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世界の透明な生物10選

私たち哺乳類には信じられないことですが、実は世界中には透明な生き物が多く存在しています。

生き物が身を隠す方法として、体を透明にすることで背景に溶け込ませて捕食者から見つかりにくくしているのです。

世にも不思議な透明な生物たちをご紹介します。

クリオネ

クリオネ

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透明な体に羽根のような左右の翼足、「流氷の天使」や「氷の妖精」などと呼ばれて愛されている生物がクリオネです。

クリオネは軟体動物門腹足綱裸殻翼足類で、巻貝の仲間ですが、成長すると貝殻が無くなり、内臓以外は全て透明になります。

クリオネの名前は、ギリシア神話に出てくる文芸の女神クレイオーからきています。

成体のクリオネは肉食で、小動物、特に翼足類のミジンウキマイマイなどを捕食します。

嗅覚によって餌を見つけると接近し、頭部にあるバッカルコーンという6本の触手を伸ばして餌を抱え込んで吸収するのです。

クリオネは特別なところで生きているイメージがありますが、ペットショップなどで飼育キットが販売されていて、実は自宅で飼うことも可能です。

スカシダコ

スカシダコ

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タコというと、真っ赤になった茹でダコの姿を想像する方が多いかもしれませんが、タコの中にも透明なものがいます。

スカシダコという名のそのタコは、その透明度の高さから、「ガラスのタコ(Glass Octopus)」という異名を与えられています。

スカシダコは歯や毒を持っておらず、天敵に見つかってしまうと大変です。

そのためスカシダコは、体を透明にすることで、身を守っていると言われているのです。

体の中の消化腺は透明にできないため、スカシダコの存在を示す手掛かりは消化腺となります。

ですがその影もできるだけ隠すために、スカシダコは太陽の光に垂直になるように、姿勢を縦に保って泳ぐことで、影をできるだけ小さくするという工夫をしているのです。

ニザダイ

ニザダイ

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ニザダイは東アジア沿岸の暖海地域に生息している魚の一種です。

尾ひれの前には4・5個の暗い楕円形の斑点が並んでいて、そのうちの3個がよく目立って見えます。

この斑点を漢数字の「三」に見立てて、ニザダイを「サンノジ」と呼ぶ地域もあります。

なお、この斑点部には堅い骨質板が突き出していて、つかむとケガをしてしまう可能性があるので、取り扱い時には注意が必要です。

ニザダイは英名で「Sawtail(ノコギリの尾)」という名がついていますが、それはここから由来しています。

このニザダイは、成体は透明ではありませんが、幼魚は透明の体をしています。

ニザダイ科の魚は、アクロヌルス期もしくはケリス期と呼ばれる特徴的な幼生段階を経て成長するのですが、アクロヌルス期に透明な体となっているといいます。

カメノコハムシ

カメノコハムシ

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カメノコハムシは、カメの甲羅を背負ったような形をしているためこの名がついています。

ハムシというグループの中でもとても変わった不思議な姿をしていることで知られており、甲虫というイメージとはかなり違った外見をしているものがいます。

まるで透明のプラスチックのような殻をかぶっているような姿をしているのです。

カメノコハムシは北アメリカに広く生息していて、農作物を食い荒らすことがあるので、害虫とされています。

カメノコハムシの外殻が透明になっているのは、外敵から隠れやすくするためと言われています。

多彩な種が生息しているカメノコハムシの色彩は構造色で構成されていて、水分と前翅のクチクラの構造によって生み出されています。

そのため、死んで標本になってしまうとその輝きは見ることができません。

ウナギ

レプトケファルス

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ウナギの幼生は、まるで透明なリボンのような姿をしています。

ウナギの幼生は「レプトケファルス(ラテン語でやせた頭という意味)」と呼ばれていて、厳密に言うと、ウナギ・ハモ・アナゴなどのウナギ目や、ソコギス目、カライワシ上目の魚の幼生の時のことです。

レプトケファルスは、細長くて平たく、透明な体をしていることが特徴です。

レプトケファルスには赤血球がないうえに各器官が小さく、内部組織が透けて見えます。

成体のウナギは暗褐色をしていますが、幼生のころはその姿からは想像がつかない姿をしているのです。

ウナギの透明だった体が黒くなっていく理由は、体にとって有害な紫外線が体内に入ってこないよう守るためだと言います。

サルパ

サルパ

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サルパとはプランクトン性の尾索動物で、生物学上はホヤの仲間に属しています。

サルパは透明な姿をした樽型の生物で、その見た目からクラゲの仲間だと思われがちですが、全く別の生態をしており、生物学的にはクラゲよりむしろヒトに近いと言います。

体長は数cmのサルパもいれば、30cmほどにもなるオオサルパなど、64種類のサルパが存在しているのです。

サルパは、樽型の寒天のような体に水を通してジェット推進で移動することができます。

そして吸引した海水を体内で濾すことで、植物プランクトンを捕食しているのです。

つまり、水を取り込んで推進力にするとともに水中のプランクトンを摂取しているため、食べながら移動をしていると言えます。

タルマワシ

タルマワシ

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タルマワシは深海性甲殻類の一種で、半透明の体をしており、サルパなどを捕食して生きています。

最もよく知られているのはオオタルマワシで、本州中部以南の太平洋に分布しています。

タルマワシという名前は、その習性から来ています。

タルマワシは、サルパの内側を食べると残った外側の皮の中に潜り込んで巣として利用するという習性があるのです。

サルパは樽型の生物であり、その樽型の中に入ってくるくると遊泳する姿がまるで樽を回しているように見えることから、タルマワシという名前になったのです。

メスのタルマワシは、サルパの内側に卵を産み付けて子育てを行います。

タルマワシも巣とするサルパも透明なため、産み付けた卵やふ化した子供の姿がよく見えます。

ケイブ・クレイフィッシュ

ケイブ・クレイフィッシュ

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ケイブ・クレイフィッシュとは、アメリカの洞窟に生息しているザリガニです。

形や大きさはアメリカザリガニと同じようなのですが、普通のアメリカザリガニのように赤い色をしておらず、白く透明なのがケイブ・クレイフィッシュの特徴です。

ケイブ・クレイフィッシュは洞窟の中で生息しているため、紫外線が届きません。

そのため、紫外線から体を守るためのメラニン色素が作られる必要がなかったため透明に進化したのです。

洞窟の中ではものを見る必要がないために、目も退化してしまっています。

洞窟の中は餌が乏しい環境であり、ケイブ・クレイフィッシュは代謝を抑えるように進化してきました。

なので成長速度はたいへん遅く、性成熟するのに100年もかかると言い、寿命は100年以上あります。

ジュエルキャタピラー

ジュエルキャタピラー

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中南米の熱帯雨林地域に生息しているイラガの仲間には、幼虫の時にとても美しい風貌をしているものがいます。

ジュエルキャタピラーと呼ばれ、中南米では約80種類、コスタリカでは約20種類が確認されている幼虫で、ゼリーのような透明なもので覆われていることが特徴です。

ジュエルキャタピラーはそれぞでにカラーバリエーションが豊かで、まるで宝石のようです。

何故、ジュエルキャタピラーが透明なゼリー状のもので覆われているのかは不明ですが、このゼリー状のものはネバネバとしていて、アリなどの捕食者がこのネバネバした感じを嫌がるためではないかという説もあります。

このネバネバしたゼリー状の物質は再生能力が高いため、もしも一部をはがされてしまっても再生できるのだそうです。

コオリウオ

コオリウオ

コオリウオは、南極大陸と南米大陸の南の冷たい海域に生息している魚です。

コオリウオの特異な点は、血液が無色透明なことです。

普通の動物の血液内には赤血球という細胞があって、赤血球の中には赤い色素を含むヘモグロビンというタンパク質があります。

コオリウオの血液は赤血球をほとんど持っていないうえに、赤血球にはヘモグロビンがないため、血液が透明なのです。

何故コオリウオがヘモグロビンをなくすことになったのかは、今でもよくわかっていません。

ヘモグロビンがないために、血液中の血漿に酸素を溶かして運んでいます。

コオリウオの心臓は大きく、血液量も一般的な魚類の4倍と多く、ヘモグロビンがないことを補うようにできています。

また、エラだけでなく体の表面からも酸素を取り入れています。

まとめ

自然界に存在する透明で綺麗な生物をご紹介しました。

透明な生物というと、深海などに生息している生物を想像しがちだと思いますが、実は水中だけでなく陸上にもスケルトンな生物が多く生息していることがわかります。

ここでご紹介した以外にも透明な生物は存在しますので興味があれば調べてみてくださいね。



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