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世界最大の飛行機ランキングTOP10

海外旅行も今では珍しいものではなくなり、私たちにとって飛行機は身近な存在になりました。

その進化のスピードは、20世紀に生まれたとは思えないほどの速さです。

飛行機の役割はヒトやモノを運ぶことであり、そのために機体のサイズが大きいということは大きなメリットをもたらします。

これまでも、常識を覆すような巨大な飛行機が生まれてきたことがありました。

ここでは、世界中で開発されてきた巨大な飛行機を、翼の大きさである翼幅を基準にして、ランキング形式で紹介していきたいと思います。

第10位 C-5ギャラクシー

引用:www.lockheedmartin.com

C-5ギャラクシーは、ロッキード・マーティン社が製造し、アメリカ空軍が運用している超大型長距離輸送機です。

C-5ギャラクシーは、空輸によってアメリカ本土から世界各地へと迅速な大兵力の展開を可能にすることを目的に開発されたもので、1968年の開発当時は世界最大の輸送機でした。

愛称のギャラクシーは英語で「銀河」という意味で、まさに名前通りのスケールの機体といえます。

C-5ギャラクシーは、全長75.3m、翼長67.89m、最大速度マッハ0.79、航続距離4445kmで、最大搭載量122.472tという圧倒的な数値を誇り、これは主力戦車2両分に相当します。

機体は軍用輸送機としては一般的な形状をしていて、搭載量45.5tで太平洋を無着陸黄疸ができ、搭載量90tでもハワイを経由すればアジアまで物資輸送が可能という破格の大搭載量をもっています。

ギャラクシーは、74tもの架橋戦車を含めて、アメリカ陸軍が運用するあらゆる戦車と装甲車両を世界中どこへでも運ぶことができます。

搭載例のパターンとしては、主力のM1A1戦車2両、ストライカー装甲車7両、ハンヴィー高機動多用途車14両、パトリオット地対空ミサイル発射機2基、AH-64アパッチ戦闘ヘリ6機、兵員600名などを搭載することができ、MH-53大型輸送ヘリや戦闘機も分解すれば搭載することができ、アメリカ軍の世界展開を可能にするために必要不可欠な機体です。

ギャラクシーは、避難民の輸送などの目的や戦闘で破壊された建造物の再建資材の輸送などにも使われます。

C-5Mスーパーギャラクシーは、C-5の延命と近代化改修を目的として開発された機体で、エンジンの換装や最新の航法・通信システムの導入がなされています。今後は現在運用されているC-5も順次改造される予定となっています。

C-5は、軍民含めて、航空機による大量輸送時代の発端となった機体で、航空史上においても重要な地位を占める機体といえます。

アメリカ軍では今後も25年間はC-5を運用する予定となっており、開発から50年以上がたった今でも、C-5のもつ輸送力は様々な場所での活躍が期待されています。

第9位 ボーイング747-8

引用:ja.wikipedia.org

ボーイング747-8は、アメリカにある航空機産業世界最大規模を誇るボーイング社が製造している旅客機で、超大型旅客機747シリーズの最新モデルです。

ボーイング747はジャンボジェットの愛称でも知られる機体で、世界初の客室に通路が2本あるワイドボディ機として、多くの人にとって夢の世界だった海外旅行を庶民にとっても身近な存在へと変えた画期的な飛行機です。

生産開始は1968年で、開発から約半世紀が経過しても航空機市場の一角に確固たるシェアを築いてきました。

ボーイング747-8は、全長76.3m、翼幅68.5m、速度マッハ0.855、航続距離14815㎞、価格は4億290万ドル(約458億円)で、3クラス構成なら467席、2クラス構成では581席の乗客を一度に運ぶことができます。

ボーイング社は当初、ジャンボジェットの正統後継として大きな輸送能力をもった747 -8にはそれなりの需要があるものと見込んでいました。

しかし、蓋を開けてみると、燃費のいい中型旅客機に押され、世界市場での受注は思ったほどに伸びませんでした。

ここ数十年で航空機のエンジン性能も向上したため、かつてのように大型4発エンジンを積まなくても十分な飛行性能を発揮できるようになり、加えて地球温暖化の影響もあって、CO2の排出量が多く、騒音も大きな大型機は敬遠される存在になっていました。

ボーイング747-8は1席あたりの燃料消費が中型機と比べて約30%多いという指摘もあります。

しかも、747-8は最新型とはいえ、設計自体は半世紀前のもので、航空会社からすると、そんな古臭い機体を買うくらいなら最新技術を盛り込んだ他社の大型機を買う方がいいのです。

販売に苦戦した747-8は、2017年7月をもって、ボーイング社は747旅客機の生産を修了することを決めました。

貨物機型は生産が続行されるものの、ボーイングの旅客機の中から4発機は消えることとなり、747-8は最後のジャンボジェットとなったのでした。

第8位 ブリストル タイプ167 ブラバゾン

引用:twitter.com

ブリストル・タイプ167・ブラバゾンは、1949年にイギリスの航空機会社であるブリストル飛行機が開発した大型旅客機です。

ブリストル・ブラバゾンは、2基のレシプロエンジンを同軸にして4セット搭載した4軸8発機で、全長53.95m、翼幅70.1m、最高速度483km/h、航続距離8850km、最大運用高度7620mで、座席数は50~80席となっています。

ブリストル社では、1937年から大型爆撃機の研究をはじめ、1942年にイギリスで行われた長重爆撃機の開発計画に応募していましたが、結局この計画は中止になりました。

このとき、この大型機の戦後の民間での需要が研究され、それをもとに大西洋を横断できる大型旅客機として1944年から開発がスタートしました。

翼幅70.1mはボーイング747を越え、エアバスA380にも迫るという巨大機で、イギリスで開発された航空機としては過去最大規模のものでした。

顧客のターゲットを富裕層のみに設定していたため、豪華客室と設備の充実が優先され、乗客の収容能力は、最大でも80人ほどと大きさの割には少ないものになりました。

ブラバゾンは、複雑なエンジン機構などのためにトラブルも多かったものの、なんとか初飛行にこぎつけることに成功します。

しかし、世の航空会社が求めていたものは、富裕層向けの少数輸送ではなく、大型機を使用しての大量旅客輸送でした。

そのため、ブラバゾンに興味を示した会社はなく、試作機1機が完成したものの、2機目は未完成のままにスクラップにされました。

ブラバゾンは多額の予算を無駄にしただけともいわれますが、この時の莫大な投資はその後のイギリスの航空機産業の発展に貢献したという見方もあります。

第7位 XC-99

引用:http://claspgarage.blogspot.com

XC-99は、アメリカのコンベア社が開発した機体で、大型戦略爆撃機であるB-36を原型にした大型レシプロ輸送機です。

B-36の開発がはじまったのは、1941年のことですが、XC-99はその設計を応用して1942年5月から開発が始められました。

XC-99は、全長56.40m、翼幅70.10m、レシプロエンジン6基を搭載しており、航続距離は13000㎞で、完全武装の兵士400名もしくは貨物45000kgを搭載することができます。

主翼や尾翼はB-36の設計を流用していますが、胴体はより大型になり、2階建ての機体となっています。

XC-99は、1947年11月23日に初飛行を行いましたが、当時は第二次大戦もすでに終結しており、冷戦もまだ始まっていない時期でした。

そのため、このような大型輸送機は必要ないと考えられ、試作機1機のみが製造されたものの、量産化されることはありませんでした。

試作機は、他に類をみない輸送能力をもっていたため、空軍で実戦配備されることになり、10年にわたって運用が行われ、約7400時間の飛行を経験しました。

退役後、しばらくは基地内の草むらに放置されていましたが、現在はオハイオ州のライト・パターソン空軍基地内にある国立アメリカ空軍博物館に展示されています。

第6位 B-36ピースメイカー

引用:fas.org

B-36はかつてアメリカ空軍で運用されていた爆撃機で、冷戦初期のアメリカ空軍の主力戦略爆撃機として使用され、爆撃機としては世界最大の大きさを誇ります。

非公式な愛称ですが、「ピースメイカー」と呼ばれ、半ば公式な呼称としても使われています。

他にも、「コンカラー」「ビッグスティック」といった呼び名も存在します。

B-36は、全長49.41m、翼幅70.12m、航続距離15186km、最高速度695km/hで、武装として20㎜機関砲2門を搭載しています。

B-36は、4000馬力のレシプロエンジン6基を搭載する6発機であり、さらにジェットエンジンを左右の主翼に2基ずつ搭載した、他に例をみない10発機という驚異の爆撃機です。

B-36が最初に計画されたのは、1941年と第二次大戦前のことです。

当時、アメリカの同盟国であるイギリスはドイツに追い詰められて降伏寸前であり、もしもイギリスが降伏した場合にはアメリカがもっている爆撃機では直接ドイツ本土への爆撃を行うことができなくなってしまうため、大西洋を横断してヨーロッパに進出できる新たな爆撃機が必要とされたのです。

B-36は、日本への空爆で活躍していた「超空の要塞」ことB-29の後継となり、もしも戦争が長引いていれば、戦力化されたB-36が大挙して日本に襲来していたという恐ろしい未来もあり得たわけです。

しかし、B-36が開発される前に1945年8月15日を迎え、戦争は終結、それとともに開発も急ぐ必要がなくなったため、初飛行は約1年後の1946年8月になり、配備は1948年からとなりました。

B-36が配備されて以降、アメリカは朝鮮戦争という大規模な戦争を経験しました。

しかし、ときはすでにジェット戦闘機の時代になっており、第二次大戦では日本上空を我がもの顔で蹂躙していたB-29にも被害が相次いでおり、レシプロの大型爆撃機は時代遅れと見られるようになっていました。

そのため、特に高価で貴重だったB-36は損害を恐れて温存され、ついに実戦投入されることはありませんでした。

その後、敵国への戦略攻撃には大陸間弾道ミサイルのような新たな兵器が登場するようになり、大型爆撃機が主力とされた時代も終わりを告げることになります。

第5位 An-124ルスラーン

引用:www.youtube.com

An-124ルスラーンは、旧ソ連のアントノフ設計局(現在のウクライナ国営企業であるO・K・アントーノウ記念航空科学技術複合体)で開発された大型輸送機で、量産化された輸送機としては世界最大のサイズを誇る機体です。

ロシアやウクライナではルスラーンの愛称で呼ばれる一方、NATOコードネームではコンドルと呼ばれます。

愛称のルスラーンは、ロシアの詩人アレクサンドル・プーシキンの書いた『ルスランとリュドミラ』に出てくる主人公の名前で、作品の元となった騎士の名も由来とされ、ロシアやウクライナでは一般的な男性の名前で、「獅子」を意味します。

An-124は、全長68.96m、翼幅73.3m、最大速度865km/h、航続距離5200㎞、搭載量は230000kgで、一度に88人を輸送することができます。

アメリカ軍のC-5ギャラクシーに匹敵する機体を目指して開発が行われ、現在もロシア軍で運用され、近代化改修作業も行われています。

ギャラクシーよりも25%大きな輸送容量をもちますが、複合材の使用により、約2000kgの軽量化に成功しています。

引用:commons.wikimedia.org

貨物室内には、重量物を扱うための容量3000kgの2連ウインチと容量10000kgのクレーン2基を備えています。

貨物室は一応与圧されていて、空挺部隊の輸送はあまり考慮されていないため、限定的なものとなっていますが、フィクションなどでは空挺部隊を続々と降下させる本機の勇姿が描かれることもあります。

An-124を軍事用として運用しているのは現在ロシアだけですが、空中給油機型や消防機型など派生形も存在します。

そのほか、An-124は民間機型もあり、ロシアやウクライナなどで使われていますが、ソ連崩壊後は大搭載量を活かしたビジネス利用が盛んとなり、西側諸国でもチャーターで使用されています。

不整地での離着陸性能に優れていることから、南極への物資輸送機をして使われたこともあります。

日本においても、自衛隊のイラク派遣での物資輸送を請け負ったり、2011年の福島第一原発事故の際には注水活動を行うポンプ車をドイツから輸送した実績があります。

第4位 A380-800

引用:www.businessinsider.jp

A380は、ヨーロッパの巨大航空機メーカーであるエアバス社が製造する4発超大型旅客機です。

A380-800は、A380シリーズの旅客機の基本形で、世界初の総2階建てジェット機として、完成時にはジャンボジェットことボーイング747を抜いて史上最大・世界最大の旅客機でした。

A380-8001は、全長73m、翼幅79.75m、最大速度マッハ0.89、航続距離15200㎞、3クラス構成では525人、モノクラス(単一クラス)では853人を一度に運ぶことができます。

初飛行は2005年で構想から完成まで、開発には実に16年の年月を要しました。

機体番号が前型のA340から一気に380へと飛んでいるのは、中国市場の開拓を目指して、中国で末広がりとして縁起が良いとされる数字の8を選んだという話もあります。

引用:www.businessinsider.jp

機内には、バーやラウンジ、バスルームやシャワー、ベッドつきのファーストクラスなど豪華な設備が整っています。

A380は、エールフランスやアシアナ航空、シンガポール航空、全日本空輸(ANA)などで運用され、日本へも就航しています。

A380は、中東や東南アジアを中心に多くの受注を獲得し、このままいけば計画は黒字になるはずでした。

しかし、2018年以降に受注が減少し、ついには生産の中止と、2021年以降には納入しないことが決定されました。

これには、初期の段階に主翼の強度不足や機内配線の重量オーバーなどで納入が遅れたことが理由に上げられます。

特に電線に関してはのべ563㎞にもおよぶ機内配線のやり直しをしなければならないため、かなりの遅れが発生し、引き渡しが何度も遅れたことで発注を見直す航空会社が相次ぎました。

エアバス社も価格補償などでキャンセルを回避しようとしましたが、A380のような機体はその大きさから採算のとれる路線が限られ、双発機の性能向上に伴い大型機は売り上げで苦戦するようになっていたため、2014年と2015年には1機も受注を獲得できない年が2年連続したりといったこともありました。

世界最大の旅客機であるA380が生産中止に追い込まれたことは、大型旅客機という存在が、すでに過去のものとなりつつあることを示しているのかもしれません。

第3位 An-225ムリーヤ

引用:besthqwallpapers.com

An-225ムリーヤは、世界最大の実用輸送機であるAn-124ルスラーンをベースにしてアントノフ設計局で開発された6発超大型輸送機です。

愛称のムリーヤは、ウクライナ語で「夢(眠っているときにみる夢ではなく、希望などの夢)」を意味し、NATOコードネームではコサックと呼ばれます。

An-225は、全長84.0m、翼幅88.74m、最高速度850km /h、高速距離15400㎞、

An-225は離陸重量(ペイロード)が600tで「世界一重い航空機」の称号をもち、ほかにも240ものギネス世界記録をもつ機体です。

ペイロードの公称値は250tですが、これは安全を考慮した数字であり、実際にはその2倍以上の搭載能力をもっています。

機体が大型であるために、機内には余裕があり、乗員用の広いテーブルやキッチンつきのギャレーなどもあります。

An-225は世界一重いといわれる反面、高い機動力をもっていることも特徴で、航空ショーでは、急上昇や旋回、低空フライパスなどのパフォーマンスを見せています。

An-225の開発は、ソ連の宇宙開発と密接な関係をもっています。

1980年代後半に、ソ連ではブランという名のソ連板スペースシャトルと呼ばれた宇宙船の開発が行われていました。

An-225は、ブランを輸送するための輸送機として作られ、ブランを背中に搭載して飛行することができます。

 

引用:http://kayantimes.blogspot.com

そのため、An-225は、胴体上部のみで250tの貨物を搭載することが可能です。

ソ連時代には、An-225から直接スペースシップを空中に発射するという計画もありました。

しかし、実際にブランが宇宙へ行ったのは1988年に行われた打ち上げの1度きりで、ソ連の崩壊に伴い計画は打ち切りになりました。

目的を失ってしまったAn-225の生産も打ち切られ、試作機の1機は完成したものの、2号機は未完成のままとなりました。

役目を無くしたAn-225は長い間工場の一角に放置されていましたが、An-124が商業利用で大きな成功を収めたため、民間用の大型輸送機として利用されることになりました。

現在も現役で、日本では2010年のハイチ大地震への復興支援に使用するための重機輸送で防衛省がチャーターし、成田国際空港に初飛来しました。

2011年の東日本大震災のときには、今度は日本への支援物資を輸送するためにフランス政府によってチャーターされています。

第2位 H-4ハーキュリーズ

引用:www.jiji.com

H-4ハーキュリーズは、20世紀を代表するアメリカの大富豪ハワード・ヒューズが設立した航空機会社ヒューズ・エアクラフトによって開発された機体で、ストラトローンチが誕生するまでは世界最大の航空機でした。

H-4は、水面を滑走路として離着陸できる飛行艇で、名称であるハーキュリーズは、ギリシア神話に出てくる英雄ヘラクレスの英語読みです。

木製の機体であったため、新聞などでは「スプルース・グース(スプルース製のガチョウ)」と呼ばれることもありました。

H-4が開発されるきっかけとなったのは第二次大戦時のこと、当時のイギリスはドイツ軍のUボートによって輸送船を次々と沈められていました。

どのようにして船団を護るかを考えていたイギリスでは、大型の航空機によって物資を輸送すればUボートに沈められることもなくなるというアイデアが出てきました。

当時の輸送船は貨物の搭載量が少なかったため、水上なら滑走路に制限がなくなる飛行艇による大型輸送機の開発が計画されました。

しかし、当時は戦時中であり、航空機会社はどこも既存の機体を製造するのに手一杯でとてもこのような実験的な飛行機を開発する余裕はありません。

そんななかで製造を引き受けたのがヒューズ社でした。

ハワード・ヒューズ本人はこの大型機の開発には否定的であったといわれますが、当時のヒューズ社が製造していた機体はまだ軍での採用が決まっておらず、もし選考に漏れるとヒューズ社の仕事はなくなってしまいます。

それに、ヒューズはもともとこの会社を営利目的というよりは、世間をあっといわせるような飛行機を造りたいと考えて立ち上げました。

そこで、ヒューズも本格的にH-4の開発に乗り出すことになったのです。

H-4ハーキュリーズは、全長66.65m、翼幅97.51m、速度377km/h、航続距離4790㎞で、兵士750名またはM4中戦車2両を搭載することができました。

アメリカ軍はH-4の開発には否定的で、機体は金属の消費を懸念して全木製とされ、軍からの積極的な支援もありませんでした。

こうした条件や、当時としては破格のサイズの飛行艇を建造すること自体がそもそも難題で、ヒューズ自身が細かいところにまで口を出す性格だったこともあって、開発は遅れ、初飛行が行われたのは戦争もすっかり終わってしまった1947年11月のことでした。

引用:headlines.yahoo.co.jp

この初飛行は、H-4が飛んだ最初で最後の機会になりました。

カリフォルニア州ロングビーチで行われたこのテスト飛行はヒューズ自身も乗り込み、報道関係者なども集めて大々的に行われたものでした。

しかし、このときの飛行距離は1.6㎞程度で、最大速度も160km/hにとどまりました。

さらに、機体にはテスト後、翼の損傷や接着剤の剥がれ、機体の軋みなど多くの問題点が発見されます。改修後に再びテスト飛行が行われるはずでしたが、H-4の開発人員はどんどん減らされていき、この機体が二度と空を飛ぶことはありませんでした。

開発が中止された理由としては、ヒューズがH-4の強度に満足がいかず、不安をもっていたからだといわれています。

H-4ハーキュリーズは現在、オレゴン州にあるエバーグリーン航空博物館に展示されています。

第1位 ストラトローンチ

引用:ja.wikipedia.org

世界最大の飛行機ランキングの1位となるのは、ロケット航空機事業を行うアメリカのストラトローンチ・システムズ社が開発したストラトローンチです。

ストラトローンチは、全長72.54m、翼幅117.35m、最大速度461km/h、航続距離2200㎞で、長らく世界一の座にあったH-4ハーキュリーズを追い越し、世界最大の飛行機に輝きました。

離陸には3700m以上の滑走路が必要で、このため運用できる空港は限られます。

まるで2つの飛行機をつなぎあわせたかのような双胴の変わった外見をもつストラトローンチは、ロケットを運ぶための機体として、また空中からロケットを発射する母機として開発されたものです。

機体にはロケットの分を含めた燃料を搭載することができ、6基のジェットエンジンにより推力を得ます。

モデルナンバーは351で、伝説の怪鳥であるロック鳥からモデル351ロックとも呼ばれています。

ストラトローンチ社は、マイクロソフト社の共同創業者であるポール・アレン氏と航空機宇宙メーカーのスケールド・コンポジット創業者であるバート・ルータン氏によって設立された会社です。

ポール・アレン氏は戦艦武蔵の発見で有名な海洋調査事業をはじめ、様々な慈善事業や社会活動、ベンチャーなどに出資・投資を行っている人物で、ストラトローンチにも情熱を注いでいました。

引用:uk2.jp

航空機による発射が可能になれば、天候などに左右されずにロケットを打ち上げることができるようになります。

しかし、母機の開発が進む反面、肝心の搭載ロケットについてはたびたび計画が変更されており、開発は遅延していました。

最初は2015年にテスト飛行を行う予定でしたが、完成した機体が公開されたのが2017年5月のことでした。

2018年10月には創業者であるポール・アレン氏が死去し、計画の先行きも不透明になり、マスコミではストラトローンチが第2のスプルース・グース(H-4ハーキュリーズ)になるではといわれます。

それでも、2019年4月13日にストラトローンチは初飛行を行い、世界最大の飛行機が空を飛ぶ日がやってきました。

ストラトローンチはペガサスと呼ばれるロケットを発射することが計画されていました。

しかし、2019年5月31日、ストラトローンチ計画の中止が報道されました。

ストラトローンチ社から正式な発表はまだないものの、ストラトローンチも4億ドルで売り出されるといわれ、世界最大の飛行機は本当にH-4と同じ運命を辿ることになりそうです。

ですが、同じ航空宇宙業界の企業がストラトローンチの購入を検討しているともいわれ、もしかするとストラトローンチが再び空へと羽ばたく日がやってくるかもしれません。

まとめ

以上、世界最大の航空機ランキングを紹介してきました。

世界で活躍する機体から、意欲的で実験的な機体まで様々なものがあり、大きいということはメリットも多い反面、いくつものデメリットも抱えているということがわかります。

技術が進歩し、航空機にもいろいろなニーズが求められる現代では、ただやみくもに大きさだけを追い求めるのは時代遅れなのかもしれません。

しかし、巨大飛行機の開発に注がれる最新の技術と人々の情熱、そして見るものを驚かせるその姿は、私たちに大きなロマンを与えてくれます。



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