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【謎の海難事故】実在した世界の幽霊船15

朝鮮人民軍第325


2015年11月、石川県沿岸に12隻の木造船が漂着しているのが発見されました。

この船内を調査したところ、船内は荒れ果てており、成人男性10人の遺体がありました。遺体は損傷が激しく、船は相当長い期間にわたり海上を漂流していたものと推測されました。

木造船には、ハングル語で「保安部」「朝鮮人民軍第325」などと記されており、北朝鮮籍のものと同じ特徴が複数見つかりました。

北朝鮮国家安全保衛部は国家最高指導者直属の超法的機関で、秘密警察および情報機関の役割を遂行する特殊部隊とされておりますが、船からは漁網などが発見されており、戦艦というよりは漁船ではないかと報じられています。

この船が北朝鮮から何の目的で出航したのか、海上で何が起こったのかは誰にも分かりません。

 

SAYO号


2016年、フィリピンの港町バロボの漁師2人が、沖合の海域をさまよう不審なヨットを発見しました。

全長12mの船体はひどく損傷しており、マストも完全にボロボロで、沈みかけていました。異変を感じ取った漁師たちが船に近づき船室を覗き込むと、机に突っ伏すような姿勢で息絶えているミイラ化した死体を発見しました。

漁師からの通報を受けて、地元警察はすぐに遺体の身元やヨット内部の捜査をしたところ、2009年にスペインのマヨルカ島を出港後、消息を絶ったドイツ人の冒険家、マンフレッド・フリッツ・バヨラトさん(59)だったことが分かりました。

警察や法医学者の調査によるとマンフレッドさんは突然の心臓発作によって亡くなった可能性が高いということです。

過去20年間、マンフレッドさんは「SAYO号」に単独で乗り込み、世界の海を股にかけて冒険していました。近年は、旅の様子をフェイスブックを使って度々発信していましたが、約1年前にパタリと更新が止まり、その後は誰もマンフレッドさんと連絡を取れない状態が続いていました。

マンフレッドさんは冒険の途中で、2010年に亡くなった元妻のクローディアさんに宛てたメッセージを残していました。

「30年間、私たちはともに人生を歩んできた。しかし、悪魔の力は、生きようとする希望よりも強かった。もう君はいない。君の魂が、平安とともにあらんことを。 マンフレッド」

 

オーラン・メダン号


1974年6月にマラッカ海峡を航行中のシルバースター号は一つの無線信号を受信しました。

その信号は、インド・ジャカルタに向かって航行中だったオランダ商船のオーラン・メダン号(SS Ourang Medan)からのもので、その内容は「乗組員全員が死んだ。ブリッジなどに死体が横たわっている。私も.....まもなく死ぬ」というものでした。

不審に思ったシルバースター号は、すぐさまオーラン・メダン号の救援に向かいました。そして、そこで発見したのは恐怖におののくような凄まじい形相で倒れている山のような死体でした。

しかし不思議なことに、その死体には外傷らしき傷が全くなく、オーラン・メダン号自体も全くの無傷でした。

ますます不審に思ったシルバースター号の乗組員たちが船内の調査を試みようとしたところ、貨物室から激しい爆発音が鳴り響き、船は炎上。多くの謎の死体と共に船体は海のそこ深くへと沈んでいきました。

後日、調査がなされましたが詳しい沈没原因や乗組員の死亡原因については特定されず、今現在も多くが謎に包まれたままです。

 

ハイ・エイム6号


2002年10月に台湾のリウチウ港を出港した中国船籍漁船「ハイ・エイム6号」は、2003年1月にオーストラリア近海で無人で漂流しているのを発見されました。

船内には食料が残されたままで、争った形跡もなく、乗組員の姿がない事を除けば、船内に不審な点は何もありませんでした。

それから10日後、調査当局によりハイ・エイム6号の生き残りだと思われる乗組員が発見されました。乗組員は「船長とエンジニアが乗組員全員を殺害し、2人は自国(中国)に戻った」と証言しました。しかしその後、船長とエンジニアは見つかっておらず、殺人の理由などは判明しておりません。

 

バレンシア号


1906年1月20日、アメリカの蒸気船バレンシア号は、乗員157人を乗せてバンクーバー島に向けて出港しました。往路は安全そのものでしたが、復路で悪天候に見舞われて座礁してしまいました。

悪天候の中すぐさま救助が開始されましたが、救助は難航し、助かったのはわずか37人。救助の際にバレンシア号備え付けの救命ボート5艇全てが使われましたが、その内1艇だけは回収されず、行方不明になりました。

座礁した船は、大波により破壊され、船体が分裂し海の底に沈んでいきました。

そして、事故から27年後の1933年、ブリティッシュコロンビアの海岸沖を漂っている救命ボートが発見されました。ボートは無人で、奇妙なことに27年も漂流を続けていたにも関わらずボートの塗装はほとんど剥がれ落ちていませんでした。

更に、事故から数十年もの間、海の底に沈んだはずのバレンシア号を見たという目撃談が後を絶たず、「幽霊船バレンシア号は自らの悲しい運命を呪いながら海をさまよい続けた」と言われています。

 

テインマス・エレクトロン(ドナルド・クロウハースト)


1968年、イギリスの新聞サンデー・タイムズ紙が単独無寄港世界一周ヨットレース・ゴールデン・グローブ・レースを主催しました。

事業の失敗で多額の負債を抱えていたドナルド・クロウハーストは、優勝賞金目当てにこのレースに出場することを決めました。

彼は、レース出場のために約12メートルのトリマランヨットを建造し「テインマス・エレクトロン」と名付けました。建造費は12,000スターリング・ポンドで、スポンサーからの借金で賄われていました。

1968年10月31日、クローハーストはデヴォン州テインマスから出港しました。その後、主催者は無線によってクローハーストら参加者の現在位置を把握して順位をつけていました。

出港から数ヶ月が経ち、1969年4月22日、このレースの最初の達成者となったロビン・ノックス=ジョンストンが313日という記録でイングランドへと帰還しました。

クローハーストは、次点でイングランドに向かっているテトリーと2着争いをしているものと推定され、その後テトリーが脱落したこと、クローハーストは出発が遅かったのでロビンの記録を上回る可能性が非常に高いことから、その注目度は日に日にましていきました。

しかし、ロビンの到着から3ヶ月以上経ってもクローハーストはイングランドに到着することはありませんでした。

1969年7月、大西洋を航行中の船舶が、漂流しているクローハーストのヨットを発見しました。

ヨットに残されていた航海日誌には、最初の数週間で経験不足や準備不足により世界一周を断念せざるを得ない状況になっていたことが書かれていました。

そしてクローハーストは、大西洋上のヨットの上で時間を潰し、先頭集団が戻ってきたところで合流しようと考え、嘘の位置情報の連絡や航海日誌の捏造など、手の込んだ偽装工作を始めました。

しかし、ゴール時期が近づくいて、予想外に優勝する可能性が出てきたことで、家族や知り合いから期待され、世間からも大きく注目されていることを知らされました。また、優勝すれば航海日誌のチェックを受け、偽装がばれるのは明らかでした。

期待と注目により大きなプレッシャーを感じていたクローハーストは徐々に精神状態が悪化。1969年7月1日の日誌の記述を最後に、船外へと投身自殺したということです。

空と海から大規模な捜索が行われたものの、残念ながら彼の遺体が発見されることはありませんでした。

 

良栄丸


「良栄丸」は、海上でエンジントラブルに見舞われ、行方不明となり11ヶ月間にわたり北太平洋を漂流していた日本の漁船です。

12月5日に乗組員12名を乗せて三崎漁港を出港した良栄丸は、銚子沖100キロメートルほどの海域でマグロ漁に従事していましたが、エンジンが故障し季節風により銚子の東1600キロメートル付近まで大きく流されてしまいました。

当時の漁船は無線設備を積んでいなかったため、救援を得ることも出来ず、乗組員らは漂流を決意し、船に積載していた食糧や漁獲した魚などで4ヶ月食いつなぐ事にしました。

その後、度々漁船や貨物船などを目撃し、大漁旗や焚火で救難信号を送るも失敗に終わりました。それから数週間後の12月26日、船長は季節風に乗ってアメリカへ漂着することを決断しました。

しかし、3月5日の朝食を最後に食糧が底を付きました。それ以降は船体に繁殖した海草や魚などを食べてしのいでいたものの、3月9日に機関長が死亡して以降、次々に乗組員が死亡していきました。

それから約8ヶ月後の1927年10月31日、シアトル沖でアメリカの貨物船マーガレット・ダラー号により発見されました。発見された時、すでに乗組員の遺体はミイラ化しておりました。

通常、生存者がいない海洋トラブルでは、船で何が起こったのか分からないことが多いですが、良栄丸の事故では克明に記された航海日誌が残されており、その漂流の経過が判明しました。

 

まとめ

今回は、実際に長期間漂流を続けていた幽霊船をご紹介しました。

今は無線や衛星システムにより陸上から船の正確な位置を把握することができるかもしれませんが、一昔前はそうではありませんでしたので、船が行方不明になる事件・事故は度々あったようです。

海は非常に広大で、バミューダトライアングルなど未だ謎に包まれた海域も多い場所です。もしかすると今もどこかの海を無人で漂流している幽霊船が存在するかもしれませんね。

それにしても無人でまたは遺体を乗せて漂流しているボロボロの船を発見したらと思うと恐ろしいですよね。



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