コンドルは、タカ目コンドル科に属する鳥類(猛禽類)の総称です。
数ある種のコンドルの中でも、世界で最も大きな鳥とされるコンドルは、南米に生息するアンデスコンドルです。
コンドルの知られざる生態
世界一の大きさを誇るアンデスコンドルは、南米コンドルとも言われ南アメリカ大陸のアンデス山脈(コルカ渓谷)でよく見られます。
寿命は人工飼育下で75歳まで生きたコンドルもいますが、自然界では約50歳と言われています。
コンドルは5~6歳まで発情期がない為、繁殖のペースは遅くなります。
一生を同じパートナーと過ごし、巣は標高3000m~5000mの絶壁にある岩陰に作られます。(一途で仲良し夫婦です♡)
2、3年に1回卵を産み、卵の周りに何本かの棒切れを上手く置きます。色は青白く、重さは約280g、長さは約7.5cm~10cmです。
両親が見守る中、54~58日でふ化し、1羽か2羽のヒナが誕生します。
子供は親鳥と同じ大きさになるまで白っぽい羽毛で覆われ、エサは半消化状の物を親から与えられます。
飛べるようになるのは生後半年くらいですが、2歳になるまでは巣で過ごし親からエサの探し方を教えられます。
コンドルの行動範囲は、巣やねぐらの周囲に広く持ち、エサを探して日に250km~500kmも移動する事があります。
が、いつもエサをみつけられる訳ではなく何も食べずに数日を過ごす事もあります。
エサを見つけた日には2~3kg食べ、たまに体が重くなって気流に乗れず飛び立てなくなる事もあります。
コンドルの大きさ
コンドルは空を飛べる鳥の中では世界最大と言われており、その大きさは体長1~1.3m、体重11~15kgで、翼を広げると最大、端から端までが約3mにもなります。
翼の幅は極端に大きく、面積がとても広い翼となっています。
これは、身体が大きすぎて自力で飛び立てないので、風の力を借り上昇気流に乗って大空へと飛び立つためです。
成鳥は、その殆どが黒く翼に白い斑紋があります。又、雄には首周りに白い羽毛があります。
足は、真ん中の指が大きく発達し、他の指は、わずかにあるだけで爪は真っすぐに伸びて鋭くありません。
ということはコンドルの足は歩く事に適しているけど、捕獲には適していないという事です。
コンドルの特徴
コンドルの体の特徴で最も気になるあのハゲた頭ですが、実は理由があります。
コンドルやハゲワシ等、頭がハゲた鳥は死肉を食料としています。
死んだ大型動物の体内に、頭を突っ込んで食べるので、腐敗していく死体から発生した様々な浸出液、血液等で頭から首が汚れます。
頭に羽毛があると汚染され不衛生になるので、それを防ぐためにハゲています。又、食後の乾燥を早め高地の強い紫外線を浴びる事で、殺菌効果を得ているとも考えられています。
ハゲた頭には他にも大切な役割があると言われています。
ハゲた部位には血管が密集していることから、体温調節をしているのではないかとされています。
雌の頭の上は平たく、雄はイボ状かクシ状になっていて、皮膚は感情によって血流が変化し、しばしば赤くなります。
これは互いのコミュニケーションをはかっていると考えられています。
コンドルの雑学
コンドルはボリビア、チリ、コロンビア、エクアドルの国鳥になっています。
南米の神話や伝説、フォルクローレ(民族音楽)にも登場し、重要な役割をしています。
例えば、インカ帝国最後の皇帝トゥパク・アルマが自身の死後はコンドルに生まれ変わったとう伝説があり、音楽では「コンドルは飛んで行く」が知られています。
未だ解明されていないナスカの地上絵の中にも描かれています。
天空都市マチュピチュは、背景の山を登って遺跡を見降ろすとコンドルの形になっているのです。
これはインカの人々が、コンドルを神の使いである聖鳥として崇め、大切にしていたからだとされています。
日本では1975~1976年にかけて、黄金の国エルドラドを探して旅をする少年の物語が、テレビアニメーションとして放送さていますが、ここにも黄金色のコンドルが登場していました。
遠く離れた日本でもコンドルは人々を魅了しているのです。
コンドルは準絶滅危惧種
準絶滅危惧種とは、IUⅭNのレッドリストなどで定められている保全状況の一つです。
今すぐ絶滅の危機はなくても、その危険性は極めて高いものです。
コンドルが数を減らしてしまったのは、人の思い違いで儀式に利用されていた頃があり命を落としてしまったコンドルが、たくさんいるという事も原因の1つとされています。
人が狩りで仕留め損ねた動物は、鉛の弾丸を体内に残したまま死んでしまいます。
これを食べたコンドルは中毒を起こし死んでしまうのです(p;)
又、塩素系殺虫剤の大量使用により、環境が汚染された結果、食物連鎖に影響を及ぼし生息地の破壊をしています。
人の行動の全てが数を減らす要因となり、コンドルも近い将来、姿を消してしまう生き物として登録されたのです。
アンデスコンドルは、数千羽が生息しているとされていますが数を増やす為に、人工飼育下にあるコンドルの野生への再導入プログラムが実行されています。
優雅に大空を舞うコンドルの姿が見られないなんて考えたくありませんよね。
コンドルがいる動物園
1957年、「とくしま動物園」(徳島県徳島市)が当時開園した時に、ペルーから野生種の2羽のコンドルがはるばるやって来ました。
雄の「ミスターチカラ」(2009年12月22日死去)と雌の「マユ」(2008年11月11日死去)の夫婦です。
徳島に来た時の年齢は、推定10歳以上だったと考えられています。
この2羽は子だくさんで、長寿動物として登録されています。
ミスターチカラは、日本国内の雄のコンドル最長寿にもなりました。
現在2羽の子供と孫が飼育員さんのあたたかな愛情の元、大切に飼育されています。
とくしま動物園では、2015年4月29日開園記念日の日に新しい命が誕生しました。
一般公募の中から選ばれた「ココ」という名を付けられ、他のアンデスコンドルと共に県民が見守る中、飼育員さんに愛情いっぱい育てられ元気で過ごしています。
まとめ
コンドルは動物園やテレビ、音楽でも親しまれているので、とても身近に感じている方が多いのではないでしょうか?
こうして見てみると実は、意外と知らないことがいっぱいある謎めいて神秘的な鳥なんだと、もっともっと興味が湧いたのではありませんか?
出来れば大空を舞うアンデスコンドルに会ってみたいですね。
又、准絶滅危惧種だったというのは驚きです。
コンドルも含めた、多種多様な生き物が姿を消してしまわない為に自然を壊さないよう、一人一人が出来る事からして生きて行きたいものです。