「動物が絶滅する」ということに私たちはあまり馴染がないと思います。
なぜなら「絶滅」と聞くと不思議と昔の出来事のように聞こえるからです。
しかし、私たちが生まれてからも絶滅した動物はたくさん存在するということをこれからご紹介したいと思います。
オレンジヒキガエル
中米ユスタリカの固有種で、名前の通り体は鮮やかなオレンジ色をしている体長5㎝ほどの小さなカエルの仲間です。
標高1590m周辺にある常緑広葉樹からなる雲霧林に生息しており、地表棲では繁殖期にしか発見されなかったことから、地中に潜って生活していたと考えられています。
1987年には1500匹以上の個体と繁殖が確認されていましたが、1988年から1989年の間に11匹が確認されて以降、目撃情報がありませんでした。
元々生息域の範囲が限られており、なおかつ自然保護区に指定されていた為、環境破壊などの影響もなく、人間とは関係のない理由で絶滅したと考えられています。
有力なのは干ばつやカエルツボカビ症の流行が重なったことにより、個体数が減少したと考えられており、1990年には正式に絶滅が発表されました。
オレンジヒキガエルは全世界の絶滅両生類を探索する試みで、再発見が最も期待されている10種の1つで、科学的に需要度が高く、美しいとされています。
ジャワトラ
引用:http://nekohaku.pandora.nu/
インドネシアのジャワ島のみ生息していた小型のトラで、オスは体長248㎝、体重は100 kgから141 kg程度でメスは体重75 kgから115 kgほどです。
第二次世界大戦前まではインドネシアの動物園でジャワトラが飼育されていましたが、戦時中閉鎖されていた為、飼育下での寿命や妊娠期間は知られていないそうです。
1965年頃に反政府組織が資金源とするために狩猟したことや、いくつかの事件によってジャワトラの駆除が大規模に行われた為、多くのトラが命を失いました。
1940年代にはすでに人里離れた森林や山地に追いやられていました。
その森が野生動物の保護意識が不十分だった第二次世界大戦後の時代、チークやコーヒー、ゴムのプランテーションのために細分化されたことや、ジャワトラの餌となるシカなどの動物が減少したことも個体数の減少に繋がったと考えられています。
後の1975年、ジャワ島の人口が増加する中、主食となる米が不足し、稲作地を拡大するために次々と森林が伐採されていきました。
1938年に島の表面積の23%を占めていた自然森林ですが、1975年にはわずか8%にまで減少し、生息域を次々と奪われていきました。
これらが原因で1994年に正式に絶滅が発表されました。
ヨウスコウカワイルカ
引用:https://matome.naver.jp/
世界には淡水域に生息するイルカが4種存在し、そのうちの1種がヨウスコウカワイルカです。
およそ2000万年前にほかのイルカ類と分化して以来、長江に生息してきた固有種で、容姿は長細いくちばしに短い背びれが特徴的です。
つがい同士の10頭ほどのグループを形成して行動しており、生息地である長江の濁った水中では資料はほとんど役に立たないため、元々視力の弱いヨウスコウカワイルカは、その代わりに高度に発達したエコーロケーション能力を兼ね備えており、それを使って餌を捕獲しています。
1979年から1981年には400頭ほどの個体が生息していましたが、1990年代後半にはわずか13頭まで激減しました。
主に地元の魚の乱獲によって網に絡まるなどで捕獲されてしまったのが原因ですが、他にもボートの衝突やダムの建設、中国の工業化、川沿いにある無数の化学工場の汚染なども次々と個体数が減少していった原因と言われています。
かつては宜昌から上海近くの河口まで長江の中流から下流にかけて広く生息していましたが、三峡ダムの建設によって生息環境に被害をもたらし、洞庭湖とハ陽湖の間にある中流域の長江本流のみになってしまいました。
2002年の目撃情報が最後に、2006年個体数の維持と回復機能を失った為、機能的絶滅を宣言されました。
カリブモンクアザラシ
引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/
カリブモンクアザラシについての最古の記述は、アメリカ大陸を発見したことで有名なコロンブスによるもので、1492年の航海時にカリブ海で発見したアザラシがこのカリブモンクアザラシだったそうです。
名前の通り、カリブ海に生息しており、フロリダやバハマなどのサンゴ礁がある温暖な海を好み、海辺で群れをなして活動していました。
先住民は以前から食肉用に狩りをしており、陸上での動きが遅い為、とても狩猟しやすかったようです。
のちにアメリカに上陸したヨーロッパからの入植者達によって肉や皮だけではなく、脂肪から取れる脂を求めて次々と狩っていったのです。
さらに陸地開発が進み、生息地を侵食されてカリブモンクアザラシが好む環境は失われていった為、個体数はみるみる減少していき、ついには狩猟が不可能となりました。
そして1952年ジャマイカで目撃されたのが最後になり、1967年に絶滅危惧種に指定されました。
月日が流れ、約50年後の2008年にようやく絶滅種として正式に認定されました。
このように人間が主な原因となって絶滅させられたのはこのアザラシが初めてだそうです。
ピレネーアイベックス
引用:http://www.extinctanimals.org/
スペインアイベックスはヤギの亜種で、4つに分類され、そのうち2亜種は現在もイベリア半島で見ることが出来ます。
残りの2亜種はすでに絶滅しており、そのうちのひとつがピレネーアイベックスです。
ちなみにもうひとつのポルトガルアイベックスは1892年に絶滅しました。
絶滅の原因は狩猟の対象とされた為、200年の間に個体数が減少しました。
2000年に最後の1頭が落下した木の枝にぶつかって絶滅しました。
この最後まで生き残っていた個体から1999年に採取した皮膚サンプルのDNA
を用いて、2003年にクローン実験が行われ、208個の胚のうち妊娠したのはわずか7個でした。
そして誕生に至ったのはそのうちの1体で、その個体もほんの数分後に呼吸不全によって死亡しました。
ワキアカカイツブリ
引用:https://tokyo.birdlife.org/
マダガスカル中北部のアラウチャ湖周辺に生息していた固有種で、湖の水深は浅く、湖岸や水生植物が繁茂しており、魚類を獲って食べていました。
体は全体的に灰色で嘴は黒く、先端は淡色な容姿をしています。
全長約25㎝と羽が小さかった為、長距離飛行能力が低く、生息域が制限されていたと推測されています。
生息地の減少や、狩猟、そしてカイツブリとの交雑や人為的に移入されたプラーチョンによる影響で絶滅したと考えられており、1990年には生息数は20ペア未満と推定されていました。
1989年に目撃されたのが最後で、2010年に絶滅が宣言されました。
また、2004年以降にワキアカカイツブリが最後に目撃された場所から50mほどのところで、新種の肉食哺乳類ダレルズ・ボンツィラが発見されたことがあります。
アフリカの西クロサイ
引用:https://irorio.jp/
アフリカに生息する2種類のサイ、クロサイとシロサイの亜種で西クロサイは主に西アフリカに生息しています。
絶滅の発端となったのが、主にサイの角を狙った密猟によって数が減少したことだと考えられています。
角は漢方薬として珍重され、非常に高値で取引される為に多くの密猟者に狙われる対象とされてしまったのです。
2011年にはそれらが原因で正式に絶滅が発表されました。
国際自然保護連合によると西クロサイは推進されている保護策が取られていれば絶滅という状況を間逃れたのではないかと考えられています。
現在絶滅危惧種のレッドリストで絶滅寸前の絶滅危惧IA類に指定されているクロサイの亜種が最後に目撃されたのは2006年だそうで、クロサイ以外のサイも絶滅の恐れがあると警告されています。
その為、国際自然連合は保護策を強化しなくてはならないとしており、19世紀末に100頭に満たないほどしかいなかった南シロサイが保護努力により、現在はおよそ2万頭にまで増加したという例もあるので可能性はあるとしています。
ピンタゾウガメ
引用:https://yuuma7.com/
ガラパゴス諸島のピンタ島に生息しており、主に標高の高い乾燥した草原や低木地帯で生活していました。
大きさは最大98mにもなり、特徴的な鞍型の背甲は、高い位置にある植物を食べるのに適しており、特にサボテンの果実を好んで食べていました。
1906年以降、生存確認が確認されていなかった為、絶滅したと考えられていました。
しかし、1972年におよそ60歳と推定されるロンサムジョージ(孤独なジョージ)がガラパゴス諸島のピンタ島で発見されたのです。
なぜ個体数が減ってしまったのかというと、島に訪れた人間が食用として乱獲し、さらにヤギやブタなどを持ち込んだことによって生息環境に影響を与え、植生パターンを破壊してしまったからなのです。
そして2012年にロンサムジョージは死亡し、絶滅しました。
死亡時の年齢は100歳を超えていたと推定されています。
最近になって、アメリカにあるイェール大学の研究チームがエクアドル領ガラパゴス諸島の各地でゾウガメの研究を実施したところ、ピンタゾウガメのDNAを受け継いでいる個体見つけたという報告があり、もしかするとどこかでひっそりと暮らしている可能性が出てきました。
ミヤココキクガシラコウモリ
引用:https://matome.naver.jp/
日本の固有種でオキナワコキクガシラコウモリの亜種とされており、宮古島や伊良部島に生息し、宮古方言では「カートゥイ」とも呼ばれていたそうです。
前腕長が38㎜から39㎜、頭胴長が36㎜から37㎜と国内のコキクガシラコウモリ類の中では小型な種類です。特徴は耳と尾が他の種類と比べると少し短く、体毛がやや淡い色をしています。
絶滅の原因は、土地改良や観光目的で巣となる洞窟が破壊されていき、餌の住みかとなる広葉樹が次々と伐採されたことにより餌が不十分になった為で、約10年間という短期間で急激に個体数が減少していったと考えられています。
最後に目撃されたのは1971年で、その後の調査などでは確認されず、2012年公式に絶滅したと判断されました。
ニホンカワウソ
引用:https://www.asahi.com/
ユーラシアカワウソの亜種で、昔は日本に広く生息していました。
ニホンカワウソの上質な毛皮は保温力がとても優れており、それを目的に昭和初期から私たち人間による乱獲が行われるようになりました。
そこでこの乱獲を止めようと1928年にニホンカワウソの捕獲禁止令が発令されました。
高度経済成長期で周辺地域の開発や河川の工事により生息域が減少したことによって、生態系に大きな影響を及ぼし、四国の愛媛や香川の沿岸部、高知県南西部の沿岸部にわずかな生息数を残すのみとなりました。
また、農薬や排水による水質悪化により、ニホンカワウソが住みやすい環境が次々と奪われたことによる環境の変化によって個体数が減少したことが原因だと考えられています。
1980年代から急激に目撃情報が少なくなり、1975年の愛媛県宇和島市九島で保護されたのが最後で、その後2012年に絶滅が公式に発表されました。
2017年に長崎の対馬でニホンカワウソが撮影されたというニュースがありますが、その映像からは本当にニホンカワウソであるかどうかは断定できないそうです。
まとめ
こんなにも最近になって絶滅した動物がいたなんて驚きですよね。
しかし残念ながら、地球環境の変化やそして私たち人間によってこれからも絶滅動物は増え続けてしまいます。
小さな事でもいいので、私たちに出来ることは何か考えながら毎日を過ごしてみてはいかがでしょうか?