春、美しい花を咲かせて我々を楽しませてくれる桜の木。
お花見を楽しんだ人も多いのではないでしょうか?
そして桜の花はだんだん減っていき、新緑の葉が育っていきます。
しかし、新緑に見惚れて見上げていると、厄介な生き物が降ってくる危険があります。
大量発生すると木の付近に近づくなと注意書きがされることもあります。
このように、「毛虫」は嫌われ者の代表格のように思われます。
ここでは、嫌われ者の毛虫の中でも特に危険だと言われるものをご紹介します。
第5位 サザンフランネルモス
引用:http://karapaia.com
サザンフランネルモスという蛾の幼虫で、「プス・キャタピラー」とも呼ばれます。
「プス・キャタピラー」という名前は、可愛らしいネコ(puss)に似ていることから付けられたと言われています。
その名の通り、柔らかそうなふさふさの毛に覆われています。
もふもふしていて、触りたくなるような見た目をしていますが、うっかり触ってしまうと大変なことになります。
このふさふさした外側の毛の下には、猛毒を持つ小さなトゲが隠れていて、触れたものに突き刺さるのです。
北アメリカで最も強い毒を持つ毛虫の一種だと言われており、人間の皮膚にトゲが刺さると激痛を伴います。
実際に刺された人によると、骨折あるいは鈍器で殴られた時の痛みと似ているとのことです。
刺された部分の痛みだけで済む場合もありますが、多くの場合は症状が重く、吐き気や頭痛、腹痛、発疹、水ぶくれなどが見られ、胸の痛み、しびれ、呼吸困難などを起こして、最悪死に至ると言われています。
刺された場合、確立した治療法は未だないとされています。
しかし、刺された部分にセロハンテープを貼って剥ぎ取るなどしてトゲを取り除くようにすると、痛みが軽減する効果があると言う学者もいます。
ちなみに裏側は毛が生えていません。
引用:https://matome.naver.jp
裏側は少し気持ち悪いですが、動きはゆったりしていて何となく可愛らしいです。
成虫は、「サザンフランネルモス」と呼ばれる蛾です。
成虫になっても幼虫の頃の名残なのか、体にふさふさした毛が生えています。
引用:http://dangerous-insects.blog.jp
サザンフランネルモスは、幼虫も成虫も滅多に見つけられないと言われています。
しかし、もし見つけても絶対に触ることのないようにお気を付けください。
第4位 サドルバック・キャタピラ
引用:https://matome.naver.jp
サドルバック・キャタピラは、背中にサドルのような模様がついていることから、このような名前がついたと言われています。
北アメリカに生息しており、緑色と茶色の色合いが美しい毛虫です。
サドルバック・キャタピラを横から見ると、おしゃれな抹茶ケーキに見えるという意見もあるほど鮮やかな色をしています。
引用:http://japontimes.livedoor.biz
しかし、美味しそうだからといってうっかり触ってしまうと大参事。
大きさは2~3cm程ですが、写真から分かるように両端の角のような突起と、脚に見える部分には毒を持つ毛が突き立っており、触ると容赦なく皮膚に毛が刺さります。
引用:http://japontimes.livedoor.biz
サドルバック・キャタピラに刺されると、皮膚に腫れや痛みが現れ、時には吐き気が数日間続き、皮膚に発疹が残る事もあるとされています。
毛が刺さってしまった場合は、毒が広がる前に早めに毛を抜いてしまうことをおすすめします。
ちなみに、幼虫の時はこんなに鮮やかな色をしていますが、蛾になると何とも地味な色合いになります。
引用:https://dailynewsagency.com
第3位 マツノギョウレツケムシ
引用:https://dailynewsagency.com
マツノギョウレツケムシは、猛烈な勢いで増殖を続ける森の侵略者と呼ばれています。
この写真を見ると、とんでもなく長い1匹の毛虫のように見えますが、実は小さな毛虫が集まって行列を作っているのです。
ヨーロッパに生息しており、何千年もかけて南から北へと生息域を広げていきました。
マツノギョウレツケムシが巣を作るのは名前の通り、松の木であり、松の葉を食い荒らして一帯の森を丸裸にしてしまうのです。
幼虫は生まれた瞬間から松の葉を食べ始めます。
100匹から150匹程の集団となり、食べ物にありつくために本能的に行列を作ると考えられています。
捕食者に襲われる可能性を低くするために、日が落ちてから巣を出ます。
目はほとんど見えていませんが、嗅覚は非常に優れており、食べ頃の葉の匂いをかぎ分けて食糧にありつくのです。
多くの動物は冬の間は絶食しますが、マツノギョウレツケムシは冬であっても決して食べることをやめません。
マツノギョウレツケムシの毛は人間にとっても有毒です。
行列をなす毛虫たちは、危険を察知すると体を丸めて背中の袋を開け、毒のある毛を大量に噴出するのです。
空中に放出された毛は何かしらの物体にぶつかると壊れて、中から毒が放出されます。
毛は極小であり、皮膚に刺さったとしても気づかないことが多いとされています。
この毒に触れると、蕁麻疹が現れるという報告があります。
さらに、ばらまかれた毛は50年も毒性を保つと言われており、毛虫がいなくなっても身近に毒を持った毛が潜んでいることがあるのです。
ちなみに、成虫であるマツノギョウレツケムシガは、たったの1日しか生きられません。
成虫は与えられた1日で、交尾をして子孫を残すのです。
第2位 シナバーモス
引用:https://www.imagenesmy.com
シナバーモスという名前の幼虫であるこの毛虫は、黄色と黒色の縞模様からも危険だということが伝わってきます。
シナバーモスは、幼虫に負けず劣らず色鮮やかな体をしています。
引用:https://en.wikipedia.org
大きさは2~3cm程度ですが、その鮮やかさに思わず目を奪われてしまいます。
蛾は普通夜に街頭の明かりなどに誘われるように飛んでいますが、シナバーモスは日中に飛び回るという変わった習性を持っています。
シナバーモスの幼虫は、毒のある植物であるオグルマの花を好んで食べるとされています。
オグルマの花はキク科の植物で、茎の先にタンポポのような花を咲かせる雑草です。
引用:http://plants.minibird.jp
この毒のある植物を食べて育つために、成虫になってもその体に毒を保有しています。
そのため、幼虫になっても成虫になってもほぼ外敵はいません。
最初はヨーロッパや西・中央アジアだけに分布していましたが、オグルマを駆除するためにアメリカやニュージーランドに導入されました。
シナバーモスの幼虫に刺された場合、軽~中程度の症状で済むことが多いとされていますが、まれに喘息発作や致命的な腎不全を起こすことがあると言われています。
また、軟骨に慢性的な関節炎をもたらすというケースも報告されています。
第1位 ベネズエラ・ヤママユガ
引用:https://dangerous-creatures.com
中南米の熱帯雨林に生息しているベネズエラ・ヤママユガの幼虫は、毛虫の中では間違いなく最強の毒を持っていると言われています。
ベネズエラ・ヤママユガの毒毛で命を落とした人は500人以上だと報告されています。
幼虫の大きさは5cm前後で、全身が痛々しいトゲで覆われています
体色は周囲の環境に合わせて変えることができ、緑色や黄色、赤色、茶色など様々です。
引用:http://takashi1016.com
基本的にはジャングルの奥地に生息しており、人間と接触する機会はほとんどありません。
しかし、近年では環境破壊などが原因で、人間が住んでいる地域にも生息するケースが報告されているそうです。
成虫になると、翅を広げた場合の大きさが15cm前後で、色は茶色と地味な色になります。
4枚の翅を広げた際に横に黒色の線が入っており、遠くから見るとまるで枯葉のように見えます。
引用:https://kikenseibutsu.info
成虫は毒を持たないため、枯葉に擬態することで鳥などの外敵から身を守っているとされています。
成虫になってからは1~2週間程度しか生きられず、幼虫の時に蓄えた栄養をもとに子孫を残すことに力を注ぎ、短い生涯を終えます。
ベネズエラ・ヤママユガの幼虫は、マムシやハブなどと同じ抗凝血性の出血毒を保有しています。
この毒を持つ毛に刺されると、傷口からの出血が止まらなくなり、内臓出血や脳内出血をも引き起こし、腎臓を破壊されて腎不全となり、最悪の場合死に至るとされています。
最近になってようやく血清が作られ、死に至る人は少なくなったと報告されています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
日本にも、イラガやドクガの幼虫が潜んでおり、年によっては大量発生することもあります。
毒を持つ毛に刺されてしまうと、死には至りませんが、しばらくかゆみや痛みに襲われますので決して触らないようにしてください。
海外旅行で毛虫を見つけた場合、日本の毛虫のように生易しい毒でない可能性が高いので、興味本位で触らないように!