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【生きた宝石】世界の綺麗な昆虫12選

世界には多くの昆虫が存在しています。

見つかっているだけでも100万種を超えるほどです。

多様な進化を遂げた彼らの中には、極めて特徴的な形や能力を有した種がいます。

今回は、そんな昆虫たちの中から、綺麗な外見を持った昆虫たちを12種ほど選び、ご紹介いたします。

1.モルフォチョウ


引用:https://upload.wikimedia.org/

北米南部から南米に幅広く分布する美しい蝶です。

世界一美しい蝶とも呼ばれています。

様々な亜種が存在していますが、多くの種に翅のメタリックな青が特徴です。

とても美しい蝶ですが、毒蝶で意外にも動物の死骸やキノコなどを好む傾向があります。

モルフォチョウが食べる植物などに毒があることがあり、体内には毒が溜まっているのです。

人間は、モルフォチョウを食べなければ、その毒の危険に晒されることはありません。

その翅は美しいですが、裏側は何とも地味です。

羽ばたいている時は美しいですが、翅を閉じて、どこかにじっとしている時は枯れ葉に紛れ込むほどです。

翅の鮮やかな青は色素に由来していません。

鱗粉や翅の構造が青い光を選択的に反射することによって、我々の目にはその青だけが映ります。

もしも水や油をかけて、光の屈折を調整してしまったりすると、この美しい青は失われてしまうのです。

世界一綺麗な蝶と謳われるほとの美しい蝶ですが、花よりも動物の死骸やキノコを好んだり、毒蝶であったりと意外な側面を有しています。

2.ハナカマキリ


引用:https://upload.wikimedia.org/

東南アジアに分布する、花に化けた美しい捕食者……それがハナカマキリです。

蘭の花に化けるその姿は、あまりにも花弁に酷似しているため、注意して見なければ、人間もハナカマキリの存在に気づくことはないでしょう。

この美しい昆虫はカマキリであるため、もちろん肉食性です。

花の蜜を目当てに花畑へと飛来するハチやチョウなどの昆虫類を、待ち伏せして補食することを得意としています。

しかし、最初からその狩りを行えるわけではありません。

ハナカマキリは脱皮を繰り返し、成虫に近づくほどに花の姿へ似ていきます。

幼虫の頃は、それほど花には似ていないのです。

ですが、あなどることは出来ません。

幼虫のアゴには獲物となるミツバチを誘引する物質を放つ仕組みがあります。

幼虫は化学物質を放つことで、獲物となるミツバチを誘っているのです。

成虫はその花に似せた姿で花畑に潜み、幼虫はにおいでミツバチを騙して補食しています。

美しいだけではなく、極めて有能なハンターと言える昆虫なのです。

3.ニジイロクワガタ


引用:tukiyono.co.jp

名前の通り、虹のような七色に輝くクワガタ、それがニジイロクワガタです。

オセアニアに生息していますが、主な棲息地はオーストラリアのクイーンズランドです。

体長は30ミリメートルから60ミリほどで、成虫になってから一年から一年半ほど生きます。

特徴的なのは光沢のある姿と、他のクワガタ類に比べると小さな頭部です。

頭部は小さいからといって他のクワガタにアゴで挟む力で劣ることはありません。

しかし、挟むよりも相手の体の下にアゴを差し込み、跳ね上げるような攻撃を行います。

カブトムシの角のような使い方をするわけです。

その鮮やかな色合いから目立ってしまい、捕食者に襲われそうなものですが、昼行性の彼らはその色彩そのものが昼間の森では迷彩として機能しているのではないかという説もあります。

また光を反射することから体温調節に役立っている、鳥にとっては光を反射して次々と変わる色調がストレスになる……など、その美しさには多くの機能が秘められているようです。

4.ヤマトタマムシ


引用:https://upload.wikimedia.org/

日本本土に幅広く分布しているヤマトタマムシも、とても美しい光沢を持つ虫です。

その美しさから古来より珍重されており、法隆寺の宝物である『玉虫厨子』には、4500匹以上のさや羽が使われていたと推定されています。

草食性の虫であり、成虫はエノキの葉などを食べます。

環境の変化に敏感な昆虫で、その飼育はとても困難とされています。

成虫の寿命は、わずか一ヶ月ほどです。

七月下旬から八月、日差しの強い日に活動的になります。

光を反射し、目立ちますが、天敵である鳥にはその輝きを嫌う性質があり、堂々と飛べるというわけです。

卵はエノキ、リンゴ、ナツメなどの木に産み付けられて、幼虫はそこで孵化します。

幼虫はそれらをエサとして食害してしまうのですが、幹の奥深くを食べるために、表面からはその被害状況が分かりにくいのです。

倒木の原因となることもあります。

5.クラウディナミイロタテハ


引用:http://www.danske-natur.dk/

赤、青、黒の美しい三色の翅が特徴であるクラウディナミイロタテハは、コロンビアからブラジルに幅広く分布している蝶です。

標高200から600メートルの、森林地帯に生息しています。

翅を広げた大きさは80ミリメートルほどです。

丸っこい胴体をしていますが、かなりの高速で高所を飛び回るため、虫取り網での採取は困難とされています。

腐った果実などを好むために、それを使ったトラップなどで捕まえるのが効率的です。

古来よりコレクター・アイテムとして高値で取引されて来たチョウであり、現在でもその標本は高価です。

美しい見た目でありながらも、その食性は腐敗物を好み、そのうえ人糞にも誘われるという性質を持っています。

ですが、不思議なことに旅行客などの人糞に対しては反応を示さずに、現地の方の人糞にのみ集まってくるようです。

6.ナナホシキンカメムシ


引用:https://www.insects.jp/

緑色に輝く体に七つの星。

つけ根が赤く、その先が青い脚。

そんな特徴的な美しさを持つカメムシが、ナナホシキンカメムシです。

ナナホシキンカメムシは台湾や東南アジアに分布していますが、国内では沖縄や八重山諸島などで見ることも出来ます。

体長は16ミリメートルから20ミリメートルと、本州などに生息しているカメムシと同じようなサイズですが、その体はやや丸っぽく厚みがあります。

美しい見た目ではありますが、やはりカメムシ。

ナナホシキンカメムシも、くさい臭いを放ちます。

カラフルなナナホシキンカメムシですが、なんと死ぬと色が青く変わってしまいます。

色鮮やかな昆虫たちは、体表面の構造に当たる光を反射させることで、その色を作りあげている場合があり、ナナホシキンカメムシの体色もそういった仕組みで作られています。

死骸になり乾燥すれば、体表から水分が失われてしまうため、体表上の構造が変化してしまい、その色までが変わってしまうのです。

しかし、死骸を水にしばらくつけておくと、体色が生前の色に近づきます。

7.グラントシロカブト


引用:https://dorcusdanke.itembox.design/

グラントシロカブトの生息地域は、アメリカのアリゾナ州にある砂漠地帯です。

その体長は最大でも70ミリメートルと、日本のカブトムシと同じような大きさです。

その特徴はカブトムシとしては珍しく、全身が白いことになります。

人為的に交配を重ねたグラントシロカブトは、その白さをより深めています。

グラントシロカブトという名前の由来は、二つの説があるようです。

一つは南北戦争の総司令官であり、第十八代大統領のグラント司令官に由来しているという説です。

もう一つは、生息地である「Frot Grant(アリゾナ州)」に由来するという説があります。

後者の方が、近年では有力視されているようです。

ちなみに、最長のカブトムシである、ヘラクレスオオカブトとは近縁種にあたるため、両者のあいだで人為的に交配することも可能です。

そうして作られた雑種は、中型のヘラクレスに似た大きさにの個体になります。

8.チョウトンボ


引用::https://upload.wikimedia.org/

体長は約30ミリメートルという、小さなトンボですが、その翅は体に比べて太さがあります。

とくに後ろの翅が大きいのが特徴的です。

ヒラヒラとまるでチョウのような飛び方をすることがあることから、チョウトンボと名付けられました。

チョウトンボは日の光が当たると、その角度によって様々な色へと変化します。

オスよりもメスのほうが、その輝き方が強いのです。

後翅の先端にある透明部分が、メスの方が大きいのも特徴です。

チョウの名が与えられてはいるものの、トンボには違いがなく、その食性は当然ながら肉食です。自分よりも小さな昆虫類を捉えて食べてしまいます。

国外では朝鮮半島、中国に分布し、国内では本州、四国、九州にかけて分布しています。

生息数は減少傾向にあります。

種全体が滅びるということは今のところなさそうですが、見かけることの出来ない地域は広がっていきそうです。

首都圏では準絶滅危惧種にしている県も多く、神奈川県では絶滅危惧種1B類に指定されています。

9.キイロテントウ


引用:https://blogs.yahoo.co.jp/

キイロテントウは体長5ミリメートルほどの小さなテントウムシです。

黄色い体と白い頭がとても愛らしい昆虫です。

どこかパンダを彷彿とさせる、愛らしい黒い斑点を持っています。

キイロテントウが持つ個性的な点に、『食菌性』というものがあります。

キイロテントウは、テントウムシ科テントウムシ亜科カビクイテントウ属に所属してます。

彼らは、カビを食べる昆虫なのです。

一般的なテントウムシはアブラムシなどを捕食して食べる肉食性ですが、キイロテントウは植物についた菌をエサとしている益虫です。

植物の葉などに付くカビ、うどんこ病の菌などを食べてくれています。

キュウリうどんこ病に対する防除試験では、葉っぱについていた全てのうどんこ病の菌を食べ尽くしてしまったこともあります。

ですが、全ての植物についた、うどんこ病菌を食べてくれるわけではないようです。

キュウリ以外にも、ゴボウ、イチゴ、カキ、クワ、ウリ類などのうどんこ菌を好んで食べてくれるようです。

10.テングビワハゴロモ


引用:https://upload.wikimedia.org/

テングビワハゴロモは東南アジアなどに生息する、セミの近縁にあたる昆虫です。

その体長は60ミリメートルほどです。

セミの仲間ですので木に止まり、飛翔することも可能です。

ただし、セミのように樹液を吸うのではなく、フルーツの果汁を好みます。

特徴的な『鼻』ですが、赤だけでなく緑など色もいます。

生息地や時期によって、どの色が多いかが異なって来るようです。

ちなみに、この鼻をへし折って、そこから体液を吸うと甘い……というウワサがあるようですが。

試された方によれば体液を吸えない、その体を食べればピーナッツに似ている、との体験談もあります。

しかし、甘かったと証言される方がいるのも事実。

もしかしたら、果汁を吸った直後なら、甘い汁を飲むことが出来るのかもしれません。

セミの仲間なので、おしっことして不要な水分を放出しています。

常に大量の体液が貯蔵されているとは思えませんので、内臓を吸い上げる勢いで吸い取れば、甘みが味わえるのかもしれません。

中南米にいるユタンビワハゴロモにも、その角が光る、ユカタンビワハゴロモに噛まれたら好きな異性と結ばれなければ死んでしまう、などの言い伝えがあります。

実際のところ角は光りませんし、噛まれることもありません。

ビワハゴロモたちの不思議な角は、人の心に不思議な物語を創作させる魅力があるのかもしれません。

……しかし、ユカタンビワハゴロモのおしっこには、蛾が寄って来て、それを飲んでいるのではないかという説もあります。

彼らの体液は、もしかすると甘いのかもしれません。

11.カブトハナムグリ


引用:https://upload.wikimedia.org/

カブトハナムグリはボルネオ島に生息する、コガネムシ科の昆虫です。

体長は30ミリメートルから50ミリメートルです。

角があるのはオスだけで、メスにはありません。

角と背中と足の一部が赤みがかっているものの、全体的には緑色の金属光沢があり、とても美しい昆虫です。

この昆虫の最大の特徴は、カブトムシに極めて似た外見をしていることです。

ハナムグリの仲間には、角をもつ種は多くいますが、頭部からだけではなく、胸部からも角を生やしているのはカブトハナムグリだけです。

しかし、カブトムシに似ている姿をしてはいますが、その習性は大きく異なっています。

夜に行動するカブトムシとは異なり、カブトハナムグリは昼行性の昆虫であり、飛翔する能力にも長けています。

食料にしているものも樹液ではなく、花の蜜です。

長い前脚は花の咲いた枝先へと、細い枝を伝って歩くことに向いているのです。

習性だけ見れば、カブトハナムグリは、カブトムシではなく、カナブンに近い昆虫なのです。

11.カイコガ


引用:https://upload.wikimedia.org/

とても愛くるしい見た目をしています。

蛾の類は嫌われがちですが、このカイコガなら可愛らしいという評価も得られるのではないでしょうか。

カイコガは完全に人類が飼いならしてしまった結果、野生への回帰能力を失った唯一の生物でもあります。

エサがなくても逃げ出すこともなく、幼虫の足の力は弱く、枝や葉っぱを強く握りしめることさえ難しいのです。

なんと、成虫の翅も羽ばたきはしても空を飛ぶことはないのです。

もはやカイコガは自然環境に適応する能力はなく、自然に放てば、自立して生き抜くことはありません。

完全な家畜であり、自然界には存在が許されない生物なのです。

絹糸を生産する目的で、人類が大昔から飼育して来た結果、人類に依存しきった存在となってしまいました。

繭から羽化して成虫になったカイコガは、食事をすることもなく、ただ交尾をして産卵を成し遂げ、羽化した後は、わずか十日で死に絶えてしまいます。

12.ザンマラ・サマラギーナ


引用:http://karapaia.com/

エクアドルなど中米の赤道付近に生息するザンマラ・サマラギーナは、ターコイズカラーの非常に美しいセミです。

そのターコイズカラーの体色と、透明な翅と、その尖端部分に黒い斑点があるのが特徴です。

まるで古典的なドラキュラの衣装のような『襟付き』であることも、ザンマラゼミたちの特徴です。

目の外が、特徴的に大きく横に張り出しています。

美しい斑紋が走っていることも、デザイン上の魅力と言えるでしょう。

そして、セミ全体の特徴でもある五つの目も、このセミの造形的な魅力を深めているように思えます。

大きな左右の目の眉間にある、三つの単眼……光りを感じるための赤い三つの目も、ターコイズカラーの体色と合わさることで、神秘的な雰囲気を醸し出しています。


引用:http://karapaia.com/

これほど造形的な魅力に富んだセミは、他にはいないと思います。

しかし、これほど美しいセミであるというのに、何故かネット上の記述が少ないのです。

新種というわけではなく、1850年に発見されているようですが、調べても情報が見つからないのが、このセミの最大の謎かもしません……。

まとめ

今回、紹介した12種類の昆虫たちは、見た目も美しいものたちですが、その生態や能力にも興味深い点が数多く存在しています。

美しい蝶たちの意外な食生活や、何のためにあるのかも分からない角。

カイコガやキイロテントウ、ヤマトタマムシのように人間に大きな利用価値がある昆虫たちもいれば、ハナカマキリのように特殊な手段で狩りを行っているものもいます。

昆虫たちの美しさに潜む謎に対しては、まだまだ研究が行き届いてはいません。

ですが、それだけに、これからも日進月歩で色々な謎が解かれていくと思うと、ワクワク出来ますね。

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