ドライブをしていて「クマ出没注意」という看板を見かけると、少しドキッとするものです。
それは、本能的に熊という生き物が危険だと知っているからでしょう。
今回は、世界に生息する8種の巨大熊と史上最大の熊をご紹介します。
ツキノワグマ
引用:https://ja.wikipedia.org
ツキノワグマは、日本に生息する2種の熊のうちの1種です。
胸部に三日月形の白い模様が入っているのが特徴的です。
体長は120~145cm、体重は60~100kgと、熊の仲間の中では小柄だと言えます。
アジア大陸に起源を持ち、現在はイラン、アフガニスタンの西アジアから日本、韓国、台湾の東アジアにかけて広く分布しています。
このうち、日本に生息するツキノワグマは、日本が大陸と地続きであった30~50万年前の氷河期に大陸から渡ってきたと考えられています。
その後、日本列島は大陸から切り離され、日本のツキノワグマは「ニホンツキノワグマ」という亜種として遺伝的に独自の特徴を獲得しました。
ツキノワグマは雑食性ですが、植物を主食としています。
冬眠から目覚める早春には、色々な植物の新芽や若葉、前年に落ちたドングリなどを食べます。
春から夏にかけては、植物の花や実、アリやハチなどの昆虫やサワガニなどを食べます。
特にキイチゴなどのイチゴの仲間など、肉厚で甘い果実が大好物だと言われています。
1つのエサに固執するわけではなく、たくさんの種類のエサを食べることが特徴だと考えられます。
ツキノワグマは、1つの亜種として見た時、必ずしも絶滅の危険が高い生き物というわけではありません。
しかし、限られた生息地が失われたり、過剰な捕獲などによって生息数が減少すると絶滅してしまう可能性が高くなると考えられます。
実際、このような条件が重なり、九州に生息していたツキノワグマの個体群は絶滅した可能性が高いと考えられています。
そして、四国の個体群は十数頭から多くても数十頭と推定され、絶滅が心配されています。
地域別に見ると、ツキノワグマにはこのような危機が迫っているのです。
ナマケグマ
引用:https://ikimono-matome.com
ナマケグマは、インド東部やスリランカなどに生息する熊の仲間です。
胸にはツキノワグマに見られるような大きなV字型の白色や黄色などの斑紋があり、鼻づらは灰色で長いことが特徴です。
体長は140~190cm、体重は80~145kgです。
前足には、長さ6~8cmの強力な爪があり、その爪を利用して木にぶら下がることができます。
その姿が南アメリカに分布しているナマケモノという生き物に似ていることから、ナマケグマという名前がついたと考えられています。
夜行性で、昆虫や鳥の卵などを食べますが、特にハチミツやシロアリを好み、丈夫な爪で巣を壊した後、長い舌で一緒に口を円筒状のようにしてゴミを吹き払い、ズーズーと音を立てながら独特の食べ方で啜るように食べるとされています。
ナマケグマの口は長く、唇もよく動かすことができるため、シロアリなどを吸い込むのに都合のいい形となっています。
現在、ナマケグマは絶滅危惧種として指定されていますが、肉や薬用を目的とした密猟などもあり、更なる保護が求められています。
メガネグマ
引用:https://pz-garden.stardust31.com
メガネグマは、南アメリカで見ることができる唯一の熊の仲間で、コロンビア、エクアドル、ペルーなどに生息しています。
毛色は黒色から黒褐色で、普通は目の周りにメガネを思わせるクリーム色がかった白色の斑紋が見られます。
この模様が名前の由来ですが、胸の方まで続くものやほんの少ししかないもの、あるいは全く見られないものもいるとされています。
体長は120~200cm、体重は130~200kgで、中型の熊だと言えます。
メガネグマは熊の中でも草食性が強く、果実や木の葉、サボテンなどを主食としています。
時には、ウサギやシカなどの哺乳類を捕らえて食べることもあります。
木登りが上手く、高い木に登って若芽を食べたり、ヤシの実などを食べることもあるとされています。
メガネグマはおとなしい性格であり、人との接触を避けて生活していますが、人と出会ったりしても木に登ったりしてやり過ごすと考えられています。
しかし、毛皮や肉などを目的とした密猟や、森林開発や破壊なども加わり、生息数は減少しており、絶滅危惧種に指定されています。
アメリカグマ
引用:https://pz-garden.stardust31.com
アメリカグマは、アメリカクロクマとも呼ばれ、北アメリカの森林地帯に広く生息しているクマの仲間です。
毛は短く、毛色は一般的に黒色ですが、褐色や青色を帯びたものからほとんど白いものまで、かなり差異が見られます。
体長は140~200cm、体重は47~409kgと、北アメリカに分布している熊の仲間の中では最も体が小さい熊です。
日中に食べ物を求めて広い地域を歩き回り、草や果実など、植物を好んで食べます。
雑食性であり、植物の他にも昆虫や魚などの他、小動物やトナカイの子供を捕らえて食べることもあると言われています。
アメリカグマは動きが素早く、木登りも大変上手いとされています。
また、視力もかなり優れており、さらに力も強く、140kg程の大きな岩を前足でひっくり返すことができます。
天敵はグリズリーと呼ばれる大型の熊で、時に生息地が重なってしまうことがあります。
このような時は得意の木登りを活かして、木に登り、敵が行き過ぎるのを待つと言われています。
グリズリー
引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp
グリズリーは、北アメリカに分布する大型の熊の仲間です。
熊の仲間のうち、ハイイログマのことを英名でグリズリーと呼びます。
「グリズリー」はラテン語で「恐ろしい熊」という意味であり、その姿からだけでも恐ろしさを感じることができます。
グリズリーは北アメリカに生息するヒグマの一種であり、日本の北海道に生息しているエゾヒグマとは親戚のような存在です。
体長は180~280cm、体重は120~400kgと、非常に大きな熊だと言えます。
日本のエゾヒグマと比べると、肩のコブがより盛り上がっているのが特徴です。
その巨体からは想像できないほど俊敏で、時速50kmと、車並みのスピードで走ることができます。
その上泳ぐことも得意で、若い個体は木登りも得意としています。
性格は獰猛であり、体重200kgを超えるヘラジカを倒すこともあるほどです。
大きな体躯、俊敏さ、獰猛さが揃ったグリズリーは、「熊科最強」「最強の肉食動物」との呼び声も高く、非常に危険な熊と言えます。
エゾヒグマ
引用:https://pz-garden.stardust31.com
エゾヒグマは、北海道に分布するヒグマの亜種であり、サハリンや朝鮮半島などにも分布しています。
森林や高地などに生息し、国内では最大の陸上哺乳類で、体格はガッシリとして大きく、腰よりも肩の方が高く、肩が盛り上がっているのが特徴です。
体長は190~230cm、体重は120~250kgと、かなり大型です。
過去には、体長243cm、体重520kgの個体が記録されています。
雑食性で、植物や果実のほか、昆虫、魚、小動物も食べますが、ツキノワグマよりも肉食の傾向が強いとされています。
エゾヒグマの走るスピードは時速50km以上と言われており、一説には時速65kmにも達すると言われています。
視力はあまり良くありませんが、動体視力は非常に良いとされています。
エゾヒグマはホッキョクグマの次に巨大な肉食動物で、毎年各地で死亡事故が起きています。
一度人間を襲ったことで味をしめたヒグマは、再度人間を食べる目的で襲う傾向があり、非常に危険だと考えられます。
また、自分で捕獲した獲物に対して強い執着心を持ち、取り返そうとする行為も非常に危険であるとされます。
雪が積もって足跡が残る時、エゾヒグマは「止め足」を使うことがあります。
止め足とは、一度歩いた場所を同じ足跡で戻り、脇に飛ぶ技です。
こうすることで足跡が途中で途切れているように見え、どこへ行ったのか分からなくなります。
エゾヒグマが止め足を使う時は、人間を警戒して逃げている時だと考えられますが、気性が荒いヒグマは、止め足で人間の注意を引いて襲うことがあります。
ホッキョクグマ
引用:https://www.city.sapporo.jp
ホッキョクグマは、北極圏や流氷圏に生息する熊の仲間です。
他の熊と比べて全身が真っ白に見えることからシロクマと呼ばれることもあります。
しかし、実は体の白い毛は透明であり、光を透過して、毛の内部が空洞になっているために散乱光によって白く輝いて見えるのです。
白く見える毛は雪や氷の中で狩りの時に姿を消すためのカモフラージュにも役立っています。
透明な毛によって太陽の光は皮膚まで届き、黒い皮膚を暖め、分厚い体毛がその熱を逃がさないように保護しているのです。
また、空洞の毛は熱を保温する効果もあります。
体つきも他の熊とは異なり、体は長く、肩幅は狭く、遠くから見ても首が長いことが特徴です。
また、頭部は小さくて鼻面は長く、耳は短くて丸くなっています。
体長は200~300cm、体重は400~600kgと、地上最大の肉食動物です。
最大で800kgの個体が記録されています。
熊の仲間は雑食性ですが、ホッキョクグマは最もよく肉を食べる熊です。
アザラシが主食ですが、海鳥や魚も好み、クジラの死骸などを食べることもあります。
ホッキョクグマは泳ぎが得意であり、時速10kmで泳ぐことができるとされています。
細く長い首は泳ぐ時に楽に呼吸するための進化だと考えられています。
現在、ホッキョクグマの生息数は減少しており、絶滅危惧種に指定されています。
温暖化による流氷地域の減少によって、獲物となるアザラシの繁殖地が少なくなったことで、ホッキョクグマにも大きな影響が及んでいます。
史上最大の熊:ショートフェイスベア
引用:https://matome.naver.jp
ショートフェイスベアは、今から約180万年前頃に現れ、1万1千年前に起きた寒冷化により絶滅した熊です。
強力な捕食者として君臨していたとされており、グリズリーやホッキョクグマよりも大きくて強いと考えられる史上最大の熊です。
後ろ足で立つと4m、重い個体では1トンを超えただろうと考えられています。
手足が長く、非常に速く走ることができたとされています。
鋭い爪と牙を持っていたとされ、熊が傷をつけたような跡が残っているマンモスの堅い骨が発見されており、ショートフェイスベアはマンモスを捕食していたのではないかとも考えられています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
意外にも植物を主食としている熊の仲間が多く、少し恐怖感は薄れたでしょうか。
しかし、いくら主食が植物だからと言って、鋭い爪や牙を持っていることには変わりありません。
うっかり遭遇してしまった時には、刺激しないように回避するようにしてください。