「恐竜と言えば?」と聞かれると、皆さんはどんな恐竜を思い浮かべるでしょうか?
たいていは、鋭い爪と牙を持つコワモテな大型の肉食恐竜か、長い首に大きな巨体を持つ草食恐竜が頭に浮かぶのではないかなと思います。
小さな恐竜ももちろんたくさんいるのですが、恐竜というとやはり「体が大きい」というイメージがありますよね。
今回はそんな恐竜の中でも、巨体な草食恐竜の代表格とも言える、ブラキオサウルスについてご紹介したいと思います。
ブラキオサウルスとは
引用:http://dino-world.net/
ブラキオサウルスは中生代にあたる、約1億5000万年前のジュラ紀後期から、1億4500万年前の白亜紀前期まで生息していたと言われる大型の草食恐竜です。
一説では約1億1200万年前まで生きていたとも言われています。
長い首と尾を持つ大型の草食恐竜・竜脚類の仲間で、植物を主食とした大人しい性質の恐竜だったと考えられています。
体高は16メートルに達したと言われていて、巨大草食恐竜の代名詞とも言われる恐竜です。
ブラキオサウルスの「ブラキオ」はギリシャ語で腕を意味しており、後ろ脚よりも前脚の方が長いという特徴からつけられたようです。
中国語ではその名の通り、「腕竜(ワンロン)」と言われています。
ブラキオサウルスの生息地
引用:http://feynmanino.watson.jp/
ブラキオサウルスの化石は北アメリカとアフリカ大陸のタンザニア共和国などで発見されています。
ブラキオサウルスが生息していた時代、北アメリカはローラシア大陸、タンザニアはゴンドワナ大陸というそれぞれ大きな大陸の一部でした。
それらふたつの大陸も、もともとは超大陸パンゲアというひとつの大きな大陸でしたが、ジュラ紀の中期ごろにローラシア大陸とゴンドワナ大陸のふたつに分裂。
その後さらに分裂を繰り返し、ローラシア大陸は北アメリカとユーラシア大陸、ゴンドワナ大陸はアフリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極、インドへとそれぞれ時間をかけて分かれていき、現在の大陸配置が形成されました。
もともと生息範囲が広かったと考えられるブラキオサウルスの化石が、世界のあちこちから発見されているのは、これらの大陸移動によって、生息していた場所が世界中に散らばったこともひとつの要因と言えるのではないでしょうか。
ブラキオサウルスの大きさ
引用:https://svpow.com/
ブラキオサウルスは、ほぼ完全な全身骨格が存在する史上最大級の草食性恐竜です。
その大きさは全長25メートル。
引用:http://www.prehistoric-wildlife.com/
体重は発見当初は80トンと推定されていましたが、現在は25トンから50トンくらいと考えられており、他の竜脚類と違う特徴として、後ろ脚に比べて前脚が長く、そのため背中は後方に向かって傾斜した形になっていたことが化石の研究などから分かっています。
ブラキオサウルスの生態
骨の形や組み合わせなどから、首を上側に持ち上げることは出来なかったとされていますが、前脚が長い分、高い場所の食べ物を取ることが可能だったと考えられていて、他の草食恐竜では届かない木の葉や枝を好んで食べていたと思われます。
頭部は小さく、脳の大きさも200グラムほどで、頭の最も高い位置にはトサカのような形をした鼻腔を持っていました。
噛む力はそれほど強くなかったため、葉や枝を丸ごと飲み込んで食べていたと考えられています。
多くの草食恐竜は石を食べて胃の中に取り込み、飲み込んだ葉や枝をその石を使って胃の中ですりつぶしていたと言われていて、ブラキオサウルスも同じように丸ごと食べた枝などを胃石を使って細かく砕き、消化していたとされています。
ブラキオサウルスは水中生活をしていた?
引用:https://gameplay.tips/
化石が発見された当初、体重が80トンを超えると推定されたブラキオサウルスは、その重さゆえに陸上での生活は困難ではないかと思われていました。
その解決策としてブラキオサウルスは、現存するカバやワニのように水中で生活していた、つまりは半水生の生物だったのではないかという説が浮かび上がりました。
頭部の最も高い位置に鼻腔があったのも、水面から頭だけを出して呼吸をする時にその方が都合が良かったと水中生活説を裏付けるひとつの特徴として考えられたのですが、ブラキオサウルスは横隔膜を持っていなかったため、水中で生活すれば水圧によって肺が押しつぶされてしまい呼吸が出来ないという研究結果によって、水中生活説は覆されました。
その後の調べで、80トンと推定されていた体重は25トンから50トンと修正され、乾燥地帯などの陸上で生活していたと考えられています。
群れで生活するブラキオサウルス
引用:https://animalsake.com/
草食恐竜のブラキオサウルスは、肉食恐竜から身を守るために群れを作って生活していました。
移動するときや夜などは、狙われやすい子供を中心にして、大人たちが周りを取り囲んでいたと思われます。
大人のブラキオサウルスは巨大な尾を鞭のように使って、肉食恐竜を撃退していたと考えられており、遠心力を利用した尾の威力は相当なもので、肉食恐竜を一撃で仕留めることもあったと言われています。
また、身を守る術のひとつとして、ブラキオサウルスなどの竜脚類は、生まれてから数年間の成長速度がとても早く、場合によっては1日で40キログラムも体重が増えると言われています。
草食恐竜の営巣地は肉食恐竜にとっては狩猟場であり、卵から孵化したばかりの赤ちゃんは次々と襲われ食べられてしまっていました。
孵化する卵の数が多いので種の存続に影響はないと思われますが、生まれてからの数年間が最も命の危険にさらされていたと考えられます。
生まれたばかりの小さなブラキオサウルスたちは、踏みつぶされる危険性が高いため、大人のブラキオサウルスと行動を共にすることは難しかったと思われ、生まれてから数年間は岩陰などに身をひそめ、大人たちに合流できる大きさになるまで、肉食恐竜の目から逃れるように暮らしていたと思われます。
ブラキオサウルスが歩くと落とし穴が出来る
引用:http://www.afpbb.com/
動きもゆったりとして、性格も大人しいと考えられているブラキオサウルス。
獰猛な捕食者である肉食恐竜と違い、他の恐竜たちに危害を加えることはないと思われますが、以外なところで生物たちの脅威となっていたと言います。
植物を主食とするブラキオサウルスは現存する草食動物たちのように、季節や環境に合わせて食べ物を求めて移動していたと考えられますが、その際に湿地帯などのぬかるんだ地面などを歩くことも珍しくなかったと思われます。
皆さんは、雨上がりなどでぬかるんだ土の上を歩いた時、思っていた以上に靴が泥に沈んで、汚してしまったという経験はありませんか?
普段の乾いている時とは違って、足跡も深くくっきりと地面に残りますよね。
ブラキオサウルスも同じように、ぬかるみを歩くと大きな足跡を残しました。
しかも体重25トンから50トンという巨体ですから、足跡の大きさはもちろん、その深さも相当なものになったはずです。
そしてその大きな足跡こそが、他の生物たちにとっては脅威となりました。
深くえぐられた足跡には、再び周りの水や泥が入り込み、表面上は平らな地面に見えます。
しかし、偶然その上を歩いた生物たちが、その巨大な足跡に一歩足を踏み入れると、そこには踏みしめるための土はなく、そのまま泥の中に沈んでいく…つまりブラキオサウルスの足跡が、泥で出来た巨大な落とし穴になっているのです。
小型の恐竜や哺乳類などがその落とし穴にはまって抜け出せなくなってしまい、そのまま命を落として化石になって発見された例もあります。
ひとつの足跡の化石から、10匹以上の生物の骨が見つかったりしているそうですよ。
ただ歩いただけでそんな落とし穴を作ってしまうなんて、ブラキオサウルスの大きさと重さは想像以上ですよね。
偶然その足跡に落ちてしまった生物たちは、なんだかかわいそうですが。
更なる巨大草食恐竜の発見
近年、同系統で全長28メートルとされるサウロポセイドンや、現時点で史上最大と言われているなどが発見されるまで、ブラキオサウルスは最も巨大な恐竜と言われていました。
しかし史上最大ではなくなったものの、他の巨大恐竜は骨格の一部しか化石が見つかっていないものが多く、ほとんど完全な全身骨格が発見されている種としては、ブラキオサウルスは最大の恐竜と言えます。
また、映画「ジュラシックパーク」にも登場していたことなどから、その知名度はいまだに高く、巨大草食恐竜の中ではいちばん有名な恐竜と言っても過言ではないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしたか?
史上最大の名を塗り替えるような新種の化石の発見が、世界の色んな所で日常的にあるとはいえ、やはりブラキオサウルスの知名度を考えると、最大の恐竜と言えるのではないでしょうか。
ジュラシックパークの次回作があるなら、巨大な恐竜代表として、また登場してもらいたいですね。