朝、いつものように通勤、通学している際に、ふと顔を上げて見ると、電線にハトがたくさん並んでいたり、スズメが可愛らしい声で鳴きながら飛んでいく姿が目に入ることがありませんか?
忙しく日々を過ごしている時に、そのような姿を見て、暇そうでいいな、なんて思ったり、癒されたりしますよね。
しかし、誰しもが憧れたことのある鳥は、癒しを与えてくれるだけの生き物ではありません。
ある時には牙をむき、人間に襲い掛かることもあるのです。
ここでは、絶対に遭遇したくない世界で最も危険な鳥たちをご紹介します。
10位 イヌワシ
狩りをする鳥たちのハンティングを見たことがありますか?
街中ではなかなか目にすることができない、猛々しい姿です。
狩りをする鳥の中でも、ハンティングスキルが極めて高いと言われる鳥がいます。
その名は、イヌワシです。
引用:http://xn--hhru84e.jp/inuwashi/
イヌワシは北アメリカやユーラシア、北アフリカに生息しています。
また、近年の調査によって、北海道から九州の山岳地帯に生息していることも分かっています。
先ほど言った通り、この鳥のハンティングスキルは極めて高いと言われています。
ウサギや大型の鳥を主な獲物としていますが、キツネやヒツジ、ヤギの子供、さらには成獣のシカやトナカイまでもがイヌワシの獲物となります。
また、イヌワシは遊牧民の住む土地では、遊牧民のハンターによってオオカミを捕まえるように調教されることもあるのです。
また、イヌワシはライオンが噛みつく力よりもはるかに強い握力で獲物を掴みにかかります。
その握力でヤギを鷲掴みにし、崖から突き落とすとも言われているほどです。
このように、人間を殺せるほどの力を十分に持っているイヌワシですが、獲物として人間を襲うことは決してないと言われています。
しかし、ヨーロッパとアジアの一部地域では、イヌワシが子供をさらうと言われていて、イヌワシの巣で人間の子供が見つかったという噂も残されています。
もしもこの噂が本当だとしたら、うかうか子供を連れて公園なんか散歩していられませんね。
9位 ハゲワシ
突然ですが、夜遅くにお腹がすいて目が覚めてしまって、何か食べ物を探しに起きたという経験はありませんか?
そうして見つけた賞味期限切れの食べ物を、まあいいか、とうっかり食べてしまい、翌朝酷い目に合った、という人もいるかもしれません。
しかし、世界には賞味期限切れなんて全く気にしない鳥が存在します。
それがハゲワシです。
引用:http://sigatsuhakiminoviolin.com/
ハゲワシ、という名前から想像するのは、腐りかけた動物の遺骸に群がっている姿ではないでしょうか。
しかし、彼らはどうしてそのような悪臭を放つ腐肉を食べることができるのでしょうか?
人間であれば賞味期限切れの食べ物でお腹を壊すこともありますが、彼らは腐肉を食べ続けても、病気になることもお腹を壊すこともありません。
その秘密は、彼らの驚くべき内臓にあります。
彼らは人間と同じく、食べた物を胃の中で胃液によって分解します。
人間の胃液のpH(数字が小さくなるほど酸が強い)は1~2の間ですが、ハゲワシの胃液のpHは0~1の間です。
これは、金属を溶かすことができるほどの値になのです。
腐肉には、おびただしいほどの数のウイルスや菌の温床になっています。
ハゲワシの胃液は、それらのウイルスや菌を殺すことで病気になって死ぬ確率を下げているのです。
また、彼らは自分の脚に直接糞尿をすることで、さらに身を守っています。
この糞尿は、胃液による強力な酸を含んでおり、腐敗した肉の中につかった脚に対して消毒剤としての役割を果たしています。
ある意味、最強の胃袋を持っている鳥なのです。
あのハゲ頭も、清潔さを保つために役立っているんですよ。
だから、笑わないで温かな目で見てあげてくださいね。
8位 ズアオチメドリ
子供の頃、インコやオウムを家で飼っていたという人もいるでしょうか?
色鮮やかで可愛らしい鳥にはついつい触りたくなってしまいますよね。
しかし、世界には可愛らしい姿に惹かれて触れてしまうと、大変なことになってしまう鳥がいます。
その鳥の名は、ズアオチメドリです。
引用:https://www.vario-media.net/
ズアオチメドリは、頭に色鮮やかな青色の毛が生えた鳥です。
体つきはスズメに似ていて、とても可愛らしい姿をしています。
しかし、この可愛い姿とは裏腹に、恐ろしい一面を隠し持っています。
なんと、この鳥には毒があるのです。
毒を持つ鳥は非常に珍しいとされています。
ズアオチメドリはニューギニアの固有種で、山間部にのみ生息しています。
ズアオチメドリの毒ですが、羽と皮膚に、ヤドクガエルと同様のバトラコトキシンという強烈な神経毒です。
素手で触れてしまうと、その毒を受けて感覚が麻痺してしまいます。
この毒はあくまでも護身用です。
では、この鳥の何が「最強」なのか、という話ですが、小さい鳥ですのでいつ天敵に襲われてもおかしくはないのですが、なんと、この鳥には天敵がいないのです。
毒を持っていることによって、捕食のターゲットから外れているのです。
また、鮮やかな体色は、他の動物に対して「私は毒を持っている」と警告しているため、他の動物も避けて通るということですね。
可愛い見た目をしているのでつい近づきたくなってしまいますが、この鳥に関しては遠くからそっと見ておくことが一番ですね。
7位 ピトフーイ
先ほど可愛らしい鳥を紹介しましたが、次にご紹介するピトフーイもとても色鮮やかで可愛らしい外見をしています。
しかし、もはやお決まりのように、可愛らしい外見からは見当もつかない一面を隠し持っています。
引用:http://seibutsu.blog.jp/
ピトフーイとは、6種の鳥から成るグループの名前です。
6種ともニューギニアに生息しています。
この6種のうち、5種は毒を持っているのです。
画像で紹介したのはズグロモリモズという種で、オレンジ色と黒色がとても鮮やかなピトフーイの仲間です。
もちろん、この可愛らしいズグロモリモズも毒を持っているのです。
ピトフーイの毒は、筋肉や羽毛に含まれています。
この毒は、先ほど紹介したズアオチメドリと同じく、バトラコトキシンという神経毒です。
その毒性は非常に強いとされていて、ふぐ毒の4倍、わずか数mgでネズミが死ぬほどであるとされています。
ある調査員がピトフーイの羽毛を舌に乗せたところ、くしゃみ、口と鼻の粘膜の麻痺症状、灼熱感があったといいます。
また、ピトフーイは毒を自ら生成しているわけではなく、同じ地域に生息している毒を持つ甲虫を食べることで毒を持つ鳥になっていると考えられています。
この鳥の「最強」たる所以も、先ほどと同じく、小柄な体ながら天敵がいないというところです。
ズアオチメドリとは違う派手なカラーリングもまた、警告の意味を示しています。
6位 ハヤブサ
子供の頃、空を飛ぶことを夢見た人は、どんな鳥に憧れましたか?
スズメのように愛くるしい鳥もいいですが、ツバメのようにものすごいスピードで風を切る鳥に憧れたのではないでしょうか?
「最強」の鳥と言えば、ワシなどの体の大きな猛禽類を想像しがちですが、「最強」とは何も体が大きいことだけを示す単語ではありません。
目にも止まらぬスピードで、獲物の頭上から襲い掛かる最速の鳥が存在します。
引用:http://zisama.seya-s.com/
ハヤブサは日本でも見られる鳥の仲間です。
街中で見かけるカラスとほぼ同じ大きさです。
飛んでいる時の翼の先端がピンと尖っているのがハヤブサの特徴です。
背中側は黒っぽく、腹側は白色で細かい縞模様があります。
ハヤブサは狩りをする鳥で、主にスズメやハト、ムクドリなどを獲物にします。
驚くべきことに、なんとハヤブサは飛んでいる獲物を狙うのです。
獲物が飛んでいる姿を見つけると、翼をすぼめて獲物目掛けて急降下して捕獲します。
この急降下の際のスピードが地球上最速とも言われており、時速300kmに達するとされています。
空中で獲物を捕獲する映像を1つご紹介したいと思います。
翼をすぼめている姿も捉えられていますので、ぜひハヤブサの「最強」たる所以を感じてみてください。
他の鳥を獲物として捕獲する動画ですので、苦手な方はご注意ください。
https://youtu.be/Kqf8nUyeYVk
くちばしは個性的な形をしていますが、このくちばしは時として獲物の脊髄を引き裂くと言われています。
頭上から攻撃されてはひとたまりもありませんが、人間を襲うことはありません。
それどころか、人間社会で活躍しているという一面があります。
空港で、飛行機と渡り鳥などが追突してしまう「バードストライク」を防ぐために、ハヤブサが周辺の鳥たちに警告する役割を担って活躍しているのです。
5位 オウギワシ
次にご紹介するのは世界で最もパワフルなワシ類と称されるオウギワシです。
その姿に惚れてしまう人もいるのではないかと思うほどクールで男前です。
引用:https://golddust.jp/
体重は7.5kg、全長1mですが、翼を広げると2mにもなる大型の猛禽類です。
その大きさは猛禽類の中でも最大級です。
オウギワシの最大の特徴は、その鋭い爪にあります。
この爪は13cmにもなり、クマの爪を超える長さなのです。
握力も凄まじく、その気になれば成人男性の腕を折ったり、頭蓋骨を刺し貫くことができるほどです。
しかし、ありがたいことに、自分たちの巣を守る場合を除いては、オウギワシが人間を襲うことはありません。
頭の羽も特徴的で、これが扇に見えることからその名がついたと言われています。
体色は白と黒が中心のシンプルなカラーリングです。
オウギワシは中央アメリカから南米にかけての熱帯雨林に生息しています。
生息地はジャングルなので、木が絡み合って飛びにくいとも思われますが、なんと、オウギワシは木々の間をスルスルと飛ぶことができる器用さを持ち合わせています。
本来なら動物たちの防御の役割を果たす木々も、オウギワシの前では意味がないということですね。
オウギワシの主な獲物は自分の大きさに合った哺乳類や爬虫類などですが、ナマケモノやサル、イグアナなどの比較的大きい動物も獲物にします。
凄まじい握力がこれを可能にしています。
ここで、ナマケモノを捕食する映像を1つご紹介したいと思います。
木々の間を飛行する器用な姿、そしてナマケモノを掴んで飛行する力強い姿をぜひ感じてみてください。
他の動物を捕食する動画ですので、苦手な方はご注意ください。
オウギワシは、生息地である森林の破壊が進んだために個体数が減り、絶滅の危機にさらされている鳥です。
今では、メキシコのある地域ではオウギワシは伝説の動物とされるほど貴重になっています。
4位 チャイロモズツグミ
鳥たちの魅力は、愛くるしい姿、雄々しい姿等、外見にもありますが、鳴き声も素敵だと思いませんか?
「綺麗な鳴き声の鳥」と聞いてすぐに思いつくのはウグイスですよね。
「ホーホケキョ」という鳴き声を聞くと春の訪れを感じます。
しかし、美しい鳴き声に魅入られ、そばに近寄ってしまうと、大変な目に合ってしまう鳥が存在します。
引用:https://cairnsbird.exblog.jp/
チャイロモズツグミは、インドネシアやニューギニアの熱帯雨林に生息いる全長16~19cmほどの小柄な鳥です。
体はオリーブ色という地味な色ですが、木に擬態するのに役立っています。
この鳥の最大の特徴は、ウグイスのような美しい鳴き声です。
動画を紹介しますので、ぜひその美しい旋律を聞いてみてください。
どこかウグイスを思い出させる鳴き声ですよね。
しかしこの鳥は、先ほど紹介したズアオチメドリ、ピトフーイと同じく、毒を持つ鳥の仲間です。
その毒も、先ほど紹介したものと同じく、バトラコトキシンという致死性の神経毒です。
羽毛と皮膚に毒を持っており、その美しい声に引き寄せられて触ってしまうと毒に侵されてしまいます。
ズアオチメドリやピトフーイと違い、毒を持っているという警告色をしていない地味な鳥なので、見た目からは危険だと分かりづらい鳥です。
毒を持っていることを誇示していないために、チャイロモズツグミを獲物として認識して襲い掛かった動物は痛い目を見ることになります。
その恐怖はしっかりと次の世代にも引き継がれ、チャイロモズツグミを襲わなくなっていき、天敵のいない「最強」の鳥として森を自由に羽ばたくようになるわけです。
人間の私たちも、うっかり触ってしまわないように注意したいですね。
3位 ダチョウ
先ほど「最強」は体が大きいということだけではない、と言いました。
しかし、やはり「最強」というイメージに、体が大きいというワードは付き物だと思います。
大きいという事はそれだけのパワーを体に秘めているということですからね。
引用:https://lowch.com/archives/15817
世界最大の鳥「ダチョウ」は、オスで高さ2.5m、体重130kgにもなり、ギネス記録では高さ2.7m、体重156kgとされています。
その大きさもさることながら、ダチョウは最も速く走れる鳥としても有名です。
最高時速は70kmに達し、体力も凄まじいもので15分くらいは時速45km以上で走り続けるとされています。
また、キック力も強力であるとされています。
ある動物園で、怒ったダチョウが太さ13mmの鉄棒を一蹴りでへし曲げてしまったという報告がされています。
また、1965年に男性がダチョウに頭蓋骨を蹴り砕かれて死亡するという事故も起きてしまっているのです。
通常であれば人間を好んで襲うことはありません。
しかし、繁殖期になると雄は極めて危険だと言われています。
もっとも厄介なのは、その行動が予測不可能であるというところです。
いつ攻撃のスイッチが入るかわからないので、近づくのはやめておいた方がいいでしょう。
2位 カンムリクマタカ
これまでに紹介した鳥は人間を襲うことはないとされているものばかりでしたが、ここでは生息地付近で大変危険だと恐れられている鳥を紹介します。
その名は、カンムリクマタカです。
引用:http://do-butsu.com/988/.html
体長約90cm、翼を広げると2mほどになります。
この体で、35kgもの大きさの動物を狩ることで知られています。
アフリカの熱帯雨林に生息し、高さ20mほどの樹上に巣を作ります。
力強く攻撃的なカンムリクマタカは、アフリカの人々の間では「空飛ぶヒョウ」と呼ばれ、恐れられています。
彼らは、主にイワダヌキやキツネザルなどが獲物になりますが、サルが大好物ではないかと言われており、マンドリルのような大型のサルの子供を狙う場合もあるとされています。
主な武器は鉤爪で、大好物だとされるサルの頭蓋骨を潰して即死させるには十分な握力を備えており、時にはその眼窩から眼球を突出させる場合もあるとされています。
この鳥が恐れられている理由は、時として人間の子供を獲物として襲うことがあるからです。
ザンビアでは、カンムリクマタカの巣の中から幼児の頭蓋骨が見つかったという報告がされています。
また、7歳の児童が通学中にカンムリクマタカに襲われるという事件が起こってしまいました。
紹介した他の鳥たちとは違い、カンムリクマタカは獲物として人間を襲うことがあるのです。
現地で恐れられるのも無理はありませんね。
1位 ヒクイドリ
先ほどダチョウが強力なキック力を持っていると紹介しましたが、それが可愛く思えるほどの恐ろしいキックを繰り出してくる鳥が存在します。
その鳥は、ギネスブックにも「世界で一番危険な鳥」として掲載されているヒクイドリです。
引用:http://animaltube.online/manvscassowary140
高さは1.9m、体重は90kgほどになるダチョウの仲間で、ダチョウと同じように飛ぶことができない鳥の一種です。
ニューギニアの熱帯雨林に生息しており、果実を好んで食べて生活しています。
脚力が強く、時速50kmほどで走ることができます。
元来の性格は用心深く臆病なので、率先して攻撃を仕掛けてくることはほとんどありませんが、危険を感じると途端に攻撃的になるという、気性の荒い一面を持っています。
脚は頑丈な鱗に覆われていて、蹴られれば骨を砕かれてしまうことは必至です。
3本の指には大きく丈夫で刃物のような長さ12cmの爪があり、この鉤爪は人間や犬を殺す力を十分に備えており、実際に蹴り殺された事件もあります。
引用:http://blog.livedoor.jp/wkmt/archives/51455054.html
脚から爪にかけてだけを見るとまるで恐竜のようですね。
さらに、その恐ろしいキック力が分かる動画をご紹介したいと思います。
短い動画ですが、その恐ろしさが伝わってくると思います。
この力で蹴られてしまうと、どうなってしまうか、この動画を見てもらえれば想像することは容易いでしょう。
第二次世界大戦の間、オーストラリアの軍隊はニューギニアでヒクイドリを避けるように警告されたといいます。
敵兵よりもヒクイドリの方が恐れられていたという事ですね。
恐れられているヒクイドリですが、熱帯雨林の減少と共に個体数を減らしています。
彼らは、1日に数百個の果実を食べますが、消化力が弱いので種子は無傷のまま排出されます。
彼らは、自ら移動できない果実を種子ごと丸飲みし、縄張りを歩き回るうちに、親の木から遠く離れた場所に糞と共に種子を排泄して、新たな木の芽吹きを手助けしていると言えるのです。
ヒクイドリが住み着いた森は、非常に緑の豊かな森が多いといいます。
恐ろしい一面もありますが、森の再生を手助けする鳥とも言えますね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
最も速く飛べることで「最強」、力を秘めた大きな体を持つことで「最強」、毒を持ち天敵がいないことで「最強」・・・等々、一言で「最強」と言っても色んな「最強」があることを感じていただけましたでしょうか?
もし「これこそが最強」と思っていただけるような鳥を紹介することができていたら嬉しい限りです。
ここで紹介してきた鳥ですが、特に猛禽類は、絶滅の危機に陥っているものが多いです。
私たち一人一人が彼らの住処である森林を守るために、少しずつ行動を起こすことができたら、それ以上のことはありませんよね。
彼らの可愛らしい姿、猛々しい姿、美しい鳴き声が、後世まで絶えることのないようにしたいですね。
鳥類に興味を持ってくださった人は、ぜひ他の鳥たちについても調べてみてください!