10位 ニホンザル
ニホンザルは本州、四国、九州、屋久島の森林に生息する日本の固有種で、近年は餌付けによって数が増え、農作物を荒らしたり人間の食べ物の味を覚えたことで民家に忍び込むようになったというトラブルが増えています。
主な攻撃手段は鋭く長い牙を使った咬みつきで、被害に遭った場合は傷口を洗い流して消毒し、包帯や絆創膏でしっかり止血するようにしましょう。また感染症の可能性もあるため、すぐに病院に行くようにしてください。
サルと遭遇してしまった場合、眼を見ることは敵意の表明になるため視線を外して後ずさりをして距離を取り、サルがこちらから視線を外しているか確認しながらそっと離れるようにしましょう。
相手が自分より弱いと感じると攻撃をしてくる習性があるため、驚いて背を向けて逃げ出したりするとサルが飛び掛かってくる可能性もありますので、もし飛び掛かられた場合は小石などを投げつけて威嚇して、ひるんだ隙に距離をとるようにしてください。
9位 カツオノエボシ
引用:http://mentalfloss.com
カツオノエボシは外洋の海面に幅広く分布するクラゲの一種で、日本近海には夏の終わりの土用波に乗って太平洋沿岸に押し寄せてきます。直径10cm程度の浮袋と1m~16mの触手で構成され、浮袋の部分は様々な個虫が集まって一つの生物の器官を形成しています。
日本には大波で触手が切れた状態で浜辺に漂ってくることも多く、切れ端に触れるだけでも電気を流されたような鋭い痛みが走ることから“デンキクラゲ”という異名を持つほどです。
触手は透明のために浜辺にいても気が付かないことも多く、体に巻き付かれて初めて存在を認識することもあります。触手には無数の刺が並び、この棘が毒を打ち込む役割を果たすのですが、棘の長さは極めて短いためにウェットスーツはもちろん、普通のTシャツを貫通することもありません。
刺胞に刺された場合は鞭で打たれたように皮膚が赤くなり、激しい痛みを感じます。しかもアナフィラキシーショックを起こす危険があるため、過去に1度刺されたことがある場合は特に注意が必要です。
被害に遭った場合はすぐに流水や綺麗な水で患部を洗って、アロエの葉を割って断面の肉の部分で軽くたたき、毒を中和して棘を取るようにしましょう。
8位 エラブウミヘビ
エラブウミヘビは南西諸島や四国、九州、本州南岸に分布する生物で、コブラ科の祖先を持つと考えられています。そのため他のウミヘビよりも海中生活への適応能力が低く、頭部が大きく胴が丸いという陸生の蛇の特徴を持ちます。
本種は“エラブトキシンン”と呼ばれる独特の毒を持ち、この毒はハブの15倍の強さを持つと恐れられており、エラブトキシンンは体内に入っても痛みや腫れといった症状が見られないにもかかわらず致死率が50%を超えるという恐ろしい性質を持つのです。
肺で呼吸をするため比較的浅瀬で生活をしていることから人間との接触が多いのですが、臆病な性格を持つことから進んで攻撃を仕掛けてくるようなことはありません。磯でウミヘビと思われるものが見たらむやみに近づかずに避けるようにしましょう。
もし咬まれてしまった場合は毒を絞ったり口で吸いだすことと並行して救急車を呼び、安静にして救助を待ってください。
7位 ニホンマムシ
ニホンマムシは北海道、本州、四国、九州に分布し、平地から山地の森林や田畑、藪などに生息します。日本国内で最も被害報告が多い毒蛇で毎年1000人前後の人が咬まれ、そのほとんどが4月~10月、特に夏の時期に発生しています。
マムシは本来夜行性なのですが暑い季節には1日中活動をすることが原因で、この時期には駐車場や公園といった普段は姿を見せないような開けた場所にも出現するため注意が必要です。
出血作用の強い毒を持ち、この毒の強さはマムシを上回るとされますが、全長が40cm~65cmと比較的小柄なために毒の量が少なく、咬まれても命を落とすようなケースはあまり多くありません。
本種を含むマムシの毒は遅効性のため吸いだしてもあまり効果が無いことも多く、咬まれた場所と心臓の間を軽く縛って毒の回りを遅らせ、10分に1回程度紐を緩めて血液を循環させながら病院に向かうようにしましょう。
ニホンマムシの毒は神経毒ではありませんが心臓まで達すると一瞬で全身に回ってしまうか危険があるため、咬まれた直後に何も症状が無くても必ず病院を受診してください。
6位 サメ
サメは冷たい海水にも適応することができるため、日本近海でもホオジロザメを始めアオザメ、ヒラシュモクザメ、イタチザメと様々な種の姿を見ることができます。
これらのサメによる被害報告は多く、特にサメの中で一番攻撃的な性格を持つとされるホオジロザメでは世界中で300件以上の被害が報告されているうえに刺咬傷が原因で死亡した被害者は80名以上にのぼるとされます。
日本でも1992年に海底で漁をしていた潜水士がホホジロザメに襲われて内臓に達するまでの大怪我を負ったり、漁船が体あたりを受けるなどに被害が確認されており大きなニュースになりました。
サメは血液のにおいに引き付けられてやってくる習性があるため、サメの目撃報告がある場所では特にモリなどを使用した漁は避けた方が無難でしょう。
5位 アンボイナ
アンボイナは紀伊半島以南の潮間帯下部~水深25m程度のサンゴ礁の砂地に生息するイモガイの一種で、沖縄では“ハブガイ”とも呼ばれるほど強い毒を持ちます。
イモガイは歯舌歯という先端がモリのように尖った器官を持ち、これを伸ばして相手に刺して毒を注入、動けなくなったところを丸呑みして魚を捕食するのですが、この際に使用する“コノトキシン”という神経毒が非常に強力で、成人した人間であっても体内に入ると体が満足に動かせないほどの麻痺が生じることがあるのです。
特にイモガイの中でも最強クラスの毒を持つアンボイナに刺された場合、その直後は痛みもないものの20分ほどで眩暈や血圧の低下、呼吸困難などを引き起こすようになり、最悪の場合は書に至ることもあります。
実際に1944年には沖縄県で13歳の男児がアンボイナに刺されてその2時間後に死亡するという事件が起きており、砂浜で綺麗な巻貝を見つけても決して触れないように注意換気がされています。
万一被害に遭った場合は毒を吸い出した後に心臓に近い部分を紐で縛り、迅速に病院に行くようにしましょう。
4位 ヒョウモンダコ
ヒョウモンダコは相模湾から八丈島以南に生息するマダコの仲間で、敵に見つかると体中に青く発光するリング状の模様を浮かび上がらせます。
この状態になった個体を刺激すると触手の付け根にあるクチバシで咬みついて毒を注入してくるのですが、この毒がフグと同じ猛毒の“テトロドトキシン”で、一咬みするだけで7人もの人間を麻痺、或いは死亡させることができる量を送り込んでくるのです。
更にテトロドトキシンには解毒剤が無いため、毒が体内に入った場合は完全に排出されるまで酸素マスクをつけて入院する必要があります。
ヒョウモンダコに咬まれた場所は小さく血がにじむ程度で、被害に遭った直後は痛みもありません。しかし数分経つと口の周りに刺すような痛みを感じるようになり、5分以内には全身が完全に麻痺、30分後には痙攣や呼吸困難も見られるようになります。
そのためヒョウモンダコに接触した場合はすぐに病院へ向かうようにしましょう。また海で泳いでいる間に咬まれた場合には麻痺で溺れ死ぬ危険性もあるため、このタコの目撃情報が報告されている場所では1人で行動しないように注意が必要です。
3位 ウンバチイソギンチャク
ウンバチイソギンチャクは奄美大島以南のサンゴ礁に生息する直径15cm~25cmのイソギンチャクで、岩や海藻に似た姿をしていることから間違って触れてしまう人が多い危険な生物です。
ウンバチとは海の蜂という意味で、他のイソギンチャクと同じく触手の刺胞球から刺胞を発射して相手の体に毒を注入するのですが、本種が持つタンパク毒は厄介な毒を持つものが多いイソギンチャクの中でも最強クラスであり、刺されると患部が腫れあがって血の巡りが悪くなり、放置しておくと皮膚が壊死して移植手術を受けることもあります。
また腎臓に障害が出るケースも確認されているため、触ってしまった場合はすぐに海水で刺胞を洗い流して冷やしながら病院へ行くようにしましょう。
2位 オオスズメバチ
スズメバチの中で最大の大きさを誇るオオスズメバチの体長は2.7cm~4.5cm。北海道から屋久島まで幅広く分布し、巣を拡大させて新しい女王バチを迎える4月から10月にかけて特に活動が活発化します。
体が大きいだけではなスズメバチの中で最も攻撃性の高い性格を持つことでも知られ、キイロスズメバチやモンスズメバチといった多種の蜂の巣を襲って全滅させることも見られる程です。
1匹に刺されただけであれば大きな被害にはなりませんが、ハチは危険を感じると警報フェロモンを発して仲間に危機を知らせるため、集まってきた働きバチの大群に襲われた場合はアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
スズメバチの眼には動くものは敵に見えるため、もし知らずに巣に近づいてしまったり大群に遭遇してしまった場合は、じっと固まって動かず群れが飛び去るのを待ちましょう。
毒は水溶性のため、被害に遭ってしまった場合は毒液を素早く絞り出した後に流水で患部を洗い流し、冷やしながら病院に向かうようにしてください。
1位 ヒグマ
ヒグマは北海道の森林部に生息する国内最大の野生哺乳類で、体長は1.3m~2m。雑食性で植物や果実、昆虫、魚、小動物などを餌とします。
本来は人を食べることはありませんが一度でも味を覚えてしまうと餌として認識する習性があるため、人肉の味を覚えたヒグマは繰り返し人間を襲うことがあり、この習性が引き起こした最大の事件が1915年12月に北海道の三毛別(現在の苫前町三渓)で起きた“三毛別ヒグマ事件”です。
三毛別ヒグマ事件は突然民家に現れたヒグマがその家の少年を食い殺し、一緒にいた女性の死体を雑木林まで引きずっていき、後に女性の遺体は捜索隊に発見されたのですが、この女性に対して自分の獲物として執着したヒグマが葬儀場まで追いかけてきて、葬儀に参列した妊婦と胎児を含む7名を食い殺して重傷者も3名出したという恐ろしい事件です。
ここまで凄惨な事件は類を見ませんが、ヒグマが絡んだ事件は毎年のように起きており“クマ出没注意”の看板のある場所には立ち入らないよう注意が必要です。
またヒグマ以外に本州と四国に幅広く分布するツキノワグマが人間を沿って食べた事件も2016年には発生しているため、併せて注意喚起がされています。
まとめ
日本に生息する危険生物はオーストラリアやニュージーランドなどと比べると小さな虫などが多く、地味な印象があるかもしれません。しかし普段の生活で特に意識しないような存在が強力な毒を持っていたり恐ろしい病気を媒介したりすることが多いため、地味な危険生物ほど注意を払う必要があるでしょう。
生態がよく分からないものには安易に触れない、万一触れてしまったらできれば原因と思われる生物の死体を持って病院を受診するなど身近に潜む危険生物から身を守る術を心得ておくと安心ですよ。