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美味しい?昆虫食で食べられる虫・危険な虫16選

2013年に国際連合食糧農業機関は、食糧難を解消する食材として昆虫を推奨する方針を発表しました。もともと日本では、イナゴやハチノコを郷土料理として食べる習慣があります。

しかし肉や魚の代わりに昆虫を食べましょうと勧められても、何の抵抗もなく口にできる人というのは相当な少数派なのではないでしょうか?

そもそもどんな昆虫が食べられて、どのような栄養が取れるのでしょう。

推奨されている調理方法なども含めて、昆虫食について紹介していきます。

 

昆虫食の文化があるのはどんな地域?

日本でもイナゴのつくだ煮などが長野県の郷土料理として伝わっていますが、珍味としてではなく、日常食として昆虫を食べる文化が発達した国も存在します。

現代において昆虫を常食にしている区域は北緯30度と南緯30度の間に位置する国々で、アフリカ、南米の大部分、東南アジア、オセアニア、中米、北米の南部がこの中に含まれます。

この区域には1年を通して高温で緑も豊かな国が多いため、昆虫の種類や個体数が大都市を要する国に比べて膨大になる傾向があります。食用の昆虫が選ばれる条件の1つには発生量が多いことが挙げられ、これは昆虫を採集する経済的・時間的なコストを少なくするためです。

また、小さな虫を多量に集めるよりも大きな虫を少量集める方が楽なため、食用とされる昆虫は大きくて水分含有量が低い種が選ばれます。

 

わざわざ昆虫を食べる理由とは?

引用元:https://newatlas.com/

昆虫を食べる国と聞くと、先人の伝統が根深く残っている発展途上な地域だから、もしくは動物性たんぱく質が得難い地域で、仕方なく口にしたのが昆虫なのだろうと予想してしまいます。

しかし、上であげた地域の中には宗教上の教義で昆虫を食べることを推奨されている地域(または、牛や豚、鶏といった家畜を食べてはいけないとされる地域)や、あまりにも虫が多く発生しすぎるために害虫駆除の目的で敢えて昆虫を食べ始めたという地域もあるのです。

昆虫の種類は地球上で確認されている全ての生物の種数のうちの5分の4を占めるとされ、地球全体にいる白アリの数は人間1人に対して500kgにもなると言われています。

昆虫は中・大型の哺乳類に比べると繁殖力も圧倒的に高いため、これを食べることで自然の資源を無駄なく活用できると判断した民族も存在するのです。

 

食べられる昆虫に求められる条件とは何なのか

引用元:http://www.insectescomestibles.fr/

食用とする昆虫を選ぶ際には、以下の項目をクリアする必要があります。

  • 手で触れた際に、皮膚に炎症を起こさないこと
  • 腐敗臭などの嫌なにおいのするものは食用には向かない
  • 下唇の内側にその昆虫の一部を数分間あててみて、炎症が起きたり、焼けるような感じがしないか確かめる。酸味や苦味、石鹸のような味が感じられた場合は調理をしても食用には向かない
  • 少量を口に入れて味が悪くなければよく噛んで飲み込み、吐き気や下痢などの不調が起こらないか確かめる。初めて口にした種の安全性を確かめる際は、少なくとも8時間は体調を管理する

この4項目のテストに合格すれば、その種は食用にしても問題が無いとされます。しかし昆虫は死ぬと急速に腐敗するため、できるだけ新鮮なものを口にする必要があります。特に拾った死骸などは、病気に感染している可能性もあるために注意が必要です。

また昆虫は変態するため、卵、幼虫、蛹、成虫というライフステージの中で、一番肉質が柔らかく体が大きくなる幼虫期の終わりを食べごろとすることが多いそうです。

衛生面においても昆虫の多くは植物食のため、食べている草や葉が有毒でなければ蟹やエビなどよりも余程清潔で安全だという主張もあります。

ただ昆虫の中には死んだ動物を食べるものや動物の糞をたべるものもいるうえ、これらの昆虫の腸の中には病原性微生物や寄生虫も存在するため、下処理として体を押して脱糞っさせたうえで十分に加熱し、よく殺菌してから口にする必要があります。

 

主な食用昆虫・日本編

当然のことですが、毒を持っている昆虫は食用にはなりません。食用に選ばれる昆虫は美味であることが好ましいとされますが、実際には味が薄いかほとんど無味で、棘や剛毛がなく下処理が簡単なものが多いようです。

では具体的に日本ではどのような昆虫が食用に選ばれて、どのような調理が向いているのかを紹介していきます。

 

①イナゴ

イナゴは稲につく害虫として採集され、たんぱく質源として食べられるようになった昆虫です。長野県ではイナゴのことを陸でとれるエビとして「オカエビ」と呼んでいたことがあります。

第二次世界大戦時に耕地整理されたことや排水工事が行われたことで個体数が激減し、常食として食べられる機会は減りましたが、ピーク時にはワンシーズンで50トンものイナゴを採取し、4千万円もの大金を荒稼ぎした採集業者もいたそうです。大正7年頃の記録では、福島県では小学生にイナゴ採りをさせて、学校の資金にしていたことが残されています。

イナゴと言えば佃煮が有名ですが、昔は串に刺してあぶって食べたり、焼いたものに醤油をかけて食べることが多く、下処理として1日絶食させて脱糞させ、熱湯で湯がいた後に天日に干します。これだけで食べることができるため、塩を振って食べたり、かき揚げにして食べるのもお勧めなのだとか。

コレステロール値を減らす不飽和酸脂肪酸のリノレン酸を多く含んでおり、健康食材としても注目されています。

 

②スズメバチ

引用元:https://j-town.net/

日本では「ハチノコ」として、幼虫が食用にされることが多いスズメバチですが、特に食べられているのはクロスズメバチとシダクロスズメバチの2種です。

これらはスズメバチの中でも小型で、成虫の体長は16mm程度。巣は直径30cmほどで、地下30cm程度の場所に作られます。ハチノコを採取したい場合は秋に巣を見つけて地中から掘り返すのですが、巣を見つけるのにはカエルの死肉などから作った餌を使って働きバチをおびき寄せ、巣の場所が分かったら出入り口の穴に花火を刺して煙でハチの動きを止める方法がとられているそうです。

人間だけではなく、キツネやハチクマというタカの一種もハチノコを食用にしているため、巣を見つけても中にハチノコがほとんどいないこともあるのだとか。

ハチノコは昭和天皇の好物だったそうで、長野県や栃木県を訪問された際にはハチノコの甘露煮をパンにのせて召し上がることもあったと言われています。

現在味付けをされていないハチノコは缶詰で販売されていることが多く見られますが、中にはクロスズメバチの捕食寄生虫であるオオハナノミという虫が混入していることもあるため注意が必要です。

 

③カイコガ

引用元:http://r.gnavi.co.jp/

養蚕が行われているアジアの地域ではカイコガを食べることが珍しくなく、日本でも昔からカイコガの蛹をおかずとして食べてきました。

特に山間部など、肉や魚を手に入れるのが容易ではない地域ではカイコガはたんぱく質源として重宝され、養蚕農家では生きている幼虫をそのまま食べることもあったのだそうです。

特に長野県では、核多角体病に罹った幼虫を好んで食べたという話が残っています。この病気はウイルス性のもので、感染したカイコガの幼虫は体内のあらゆる組織が崩壊して、体内がドロドロに溶けたような状態になるため、食べやすくなるのです。また、この病気に罹患したカイコガの幼虫は糸を生成できなくなるため、飼育する意味がなくなることから食用に回されます。

ちなみにこのウイルスに感染するのは節足動物のみで人間には無害なため、食べたても毒性はありません。

日本で通常食べられているカイコガは蛹の状態で、調理法は醤油で煮つけるのが基本です。この食べ方は「絹の雫」、蛹を揚げたものも「絹の花」と呼ばれ、養蚕農家にとって「お蚕様」と呼ばれるカイコガが、食品としても特別であったことが窺えます。

ちなみに成虫になってからは口吻が無いため食事がとれず、すぐに寿命を迎えることで知られるカイコガですが、この状態にものを佃煮にして食べる文化もあります。

醤油と砂糖とともに鍋に入れ、かき混ぜていくうちに鱗毛が取れて食べやすくなると言われていますが、たんぱく質は残っているものの、産卵後で卵巣も退化しているため、あまり成虫に旨味はないのだそうです。

カイコガの蛹は丸干しした状態で、水分7.18%、たんぱく質48.98%、脂肪29.57%、グリコーゲン4.65%、キチン質3.73%を含み、ビタミンB2 も豊富な食材です。

 

④タガメ

引用元:http://news.line.me/

現在では絶滅危惧種に指定されているタガメですが、以前は水田で普通に姿が見られた昆虫です。幕末の頃は鳥取県の旧因州のあたりで子供が火であぶっておやつに食べていたそうで、大正時代にも焼いたものに醤油をつけて食用にしていました。

また栃木県では、鯉の養殖場で捕まえたタガメの成虫を味噌と一緒にすりつぶして焼いて食べていたそうです。養殖場ではタガメは稚魚を食べてしまうことから、害虫として駆除されていたのです。

タガメの雄は洋ナシに似たフルーティな香りがあり、東南アジアでは人気の食材で、香りを活かした炒め物やスープの香りづけに使用されています。

現在日本で入手できる食用のタガメはタイワンタガメのみで、アジアの食材を扱うスーパーなどでパック詰めされた成虫が販売されています。

タガメを調理する際には翅を開いてお尻の先をハサミで切り落とし、そのままお腹もハサミで切り開いて手で殻を割り、中身だけをスプーンなどで取り出して使用します。そうめんのつゆに混ぜて使っても風味がよいそうで、タイでは人口の香料が出る程、タガメは人気の調味料なのだそうです。

 

主な食用昆虫・アジア編

アジアの中でも昆虫食が最も浸透していると言われていたのがタイです。タイにおける昆虫食のパターンは2つあり、田舎で動物性たんぱく質源として食べられている他、都市部でもおやつや嗜好品として販売されています。

タイ政府は地方の栄養失調児童や就学前の幼児の栄養を保持するために、農作を脅かす害虫であるバッタを食べさせることを推奨しており、1992年には政府がバッタを使ったレシピ集を発行したこともありました。

しかし、一部の地域では殺虫剤中毒を起こしたバッタを食べてしまい、死者が出るといった騒動も起こりました。そのようなこともあって、2000年以降タイでは昆虫食は衰退傾向にあります。

 

①ナナフシ

タイにはナナフシの糞から作った虫糞茶があり、ナナフシの糞を乾燥させて熱いお湯を注いで飲むのだそうです。お茶に使用されるナナフシはグアバを食べる種類で、糞には芳香があるのだとか。

お茶はジャスミンティーのような香りがあると言いますが、ナナフシ自体は食用には適さないため食べないのだそうです。

 

②ツムギアリ

ツムギアリは雨期に入った6月以降にマンゴーやジャックフルーツなどの樹上に巣をつくるアリの一種で、卵、幼虫、蛹、成虫の全てが食用の対象になり、市場でも売られています。

生ではかなり強い酸味があるため、バターで炒めてナンプラーで味付けをして、タイでは酒のつまみなどにするのだそうです。他には、ツムギアリの蛹をレモングラスとミント、タマネギ、トウガラシ、レモンジュースなどと混ぜてサラダとして食べるのも人気だといいます。

バンコクの西部ではシリアゲアリというアリも食用にされており、カレーに入れてるのが基本的な調理方法です。タイの東北部では何種類ものアリが販売されており、缶詰も出回っています。

アリは中国では薬用にされている種も存在し、アミノ酸を多く含み栄養価が高いことから、アリの栄養分を含むワインも販売されています。北京にも食用のアリ専門店がある程で、アリはタイだけではなく中国でも最も注目されている食用昆虫の1種です。

 

③カメムシ

アジアの中でも特にラオスではカメムシがよく食べられており、市場では炒めたものや生きたままの個体が売られています。生でも食べるうえ、香辛料とともにすり潰してチェオというふりかけのようなものにして、もち米の上にかけて食べることもあるのだそうです。

カメムシと言えば強烈な臭気を放つ昆虫であるため、最も食用にしたくない虫の1種だというイメージがありますが、口に入れて噛むとピリッとした感じはするものの清涼感のある優しい甘みがあり、決して臭みは感じられないとされます。

またラオスではカメムシは調味料としても使われており、油で揚げると小エビのから揚げのような食感になることから、ビールのつまみとして提供されることもあるのだといいます。

 

主な食用昆虫・オセアニア編

オーストラリアで昆虫を常食にしているのは、ほとんどが先住民族のアボリジニに限られます。イーストラリアの過酷な環境の中で、食用となる木の実や草なども少なく、半ば放浪のようにして狩猟や採集生活を続けていくためには昆虫は重要な食糧となっていたのです。

現在ではアボリジニの食生活が「ブッシュ・フード」と呼ばれて健康食として注目されるようになり、アボリジニの昆虫食を見学するツアーなども組まれています。

 

①ウィチェティ・グラブ

ウィチェティ・グラブとはアカシアの木の根や茎に穿入するコウモリガやボクトウガなどの総称で、ウィチェティとはアカシア科の低木のことです。

アボリジニにとってこれらの幼虫は重要なたんぱく質源であり、ボクトウガの幼虫の栄養価は非常に高く、大型のものを10匹食べれば大人の1日分の栄養を十分に賄えると言われています。

アボリジニはアカシアの木の根からウィチェティを掘り出してその場で生のまま食べることもあるそうですが、味はクリームのようで、焚火でローストしたものは焼いた豚の皮やナッツのような香ばしさがあるとされます。

この風味は寄生しているアカシアの樹液の影響だと考えられており、離乳前の乳児におしゃぶりの代わりにウィチェティを与えることもあるのだそうです。

 

②ボコングガ

引用元:https://gigazine.net/

ボコングガは日本のカブラヤガに近いヤガ科の昆虫で、アボリジニはこれを集めるために岩の基部で焚き木をしていぶり出して大量に集めます。

そして砂の中に穴を掘ってそこで火を焚いて捕まえたガを投入し、翅や体を覆う鱗毛がなくなったら取り出して食べるか、すり潰してペースト状にして団子を作るそうです。

アボリジニの間では調理中にボコングガを焦がしてしまうと嵐が起こると信じられているために、調理は慎重に行われます。

燻製にすると長持ちしますが、この昆虫の燻製を初めて食べたアボリジニは嘔吐して衰弱することも多く、体を慣らしていくことで栄養をたくさん取れるようになると信じられているといいます。ニュー・サウス・ウェールズに住むアボリジニは、2~3ヶ月ボゴンクガを主食にすることもあるそうです。

ボゴングガの体長は26mm程度ですが、ピーナツのような腹部にはたんぱく質が豊富に含まれ、脂肪にも富んでいるため栄養価が高く、過熱したものは焼き栗に似た味がすると伝えられています。

またこのボゴングガはカラスの好物でもあり、アボリジニはこの昆虫でカラスを餌付けして丸々と太らせた後で捕まえて食べることもあるのだそうです。

 

主な食用昆虫・アフリカ編

アフリカでは白人やアラブ人が侵入する前は農耕という文化が無く、人々は野生の植物や動物の採取、狩猟によって食糧を得ていたと考えられています。

アフリカではクワシオルコールというたんぱく質の欠乏による病気に罹る子供が多く、炭水化物中心の食生活を送ることで、ガーナなどで暮らす子供の中には髪の毛の色素が赤色に変化してしまう例まで見られたといいます。

しかし、昆虫食を行ってきた部族にはクワオシコールの子供は少なく、アフリカで暮らす人々にとって昆虫が貴重なたんぱく源であったことが窺えます。

 

①バッタ

大昔、ギリシア人はエチオピアの人々を「バッタ食い」と呼んでいました。これは文字通りバッタを常食していたことからついた呼び名で、当時のギリシア人はエチオピアの人が短命なのはバッタを食べるせいで、脚や翅が胃腸に障害を起こすからだと考えていたそうです。

イギリスの探検家・リビングストンの手記によると、アフリカで食べたバッタは青臭い味がして食べることで便秘を引き起こしたとされます。茹でたものは不味いものの、炒って粉末状にして塩を加えると野菜のような香りになり、保存食としても重宝したといいます。

特にコイコイ族やサン族はバッタをよく食べていたため、大量発生を歓迎していました。彼らはバッタを捕まえたら翅と脚を引き抜いてから油でいためて袋に入れて貯蔵し、卵もスープの具として利用していたそうです。

農業が発達した地域であればバッタは農作物をダメにする害虫なのですが、16世紀以降になってもアラビアやリビアの遊牧民にとっては、バッタは貴重かつ良質なたんぱく質であり、現在でも大量発生したバッタに殺虫剤をまいても効果が薄いことから、バッタを食用にしたり家畜の餌にする地域が多く見られます。

 

②シロアリ

アフリカでは各地でシロアリが食べられることもあり、結婚飛行から戻ってきたところを捕獲して生で食べることが多いのだといいます。

味はパイナップルに似ており、食べる時に唇や舌を噛まれないように注意する必要があります。そのため生きたままのシロアリを食べる時は翅をつまんで口に持っていき、噛みつかれる前に前歯で頭を噛み砕くのだそうです。

特にコイコイ族の間では飢餓でやせ細った人でもシロアリを食べれば丸々と太ると言われている程、シロアリは栄養豊富な食材とされており、土器で煮て食べたりもするようです。

アフリカに住む民族の中でもバッタを食べるのは全グループの1割程度であるのに対し、アリを食べるのは全体の1.9%とされており、決して食糧としてメジャーなわけではありません。

しかしたんぱく質に富むうえに脂肪含有量が少なく、亜鉛や鉄分ビタミンB2も豊富なため、大きな塚をシロアリが作るような雨季と乾季がハッキリと存在する地域では食用にされることが珍しくないそうです。

 

主な食用昆虫・ヨーロッパ編

引用元:https://steemit.com/

あまり昆虫を食べるイメージの無いヨーロッパ諸国ですが、イタリアではチーズに発生するチーズバエの幼虫を伝統的に食用にする地域が存在します。

このハエの幼虫が付着することでチーズの発酵が進み、脂肪が分解されて非常に柔らかくなることから、あえて虫を付着させる習慣まであるそうです。

チーズバエを生きたまま食べてしまうと蠅蛆症を起こしたり鼻腔内に寄生されることもあるため、イタリア政府はウジ虫入りのチーズの販売を禁止していますが、サルデニァ島で売られているウジ虫チーズは、普通のチーズの3倍以上の価格の高級食材なのだそうです。

 

昆虫食のリスク

簡単に大量に採取でき、すり潰して料理に混ぜ込んでしまえば気付かない程味も悪くないと言われている昆虫。しかし、昆虫食にはメリットばかりではなく、危険性もあります。

もちろんアルカロイド系などの毒を持っている昆虫を食べるのは非常に危険ですし、鮮度の低いものを食べるのもご法度です。どのようあ昆虫がどうして危険なのかを紹介していきます。

 

危険な昆虫①ツチハンミョウ

引用元:http://www.shirane.ac.jp/

ツチハンミョウはカンタリジンという発泡作用を持つ体液を分泌するため、これが皮膚に付着すると触れた場所に水膨れが発生します。水泡がツチハンミョウに触れた後、2~12時間後に現れ、口などの粘液に付着した場合は10分程度で水泡が現れることもあります。

さらにツチハンミョウを食べてカンタリジンを経口摂取した場合は、まず吐き気を起こして血液を含む嘔吐が始まるとされます。続いて腹痛が起きて、女性の場合は子宮内出血や妊娠中ならば流産まで起こる危険性があるのです。

最悪のケースでは死に至ることもあるため、ツチハンミョウやカミキリモドキ類などカンタリジンを含有している昆虫は決して食べないように注意が必要です。

 

有毒な昆虫②ヒアリ

引用元:https://www.pref.shiga.lg.jp/

ヒアリもニコインというアルカイド系の毒を持っているため、どう料理しても決して食べてはいけない昆虫です。ヒアリの毒はソクラテスを殺害した際に使われたとされており、ヒアリを複数匹食べた魚は死ぬうえ、水槽に入れておいただけでも魚が死滅すると言われています。

 

有毒な昆虫③ゴミムシダマシ

ゴミムシダマシの幼虫はミルワームとして知られており、釣り餌の他に爬虫類や小動物の餌としても流通しています。脂肪分が多くナッツの様なコクのある味がすることから、大型のジャイアントミルワームなどは人間の食用にも適しているのですが、成虫になった場合は食べることができません。

ゴミムシダマシにはベンゾキノンという毒があり、摂取することで急性中毒性や発がん性、催奇形性があると言われています。そのため保存しておいたミルワームが成虫になってしまった場合は、繁殖用に使うか棄てるようにしましょう。

 

有毒な昆虫④ゲンゴロウ

引用元:https://www.sankei.com/

ゲンゴロウは日本でも食用にされる甲虫ですが、種によっては前胸防衛物質腺から20種類ものステロイドが分泌されているため注意が必要です。

マメゲンゴロウの中には筋肉増強剤として知られるテストステロン、エストラジオールなどの性ホルモンを含む同化ステロイドを作るものもあり、このゲンゴロウを食べ続けることで筋肉が発達して子供の場合は成長が阻害される恐れが生じます。

また女性の場合も筋肉がついて声が低くなるといったことの他に、体毛が濃くなる、突然禿げるという症状に見舞われる恐れもあるため、食用として売られている以外のゲンゴロウを食べるのは避けるようにしましょう。

 

有毒な昆虫⑤セイヨウミツバチ

スズメバチが食用にされているのだから、より安全性の高そうなミツバチも食用にできる印象がありますが、セイヨウミツバチの毒性は安定しており、過熱しても冷やしても、たんぱく質分解酵素であるパパインで処理しても、変化は見られないのだそうです。

カナダではセイヨウミツバチを粉末状にしてクッキーに練りこむことが進められていたことがあり、クッキーを食べた後に喉に引っかかるような痛みを感じる人が続出して、問題になったことがありました。食べると消化器系の障害を起こす可能性があるため、口に入れるのは避けた方が良いでしょう。

 

まとめ

明治時代には123種類もの昆虫が薬用に使われており、日本では現在でも製薬会社で薬虫の研究が続けられています。特にアブや冬虫夏草は抗がん作用があるとされ、新薬の開発に役立つという期待も寄せられているのだそうです。

姿かたちがハッキリと分かる昆虫料理にいきなり挑戦するのには勇気がいりますが、薬用として効能が証明されれば口にするハードルも下がりますよね。

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