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世界一硬い物質ランキング!ダイヤより硬い物質!

硬い物質と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。

日常では鋼鉄やセラミック、宝石ではダイヤモンドなどが挙げられるかもしれません。

しかし実は世界にはもっと硬い物質があり、私たちには分からないところで利用されています。

今回は世界一硬い物質について紹介します。

 

10位 炭化ホウ素

引用元:https://krosaki-fc.com/

炭化ホウ素は文字通り炭素とホウ素の化合物で、化学式ではB4Cと書きます。

金属などではなく、無機物を焼成してできるセラミックの一種であり、高い硬度を有していることから戦車の装甲や防弾チョッキ、研磨材や切削工具などに使われます。

また中性子を吸収し、放射性同位体を形成しない性質を持つために中性子線の吸収素材として注目されており、原子炉の制御棒やペレットとしても利用されています。

その高い硬度から加工そのものが難しく、従来は非常にコストの高い物質でしたが2008年に国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が実用的な常圧焼結法を開発することで製造コストが2/3も削減されました。

今後も超硬素材として多くの分野での応用が期待されています。

 

9位 炭化ジルコニウム

引用元:https://www.e-metals.net/

炭化ジルコニウムはジルコニウムを炭化させたセラミックです。

切削工具や研磨材に使われるほか、高い耐熱性を持つために白熱フィラメントとして使われ、原子炉の耐熱被覆材としても応用が期待されています。

更に炭化ジルコニウムと炭化タンタルの混合物は、サーメットとして利用されます。

サーメット(cermet)はセラミック(ceramics)と金属(metal)を合わせた造語であり、金属の結合剤として金属の炭化物などを利用した複合素材で、セラミックよりも粘り強い性質を持つ反面、衝撃に弱く、欠けやすいという欠点があります。

 

8位 二ホウ化チタン

引用元:https://www.plansee.com/jp/

炭化ホウ素や炭化チタンと同様の性質を持つセラミックである二ホウ化チタンは、それらのセラミックよりも弾性率や靭性、圧縮強度などの面で優れた性質を有しています。

ほかにも金属と同様の電気伝導と熱伝導を有しており、溶けたアルミニウムに反応しない性質を持つためにアルミニウムなどの金属加工に使われます。

高い耐摩耗性や耐腐食性を与えるために、二ホウ化チタンを使って特定の素材をコーティングすることがあります。

ただしアルカリや硝酸、硫酸などには反応するようです。

 

7位 炭化チタン

引用元:http://net-3.blogspot.com/

チタンを炭化させたものである炭化チタンはその高硬度から、切削工具のコーティングなどに使われます。

炭化チタンとモリブデンを使った合金は切削工具として利用されています。

ただ衝撃や急速な熱冷には強くありません。

航空宇宙分野では、惑星や惑星中の有機物の形成過程を研究するためにロケットなどの微小重力下でチタンとガス状の炭素を分散させ、炭化チタンができる様子を見る実験が行われています。

ユニークなところでは炭化チタンの高い強度を活かして、研ぐ必要のない包丁としても利用されています。

炭化チタンの包丁は25年に1度しか研ぐ必要がなく、切れ味がずっと続きます。

ほかにも黒い色味や金属と比べて軽量であるため、ネックレスなどにも使われているようです。

 

6位 二ホウ化レニウム

引用元:https://www.slideshare.net/

二ホウ化レニウムは、ホウ素とレニウムが結びついたものですが、そもそもレニウムという金属元素があまり一般的ではないでしょう。

レニウムはレアメタルの一種で、チリやアメリカ、ポーランドなどで産出されます。

1908年、日本の化学者である小川正孝は43番目の元素である「ニッポニウム」を発見しました。

後にこの発見は取り消され、ニッポニウムは幻の元素となってしまいましたが、このとき小川が発見したものがレニウムだと言われています。

さて二ホウ化レニウムですが、他の超硬素材と違い、低圧で作ることができるため製造コストが低く、多くの分野で利用されています。

 

5位 ボラゾン

引用元:http://jp.diabrasives.com/

ボラゾンは窒素とホウ素による化合物のひとつで、ダイヤモンドに似た構造をしています。

元来はダイヤモンドと同じく結晶状ですが、この粒子を固めた「多結晶CBN」の名称としても用いられます。

正式には「立方晶窒化ホウ素」と言い、「ボラゾン」という名称はアメリカのゼネラル・エレキトリック社が1969年に発売した商品名です。

ダイヤモンドと同等の硬度を持ち、ダイヤモンドよりも熱に強く、鉄とも反応しないため鋼の高速研磨に使われることがあります。

 

4位 ダイヤモンド


引用元:https://recarat.me/

ダイヤモンドといえば、世間的にも硬い物質として認識されているのと同様に、宝石としての用途が非常に有名です。

アメリカの宝石鑑定機関であるGIA(アメリカ宝石学協会)はダイヤモンドの品質を評価する4C(Color, Clarity, Carat, Cut)という項目を作っており、高い評価を下されるものは宝飾目的で使われます。

大粒のものは指輪などのメインで使われるほか、小粒のものでも「メレダイヤモンド」と言って中石を引き立てるために利用されます。

世界最大の宝飾用ダイヤモンドは現在タイ王室にある「ザ・ゴールデン・ジュビリー」というもので、545.67カラット(109.13グラム)もあります。

ダイヤモンドと聞くと4Cでの評価が高いものが有名ですが、ダイヤモンドは炭素の同位体であり、「キンバーライト」と呼ばれる火成岩が高温・高圧化によって変化してできるため自然界の産出でもその品質はまちまちです。

また炭素を高温・高圧環境下に置くことで人工的にダイヤモンドを作ることができ、その高い硬度から工業用にも利用されます。

最もよく使われるのが高硬度の材料を対象とした切削工具(ダイヤモンドカッター)や研磨(ダイヤモンドやすり)です。

純粋なダイヤモンドは不導体(電気や熱を通さない性質を持つ)ですが、ホウ素やリンを含んだものは半導体になるため、半導体としての利用もされています。

小粒の人工ダイヤモンドの間に試料を配することで超高圧をかける「ダイヤモンドアンビルセル」という専用の機器もあります。

ほかにも蓄音機の針であったり、1978年に打ち上げられた人工衛星パイオニアでは窓の素材としてダイヤモンドが使われました。

また人工ダイヤモンドのうち、炭素の同位体のひとつであるフラーレンで構成されたものは「ハイパーダイヤモンド」と呼ばれ、普通のダイヤモンドの3倍もの硬度を有しています。

 

3位 ロンズデーライト

引用元:http://www.geologyin.com/

ロンズデーライトと聞くと、漫画『キン肉マン』に出てくる悪魔将軍というキャラクターの「ダイヤモンドパワーを超えたロンズデーライトパワー」というセリフを思い浮かべる人もいるかもしれません。

ダイヤモンドと同じく炭素の同位体であり、六方晶形をしているために「六方晶ダイヤモンド」とも言われます。

ロンズデーライトという名称は、X線を用いたダイヤモンドの構造解析の先駆者である結晶学者のキャスリーン・ロンズデールに由来しています。

自然界でのロンズデーライトは隕石が地球に衝突した際の熱と圧力によって、内部のグラファイトが変化してできたもので、初めて発見されたのもアメリカのバリンジャー・クレーターのことでした。

クレーターを形成したキャニオン・ディアブロ隕石から見つかっています。

ほかにもツングースカ大爆発などでも発見されるほか、グラファイトの眠る土壌を爆破したときなどにも形成されているそうです。

 

2位 ウルツァイト窒化ホウ素

引用元:https://www.maruka-co.com/

窒素とホウ素の化合物である窒化ホウ素には常温常圧でできる六方晶系と高温高圧でできる立方晶系に分かれます。

ウルツァイトとは「ウルツ鉱型」という意味で立方晶系に分類されるものです。

炭素にも常温常圧で黒鉛、高温高圧でダイヤモンドに分かれ、ダイヤモンドが高い硬度を持つように、ウルツァイト窒化ホウ素もダイヤモンドと似た成り立ちをし、ダイヤモンドを凌ぐ硬度を有しています。

現在地球に自然に存在する物質の中では、最も硬い物質だと言われています。

 

1位 カルビン

引用元:https://ysjournal.com/

カルビンはダイヤモンドなどと同じ、炭素の同位体です。

1885年にドイツの化学者のアドルフ・フォン・バイヤーが存在を指摘し、2013年10月9日に、アメリカのライス大学のボリス・ヤコブソン博士のチームが発見しました。

炭素原子を直鎖状につながったもので、厚みが炭素原子1個分しかない1次元的な物質です。

発見以前は圧縮されたグラファイトや惑星のチリなどからごくわずかに発見されていましたが、不安定なために細かな性質は分かっていませんでした。

ヤコブソン博士のチームの発見によって、カルビンには90°ひねると磁性半導体になる、エネルギーを蓄えることができる、常温で安定するなどの性質があることが明らかになっています。

オーストリア、ウィーン大学を中心とする国際研究チームは2016年4月4日付けの『Nature Material』誌にカルビンの生成法を掲載しており、今後工学部品などに応用が進むことが期待されています。

 

番外編 核パスタ

ここまでは世界に存在する、人間の手で作ることができる中でも最も硬い物質を紹介してきました。

ですが宇宙にまで目を向けると、なんと鉄の100億倍も硬いという、途方もないような物質も存在します。

それが「核パスタ」です。

太陽などの恒星にはそれぞれ寿命があります。

寿命の尽きた恒星は超新星爆発を引き起こし、中性子の残った核である「中性子星」が残ります。

中性子星は元の恒星の核と比べて質量はそのままに縮小、つまり強烈に圧縮され、密度を増します。

その中性子星の中心部では、水の100兆倍の密度、鉄の100億倍の硬度を持つ「核パスタ」という物質が形成されるのです。

核パスタという名称ですが、原子核の配列がスパゲッティやラザニア、ニョッキなどに似ていることからつけられました。

宇宙で一番硬い物質が、台所でも身近な食品に似ているというのはユニークです。

 

まとめ

今回は世界一硬い物質を紹介しました。

超硬物質は工業などの分野で幅広く使われており、私たちにはなじみがないように思われますが、生活の中に欠かせない存在となっています。

今後宇宙開発や原子力などの分野で科学技術が発展していけば、大きな熱や圧力に対して負けない物質の需要はますます高まることでしょう。



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