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デカッ!世界最大の犬種・大型犬15選

日本では住環境や飼い主との性格の相性から小型犬が人気ですが、世界的に人気が高い犬種と言えばラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリーバー、ジャーマンシェパードといった比較的大型なものが中心です。

更に牧羊犬や軍用犬といった目的で繁殖されている犬種などには、土地に余裕がある諸外国であっても家庭犬として飼育が困難と思われるような超大型のものも複数存在します。

この記事では、世界最高の体高をもつ犬とギネスに登録されているアイリッシュ・ウルフハウンドを筆頭に、抜群の存在感を誇る超大型犬種を15種紹介していきます。

 

アイリッシュ・ウルフハウンド

引用:https://www.rareirishstuff.com

アイリッシュ・ウルフハウンドは平均体重40kg~55kg、体高71cm~91cmと全犬種中最大の体高を持ち、大型の雄では体重が80kgを超える個体も珍しくありません。

長い脚に長い胴、筋肉質な厚い胸板を持つこの犬種は、およそ2000年前には既にアイルランドに生息していたという長い歴史を持ちます。

名前の通り古代にはケルト人が狼狩りに用いていたものが、後にローマ人によってアイルランドに持ち込まれたと考えており、1800年代半ばにはアイルランド全土を襲った大飢饉の影響で絶滅の危機にありました。

しかし1800年代後半には英国軍将校のG.A.グレアム大尉によって、古代ウルフハウンドに近い血統を持つ犬を掛け合わせることで新種のアイリッシュ・ウルフハウンドが作出され、これをルーツに現存種が確立されました。

そのため、現生の個体は古代のもののように狼に負けない強い闘争心を持つ狩猟犬ではなく、コンパニオンドッグや番犬として適した犬種であると言われています。しかし飼育にはかなりのスペースが要求されるため、都市生活には向かないことは変わりないでしょう。

 

コモンドール

引用:https://twentytwowords.com

平均体重36kg~61kg、体高65cm~90cm、別名ハンガリアン・シープドッグとも呼ばれるコモンドールは、綱ひも状の被毛が目を引く特徴的な外見を持つ牧羊犬です。

1000年以上も昔にマジャール人がハンガリーに移住してきた際に連れてきた犬種であると考えられており、コモンドールと呼ばれるようになった最古の記録は1544年、KC(イギリスにある最古のケンネルクラブ)に公認されたのは1910年頃とされています。

数百年にも渡ってハンガリーで牧羊犬として愛されてきたこの犬は、ロープのような被毛で雨や風、そして狼など羊を狙う肉食獣の攻撃から身を守ってきました。現在でも北アメリカでコヨーテから羊の群れを守るガードドッグとして活躍しています。

子犬の頃から羊の群れの中で生活し、羊毛を収穫する際にはコモンドールも一緒に被毛をカットしてもらうなど羊を仲間と意識するように育てられるため、群れの世話をする人間に対しては従順な性格です。

そのためコンパニオンドッグとして家庭でも飼育可能な穏やかな性質を持ちますが、被毛のケアが非常に難しいため実際に迎えるのは難しい犬種であると言えるでしょう。

 

スパニッシュ・マスティフ

マスティフの一種であるスパニッシュ・マスティフは平均体重55kg~70kg、体高72cm~80cm。2000年ほど前にフェニキア人やギリシャ人によってスペインに連れてこられたマスティフ犬をルーツに持つと考えられています。

少なくとも1400年代には家畜を狼の群れから守るガードドッグとして使役されていた記録が残っており、とても有能であることから現在でもスペインでは家畜の護衛犬や番犬として人気の高い犬種です。

外敵に対する闘争本能は強いものの普段は穏やかな性格をしており、意外なことにそれほど多くの運動も必要としないため、リードをつけて普通に散歩に行くだけでも十分な満足感を得てくれるため、ポピュラーな犬種ではありませんがコンパニオンドッグとして飼育されている個体も珍しくありません。

また、全犬種の中で一番よだれをを垂らす犬という可愛らしい一面も持ちます。

 

グレート・デーン

ドイツの国犬でもあるグレート・デーンは平均体重45kg~55㎏、体高71cm~76cm、大型の雄では90kg程度まで成長する個体も見られます。

中世の時代にスキタイ族のアラン人によってアジア・ロシア地域からヨーロッパに持ち込まれた犬種・アラウントがルーツであることが判明しており、闘犬であったマスティフと狩猟犬であったグレイハウンドを掛け合わせて作出されたと考えられています。

軍用県や大型動物のハンティングなどに使用された歴史を持ちますが、突出した巨体を持ちながらも優しく、攻撃性の低いのんびりとした性格を持つことから、家庭犬としても高い人気を誇る珍しい超大型犬種です。

『スクービー・ドゥ』や『101匹わんちゃん』など、アメリカでは子供向きのアニメにも多く登場しており、実際に子供だけではなく、他の犬や猫などにも友好的に接することができます。

 

セント・バーナード

セント・バーナードは平均体重50kg~91kg、体高61cm~71cmのスイス原産の犬です。別名・アルパインマスティフとも呼ばれるこの犬種のは、ローマ軍がアルプスを越えた際に連れて来たマスティフをルーツに持ち、かつては短毛で攻撃的な性格を持ったとされています。

先天性の疾患が原因で一時絶滅の危機にありましたが、グレート・デーンとニューファンドランドを交配して現在の主として復活しました。新たな種は性質が穏やかな超大型犬種を掛け合わせて作出したために心優しい性格を持ちます。

首からアルコールの入った樽を下げ、アルプスの山中で遭難者を救う救助犬の印象が強いセント・バーナードですが、実際にそのような活動をしていた記録というのは残っていないそうです。

行商の荷台を引いたり、雪山の中でのスポーツ競技などを行っていたとされ、現在では穏やかで友好的な性格からコンパニオンドッグとしても飼育されています。

 

ピレニアン・マスティフ

引用:https://www.speranzapyreneanmastiffs.com

ピレニアン・マスティフの平均体重は55kg~75kg、体高は71cm~80cm。フェニキアの商人たちがアッシリアやシュメールで入手したマスティフをスペインに持ち込み、それが使役目的で繁殖されたのがルーツと考えられています。

この犬種は何世紀もの間、ピレネー山麓の平原から牧草の豊富な山間の谷へと渡る羊の大群の護衛してきました。およそ1000頭の羊で構成される一つの群れに、通常4頭~5頭のピレニアン・マスティフが配置され狼から羊を守り、はぐれる個体がいないように群れを誘導してきたとされます。

実際にこの犬種が狼や大型の肉食獣と戦う機会は多く、ガードドッグとして働いている犬には狼の攻撃から急所を守るために、カルランカというスパイクのついた首輪が装着されていました。

 

セントラル・エイジアン・シープドッグ

セントラル・エイジアン・シープドッグは平均体重37kg~50kg、体高60cm~71cmのアジア系のマスティフの子孫と考えらえている犬種です。

性格は恐れ知らずで大胆、独立心旺盛で、はっきりとした歴史は分かっていませんがおそらく1000年以上の間中央アジアで牧畜の群れを守る護衛犬として使役されてきました。

ロシアのウラル山脈からシベリアに及ぶ広大な地域や、トゥルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、ヤジスタン、カザフスタンなど中央アジア共和国を遊牧農民とその家畜たちとともに旅をし、人間や家畜の群れを守る役割を果たしたことが分かっています。

この犬種は中央アジア共和国以外ではあまり姿が見られることはなく、現在は数が減少傾向にあります。根っからのガードドッグで闘争本能が高いため平穏な生活になじむことができず、家庭犬には向かない性格が数を減らしている原因と推測されています。

 

コーカサス・シープドッグ

コーカサス・シープドッグの平均体重は45kg~70kg、体高は64cm~72cm。黒海とカスピ海に挟まれた山岳部であるコーカサス地方で、600年以上の間この地で飼育されている羊を狼などの肉食獣や窃盗目的の人間から守ってきた犬種をルーツに持つと考えらえています。

頑強でパワーのあるこの犬種は、ロシア周辺では最も人気の高い牧羊犬です。ロシア旧ソビエト連邦に所属していた国ではドッグ・ショーにも頻繁に登場し、ポーランドやハンガリーなどでは現在も繁殖が盛んにおこなわれています。

コーカサス・シープドッグは1960年代に東ドイツに持ち込まれ、当時は東西ドイツの間に横たわっていたベルリンの壁の沿線上で国境のパトロールの仕事に就いていました。

そして、後の1989年にベルリンの壁が取り壊されると7000頭ものコーカサス・シープドッグから編成されたパトロール隊は解散し、多くはドイツの一般家庭にコンパニオンドッグとして引き取られていったとされます。

現在もドイツでは細心の注意を払った繁殖が重ねられ、近種のセントラル・エイジアン・シープドッグと対照的に安定した数を保っています。

今後家庭犬としての人気が高まることも予想されるために、従順性を高めるような交配も検討されている犬種です。

 

土佐犬

ジャパニーズ・ファイティング・ドッグの別名を持つ土佐犬は、平均体重90kg前後、体高62cm~65cmという骨太で筋肉質な体躯を持ちます。

四国地方に土着していた闘犬とマスティフ、グレート・デーン、ブルドッグ、ブル・テリアを交配して作出されたこの犬種は、かつてはジャパニーズ・マスティフとも呼ばれていました。

ドッグ・ファイティングが盛んであったとされる19世紀、日本ではドッグ・ファイティングに対して、犬は冷静かつ静かに、堂々と戦わなければならないという規定が設けられていたそうです。そして、この規定通りに残酷に、冷酷に静かな戦いを行ったのが土佐犬です。

現在、ドッグ・ファイティングはヨーロッパ、北アメリカ、日本といった複数の国で、その残酷さから競技の実施を禁止されています。しかしながら日本国内ではアンダーグラウンドのドッグ・ファイティングは続けられており、体重が30kg~40kgの土佐犬種が今もなお闘犬として使役されています。

ドッグ・ファイティングのためにのみ作出されたこの犬種は、獰猛で高い攻撃性を持ち、特に雄犬は危険性が高いことから多くの国で飼育が禁止されています。

 

チベタン・マスティフ

チベタン・マスティフの平均体重は64kg~82kg、体高は61cm~71cm。名前の通りチベット原産ですが19世紀初頭にチベットではほぼ絶滅した過去を持ち、その後にイギリスのブリーダーによって絶滅の危機から救われました。ヨーロッパのほとんどのマスティフの原種であるとされる犬種です。

チンギス・ハーンにも愛され軍用犬として使役されたチベタン・マスティフは、他にも牧畜の群れを守るガードドッグとして活躍しており、現在ではヨーロッパ育ちのショードッグとしても姿が見られるようになりました。

温和で気さく、保護対象と決めた自分の群れを守ることに生きがいを感じる心優しい性格であるため、飼育頭数は少ないもののヨーロッパ全土で定着している犬種です。またマスティフだけではなく、ヨーロッパ、アメリカ大陸、日本のマウンティングドッグや牧羊犬、闘犬種の多くのルーツでもあります。

チベタン・マスティフは2010年頃から中国の富裕層の間で飼育することがステータスとなって人気や価格が高騰、一躍世界一高額な犬種となりました。しかし躾の難しさや富裕層の経済的地位の失墜などが相まって5年とたたないうちに人気が低下し、現在は価格を下げても買い手がつかなくなっています。

 

ナポリタン・マスティフ

ナポリタン・マスティフの平均体重は50kg~68kg、体高は65cm~75cm。この犬種は太古からイタリア中央部のカンパニア州に生息していたとされ、ルーツとなるのはローマの闘犬や軍用犬、サーカス犬として仕事をしていたマスティフであると考えられています。これらのマスティフ達はアレキサンダー大王によってアジアからギリシャを経て、ローマに入ってきたと推測されています。

20世紀の前半にはほぼ絶滅状態にありましたが、イタリアの芸術家のピエロ・スキャンツィアーニの熱心なブリーディングによって数を増やした歴史を持ちます。

改良の際にはつぶれた顔や重々しい唇、垂れさがった首の皮膚や厚い胸板といった威圧感を与える外見が強調されるように交配されてきたため、世界一怖い顔の犬種との呼び声も高い犬種です。また、この独特な顔つきが原因で綺麗に食事を食べることができず食後の掃除が大変であるという特徴も持ち、大きさも相まって室内での飼育には適さない犬種です。

特に雄犬は支配的な性格を持っているために早い時期から他の動物や人間に慣らすとともに、複縦訓練をしっかりと行う必要があります。

 

カンガール・ドッグ

引用:http://dogsaholic.com

カンガール・ドッグの平均体重は60kg前後、体高は80cm~90cm。1000年以上前からトルコで牧羊犬や軍用犬として使役された歴史を持ち、チュルク語を使用する民族が小アジアに入り、現在のトルコを占領した際に連れていたのがこの犬種であると考えられています。

トルコ政府から国宝にも認定されていますが、AKCやKCといった主要な蓄犬団体に登録されていないため、正式なデータが不明な犬種です。

またトルコでは牧羊犬すべてを“ジョバン・コペギ”と一括りに呼んでいたため、1960年代にイギリスに輸出されるまでは固有の名前を持たず、特にトルコ北部のカンガール地方で多く繁殖されていたことから急遽この名前がつけられたとされています。

躾次第では温和で人懐こい一面を引き出すこともできますが、大型の肉食獣を倒せる攻撃力の高さと最高時速50kmで走ることができる敏捷さを持っているため、トルコでも一般家庭での飼育は極めて珍しく、ガードドッグとして飼育されていることがほとんどです。

また、この犬種をベースにアメリカで作出された種がアナトリアン・シェパード・ドッグであると考えられています。

 

ピレニアン・マウンテンドッグ

ピレニアン・マウンテンドッグの平均体重は45kg~60kg、体高は65cm~81cm。日本では主にグレート・ピレニーズの名称で知られています。

ヨーロッパ全土に普及し愛されているガードドッグで、イタリア原産のマレーマ・シープドッグ、ハンガリー原産のクーパーズ、スロヴァキア原産のクーバック、トルコ原産のカンガール・ドッグの血統を引いている考えられています。

家庭犬としての歴史は浅く、初めてコンパニオンドッグとして飼われるようになった頃は頑固で闘争心の強い面が見られましたが、1990年代に入ってからガードドッグとしての気質を低下させるようなブリーディングが行われるようになりました。

結果、ピレニアン・マウンテンドッグが持つ忍耐強さや勇敢さを残したまま、攻撃性を低減させることに成功し、今日の穏やかな性質になったとされています。

人間、特に小さい子供を好み友好的な態度をとる反面、自分のテリトリーに他の動物が侵入することを極端に嫌うため番犬としても非常に優秀な犬種です。

 

ニューファンドランド

ニューファンドランドの平均体重は50kg~68kg、体高は66cm~71cm。1700年代にカナダで誕生したこの犬種は、水が大好きでタラ漁に使われた網を岸まで引いて歩いたり、船を引いたりして漁師の手伝いをしていました。

今日ではフランスなどで水難救助犬としても活躍していますが、欠点として挙げられるのがあまりにもフレンドリーで人間が好きな性格をしていることから、溺れている人であっても単に泳いでいるだけの人であっても、誰彼構わず救助しようとしてしまうことだそうです。

全犬種中最も陽気でハッピーな性格を持つといわれるニューファンドランドは、最も人間に近い感情を持つ犬種と言われるラブラドールレトリーバーの先祖でもあり、性格もよく似ていると言われています。

 

レオンベルガー

レオンベルガーは平均体重34kg~50kg、体高65cm~80cm。

1800年代にドイツのレオンベルグ市の市会議員、エインリッヒ・エッスィがドイツ帝国の騎士の外套の紋章に描かれたライオンに惚れ込み、これに似た外見の犬を作出したいと考えました。

そして、ニューファンドランド、ランドシーア、セント・バーナード、ピレニアン・マウンテンドッグといった犬種を交配して作ったのがレオンベルガーです。

第二次世界大戦終了後には絶滅状態にありましたが、ドイツの他にイギリスや北アメリカでも高い評価を獲得したこの犬種は、ブリーダー達の献身により再び数を増やすことに成功したとされます。

獅子のような頑強な肉体とたてがみのようなウェーブがかった豊かな被毛を持ちますが、温和で友好的な性格をしているためにコンパニオンドッグとして高い人気をもつ犬種です。

 

まとめ

超大型犬種も、ニューファンドランドやピレニアン・マウンテンドッグ、グレート・デーンといったように日本のドッグランでも見掛ける機会があるような種類から、カンガール・ドッグやナポリタン・マスティフのように姿を見ることがまずないと思われる種類まで幅広く存在します。

マスティフをルーツに持つものが多いせいか、体つきは大きくても垂れ耳で可愛らしい顔立ちの種が多いのもなんとも愛おしさを感じさせますね。

ライオンやトラ、武装した人間をを倒せるほど強いのに何故か子猫には甘く、やられ放題だったりと意外な面を多く持つのも超大型犬種の魅力です。10年生きたら奇跡と言われるほど短命な超大型犬種ですが、今後改良で寿命が延びてくれることを願わずにはいられません。

 

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