. コウモリダコ
コウモリダコは熱帯・温帯地域の約600から900mにかけての深海に生息する生物です。
和名では「タコ」、英名では「vampire squid(吸血鬼イカ)」と呼ばれていますが、タコでもイカでもなく分類学的には独立した生き物とされ、タコとイカの祖先とも言われています。
腕は10本あり、うち2本は長い糸状の触手になっています。腕と腕の間にヒレを持ち、危険を察知した際にはヒレを全て裏返して体を包み敵から身を守ります。
2. スケーリーフット(ウロコフネタマガイ)
スケーリーフットは、黒いウロコを足にまとっている巻貝の仲間です。
2001年にインド洋で初めて発見されました。体表に硫化鉄でできたウロコを持っており、鉄のウロコを持つ生物の発見として世界中で話題になりました。実際に殻やウロコには硫化鉄が含まれており、磁石にも反応するそうです。
1. デメギニス
デメギニスは普段私達が接する魚とは全く異なる外見をしている頭部が透明の深海魚です。
太平洋北部に生息しており、日本でも岩手県以北の沖合に分布します。水深400-800mを主な生息域としています。
目と思われる部位は実は鼻のような器官であり、透けている頭部の中に見える2つの球体のようなものが目とされます。
ほとんど深海を漂うだけで、活発に行動するのは獲物を捕食するときだけだと言われています。
まとめ
奇妙な特徴を持つ深海生物たち、いかがでしたか?
深海にはまだまだ生態に謎が多い生き物がたくさん生息しています。
もしかするとこれから先、ご紹介した生き物たち以上に奇妙な生態を持つ生き物が、発見されるかもしれませんね。