「絶滅」とは、過去約50年間、野生下で信頼できる生息情報が得られないことと定義されています。
すでに絶滅したと考えられている動物が、しばらくして再発見されれるということは意外とあることなのです。
絶滅を免れて再び発見されて、実は絶滅していなかったという動物をまとめてみました。
シーラカンス
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「生きた化石」として有名な魚、シーラカンスは、およそ6500万年前の白亜紀に絶滅したとされていた動物です。
南アフリカのチャルムナ川沖で1938年に再発見された時には、学会および世界を騒然とさせました。
シーラカンスはまるで歩くように泳ぎます。
大きな胸びれと腹びれがあることが特徴で、このひれには他の魚にはない大きな骨と関節があります。
また、背骨がないということも大きな特徴で、背骨の代わりに脊柱(ギリシャ語でシーラカンス)と呼ばれるホースのような管があります。
脊柱の中は、油のような液体で満たされています。
シーラカンスは、四足歩行の陸上動物の祖先と考えられています。
そのため、動物がどのように進化して水から陸へ上がっていったのかなどの謎を解く鍵として、シーラカンスは注目の研究対象なのです。
ヒメフクロウインコ
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ヒメフクロウインコは全長22~26cm、黄緑色の羽毛におおわれていて、黒のぶち模様が入っているのが特徴のインコです。
オーストラリアでのみ見られるインコで、「ナイトパロット(夜のオウム)」という別名があるとおり夜行性であり、生息密度が非常に低いため、発見例が非常に少なく、1912年以降はほぼ目撃例がなかったので、絶滅したとされていました。
ところが2013年に自然研究家のジョン・ヤング氏がオーストラリア北東部クイーンズランド州でヒメフクロウインコの撮影に成功したことにより、絶滅せずに生き残っていたことがわかったのです。
その後は、西部ウエスタンオーストラリア州でもヒメフクロウインコが目撃されています。
バミューダミズナギドリ
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バミューダミズナギドリは、イギリスのバミューダ諸島にのみ生息しているウミドリです。
かつては数え切れないほど居たバミューダミズナギドリですが、食用にされるようになった他、人間が持ち込んだブタやイヌ、ネコやネズミなどが卵やヒナを食べてしまうなどして激減していき、1620年代には絶滅したと考えられていました。
ですが、それから300年後の1951年に18ペアが再発見されました。
1621年には捕獲が禁止され、バミューダミズナギドリが見つかった場所は自然保護区として管理されています。
バミューダミズナギドリのヒナを安全な場所に移動させたり、ネズミを駆除するなどして、少しずつ生息数が増えているということです。
タカヘ
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タカヘはニワトリくらいの大きさの鳥類の一種で、かつてはノトルニスとも呼ばれました。
翼は退化していて飛ぶことができない鳥で、青と緑の羽根を持ち、赤くて大きなくちばしを持っていることが特徴です。
タカヘはニュージーランド由来の鳥であり、絶滅したと長い間考えられていましたが、1948年にニュージーランド南島にある区域、フィヨルドランドのマーチソン山脈で再び見つかりました。
ニュージーランド北島にも生息していましたが、すでに絶滅したとされています。
ニュージーランドにやってきたヨーロッパ系白人が持ち込んだ動物や、開発による環境破壊により、タカヘの数は激減していきました。
現在では保護区が制定されて、飼育下で繁殖なども試みられていますが、完全復活の道はいまだ険しいです。
キューバソレノドン
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キューバソレノドンは、モグラ目に属する哺乳類で、キューバの切手や記念コインのモデルになるほど、キューバを象徴する希少動物とされている動物です。
キューバソレノドンは哺乳類としては珍しく、唾液に毒を持っています。
この毒を使ってカエルやトカゲ、小鳥などを捕食しているのですが、なぜか自身はこの毒に対する耐性を持っておらず、仲間内でケンカをして噛まれると、その毒で死んでしまうのだと言います。
人間の開発によってキューバソレノドンの生息数は激減して、1890年代から1960年代まで個体が確認された例がなかったため絶滅したとされていました。
ところが、1974年の調査でキューバ東部で生息していることが確認されたのです。
モウコノウマ
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モウコノウマ(蒙古野馬)は現存する世界で唯一の野生馬です。
もともとはモンゴルの平地に生息していました。
普通のウマは64の染色体を持っていますが、モウコノウマは66の染色体を持っています。
1879年に、モンゴルでロシアの探検家ニコライ・プルツェワルスキー大佐によって発見されたことにより広く知られるようになりました。
しかし、1966年に目撃されたのを最後に確認されなくなり、1968年頃には野生下では一度絶滅されたとされていました。
ですが、モウコノウマが発見されてから多くの個体が欧米諸国の動物園で飼われていたことにより、飼育下での繁殖が進められました。
現在では、新疆ウイグル自治区の自然保護区などで、再野生化に向けて計画が進められています。
バーバリライオン
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バーバリライオン(別名・アトラスライオン)は、全長が大きなもので4m以上にもなる、たいへん大型のライオンです。
非常に黒いたてがみは、胴にまで達するほど長く伸びていたと言われています。
ディズニー映画の「ライオンキング」に出てくる悪役のスカーは、このバーバリライオンがモデルとなっています。
かつてはアフリカ北部に生息していたバーバリライオンは、地中海周辺で人間の見世物として重宝され、競技場で剣闘士と戦わせたりなどされていました。
その後、娯楽としての狩猟や動物園用の捕獲などによって個体数が減ってき、1922年に絶滅したとされてきました。
ですが、モロッコのムハンマド5世の私的動物園で32頭飼育されていたことがわかり、さらに他の動物園でも繁殖に成功し、3頭の子ライオンが誕生するなどされています。
ピグミーメガネザル
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ピグミーメガネザルは世界最小のメガネザルで、インドネシアのスラウェシ島で生息しています。
霊長類最小のピグミーネズミキツネザルよりさらに小さなサイズのサルで、体長は約10cm、体重は約56gほどしかありません。
ピグミーメガネザルが最後に目撃されたのは1920年ごろで、それ以降絶滅したと考えられてきました。
ところが2008年にインドネシアで再発見されたことにより、絶滅していなかったことがわかったのです。
ピグミーメガネザルは深い森の中で生息していますが、森林の減少によって個体数が激減してしまったのです。
ピグミーメガネザルは目が大きすぎて動かすことができません。
そのため、フクロウと同じように頭を180度回転させて周りの様子を見ます。
オウカンミカドヤモリ
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オウカンミカドヤモリはニューカレドニアの固有種のトカゲの一種です。
眼上部から背面にかけてトゲ状の鱗が生えていて、まるでまつ毛のように見えることが特徴です。
このトゲ状の鱗を王冠に見立てたところから、オウカンミカドヤモリという名前が付いたとされています。
オウカンミカドヤモリはたいへん発見例が少なく、1866年に数例の発見例があってから1994年に再発見されるまで目撃されておらず、絶滅したと考えられてきました。
オウカンミカドヤモリは今では安定して養殖が行われ、ペット用として人気があり、英名のクレステッドゲッコーの名前で取引され、「クレス」という愛称で親しまれています。
性格がおとなしく、人に慣れやすく飼いやすいトカゲです。
ブータンシボリアゲハ
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ブータンシボリアゲハは、1933年にイギリス人によって、ブータンのヒマラヤ山脈で発見された蝶です。
5匹の標本のみが大英自然史博物館で保存されて、それから確認されることがなく生態が全くわからないため、秘蝶と呼ばれてきました。
そのような幻の蝶だったブータンシボリアゲハが、2011年に日本人の調査隊によって、再び確認されたのです。
多くの人間が再発見を待ちわびてきた、アゲハチョウの”聖杯”と言われてきたブータンシボリアゲハは、1933年に発見された場所とほぼ同じ、標高2200mの山岳地帯の森の中で見つかりました。
この調査にはNHKの取材班も同行していて、ブータンシボリアゲハが空を舞う様子を、世界で初めてテレビカメラに収めることに成功したと言います。
まとめ
今回は絶滅したと思われていた10種の動物をご紹介しました。
このように、人間の活動による生息域の減少や、人間が持ち込んだ動物による個体の減少、環境破壊などで個体数を急激に減少させてしまった動物ばかりです。
保護により絶滅を食い止めている動物もありますが、この他にも人間が絶滅させた動物は数多くいるのです。