オタマジャクシと言えばカエルの幼生の姿で、日本でも水田や池といった場所でよく見られ、親しまれてきました。
子どものころ、小さくゆらゆら泳ぐ姿に愛着を持った方も多いと思いますが、あまりの大きさに愛着どころか恐怖をも感じてしまいそうなオタマジャクシもいます。
危険な外来生物を捕獲するために、池の水を全部抜いてしまうというテレビ番組がたいへん人気を集めていますが、アメリカでは桁違いの外来生物が、ひざの高さほどに水抜きした池から見つかったと、衝撃とともにたいへん話題となりました。
アメリカのアリゾナ州で見つかった巨大オタマジャクシ
http://karapaia.com
2018年の3月、アメリカのアリゾナ州で、自然史博物館のボランティアによって見つかったオタマジャクシは信じられないサイズで、研究者によると科学文献など記録されている中で最大だったと言います。
この巨大なオタマジャクシは、ウシガエルの幼生と見られ、アリゾナ州南東部のとある私有地の池で増えすぎたウシガエルを捕獲するために作業している中で見つかりました。
池に入って泥水の中でウシガエルを除去する作業をしている際に、大きなナマズのようなものが足元に触れました。
その生き物をすくい上げてみるとビックリ、片手では持ちきれないほどの大きさのオタマジャクシだったの言うのです。
そのオタマジャクシを発見したグループの一人である、アリゾナ大学天然資源および環境科の博士課程の学生であるアーリン・マギーさんが、2018年6月にその大きさを伝える画像をTwitterで発信したところ、驚きの声などで大きな反響が巻き起こりました。
Twitterの投稿以来、13000件を超える「いいね!」を獲得し、600件余りの興味深いコメントが寄せられました。
この巨大オタマジャクシは、旧約聖書に登場する巨人の名前からとって、”ゴリアテ君”とネットユーザーの間で命名され、どんなカエルになるかと期待されました。
ウシガエルとは
https://ja.wikipedia.org
ウシガエルは無尾目アカガエル科アメリカアカガエル属のカエルで、アメリカ合衆国の中部・東部や、カナダの南東部、メキシコ北東部に生息しています。
食用ガエルとして世界中に持ち込まれ、外来生物として分布しています。
ウシガエルの体長は11~18cmほどの大型のカエルで、昆虫から節足動物、魚類、両生類、小型の爬虫類や哺乳類まで、口に入る動物ならなんでも食べてしまうという貪欲さを持っています。
この貪欲さのため、在来種のカエルの減少につながり、生態系を破壊する危険な動物として知られ、世界中に厄介者扱いをされています。
ウシガエルのオタマジャクシは、6cmくらいから成長すると12~15cmくらいになります。日本ではウシガエルが食用のカエルとして輸入されてきましたが、オタマジャクシまでも「おたま寿司」と銘打って、寿司のネタにして食べていたという記録があります。
ウシガエルの日本への影響
https://ja.wikipedia.org
日本でも増えすぎたウシガエルが問題になることもあります。
ウシガエルの産卵は、一度に最大40000個にもおよび、孵化したオタマジャクシは越冬をして、孵化した翌年にカエルへと変態することが多く、うまく繁殖ができると多くの個体が密集して生息します。
日本に生息している、ニホンアマガエルのオタマジャクシは5cmほど、トノサマガエルは7cmほど、それに対してウシガエルのオタマジャクシは12~15cmなので、大きさは圧倒的です。
ウシガエルの侵入によって、以前から生息していたモリアオガエルがいなくなってしまった池や、トノサマガエルなどと餌をめぐって競争が起こるなど、日本でも生態系への影響が深刻なものとなっています。
超巨大オタマジャクシの巨大化の原因
http://karapaia.com
そんなウシガエルのオタマジャクシがアメリカのアリゾナ州で発見されたのですが、そのサイズは信じがたいものでした。
それは手のひらには乗り切らず、中型のバナナと比較して同じくらいのサイズだったのです。
このオタマジャクシが驚くべきサイズで生まれたことについては、多くの研究者が見解を示していますが、ある特定のホルモンバランスの乱れによって異常成長が生じたという見解に落ち着いているようです。
何らかのホルモンバランスが乱れてしまったことによって、残念ながら、カエルには成長できないのではないかと考えられています。
この巨大オタマジャクシは生きたまま捕獲できたため、大きさの原因を突き止めるための研究が続いているようなので、異常成長の詳しい原因が今後明らかになる可能性もあります。
成長し続ける巨大オタマジャクシ
https://www.hazardlab.jp
アーリンさんは、巨大オタマジャクシの”ゴリアテ君”をペットとして飼っていましたが、オタマジャクシを捕獲して2ヶ月が経過しても成長を続けていながらもカエルに変わる様子はありませんでした。
もしもこのままカエルに変わることなく、オタマジャクシのままの姿で成長を続けていくと、循環器と呼吸器が、体の成長に追い付かなくなって死んでしまうであろうとされています。
巨大オタマジャクシの”ゴリアテ君”は、研究所で詳しく分析をされることになりました。
その結果、オタマジャクシの状態が、少なくとも3年間は続いているということが判明しました。
今後もカエルに変態しないのか、変態しないならばどれぐらいの間生き続けることができるのかを見守っていくとのことです。
大人になると小さくなる不思議なアベコベガエル
http://karapaia.com/
このオタマジャクシは何らかの原因で超巨大サイズに成長したのですが、種類として世界最大のオタマジャクシはアベコベガエルのオタマジャクシです。
アベコベガエルは南米アマゾン川流域に生息しているカエルの一種で、その名前の通り、オタマジャクシからカエルに成長すると体の大きさが小さくなるという、オタマジャクシとカエルの大きさがアベコベになる奇妙なカエルです。
アベコベガエルのオタマジャクシは体長25cmととても大きいのですが、変態してカエルになるときに縮小して、その大きさは4分の1程度となるという、不思議な生態をしています。
その不思議さから英名では「パラドックス・フロッグ(矛盾するカエル)」と呼ばれています。
なぜカエルに成長すると体が小さくなってしまうのかという理由については、未だに分かっていません。
昔の学者はアベコベガエルの常識に反する姿を見て、カエルからオタマジャクシへと逆に成長すると考えていたといいます。
世界最大の大きさのカエル、ゴライアスガエル
https://www.hazardlab.jp
世界最大のカエルと言えば、ゴライアスガエルです。
ゴライアスガエルの大きさは、体長30cmほどで、手足を伸ばして四肢を含めると80cmほどにもなり、体重は3kg程度です。
これだけ大きなゴライアスガエルにもなると、さぞかしオタマジャクシも超巨大なのかと思いきや、その大きさは5cmほどです。
これは、日本に生息しているニホンアマガエルのオタマジャクシと同程度です。
わずか5cmのオタマジャクシが80cmにまで成長するというのは、何とも不思議なものでしょう。
ゴライアスガエルは、ウシガエルなどとは違って、カエルになってから大きく成長していくカエルなのです。
寿命は約15年と長く、なかには21年生きたゴライアスガエルもいます。
ド迫力のカエルであるゴライアスガエルですが、生息地域のカメルーンや赤道ギニアでは食用としても取引されています。
日本ではサンシャイン国際水族館で見ることができます。
まとめ
化け物のような信じがたいサイズのオタマジャクシをご紹介しました。
まるで大きな魚かと思うほどの常識を超えた巨大なオタマジャクシに、世界中の人々が度肝を抜かれました。
ホルモンバランスが崩れることにより巨大化する可能性があるのであれば、今後、もっと巨大なサイズのオタマジャクシが現れることもあるかもしれません。
また新たな巨大オタマジャクシが、SNS上を賑わす日がくるのでしょうか。