昆虫採集をしたことはありますか?
子供のころは、夏には虫かごと虫取り網を持って、朝早くから山へ行っていたと、懐かしく思い出す人もいるでしょうか。
昆虫採集で、たくさんの昆虫を捕まえるのも楽しいですが、やっぱり大きな昆虫を見つけたときが最高です。
昆虫が好きな人にとって、大きな体を持つ虫にはロマンが詰まっていますよね。
そこで今回は、世界最大と言われる10種類の昆虫をご紹介します。
へラクレスオオカブト
昆虫採集の一番の目標は、何といっても夏の虫の王者、カブトムシですよね!
捕まえたカブトムシ同士を戦わせる、虫相撲という遊びもあるくらいです。
それこそ、世界最大のカブトムシを連れてくることができれば負けなしですね。
世界最大のカブトムシは、最近ではペットショップやホームセンターで夏に見かけることも多くなりました。
その名は、へラクレスオオカブトです。
引用:https://www.tsukiyono.co.jp/
体長はオスで140mm前後、メスで65mm前後、最大と言われている個体は、180mmにも達っするそうです。
へラクレスオオカブトの特徴と言えば、大きな体に相応しい長い2本の角、そして黄褐色の翅です。
生息地ごとに、体の色や形が変化することも大きな特徴です。
主に南米に生息しており、熱帯に属しますが、その中でも標高1000m付近の比較的涼しい場所で暮らしています。
ヘラクレスオオカブトは体の大きさだけでなく、その強さもコーカサスオオカブトと並んで、カブトムシの中で最強だと言われています。
戦う時には、長い2本の角で相手を挟み込み、投げ飛ばしてしまうという豪快なスタイルで相手を圧倒します。
しかし、派手なファイティングスタイルとは打って変わって、へラクレスオオカブトは気が優しい性格だと言われています。
心優しくて、とてつもなく強い。
まさに、雄大な森の王者と呼ぶのに相応しいですね。
テイオウゼミ
夏の虫と言えば何が思い浮かびますか?
先ほど紹介したカブトムシやクワガタなどの甲虫も夏のイメージですが、セミも夏のイメージですよね。
その鳴き声に、うるさい!、と思った人も多いでしょう。
そんなセミの中でも世界最大のセミ、それがテイオウゼミです。
引用:https://www.jiji.com/
テイオウゼミの体長は約70~80mm、翅を開くと約150mmにもなり、最大の個体では、翅を広げた時の大きさが200mmと記録されています。
生息地は、マレーシアやボルネオ島などの東南アジアです。
暑い地域ですが、その中でも標高の高い涼しい場所に生息しています。
セミと言えば、幼虫の期間が長いことで有名ですよね。
テイオウゼミの成虫の寿命は1ヶ月ほどですが、幼虫の期間はなんと約10~15年もあるのです。
日本で見られるアブラゼミは幼虫の期間が4~6年ほどですので、それと比べると驚くほど長い期間ですね。
日本のセミは夜になると静かになりますが、テイオウゼミは夜行性です。
気になる鳴き声ですが、ウシガエルのような低い声で「ムー」と鳴くそうです。
鳴き声が聞こえる動画を1つご紹介したいと思います。
ぜひ、どのように聞こえるのか聞いてみてください。
ちなみに、このテイオウゼミですが、マレーシアでは昆虫食として食べられているそうです。
これだけ大きいですし、なかなか食べごたえはありそうですが、口にするのは勇気が要りますね・・・。
オオカレエダカマキリ
子供の目を惹くのは、やっぱり強い虫、強そうに見える虫ですよね。
夏の終わりから秋にかけて、強そうな鎌を持つ昆虫を見つけたことはありませんか?
不用意に手を出すと痛い目に合いそうなその姿、カマキリです。
少し釣り上がり気味の鋭い眼、強そうに振り上げる鎌、子供心をくすぐる虫です。
そんなカマキリの中で世界最大の種は、主にマレーシアなど東南アジアに生息するオオカレエダカマキリです。
引用:https://animalbattles.wealthyblogs.com/
名前と画像を見て、ガッカリしましたか?
「枯れ枝」なんて弱そうだし、体も細身で今にも折れてしまいそうですよね。
カマキリの強さの象徴である鎌もそんなに立派ではありません。
しかし、その顔はなかなか勇ましいものです。
引用:http://harabiro.com/
オオカレエダカマキリの体長は約20cmと、カマキリの仲間の中では世界最大なのです。
一見華奢な体ではありますが、そのサイズは折り紙付きです。
その名前が表すように、体は枯れ枝のように茶褐色で、胸や脚には緑色の葉っぱのような突起がたくさんあります。
このカマキリは、普段木の枝にぶら下がって体を揺らしているそうです。
それは、鳥などの天敵から身を隠すため、そして獲物を隠れて待ち伏せするためです。
オオカレエダカマキリは、その風貌から龍に見えるということで、「ドラゴンマンティス」という別名を持っています。
そう聞くと、何だかかっこよく見えてきませんか?
ジャイアント・ウェタ
先ほど紹介したカマキリの獲物は、バッタやチョウなどの小型の虫です。
しかし、いくら強いカマキリだろうと世界最大のバッタであるジャイアント・ウェタを食べることは容易ではありません。
引用:http://dangerous-insects.blog.jp/
見た目はコオロギに見えますが、日本で見るコオロギとは別物です。
ニュージーランド固有種で、分類上ではバッタの仲間であり、カマドウマに近縁であるとされています。
体長は10cm以上にもなり、最大で体長約20cm、重さ約70gの個体が記録されています。
見た目で凶暴だと思われがちですが、とても温厚な性格をしています。
巨大な後ろ足を持っていますが、腹部が大きく膨らんでいるために、移動速度は非常にゆっくりです。
攻撃性は皆無で、人間に掴まれたとしても逃げる素振りを見せることもないそうです。
肉食なのかと思いきや、野菜などの植物を好んで食べます。
ウェタが歩いている様子が見られる動画を1つご紹介したいと思います。
ぜひ、その大きさを感じてみてください。
アタカス・アトラス
夜の街頭、その下に立ってふと上を見上げてしまい恐ろしい目にあった人はいませんか?
夜の街頭には、その光に誘われてたくさんの虫が寄ってくるのです。
その中でも最もよく知られているのは蛾の仲間でしょうか。
蛾は世界中にたくさん種類がいますが、なんと世界最大の蛾は日本に生息するアタカス・アトラスです。
引用:http://dangerous-insects.blog.jp/
アタカス・アトラスは、日本では沖縄県八重山諸島(石垣島・西表島・与那国島)にのみ生息しており、与那国島で初めて発見されたことから「ヨナグニサン(与那国蚕)」という和名が付けられています。
アタカス・アトラスは翅を広げると約30cmもの大きさになります。
成虫は口を持っておらず、幼虫の時に蓄えた養分で生きるため、成虫としての寿命は長くても2週間ほどだと言われています。
ちなみに、その幼虫の時の姿がこちらです。
引用:http://fujukan.lib.u-ryukyu.ac.jp/
世界最大の蛾だけに、幼虫の大きさも相当です。
ちなみに、このアタカス・アトラスですが、「ゴジラ」に登場する「モスラ」のモデルになったとも言われています。
怪獣のモデルになってしまうくらい、大きい蛾ということが分かりますね。
アレクサンドラトリバネアゲハ
蛾は毛虫のイメージもあってか、毛嫌いされることが多いですよね。
しかし、同じような形をしているチョウは可愛らしいなんて表現されることが多いです。
モンシロチョウやアゲハチョウが、日中ヒラヒラと飛んでいると、のどかだな~なんて思いますよね。
では、目の前を飛んで行ったのが世界最大のチョウならどうでしょうか?
引用:https://www.t-and-t.co.jp/
世界最大のチョウとされるアレクサンドラトリバネアゲハは、メスの羽の長さで最大28cm以上になると言われています。
パプア・ニューギニアの限られた場所にしか生息していません。
メスは先ほどの画像のように茶色に黄色が混じったような、地味で目立たない体色をしています。
では、オスはどのような姿なのか、気になりますよね?
これがオスの姿です。
引用:https://www.t-and-t.co.jp/
どうでしょうか、この美しい羽!
このようにオスは、メタリックブルーの美しい色彩の羽を持っています。
アレクサンドラトリバネアゲハは、日中に活動して主にハイビスカスの花の蜜などを吸っています。
その美しい姿にピッタリの優雅な食事ですよね。
さて、次に気になるのは幼虫です。
一体どんな幼虫から、こんな大きく美しいチョウなるのでしょうか?
これがアレクサンドラトリバネアゲハの幼虫です。
引用:http://dangerous-insects.blog.jp/
幼虫は体長が12cm以上にもなり、黒い体に毛状の突起が発達していて、中央がオレンジ色をしています。
メスは、幼虫のエサとなる植物に対して1つしか卵を産まないと言われています。
というのも、幼虫は体が大きい分、食欲が旺盛で、葉の枝を幹ごと切り落としてしまうこともあるほどだと言われているのです。
あの美しさの秘密は、もしかしたら幼虫の時にたくさん食べることにあるのかもしれません。
オオベッコウバチ
チョウと同じように、花の蜜を吸いにやってくる昆虫と言えばハチです。
蜂蜜を私たちに恵んでくれている、人間とも関わりの深い昆虫です。
その一方で、非常に危険だとされるオオスズメバチなんかもいます。
では、世界最大のハチとはどんな姿なのでしょうか?
引用:http://sekaino-bukimi.com/
オオベッコウバチの体長は6cm以上にもなると言われており、その大きさはオオスズメバチをも凌ぐほどです。
このオオベッコウバチは、クモを専門に狩るハチとして有名です。
そのため、別名「ドクグモオオカリバチ」と呼ばれています。
英語では、クモを見つけるとクモに向かって一直線に急接近する様子を鷹(hawk)に見立てて、「タランチュラホーク」と名付けられています。
その名の通り、獲物とするクモは、タランチュラと呼ばれるオオツチグモ科のクモです。
この大きなクモを狩るために、体が大きくなったと言われています。
世界最大のクモと名高い、ルブロンオオツチグモもオオベッコウバチの標的となっているのです。
このハチは、主に地上を徘徊して、地中に巣穴をつくるクモを狙って、巣穴からクモを引きずり出すという習性を持っています。
巨大グモの毒牙を避け、的確に針で急所を突いて麻痺させてしまいます。
なんと、このハチの勝率はほぼ100%と言われています。
狩り終わると、クモを巣へと運び、その体に卵を産み付けます。
やがて卵から孵化した幼虫はそのクモをエサにして育っていくのです。
自分たちが食べるためにクモを狩るのではなく、子供のためにクモを狩るのです。
成虫はというと、ハチらしく花に集まって花の蜜を吸っています。
では、オオベッコウバチとタランチュラの死闘をとらえた動画を1つご紹介したいと思います。
ぜひ、オオベッコウバチの華麗な狩りをその目で見てみてください。
テイオウムカシヤンマ
昆虫の中でハンターと聞かれたら、どんな昆虫が思い浮かびますか?
先ほど紹介したカマキリやハチなどが浮かぶのではないでしょうか?
たしかにカマキリやハチもハンターと呼べるかもしれませんが、ここでご紹介する最強のハンターはトンボです。
日本最大のトンボであるオニヤンマの飛行速度は時速70㎞にも達し、獰猛な肉食性で時にはスズメバチすら捕食することがあるのです!
そのトンボの中でも、世界最大のトンボがテイオウムカシヤンマです。
引用:https://matome.naver.jp/
テイオウムカシヤンマの体長は16cm以上になると言われています。
大きいと言われるオニヤンマでさえ、体長は7cmほどです。
主にオーストラリアなどに生息しており、ムカシヤンマという名前から分かるように、原始的な特徴を残しているトンボです。
多くの進化したトンボの仲間は、生殖弁と呼ばれる器官がしっぽの近くにあり、産卵する時は水辺にしっぽをつけるような形で産卵します。
しかし、ムカシヤンマの仲間は、この生殖弁の代わりに産卵管があり、土や苔の間にしっぽを突き刺して産卵するのです。
この産卵管が、原始的な器官だと言われています。
昆虫の世界でも最もその歴史が古いと言われているのがトンボです。
そのトンボの中でもより原始的な特徴を持つテイオウムカシヤンマは、シーラカンスと同じように「生きた化石」と呼ばれています。
まさに、生き物の中の大先輩ですね。
ヨロイモグラゴキブリ
虫が嫌いな人は、ここまで読んできてはいないとは思いますが、この先さらに注意です。
皆まで言わずともお察しいただけると思います。
次にご紹介するのは、嫌われ者代表、ゴキブリです。
あの小さなサイズでもこの嫌われようです。
それが世界最大のゴキブリ・ヨロイモグラゴキブリとなったらどうでしょうか?
引用:http://dokumushi.pw/
「あー、やっぱりだめだ・・・」という人と、「あれ? 意外といける・・・」と思った人に分かれるのではないでしょうか?
日本ではあまりポピュラーではありませんが、海外ではゴキブリをペットのように飼う人も多くみられるのです。
ヨロイモグラゴキブリも海外ではペットとして人気があるゴキブリなので、多少の可愛らしさも兼ね備えている・・・かもしれませんね。
ヨロイモグラゴキブリの体長は最大8cm、体重は最大35gにもなります。
オーストラリアに生息し、その名の通り、地中に巣を作って生活しています。
その巣の中に主にユーカリの落ち葉をため込んで、それを食べて暮らしています。
巣から出るのは、エサがなくなった時だけで、人の目に触れることはめったにありません。
巣の中には、1匹のオスと1匹のメスの夫婦、その子供たちが暮らしていることが知られており、巣の中に天敵であるムカデなどが侵入すると、オスが自らの体で巣にフタをして侵入を防ぎます。
成虫のヨロイモグラゴキブリの体は、まさに鎧のごとく頑丈なので、牙を持つムカデであっても傷をつけることができません。
そんなヨロイモグラゴキブリですが、日本のゴキブリのように、人間の生活圏に侵入したり、生活に悪影響を与える可能性がほとんどないため、害虫とは考えられていません。
カサカサと素早く動き回ることはなく、羽が退化していて飛ぶこともないので、意外にもペットとして人気があるのです。
可愛いと感じた方は、ぜひ、ペットにいかがでしょうか?
ちなみに、ヨロイモグラゴキブリは胎生で母親の体の中で卵から幼虫が孵化し、体外へ出てくるそうです。。。
チャンズ・メガスティック
いよいよ最後に紹介するのは、虫の中のかくれんぼ名人、ナナフシです。
見つけようと思ってもなかなか見つからず、諦めかけたところで目の前の木の幹にいた、なんてこともあるくらい、たくさんいるはずなのに見つからない虫です。
その中でも、世界最大のナナフシが、チャンズ・メガスティックです。
引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/
このチャンズ・メガスティックの体長は56.7cmで、世界最大のナナフシであり、世界最長の昆虫です。
2008年にボルネオ島で発見された新種です。
その名は、発見者であるチャンさんの名前を取って、「チャンズ・メガスティック(チャンの巨大な枝)」と名付けられたそうです。
これまでに見つかった個体は、たったの3個体だけで、詳しい生態は未だ明らかにされていないようです。
先ほども言った通り、ナナフシはかくれんぼの名人です。
何年も見つからないので絶滅したのかと思いきや、ひょっこりと現れたり、逆にずっと人間の目に触れずにひっそりといなくなってしまったナナフシもいるかもしれません。
こんな大きなナナフシが森の中に隠れていて、2008年まで気づかないのですから、そのかくれんぼの技術の高さが分かりますよね。
山へ出かけた時に、よーく目を凝らしてみてください。
もしかしたら、もっと大きなナナフシが隠れているかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は昆虫というくくりなので、クモやムカデなどの虫たちはご紹介できませんでしたが、彼らも面白いところがたくさんあります。
嫌われることも多い虫たちですが、知れば知るほど面白いところがポンポンと出てきますよ。
昆虫に関して、少しでも興味を持っていただけたなら嬉しい限りです^^