世界中には数え切れないほどたくさんの種類の動物が生息していますが、ほとんどお目にかかれない激レアな動物も多くいます。
国際自然保護連合では絶滅のおそれのある生物をレッドリストにして発表しています。
今回はレッドリスト入りするような、個体数がたいへん少なく希少性の高い、非常に珍しい動物を集めてみました。
ジャマイカツチイグアナ
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ジャマイカツチイグアナは、イグアナ科ツチイグアナ属のトカゲで、ジャマイカ南部の固有種です。
海岸沿いの石灰岩の岩場や乾燥林などに生息しています。
ジャマイカツチイグアナはいかめしい顔ですが温厚な性格で、木の葉や果実、花、陸棲の貝類などを中心に食べています。
ネコ、イヌ、マングースが人為的に持ち込まれたことで卵や幼生が食べられてしまったり、人間の開発によって生息地が破壊されてしまったりしたことで、生息数が激減しました。
1940年には絶滅したとされていましたが、1970年に死んだ個体が見つかり、さらに1990年には生きている個体も再発見されました。
ですがジャマイカツチイグアナの生息数は100頭未満と見られていて、生息地では飼育や繁殖が試みられています。
アラリペマイコドリ
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アラリペマイコドリは、ブラジル北東部セアラー州にある「Chapada do Araripe」と呼ばれる森にだけ生息している絶滅危惧種の鳥です。
アラリペマイコドリの体長は14cmほどで、小学生がかぶる赤い体操帽子のように真っ赤な頭頂が可愛らしい鳥です。
この特徴を持つのはオスのみで、メスはオリーブグリーンや淡いグリーン色をしていて全く違う姿をしています。
「マイコドリ」という名前の通り、オスが何羽か集まって求愛ダンスを披露します。
アラリペマイコドリは一時期、個体数が50羽以下であると報告されていましたが、懸命な保護活動によって2008年には250羽まで増え、現在では800羽まで増えてきているとのことです。
ロロウェイモンキー
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真っ白なあごひげが特徴のサル、ロロウェイモンキーは、コートジボワールの東部とガーナの森林地帯の、非常に狭い地域に生息している珍しいサルです。
オナガザルの仲間で、真っ白で長いひげの他、頭に王冠のような飾りがあります。
体長は50cm前後で体重がおよそ5kg、そして尾が体長の倍以上の80cmほどもあります。
ロロウェイモンキーは、樹の上で一日のほとんどを過ごし、フルーツや種子、昆虫などを食べて暮らしています。
ロロウェイモンキーは野生での生息数が200匹未満で、人工で飼育されているものも27匹のみという希少さで、国際自然保護連合(IUCN)による「IUCN絶滅危惧種レッドリストでは、深刻な危機にある種と認定されています。
キューバオオアシナガコウモリ
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キューバにある青年の島にあるグアダラハラの洞窟という洞窟だけにしか生息していないという、非常にレアなコウモリが、キューバオオアシナガコウモリです。
かつてはキューバ本島にも多くの数のキューバオオアシナガコウモリがいたとされていますが、現在ではこの洞窟に住むのみとなっているのです。
漏斗のような大きな耳が特徴で、尻尾の長さは、頭と体を合わせたくらいあります。
グアダラハラの洞窟には、100匹前後のキューバオオアシナガコウモリが生息していると見られていて、ひとつの洞窟に生息する数としては十分なものの、グアダラハラの洞窟は浸食によって崩壊が危惧されているため、絶滅の危機に瀕していると憂慮されている種なのです。
キタシロサイ
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ほぼ絶滅しそうになっているのがキタシロサイです。
キタシロサイは現在、ケニアの野生動物保護区にて24時間監視で管理をされています。
保護管理されていたキタシロサイはメス2頭とオス1頭でしたが、2018年には最後のオスが死んでしまい、残るはメス2頭となったのです。
これで自然交配でキタシロサイが生まれる可能性はゼロとなってしまいましたが、オスの精子は冷凍保存されており、絶滅の危機を体外受精で救えるかもしれません。
かつてはアフリカ中部に多く生息していたキタシロサイですが、人間の激しい密漁によって激減し、1990年代初めには1000頭以下となって保護活動が始まりました。
ですが、1990年代後半にコンゴ民主共和国(旧ザイール)の内戦が勃発し、保護活動がストップしてしまったことにより、キタシロサイはほぼ姿を消してしまったのです。
ダレルズ・ボンツィラ
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ダレルズ・ボンツィラは2004年に初めて見つかった新種の肉食哺乳類で、これまでに4匹しか確認されていません。
しかも、4匹のうち2匹は写真でのみ確認されたものなのです。
マダガスカルのアラオトラ湖で泳いでいるところを初めて見つかったダレルズ・ボンツィラは、猫ほどのサイズで、みすぼらしいフェレットかマングースのような姿の動物に見えたと言います。
ですが、マングースよりも歯が頑丈で、頭や前足にも違いがあったため、水生生活に適応した別の種であることがわかりました。
こうして見つかった新種は、自然保護活動家の故ジェラルド・ダレルから名前をとって、ダレルズ・ボンツィラと名付けられたのです。
マダガスカルのアラオトラ湖は農薬や肥料などで汚染が進んでいる湖であり、外来生物による生態系の侵食も進んでいる場所です。
ですので、ダレルズ・ボンツィラは新種ながらすでに絶滅の危機にあるとされています。
推測では残っているのは50匹程度ではないかとされています。
キタケバナウォンバット
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コアラの親戚であるウォンバットはオーストラリア各地に数種類が生息していますが、唯一絶滅危惧種になっているのがキタケバナウォンバットです。
19世紀の後半になって発見されたキタケバナウォンバットが住む環境は厳しく、元々から個体数が少なかったのですが、20世紀になり家畜が急増したために餌を確保しづらくなり、さらに数を減らしていきました。
現在、キタケバナウォンバットはオーストラリア東部にあるエッピング・フォレスト国立公園にしか生息していません。国立公園内では保護活動が懸命に行われおり、一時は30頭にまで減っていたキタケバナウォンバットは、2010年には163頭となり、徐々にではあるが増えてきています。
ヒロラ
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大型のアンテロープ(レイヨウ)であるヒロラは、ソマリアとケニアの国境付近の狭い地域にだけ生息している種です。
全長は1.6mほどで、まるで目に白いゴーグルを装着しているように白い横縞が入っているという特徴があります。
1993年には約2000頭のヒロラが確認されていましたが、2年後には302頭にまで激減してしまい、国際自然保護連合のレッドリストに”絶滅寸前”として載りました。
2011年の調査では、ソマリアの南西部とケニア北東部で245頭が確認されていて、依然として絶滅の危機に瀕しています。
ヒロラの絶滅を止めるために保護区が設定されたものの、ヒロラは広範囲を移動する習性があって、保護区内に定住することが少ないために、あまり絶滅を食い止める手立てにはなりそうもありません。
フィリピンヒゲイノシシ
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フィリピンヒゲイノシシは、フィリピンのビサヤ諸島でしか生息していないイノシシの仲間です。
フィリピンはかつて、国土の9割が森林という自然豊かな土地でしたが、人口が急増したことによって森林がどんどんと減っています。
それにともなって動物の棲み処も奪われつつあり、フィリピンヒゲイノシシも生息地を追われていきました。
食べ物が十分に得られなくなったフィリピンヒゲイノシシは、畑の作物を荒らすようになり、害獣扱いされて駆除されてしまうなどで、どんどんと数が減っていき、とうとう絶滅の危機に瀕することになったのです。
いまや、野生のフィリピンヒゲイノシシの個体数は100頭以下にまで減ってしまっています。
数がたいへん少ないため、生態が謎の部分も多く、保護繁殖も難しそうです。
シャンハイハナスッポン
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シャンハイハナスッポンはカメ目スッポン科ハナスッポン属のカメで、全長100cm、体重70~100kgで、淡水に住むカメの中で最大の大きさになります。
シャンハイハナスッポンはベトナムに野生で生息している2匹と、中国の蘇州動物園で飼育下にあった2匹の合計4匹のみ確認されていました。
ですが、蘇州動物園で飼育されていたオス、メス各1匹のうち、メスのシャンハイハナスッポンが2019年4月に死んでしまい、種の絶滅に限りなく近づいている状況です。
死んだシャンハイハナスッポンのメスからは卵巣組織を摘出し、凍結保存されています。
今後は現地調査などで、野生のシャンハイハナスッポンを捜索しており、もし野生の個体が見つかれば、繁殖を成功させる大きな足掛かりとなるでしょう。
ピグミーメガネザル
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ピグミーメガネザルは世界最小のメガネザルで、体長は10cmほど、体重はわずか50gほどです。
他のメガネザルと比べて頭が大きく耳が小さく、細くて長い指が特徴です。
とても目が大きく眼球を動かすことができないため、フクロウと同様に、頭部を180度ほど回転させて周りを見ます。
夜行性で、闇にその姿を隠して生きていたピグミーメガネザルですが、森林伐採によって森林が崩壊してしまうと、身を隠す木々が少なくなったことにより、他の動物に捕食されやすくなり、個体数を減らしていきました。
1921年に確認されたのを最後に、すでに絶滅したと思われていましたが、2008年にインドネシア・スラウェシ島で生け捕りにされて生息していたことが確認されました。
ノコギリエイ
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オーストラリア北部から南西諸島にかけての熱帯の海に分布しているノコギリエイは、白亜紀の時代から現在まであまり進化せずに生き続けている貴重種です。
ノコギリのようにギザギザな吻を振り回して、獲物に傷を負わせて気絶させたり、海底に押さえつけたりするのに使います。
また、ノコギリの吻の下部にはロレンチニ瓶という孔が多数空いていて、獲物が通り過ぎる時の生物電気を感知できるようになっています。
ノコギリエイは、その長い吻のせいで漁網に絡まってしまうことが多く、個体数をどんどん減らしています。
また、ノコギリエイの吻は魔除けや飾りとして、ヒレはフカヒレスープの材料として、肝臓脂肪は医薬品として使われるため、多くのノコギリエイが乱獲されたことも、数を減らした一因となっています。
まとめ
人口の増加による森林減少、人間による乱獲、外来生物の持ち込みによる生態系の破壊など、さまざまな理由により絶滅危惧種に陥っている希少動物ばかりです。
美しい姿や興味深い生態など、後世に残していきたい動物ばかりであり、絶滅を免れて繁栄していくことを願うばかりです。