海の中には、不可思議な姿をしている魚や奇妙な生態をしている魚など、変な魚が多く生息しています。
これまで謎に包まれていた深海ですが、徐々に深海の探索が進み、さまざまな種類の魚が発見され、生態が研究されることで、その姿がどんどん明らかになってきています。
今回はそんな深海に生息する生物たちの中から信じがたい特徴を持っている深海魚をランキングでご紹介します。
10位 アカマンボウ
https://dailyportalz.jp
アカマンボウとは、マンボウに似た体型ですがマンボウの仲間ではなく、リュウグウノツカイに近縁の深海魚です。
全長は2mで体重は270kg位になる大きいサイズの魚で、マンボウのように平たい体を持っていて円盤のような形をしていることが特徴です。
アカマンボウの変な部分は、血液にあります。
普通、魚類は冷血動物なはずですが、アカマンボウはこれまでに発見されている魚の中で唯一の温血が流れる魚なのです。
血液の温度を保っておける機能があって、周辺の水温よりも5度ほど体温を高く保つことができるので、深海でも活発に泳ぐことができます。
そしてさらに、心臓から送られてきた暖かい血液で、海水で冷えた血液を温めるということもできます。
9位 スターゲイザーフィッシュ
http://karapaia.com
名前と実際の姿に大きな隔たりがある変な習性を持つ魚が、スターゲイザーフィッシュです。
スターゲイザーフィッシュという名前は「星を見上げる魚」という意味を持ち、砂の中に潜っている姿が星を見上げているようだと名付けられたのですが、その顔はロマンチックとは程遠いものです。
ギョロっとした目とギザギザした歯が目立つその顔はまるでドクロのようなのです。
スターゲイザーフィッシュは砂の中に潜って顔だけ出し、餌である小魚が近づくと、瞬間的に口を開けて丸呑みにします。
グロテスクな顔を持つスターゲイザーフィッシュですが、スターゲイザーフィッシュと同じミシマオコゼ科の魚は、刺身などで日本では食用となる魚です。
刺身にするともちもちとした食感で美味しいそうです。
8位 ハプロフリュネー・モリス
http://fishesofaustralia.net.au
ハプロフリュネー・モリス(ユウレイオニアンコウ)はオニアンコウ科の深海魚で、透明なボディをしている珍しい魚ですが、その生殖行動がさらに変わっていて変なことで知られています。
ハプロフリュネー・モリスのオスの個体数はメスの30倍もいて、体の大きさはメスに比べるととても小さいです。
暗い深海では、オスとメスが遭遇することはとても貴重で、発達した眼や嗅覚を持つオスはメスを見つけると、その体に噛みついて付着します。
その後、オスの皮膚はメスの体に一体化していき、精巣だけを残してメスに吸収されていくのです。
栄養もメスの皮膚と血管からもらうのです。
メスの体に吸収されて人生を終えるハプロフリュネー・モリスのオスの一生に、切なさを感じる男性も多いかもしれません。
7位 オニボウズギス
https://ailovei.com
オニボウズギスは、深海600~1000mほどの場所に住む深海魚です。
オニボウズギスのいる海域には餌が少ないため、オニボウズギスは食べられそうなものに遭うと、とりあえず丸呑みするという習性があります。
時には、自分の数倍もあるものを無理矢理飲み込むこともあります。
自分よりも大きな餌を丸呑みできるように、オニボウズギスの胃袋と皮膚は伸縮性に富んでいて、餌を飲み込むと胃袋は膨れ上がり、飲み込んだ獲物が外部から透けて見えます。
このように強靭な胃袋を持つオニボウズギスですが、時には無理に飲み込んだために、胃が破裂して死んでしまうこともあります。
また、胃袋に入れた獲物の消化に時間がかかるため、胃袋の中の内容物が傷んでしまうこともあるといいます。
6位 ミツクリザメ
https://ja.wikipedia.org
ミツクリザメは、ネズミザメ目ミツクリザメ科に属するサメで、ブレード状になっている長い吻が特徴の変な魚です。
捕食する時には顎ごと前方に飛び出して、むき出しの歯で噛みつくため、その姿がおぞましく恐ろしげなために、「goblin shark(悪魔のサメ)」と欧米では呼ばれています。
日本では、長い吻を持っている姿から、テングザメなどとも呼ばれます。
ミツクリザメの長い吻には電気受容器のロレンチニ瓶が多く備えられていて、海底にいる餌を探すために使われています。
この長い吻で攻撃されそうなイメージもありますが、実は軟骨性で柔らかいため、攻撃や防御には適していません。
ミツクリザメの特徴的な見た目から、映画「ガメラ対深海怪獣ジグラ」にて、怪獣ジグラのモチーフにもなっています。
5位 フクロウナギ
https://ja.wikipedia.org
体に不釣り合いなほど大きな口を持つことで知られている変な深海魚がフクロウナギです。
水深550~3000mの深海に住んでいるフクロウナギは、餌の少ないなかで効率よく餌を捕獲できるようにと、巨大な口に進化しました。
フクロウナギの個体が仮に1mとすると、口の部分だけで30cm近くあり、体積で見ると体の半分にもなるほどの大口なのが特徴です。
フクロウナギは大きな口以外にも特徴的な生態をしています。
フクロウナギには、尻尾の先にチョウチンアンコウのような発光器を持っていて、それを発光させることで餌をおびき寄せています。
獲物が近づいてくるとフクロウナギは視覚や触覚で感じ取って、大きな口でパクリと捕食するのです。
4位 サーカスティック・フリンジヘッド
http://karapaia.com
特徴的な口を持つことで変な魚が、サーカスティック・フリンジヘッドです。
見た目はギンポのような姿で、ギョロっとした目が可愛らしい魚なのですが、捕食の瞬間、全く違う顔になるのです。
サーカスティック・フリンジヘッドは肉食で、巣穴に潜んで獲物を待ち構え、獲物が近づいてきたら、折りたたまれていた口を大きく開いて捕食します。
傘のように開く口は、大きく開くと自分の体長ほどにもなるということです。
この、口を大きく開いた姿が、映画「プレデター」に出てくる地球外生命体にそっくりということで、エイリアンフィッシュという別名もあります。
サーカスティック・フリンジヘッドの性格は実に獰猛で、スキューバダイビング中のダイバーが噛みつかれることもあるそうです。
3位 ブロブフィッシュ
http://takashi1016.com
世界一ブサイクな魚という異名を持ち愛されている深海魚がブロブフィッシュ(ニュウドウカジカ)です。
ブロブフィッシュはカサゴ目ウラナイカジカ科の仲間で、名前のブロブフィッシュには「ふにゃふにゃした魚」という意味があります。
ブロブフィッシュの体はゼラチン質でできていて、筋肉は全くなくたくさんの水分で満たされています。
このブロブフィッシュが水から揚げられると、深海の水圧とは違うために、体がドロドロになってしまいます。
水から揚げられたブロブフィッシュのピンク色の体、潰れた鼻、口角が下がった口が、醜い姿と言われているのです。
2013年にはイギリスの団体であるUgly Animal Preservation Societyの投票によって、世界一醜い生物に選ばれました。
2位 レッドリップ・バットフィッシュ
http://karapaia.com
魚でありながら、その見た目がまるで宇宙人のように奇妙なのが、レッドリップ・バットフィッシュです。
平べったい体からはヒレが足のように突き出ていて海底を歩き、顔には分厚くて真っ赤な唇が付いている魚で、そのユーモラスな姿に隠れファンが多い深海魚です。
バットフィッシュの鼻先に疑似餌(エスカ)がついていますが、これはバットフィッシュがアンコウだったころの名残で、現在では不要な器官です。
そのため、まるで鼻毛が出ているかのように疑似餌が出ている姿が、またユーモラスさを倍増させます。
姿かたちが魚らしくないのはもちろん変な部分ですが、魚でありながら泳ぐことは得意ではなく、海底を歩いて移動するのも、魚らしくない変な特徴のひとつだといえます。
1位 デメニギス
http://karapaia.com
深海には不思議な魚が多く住んでいますが、透明な頭を持つという異様な特徴で深海のアイドル的な存在となっているのがデメニギスです。
デメニギスの頭は透明なヘルメットのようになっており、ゼラチン質で満たされた内部には緑色のドーム状の器官が2つあり、その内側に黒い脳が見えます。
その手前には伏し目がちな目のように見える器官がありますが、これは目ではなく嗅覚を感じる器官であり、実は目は緑のドーム状の器官の下にあるのです。
突起状になっている目玉は上方向や前方向、横方向に可動でき、頭上にある物体を感知したり、上空に差し込む光を集めることもできたりします。
暗くてほとんど光の存在しない深海で、太陽光をより効率良く集光させる優れた眼を獲得するために、デメニギスの眼球は脳のある位置まで後退していきました。
まとめ
私たちの常識では考えられない生態や行動、見た目で、奇妙ながらも愛すべき変な魚たちをご紹介してきました。
科学技術の発達によって、さらに解明が進み、これらの魚を超える変な魚が今後も発見されるかもしれません。