私たちの身近にいる両生類と言えば、真っ先にカエルが思い浮かぶでしょう。
アマガエルのような姿のカエルをイメージする方が多いでしょうが、世界中には一見カエルには見えないような姿のものや、奇妙な生態のものなど、変わったカエルもたくさんいるのです。
今回は世界中に生息するカエルの中でも、特に変な習性を持つカエルをご紹介します。
ヤドクガエル
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ヤドクガエルは、コスタリカからブラジルにかけて生息しているカエルで、生息場所によって黄色、赤色、青色、緑色、金色、銅色など非常に鮮やかな色彩と独特の模様がさまざまな、非常に美しいカエルです。
その美しさから、「熱帯雨林の宝石」というニックネームもついています。
ヤドクガエルの派手な外見は、殺傷能力の高い神経毒を持っていることを外敵に知らせるための警告色です。
そんなヤドクガエルには、子育て習慣が変わった種がいて、卵からかえったオタマジャクシを背中におんぶして、安全な場所へと運ぶことがあります。
成体が住んでいる場所が流れの速い水辺のため、オタマジャクシにとっては流れが速すぎて危険なため、移動させる必要があるというのです。
ヤドクガエルがオタマジャクシをおんぶする姿はとても可愛らしいです。
カメガエル
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カエルと言えばピョンピョンと飛び跳ねてスイスイ水の中を泳ぎ回る姿を想像しますが、飛び跳ねることも泳ぐこともできないカエルというのも存在します。
カメガエルはオーストラリア南西部に生息しているカエルで、丸々としたピンクの体に小さな頭と手足が付いている、まるで甲羅を取り外したカメのような姿をしているカエルです。
カメガエルはカエルのくせに泳ぐことができません。
カメガエルがせいそくしている場所はオーストラリアの乾燥した土地のため、泳ぐ必要がないからです。
もしも水の中にカメガエルを入れると、溺死してしまうこともあるそうです。
カメガエルは一生を地上で生活し、卵は土の中で産みます。
生まれる場所が水のない土の中のため、オタマジャクシにはならずカエルの姿で誕生するのです。
ナマカフクラガエル
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ナマカフクラガエルはヒメアマガエル科に属するカエルで、体長4~5cm程、南アフリカの砂漠に生息しています。
丸くてずんぐりむっくりとした体をしていて、可愛らしい姿をしていることが特徴です。
捕食者から身を守る際には体が膨らんでまん丸になります。
ナマカフクラガエルの最大の特徴はその体ではなく鳴き声にあります。
普通のカエルはゲコゲコと鳴きますが、ナマカフクラガエルは押すと音が鳴るおもちゃのように、キューキューと可愛らしい鳴き声を上げるのです。
カエルが鳴くときには鳴き袋という顎にある皮膚の膜を使っているのですが、ナマカフクラガエルの鳴き袋はあまり発達していません。
さらに口も小さいため、周波数の高い音しか出せないため、可愛らしい鳴き声を出すのです。
ピパピパ
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ピパピパ(コモリガエル)は、まるで車に轢かれてしまったようにペッタンコな姿をしている変わったカエルです。
なぜペッタンコな姿なのかというと、遠くから見ると枯れ葉に見えるように擬態しているためだと言います。
そんなピパピパの出産はかなり信じられないものです。
産卵前になるとピパピパのメスの背中はスポンジのように柔らかくなり、オスが受精させた受精卵を背中の皮膚組織に押しつけて埋め込んでしまいます。
卵は孵化してから幼生の時期もメスの皮膚組織の中で過ごしてから巣立ちの時を迎えます。
巣立ちの時には、メスの背中のハスの実のようにたくさん開いた穴から次々と子ガエルが飛び出してくるという、かなりグロテスクな光景となります。
ヘアリーフロッグ
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ヘアリーフロッグ(別名・ウルヴァリンカエル)は中央アフリカに生息しているカエルです。
ヘアリーフロッグに身の危険が迫ると、自身のつま先の骨を折り、皮膚から爪を突き出して反撃するという変わった生態をしています。
人間の爪はケラチンで構成されていますが、ヘアリーフロッグの爪は骨でできています。
そして攻撃が終わった後には爪は皮膚内に再び収納され、傷ついた皮膚は再生するのです。
折れた骨が引っ込むメカニズムについてはまだ明らかになっていません。
さらに、ヘアリーフロッグの脇腹の部分には、真皮乳頭という毛のようなものが生えています。
真皮乳頭は酸素を効率良く吸収するという優れた能力を持っており、長時間潜水するのにたいへん役に立っているのです。
インドハナガエル
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カエルなのにブタ鼻を持つカエルがいます。
ブパティ・インドハナガエルはインドの西ガーツ山脈で見つかった新種のカエルで、ブタのように尖った鼻に、淡い青色で縁取られた瞳、光沢のある薄い茶色をした皮膚という、風変わりな姿をしています。
インドハナガエルの成体は乾燥しないように一生のほとんどを地中で過ごしています。
餌を食べるときでさえも地上に出てくることはなく、溝が付いた長い舌を使って、土の中にいるアリやシロアリを吸い込んで食べるのです。
ほとんど地上に出ることのないインドハナガエルを地上に出すことができる唯一のものが、雨です。
モンスーンの季節になると、インドハナガエルのオスは小川の中に出てきて大きな声で鳴き、メスと交尾します。
インドウシガエル
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インドウシガエル(学名・Hoplobatrachus tigerinus)は体長約15cmでインドでは最大のサイズのカエルで、インドの他、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュで生息しているカエルです。
インドウシガエルは普通のウシガエルと同じように、茶褐色の地味で目立たない見た目をしています。
ですが、年に一度、繁殖期になるとインドウシガエルの全身は鮮やかなイエローとなり、鳴き袋はブルーに変わるのです。
このようにカラフルで派手な姿に変身するのはオスのみで、メスにアピールをする目的があるとされています。
カエルとは思えないようなたいへん奇抜な体色に、インターネットでも驚きの声とともに話題となりました。
ワラストビガエル
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ワラストビガエルはパラシュートフロッグの呼び名でも知られるカエルで、マレーシアやボルネオの熱帯雨林に生息しています。
ほとんどの時間を木の上で過ごしていて、交尾と産卵の時以外は地面に下りてくることはありません。
ワラストビガエルに危険が迫った時や獲物を探す時には、枝から飛び降りて、水かきのついた足の指を開いて飛ぶことができます。
指の間の水かきと、四肢の間にある飛膜のような伸びた皮膚によって空気抵抗が大きくなることで飛ぶことができ、他の木や地面へと、長くて15m以上を滑空することが可能なのです。
繁殖の時にはスマトラサイが泥遊びをする水たまりを好むため、サイの個体数によってワラストビガエルの個体数も影響されると言われています。
ブラックレインフロッグ
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まるで怒っているようにみえる表情がとても愛らしいカエルが、南アフリカに生息しているブラックレインフロッグです。
常にへの字口なので機嫌が悪そうですが、別に怒っているわけではありません。
また、表面のイボイボとした質感や丸い体型から、「薄気味悪いアボカド」というあだ名までついています。
ブラックレインフロッグは10~15cmほどの大きさで、自分の体がすっぽり入る深さの穴を地面に掘ってすみかとしています。
ブラックレインフロッグは、敵から攻撃されそうになると体を空気で膨らませて丸い体をさらに丸くします。
時には外敵に捕まっても巣穴から引きずり出されてしまわないように、穴を掘っている最中も膨らむこともあるそうです。
コイシガエル
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コイシガエルは体長3~4cmほどの大きさで、標高3000mのギアナ高地で生息しているカエルです。
コイシガエルはとてもカラフルで体中にイボがあります。
カエルなのに跳ぶことは苦手です。
コイシガエルが変わっているのは、敵に見つかったときに逃げる方法なのです。
タランチュラなどの天敵に見つかると、手足を丸めてその名の通り小石のようになってコロコロと斜面を転がり落ちて逃げるという習性があります。
高いところから何十mも転落しますが、コイシガエルの体は小さく体重がとても軽いためケガをすることはありません。
ですが、せっかく頑張って登っても、敵に見つかってしまったらあっけなく振り出しに戻り、また登っていくことになるのです。
まとめ
生息する環境に合わせてうまく進化して、変わった姿に進化をした世界中のカエルをご紹介しました。
一言でカエルといっても、いろんな種類がいて、とてもユニークなことがわかるでしょう。
興味があれば皆さんも調べてみてくださいね。