鳥というと一般的には飛べるものです。
しかし世界には飛べない鳥がおよそ40種ほどいると言われています。
今回はありふれた飛べない鳥から、知られざる飛べない鳥の生態まで紹介します。
ニワトリ
引用元:https://tenki.jp/
私たちの身の回りで最も一般的な飛べない鳥がニワトリです。
最も代表的な家禽であり、羽毛や鶏肉、卵などが広く利用されています。
ニワトリが家畜となったのは紀元前4000年ごろの東南アジアや中国南部と言われており、日本には弥生時代に伝来した説があります。
現在のニワトリの起源となったのはキジ科の「セキショクヤケイ」という鳥や「ハイイロヤケイ」、「アオイロヤケイ」などが交雑したものやその亜種ではないかと考えられています。
ただセキショクヤケイの生態はニワトリと異なる部分も多く、現在のようになるまでに「家畜化」された過程はまだ明らかにされていません。
ちなみにニワトリは必ずしも飛べないわけではありません。
羽根は小さく飛行には向きませんが、野生のニワトリであれば数十メートルほどは飛べます。
一般に飼育されるニワトリは食肉用に体重が重く、しかも鶏舎などの狭い空間に押し込められているために飛行する意欲が失われているのです。
キジ
引用元:https://petpedia.net/
キジと言えば、童話「桃太郎」のお供であったり「雉も鳴かずば撃たれまい」、「焼野の雉、夜の鶴(住んでいる野原を焼かれたキジがその身を呈して子のキジを助け、夜の寒さに凍えた子の鶴を親の鶴が自らの羽根で温めたという逸話から、親が子どもを思う情の深さのたとえ)」という言葉にもなっているくらい、日本人の生活に密接に関係した鳥です。
日本の国鳥でもあります。
実は日本の里山などでよく見られるキジはユーラシア大陸などで見られるコウライキジの亜種とも独立した別の種とも言われる日本独自のもので、英語でも「Japanese Pheasant(日本のキジ)」と言います。
オスは特徴的な濃い緑色の体色をしており、繁殖期には「ケーン、ケーン」という甲高い声で鳴きます。
一方メスは地味な茶色の体色をしています。
悩みなどを相談してもまったく受け付けてもらえないさまを「けんもほろろ」と言いますが、これはオスのキジが繁殖期に発する声と、両翼を胴体に打ち付けて羽音を出す「母衣(ほろ)打ち」を合わせた言葉だとする説があります。
それだけ熱烈に求愛をしてもメスに振り向いてもらえないさまを例えたのでしょう。
キジは飛ぶことができないわけではありませんが、他の鳥のように大空を飛び回るようなことはできません。
その代わり最速で30キロ以上もの速度を出して走ることができます。
これは自転車の平均速度と同等か、それよりも速いくらいです。
またキジは鳥獣管理保護法の定める狩猟鳥のひとつ、つまり狩猟してもいい鳥です。
その肉は食用としても楽しまれています。
実は国鳥に指定された鳥の中で、その指定された国での狩猟が許されているのはキジだけだと言われています。
ダチョウ
引用元:https://honcierge.jp/
ダチョウはアフリカ中部から南部のサバンナや砂漠、低木の森林などで生息する鳥です。
まったく飛べませんが、その代わり足が非常に発達しており、走ることに特化しています。
時速50キロから70キロほど、つまり自動車ほどの速さで走ることができます。
こういった走ることに特化した鳥を総称で「走鳥類」と言います。
更にその発達した足から放つキックは大型の肉食獣すら殺傷することができるほどの威力を発揮します。
ダチョウは成鳥で体長が2メートルを超え、肉や羽毛を大量に取ることができ、オーストリッチという皮革を採取できたり、卵も食べることができます。
また馬ほど便利ではありませんが乗用にでき、環境適応能力も高いため、世界各地で飼育されています。
日本でも「ダチョウ王国」という日本最大級のダチョウ牧場が茨城県石岡市と千葉県袖ヶ浦市にあるほか、日本中にダチョウ牧場があります。
ちなみに、ダチョウには長らく「危険が迫ると頭を砂の中に隠して砂の中に隠す」習性があるという迷信がありました。
このことに由来して英語圏では現実逃避、都合の悪いことから目をそらすことを「He is hiding his head like an ostrich(ダチョウのように頭を隠す)」、あるいはそういった政策を「Ostrich policy(ダチョウ政策)」と言います。
日本語ではしばしば「頭隠して尻隠さず」と訳されますが、実は日本語のこのことわざはキジが茂みに頭だけ隠して、長い尾が見えている滑稽なさまを表すものが由来です。
日英の違いはあれ、飛べない鳥をもじって似たようなシチュエーションの言い回しが生まれているのは興味深い一致です。
エミュー
引用元:https://withnews.jp/
エミューはオーストラリア全域に生息する鳥で、オーストラリアの国鳥(非公式)です。
体長は1.6メートルから2メートルと非常に大型で、現在の鳥類の中ではダチョウに次いで2番目に大きな種類です。
かつては亜種なども生息していましたが、現在では1種しかいません。
飛べない鳥の中には絶滅の危機に瀕しているものも少なくありませんが、エミューは非常に繁殖力の強い鳥で、かつては農作物を荒らす害鳥として駆除されていました。
中でも1932年には農作物の被害を食い止め、エミューの個体数を減らすためにオーストラリア陸軍が動員され、機関銃を使っておよそ1000羽のエミューを駆除する「エミュー戦争」が起きたこともあります。
現在では保護区が指定されるほか、世界各地の動物園などでも飼育されています。
キーウィ
引用元:https://world-note.com/
キーウィはニュージーランドにのみ生息する飛べない鳥です。
体長はニワトリくらいのサイズでくちばしが長く、羽根は退化してしまっています。
卵の重量がメスの体重の20%を占めるなど、卵が非常に大きい点が特徴的です。
オスが卵を温めるのですが、卵の上側4分の1ほどしか温められないため、キーウィは元々大型の鳥で、身体だけが小型化したと考えられています。
ニュージーランドの象徴的な存在のひとつで、国鳥に指定されるほか「キーウィ(Kiwi)」という呼称はニュージーランド国民を指す砕けた表現としても使われます。
ニュージーランドの1ドル硬貨にはキーウィが描かれており、ニュージーランドの店舗には店名にキーウィをつけたものも多くあります。
キーウィには「ブラウンキーウィ」、「オオマダラキーウィ(ロロア)」、「コマダラキーウィ」、「ローウィ」、「トコエカ」の5種が存在しています。
現在では3万羽ほどが限られた保護地や国立公園で暮らすのみです。
また私たちの身近な果物である「キウイフルーツ」もキーウィに由来します。
ニュージーランドからアメリカへの輸出が決まったときに、国の象徴であるキーウィから命名したとも、キウイフルーツの茶色をした丸い外見がキーウィに見えることから命名したとも言われています。
レア
レアは主に南米に生息する大型の鳥です。
外見はダチョウによく似ており、別名でナンベイダチョウ、アメリカダチョウとも言います。
しかしレアは単独でレア属を形成しており、ダチョウの仲間ではありません。
レアはアルゼンチンからブラジルにかけて生息するアメリカレアとアンデス山地に生息するダーウィンレア(ニャンドゥー、スーリ)の2種類に大別されます。
一般にレアというときは、アメリカレアを指します。
レアは非常に強い免疫を持っており、怪我などもすぐに治してしまいます。
そのため食用、薬用として乱獲され、個体数が大きく減少しました。
また牧草を食い荒らす害獣だと誤解され、駆除されていたこともあります。
ペンギン
引用元:https://sachianimal.com/
ペンギンは鳥類の中でもペンギン目に属するものの総称です。
主な種としては「コウテイペンギン」、「アデリーペンギン」、「イワトビペンギン」、「ジェンツーペンギン」などがあげられます。
鳥類は地上では胴体を倒して首を立てている姿が一般的ですが、ペンギンは垂直に立ちます。
その姿が人のように見えるため、漢字では「人鳥」、あるいは「企鵝(企は「爪先立つ」、鵝は「ガチョウ」という意味)」と書きます。
ペンギンはみな飛ぶことはできませんが羽根はひれ状へ変化し、足には水かきがつくなど泳ぐことに特化しています。
地面に穴を掘ったり、自然にできた穴に巣を作る種が多く、繁殖の時期にはメスだけが集まって「クレイシ」という集団保育所を形成することもあります。
ペンギンには6属19種存在しますが、ガラパゴス諸島に生息するガラパゴスペンギン以外はみな南半球に生息しています。
ヒクイドリ
引用元:http://animaltube.online/
鳥類の中にはタカやワシなど大型の猛禽類などがいます。
そのような鳥がいるにも関わらず、「世界一危険な鳥」と言われるのがヒクイドリです。
ヒクイドリはニューギニア島やインドネシア、オーストラリアのヨーク岬などの熱帯雨林に生息する鳥で、別名をオーストラリアヒクイドリ、オオヒクイドリとも言います。
和名のヒクイドリは漢字で書くと「火食鳥」です。
と言っても別に火を食べるなどの習性があるわけではなく、喉元の赤い肉垂がまるで火を食べているように見えるためにこの名前がつけられました。
体高はエミューに負けますが、体重はおよそ90㎏ほどになり、鳥類で2番目に大きな種です。
非常に発達した脚は硬い鱗に覆われ、先には鉤状になった爪が生えています。
時速50㎞を出して走ることのできる脚力から放たれるキックは人間の骨すら折ります。
犬くらいであればキックと鉤爪で殺すこともできます。
しかもヒクイドリは臆病で警戒心が強く、そのくせ気性が荒く攻撃的な一面を持っており、不用意に近づけば攻撃されることもあります。
そのため「世界一危険な鳥」と言われます。
2019年4月にはアメリカのフロリダ州で飼育していたヒクイドリに襲われ、男性が死亡したというニュースが流れました。
カモの仲間
引用元:https://neotropical.birds.cornell.edu/
カモ目カモ科、いわゆるカモの仲間にも飛べない種類があります。
よく見るであろうマガモやアイガモ、カルガモなどは空を飛ぶことができます。
しかし例えば「フナガモ」や「オオフナガモ」という種類は飛べません。
フナガモは南アメリカのフォークランド諸島に、オオフナガモはチリなど、南アメリカの西海岸に生息しています。
名前の通り両者は非常に近縁の種で外見も大きく似ており、体色は暗い青色をしています。
ところでまったくややこしいのですが、フナガモの仲間でも「トビフナガモ」は飛ぶことができます。
チリにはオオフナガモとトビフナガモが両方とも生息しており、大変ややこしいです。
英語ではフナガモが「Forkland Steamerduck(フォークランドのフナガモ)」、オオフナガモが「Flightless steamerduck(飛ばないフナガモ)」、トビフナガモが「Flying steamerduck(飛ぶフナガモ)」なので英語圏でも非常にややこしいことになっていることが分かります。
また飛べないカモとしては、日本では「アヒル」の姿がよく見られます。
アヒルというのは実はマガモの一種で、マガモを家禽化したものを言います。
北京ダックなど肉が食べられるほか、卵はピータンに、肝臓はフォアグラになります。
ニワトリ同様、家禽化の過程で身体が大型化して体重が増し、反面羽根が小さくなり、数メートルしか飛べなくなりました。
さてフナガモの区別もややこしかったのですが、実は「カモ(マガモ)」と「アヒル」、そして「アイガモ」の区別も非常にややこしいことになっています。
まずマガモとアヒルは生物的には同種で、家禽となったのがアヒルなのですが、アヒルの中にも野生したものもいます。
何をもってカモとアヒルとを呼ぶのかは、外見であったり、そのときの状況による部分が大きくなります。
更にアイガモはマガモとアヒル、あるいはカルガモの交雑種のことを指しますが、実は食肉で「アイガモ」というときはアヒルの肉であることが多いのです。
アイガモもマガモやアヒルと似ており、区別するのは非常に困難です。
キャンベル・ティール
引用元:http://nzbirdsonline.org.nz/
キャンベル・ティールはカモの仲間で、ニュージーランドのキャンベル島にかつて生息していました。
頭から背中にかけて青緑色をしており、ミズナギドリという海鳥の巣穴を利用する習性があります。
ですがキャンベル島にドブネズミに入ってきたことでヒナや卵がドブネズミに食べられたことで、キャンベル島のキャンベル・ティールは絶滅してしまいました。
キャンベル島の固有種であるキャンベル・ティールは一度絶滅したと考えられましたが、1975年にキャンベル島のおよそ3㎞西にあるデント島に少数のキャンベル・ティールが生息していることが判明しました。
そこで1984年から1990年にかけて11羽の個体が捕獲され、繁殖プログラムによって増やされコッドフィッシュ島へ移されます。
同時に2001年、キャンベル島の生態系を回復するために120トンもの毒餌を用いたドブネズミの駆除が行われ、推定で20万匹ものドブネズミを殺し、島から絶滅させました。
2004年には、ついにキャンベル島にキャンベル・ティールが戻りました。
ガラパゴスコバネウ
引用元:https://www.lapintagalapagoscruise.com/
ガラパゴスコバネウは、エクアドルのガラパゴス諸島の中でもイサベラ島とフェルナンディナ島にのみ生息するウ(鵜)の仲間です。
名前の通り体長に対して非常に羽根が小さく、空を飛ぶことができません。
生物学者のチャールズ・ダーウィンはガラパゴス諸島の生物相を研究して、「自然選択説」という生物の進化に関する学説を発表しています。
これは自然環境によって突然変異種が選別(選択)され、より方向性を持った進化となるという説です。
ガラパゴスコバネウも遺伝子を研究した結果、ヒトの四肢の発達異常に関する遺伝子と似た形質の遺伝子が発見されており、自然選択による進化が裏付けられています。
多くの飛べない鳥はニュージーランドなどの離島に生息していますが、離島では捕食者などもなく飛ばなくても生活しやすい環境が整っています。
反対に、飛んで長距離を移動するほうが外敵や捕食者に出会うリスクが生まれるので危険です。
そのためあるときに羽根が短く、飛べなくなった個体が現れ、それが選択されて現在の姿になった、というケースが多くの飛べない鳥のルーツとなったと考えられています。
ガラパゴスコバネウも身体を大型化すると共に、潜水して魚を獲りやすいよう、水の抵抗が小さくなるよう羽根が小さくなり、飛べなくなるという進化を選んだと考えられています。
加えてガラパゴスコバネウは定住性が極めて高く、生まれてから半径1㎞以内から出ずに一生を終えることも多く、生息地である2つの島を行き来することすらしないそうです。
クイナの仲間
引用元:https://zukan.com/
鳥類の中でもツル目のクイナ(水鶏)やバン(鷭)の仲間には、飛べない鳥が数多くあります。
例えば「ウッドフォードクイナ」や「ニュージーランドクイナ」、「ロードハウクイナ」、「タスマニアバン」、「サモアオグロバン」などです。
日本でも沖縄県北部に位置する大宜味村や国頭村、東村に生息するヤンバルクイナは空を飛ぶことができません。
ヤンバルクイナの「ヤンバル」は沖縄北部の地域を指す「山原(ヤンバル)」に由来しており、地元では「アガチー(せかせか歩く)」、「ヤマドゥイ(山鳥)」、「シジャドゥイ」とも呼ばれます。
沖縄も森林の開発や外来種の増加が進んでおり、ヤンバルクイナの個体数は大きく減少しています。
ハシブトガラスやタイワンスジオ、さらにイヌ、ネコ、マングースなどの移入・増加による影響は大きく、特にマングースの増加がヤンバルクイナの個体数の減少に大きく関わっていると言われています。
更にヤンバルクイナは飛べないために歩いて移動するのですが、その間に自動車にひかれて死亡するケースも少なくありません。
沖縄県ではヤンバルクイナの個体数の減少対策にネコやマングースの駆除や、ヤンバルクイナの飛び出しへの注意を喚起するための道路標識なども設置しています。
ヤンバルクイナは知名度も大きく、沖縄関連のキャラクターのモチーフにもなるなど、沖縄県の象徴的な存在のひとつです。
しかし実は沖縄県の県鳥はヤンバルクイナではなくノグチゲラです。
オニオオバン
引用元:https://ebird.org/
オニオオバンはペルーからチリ北部、アルゼンチンにかけて生息するバン(鷭)の仲間です。
つがいを作るとそれまでいた群れを離れ、湖に植物を使って巨大な巣を作り、子育てをします。
1年中繁殖可能ですが、主に冬の間に繁殖をします。
オニオオバンには他の飛べない鳥には見られない独自の特徴があります。
実はオニオオバンは小さい内は普通に飛ぶことができるのですが、成長すると体重が2キロほどになり、飛べなくなってしまいます。
飛ぶには重すぎるのです。
最初から飛べない、飛ぶには羽根が退化し過ぎてしまっている鳥は多くいますが、途中で飛べなくなってしまう鳥はなかなか他に例を見ません。
カグー
カグーはフランスの海外領土であるニューカレドニアの固有種であるジャノメドリ目の仲間です。
別名を「カンムリサギモドキ」と言い、全身暗灰色をした美しい鳥です。
威嚇行動や求愛行動の際には冠羽を逆立てたり、羽根を広げたりして自分を大きく見せる習性があります。
元々羽根が美しく、装飾品用に狩猟されていましたが、近年では外部からイヌやネコ、ネズミが入ってきたり、ペット目的での乱獲で個体数を減少させており、現在では「幻の鳥」と呼ばれるようになりました。
ニューカレドニアではパシフィックフラン紙幣や硬貨などにカグーを描いているなど、象徴的な存在として扱われています。
フクロウオウム
引用元:http://animallover.hatenablog.com/
フクロウにオウムと、飛ぶことのできる鳥の名前が2つ重なっているにも関わらず、飛ぶことができないのがフクロウオウムです。
フクロウオウムはニュージーランドの固有種である夜行性のオウムで、マオリ語での「カカポ(夜のオウム)」という名前のほうが有名かもしれません。
オウムの中で唯一空を飛ぶことができず、最も体重が重たく、そして恐らく最も寿命の長い種類です。
現在ではわずか百数十羽ほどしか生存が確認しておらず、すべて名前をつけて保護されています。
ニュージーランドには元来ウサギのような陸生の哺乳類が生息していなかったため、フクロウオウムは陸生の哺乳類として独自の進化を遂げ、飛ぶことができなくなりました。
フクロウオウムには独自の特性や習性がいくつもあります。
まずひとつが香りです。
フクロウオウムは嗅覚がとても発達しており、匂いで食べ物を探します。
そしてフクロウオウム自身も強い芳香を放っています。
この芳香は個体によって違いがあり、カカポの間で個体識別に使っていると言われています。
ただこの芳香が仇となり、容易に居場所が突き止められ、外部から来た捕食者などに対して弱みになることもありました。
もうひとつが繁殖のペースです。
フクロウオウムは非常に長命で、60年も生きると言われています。
そのためか非常に繁殖のペースが遅く、果実などの食料事情が恵まれた年でないと繁殖をしません。
更に生後10年足らずの若い個体は繁殖行動をしません。
人間でいうところの青春を楽しんでいます。
そして繁殖の方法も「レック」という世界でも唯一の仕組みを採用します。
フクロウオウムは繁殖期になると「レック」という競技場のようなものを作り、オスはその中に「庭」というスペースを設けてメスに「ディスプレイ」という、クチバシを打ち鳴らす行為を見せます。
メスは居並ぶオスと「ディスプレイ」を見て、つがいとなるオスを選びます。
フクロウオウムは先に述べた芳香と、人なども恐れない好奇心あふれる性格、更に外敵から身を守る行動を取れないといった要因などが重なって大きく個体数を減らし、現在では絶滅の危機に瀕しています。
1989年には保護計画が始まり人工的な繁殖が行われていますが、もはや人間の保護下に置かなくては生きることはできないでしょう。
まとめ
今回は世界の飛べない鳥を紹介しました。
飛べない鳥は身近にも存在しますし、世界にも知られざる飛べない鳥が存在します。
しかしただ飛べないだけの鳥はいません。
飛べない代わりに家畜として発展した、走るのが速い、泳ぐのが速い、など様々な個性を獲得しています。
この記事が飛べない鳥の奥深い世界を知るきっかけにでもなれば幸いです。