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【猫科最強】サーベルタイガー(スミロドン)の生態・絶滅理由・生き残り説


みなさんは「スミロドン」という名前をご存知でしょうか。

なんだか恐竜のような名前ですが、スミロドンは私たちと同じ哺乳類で、ネコ科の動物です。

「サーベルタイガー」というと、聞き覚えのある方も多いと思いますがいかがでしょう。

スミロドンはそんなサーベルタイガーの一種で、最大級の大きさを誇っています。

今回はネコ科史上最強の生物であるスミロドンをご紹介しましょう。

 

スミロドンの生息域


スミロドンが生息していたのは、およそ250万年前から1万年前。

恐竜たちが生きていた中生代の後、新生代の中でも比較的最近の時代です。

北アメリカ大陸を中心に生息していましたが、大陸変動により両アメリカ大陸が陸続きになった後、南アメリカ大陸へも進出したとされています。

その時代には、人類もすでに生まれており、私たちホモ・サピエンスも1万5000年前にはアメリカ大陸に進出していたと考えられています。

人類がアフリカ大陸に生息していた頃は、サーベルタイガーの仲間に獲物として狙われていたため、サーベルタイガーの牙の跡が残る人類の頭蓋骨が遺跡などからいくつも発見されています。

それと同様に、アメリカ大陸でも人類は、スミロドンの獲物として、狩りの対象になっていたと思われます。

 

スミロドンの生態


スミロドンの体長はおよそ2メートル前後。

南北両方のアメリカ大陸に生息していましたが、北米の個体よりも、南米で見つかった化石のほうがより巨大化していたといいます。

一番の特徴は、サーベルタイガーという名前の由来にもなっている、上あごの巨大な2本の犬歯で、その長さは20センチーメートル以上もあり、獲物を狩る時にはこの牙を最大限に使っていたと思われます。

その際、下あごは120度まで開くことが出来たため、口を大きく開けて、巨大な牙を勢い良く獲物に突き立て、狩りをしていたと考えられています。

この牙は、骨を噛み砕けるような強度さはありませんでしたが、腹部の柔らかい部位や、のど元の急所などを狙って、大量出血や神経を切断させて、効率的に獲物を仕留めていたと言われています。

また前足と肩は非常に発達していたので、獲物を押さえ込んで牙を刺す際には、非常に役立ったと考えられます。

 

現生しているトラやヒョウなどのネコ科動物と比べて、後ろ足が短く、四肢のバランスなどを考えると、走る速度はかなり遅かったと考えられるため、動きの遅いマンモスのような大型の草食動物を襲ったり、怪我をしたマクラウケニアやその子供を狙って奇襲をかけたり、他には死肉なども食べていたという説があります。

また狩りが出来ないと思われるほどの大怪我をしたスミロドンが、その後も長く生きていた痕跡が見つかっており、そのことから単体ではなくライオンのように群れで生活していたことが推測されるため、怪我をしても仲間から食べ物をもらって生き続けることが可能だったと考えられています。

 

南アメリカ進出と宿敵ティラコスミルス


北アメリカ大陸から南アメリカ大陸へ渡ったスミロドンは、宿敵とも言える大型肉食哺乳類と対峙したと考えられています。

南米の生態系の頂点にいた、サーベルタイガーの仲間・ティラコスミルスです。

南アメリカ大陸はオーストラリア大陸と同じく孤立した状態が長く続き、主に有袋類が多く繁栄していました。

その頂点にいたのが、肉食有袋類のティラコスミルスです。

全く違う場所で進化した両者ですが、多少の違いはあるものの収斂進化の結果、非常によく似た外見・生態を持っていました。

体長は1.5メートル前後。

上あごにはスミロドンと同じような鋭い犬歯を持ち、またこの牙は無根歯で一生伸び続けるため、万が一牙が折れたとしても再生し、狩りを行えなくなることは無かったということです。

ティラコスミルスとスミロドンの外見の違いは下あごでした。

ティラコスミルスの下あごは、あご先が下方に伸び、牙を保護するためのさやのようなものが存在していました。

ティラコスミルスはスミロドンと同様、素早く走ることは出来なかったため、動きの遅い大型草食動物を狙って、狩りをしていたと言われています。

 

有胎盤類と有袋類であることを除けばとても似通っていた両者ですが、南北の大陸が陸続きとなり、スミロドンが南アメリカに生息域を広げた後、まもなくするとティラコスミルスは絶滅しました。

その理由のひとつとして、脳の大きさがあげられています。

有袋類は長い期間、胎児をお腹の中にとどめておくことが出来ません。

そのためかなり小さい時に赤ちゃんを産み落とし、その後は有袋類特有の袋の中で子供を育てます。

その際、子供は常に袋の中にある母親の乳首をくわえて母乳を吸っているため、頭蓋骨は脳が成長する前に固くなり、脳の巨大化が制限されてしまいます。

有胎盤類は脳が大きくなってから、頭蓋骨が固くなるので、脳の成長を妨げることはありません。

そのため有袋類は、同等の体格を持つ有胎盤類に比べ、成長した際の脳の比率が小さくなるという結果になってしまいます。

 

また、有胎盤類が反映していた大陸は、北アメリカを始め、アジア・ヨーロッパ・アフリカととても広範囲に及び、その分、敵や競争相手も多く、激しい生存競争を繰り広げてきました。

そしてその度に脳を使い、様々な困難を乗り越えてきたと考えられます。

そのため南下してきた有胎盤類のスミロドンのほうが頭も良く、狩りの成功率が高かったと考えられるので、同じ獲物を食料とするティラコスミルスは生存競争に負け、滅びてしまったと思われます。

 

スミロドンの絶滅理由

引用:https://buyee.jp/

アメリカ大陸全土に生息域を広げ、長い間繁栄していたスミロドンですが、1万年前に地球上からその姿を消しました。

気候の寒冷化に伴い、スミロドンの獲物となる大型の草食動物が次々と絶滅していったからです。

また、スミロドンの持つ大きな上あごの2本の犬歯、力強く発達した前足は獲物を捕らえるための強力な武器でしたが、同時にここまで特殊化した体は、少しでも環境が変化すると対応することが出来なくなってしまいます。

寒冷化による獲物の減少に加え、スミロドンと同じ生息域に、高い殺傷能力と機敏な動き・俊足を兼ね備えた新たな肉食哺乳類が次々と誕生すると、スミロドンは獲物を奪われ、生きる糧を失い、絶滅へと向かっていきました。

 

都市の中にあるスミロドンの化石発掘現場

引用:https://jp.discoverlosangeles.com/

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス市内、そんな大都会の真ん中にある、ラ・ブレア・タールピットは天然のアスファルトの池です。

4万5000年前からタールが湧き出ているこの場所で、数多くの化石が発見されています。

タールピットは、水とタールが一緒に湧き出ているため、表面は水におおわれて一見普通の池に見えることから、様々な動物たちが水を求めて近づき、池の底にある粘着質のタールに足を取られて溺れしまい、そのままタールに沈んだたくさんの動物たちが化石になりました。

そしてスミロドンも、水辺に集まっていた獲物を狙って足を踏み入れ、そのまま溺れてしまったものが、タールに閉じ込められていたのです。

今までに2000体以上の化石が、他の動物たちのものと共にこのタールピットから発見されています。

 

アフリカにいると噂されるサーベルタイガーの生き残り

約1万年前に絶滅したと言われているスミロドンですが、よく似た特徴を持つ動物が現生しているのではないかと噂されています。

19世紀以降、アフリカの山岳地帯で大きな2本の牙を持つ動物が何度か目撃されています。

目撃したのは現地の先住民たちなどであるため、写真や映像など物的証拠がなく、ライオンなどの見間違いなどではないかとも言われていますが、もし本当にスミロドンの生き残りだとしたらすごいことですよね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

スミロドンの見た目が、現生しているトラやライオンに似ているらしいということもあると思いますが、

たとえ一時でも人類と同じ時間を共有していた動物なので、大昔にいた恐竜よりも、なんだか身近に感じるのは私だけでしょうか?

そして現在、同じネコ科の動物で、絶滅が心配されているトラやヒョウが、スミロドンと同じ道を辿らないことを願うばかりです。

アフリカにいるかも知れないと言われているスミロドンの仲間が本当に実在するなら、あの長い牙で狩りをするところを見てみたいですね。

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