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ペットからうつる危険な病気13選(人獣共通感染症:ズーノーシス)

犬は庭につないで家の番をさせるために飼うもの、猫はネズミ捕りをさせるために飼うもの。そのような考え方をしていたのも、今は昔の話で、現在は動物愛護後進国と揶揄されることのある日本でも、家族の一員としてペットを迎える人が増えてきました。

しかし、その一方で問題となっているのが、あまりにも距離が縮まったことにより、ペットの病気が人間に伝染る“ズーノーシス”の恐怖です。

犬や猫以外にも、ウサギやハムスター、鳥からもうつるものがあるズーノーシスの中から、特に危険なものを13種類紹介していきます。

 

動物と人間の共通感染症・ズーノーシスとは?

人間と動物の共通感染症の歴史は深く、人が家畜の飼育を開始した時から現在に至るまで、ずっと問題視されていたと言います。

その歴史は、犬が最も古くて2万年前から、牛が1万年前、豚が8000年前、鶏が5000年前からです。しかし、昔は動物の病気が人間にうつるという認識が無かったことから、悪魔の祟りなどで突然具合が悪くなると考えられていました。

人間と動物の間に共通で感染する病気があるというとに初めて着目したのは、イギリスの医師のジェンナーでした。

1796年にジェンナーは、当時猛威を振るっていた天然痘が、牛の病気である牛痘と関係があると考えました。そして、牛痘を用いて天然痘のワクチンを作ったことが、予防接種の始まりとされます。

これにより天然痘による死亡率は大きく低下し、多くの命が救われました。そして、動物から人間に感染する病気があると知られるようになりました。

現在、確認できているだけで人間と動物の共通感染症・ズーノーシスは、837種もあり、その中で危険度が高いものだけでも122種~166種もあると言われています。

そして日本国内でも、その半数の80種前後が問題視されているのです。

 

ペットからうつる危険な病気① ブルセラ症

ブルセラ症は、ペットの犬や家畜から感染する共通感染症です。羊やヤギ>牛>豚>犬の順番で、病原性が強くなります。

犬のブルセラ症が人に感染しても、症状が現れないこともありますが、症状が出る時は1~3週間後、潜伏期間が長い時には数ヶ月後に突然発熱します。

風邪のように体の怠さを伴う症状が2週間~3週間、長い時では数ヶ月も続くとされます。そして、症状が重い場合は極度の倦怠感から、鬱状態になることもあるそうです。また、1回感染すると菌が細胞の中に入り込み、薬が効きにくくなると言います。

全国的な調査によると、ブルセラ症の菌を保有している犬は3%~4%とされ、犬はブルセラ症になっていても症状が現れないことがあるため、無症状の犬が菌をばらまいていることがあります。

感染経路は経口感染となるので、犬や家畜とのキスや、食べ物を口移しなどは避けるようにしましょう。

 

ペットからうつる危険な病気② レプトスピラ症

レプトスピラ症は、主にドブネズミが無症状で保菌しており、感染源となります。保菌者のドブネズミの尿から菌が排出され、この菌が水中でも生きられることから、水を介して犬や人間に感染します。

レプトスピラ症に感染した場合、5日~7日で発熱し、筋肉痛や嘔吐の症状が現れ、黄疸や腎炎による腎不全と言った症状が起こります。

そして、腎不全で体外に排出されるはずであった毒素が体内に溜まってしまい、尿が出ない状態が続いてしまうと最悪の場合は死に至るのです。

レプトスピラ症は、スピロヘータというらせん状の細菌がもととなって発症する病気です。スピロヘータは宿主のドブネズミの腎臓の中で増え、長期間にわたって尿の中に排出され続けます。

しかも、この菌は人間や犬などの動物の健康な皮膚に触れただけでも感染するという、恐ろしい特徴を持ちます。ほとんどの哺乳類に感染する恐れがあることから、注意が必要です。

引用元:https://idsc.niid.go.jp/

1940年代には、世界中で毎年1000人近くの人間の命を奪ったほど危険な病気とされたレプトスピラ症ですが、その後、衛生環境の改善とネズミの駆除が進むことで、発生数は激減しました。

しかし、病気が撲滅されたわけではなく、上の図のように近年でも罹患者が確認されています。また、東京のドブネズミは未だ高い確率でスピロヘータを保菌しているという調査結果もあります。

レプトスピラ症の予防としては、犬の場合は感染を防ぐためにワクチンを接種することが好ましいとされます。また、汚染された水や、保菌動物のドブネズミとの接触を避けることが有効です。

犬がレプトスピラ症になった場合、人間同様の症状が現れることもあれば、無症状のこともあるとされます。症状が見られた場合は感染が拡大する前に動物病院を受診し、抗生物質を投与します。

 

ペットからうつる危険な病気③ 狂犬病

狂犬病はズーノーシスの代表格として知られる、非常に怖い病気の1つです。すべての哺乳類が感染する危険性を持ち、狂犬病ウイルスを保有する犬に嚙まれることで、その傷口から感染します。

日本では1950年に狂犬病予防法が制定されて以降、狂犬病の予防接種を集団で行うようになったことから、1957年以降、国内での狂犬病の発症例はなくなったとされます。

しかし、1960年には狂犬病ウイルスを持つ動物を輸入したという事例があり、国外から狂犬病ウイルスが入ってくる危険性は否定できません。

現在、犬の他に猫、キツネ、スカンク、アライグマなどが狂犬病の検疫対象となっていますが、コウモリやプレーリードッグといった、検疫が課せられない動物も存在します。このような未検疫で輸入される動物がウイルスを保有している可能性があるため、問題視されています。

引用元:https://idsc.niid.go.jp/

狂犬病ウイルス自体は、比較的弱いウイルスであるため、消毒液や石けんでの洗浄で死滅します。また、感染してから発症までの日数は、咬傷から脳・脊椎までの距離によって異なります。

狂犬病ウイルスは唾液に多く含まれ、傷口から侵入すると、その近くの神経を伝って脳に向かって移動を続けます。移動速度は1日に8mm~22mmとされ、ウイルスが脳に達した場合は、沈鬱、過度の興奮、麻痺といった神経症状が現れ、100%の確率で死に至るのです。

狂犬病ウイルスは脳まで達してしまった場合、治療の手立てがありません。感染後、症状がみられるまでの間であれば、血清で治療できる可能性もあることから、頭の近くを噛まれた時よりも、手足の先を噛まれる方が格段に生存率が高いとされます。

予防接種により長年にわたって発症例がない日本では、狂犬病に対する恐怖心が薄くなりがちですが、上の図のように、世界ではまだまだ狂犬病は猛威を振るっています。そのため、海外で野生動物に接触する可能性がある人は、渡航前に狂犬病ワクチンを接種する必要があります。

また、日本では撲滅した病気なのだから、自分の犬には狂犬病の予防接種をさせなくても良いと主張する飼い主も存在しますが、国内での発症事例が無いのは、予防接種があってこそです。

犬を飼ったら、住所地の保健所への届け出と、狂犬病の予防接種は義務付けられているので、これを厳守する必要があります。

 

ペットからうつる危険な病気④ エキノコックス症

エキノコックス症は、流氷に乗って千島列島から渡来したキタキツネによって、北海道へ侵入した考えられる感染症です。

エキノコックス症の病原体となるのは、多包条虫という寄生虫で、キツネの体内に寄生して糞便に多量の卵を輩出します。自然界では、その卵を野ネズミが食べることで感染し、野ネズミの肝臓で幼虫が孵化、再びキツネに感染する機会をうかがって繁殖していくのです。

エキノコックス症の人や犬への感染は、多包条虫に寄生された野ネズミを犬が食べることで、犬が糞便の中に卵を輩出し、人間に感染することが確認されています。また、多包条虫の卵のある沢の水を飲むことで感染するケースがあります。

さらに、感染地域で有機農法で栽培された野菜を食べることでも感染することがあり、キツネは民家や畑まで侵入してくることが多い野生動物のため、これについても警戒する必要があるでしょう。

人間がエキノコックス症に感染すると、卵は腸を通って肝臓や肺、脳へたどり着きます。そして、数年かかって肝臓内で増殖して、肝不全を起こします。幼虫は卵を持たないことから、人と人の間での感染の心配はありません。

引用元:https://idsc.niid.go.jp/

多包条虫の成虫は北半球にのみ生息すると考えられていたため、エキノコックス症は日本での発症は北海道に限られる、地方病と考えられていました。

しかし、1999年には青森県で豚から多包条虫が検出され、本州での感染拡大が心配されるようになりました。

調査によると、北海道のある地域では約3%の犬がエキノコックス症に感染していることが分かっており、また北海道からは年間400頭前後の犬が本州へ移動してくるとされます。このことから、本州でもエキノコックス症に対する注意を払う必要があると言われているのです。

人間が多包条虫に寄生された場合、通常の虫下しでは効果が無く、外科手術で卵を取り出す必要があります。そのため、飼い犬をネズミと接触させない、多包条虫の卵が含まれる可能性のある地域の生水を飲まないといった予防が必要です。

 

ペットからうつる危険な病気⑤ エルシニア感染症

エルシニア感染症は、犬や猫、齧歯類の動物、豚や牛といった家畜から感染することがある病気です。この菌はペストの親戚のような存在とされ、経口感染後、腹痛や下痢などの腸炎を引き起こします。

エルシニア感染症の原因となるエルシニア菌は、健康な犬や猫の糞便の中にも存在し、菌が口から人間の体内に入ることで感染します。

感染すると強烈な腹痛に襲われ、大人の場合は下痢の回数も1日に2回~4回程度で済みますが、2歳以下の乳幼児が感染した場合は下痢の回数も増え、発熱や発疹を伴うこともあります。

エルシニア感染症の予防方法としては、ペットの糞便には直接触れないこと、動物と触れ合った後はきちんと手を洗うことなどが挙げられます。

 

ペットからうつる危険な病気⑥ パスツレラ症

パスツレラ症はの原因となるパスツレラ菌は、健康な犬や猫の口腔内に存在する菌で、犬の場合は約75%、猫であればおよそ100%の割合で、この菌を保有しているとされます。

また、猫の場合は爪にも約25%の割合でパスツレラ菌が潜んでおり、他のズーノーシスとは比べ物にならない程、条虫率が高い菌です。

パスツレラ病は、パスツレラ菌を保有している犬や猫に噛まれたり、引っかかれたりすることで感染する病気です。

また、高齢者や病気療養中の人など、免疫力が低下している人がペットにキスをしたり、口移しで食事をあげたりするなど過剰なスキンシップを取ることが原因で感染する日和見感染が多いことも分かっています。

外傷より感染した場合と、パスツレラ菌を吸い込むことで感染した場合では、症状の出方も異なります。

噛み傷や引っ搔き傷から感染した場合は、早い場合は30分、遅い場合でも3日くらいで傷の部分が赤く腫れあがり、疼痛を感じるようになります。リンパ節が腫れ上がることもありますが、全身に症状が見られることは稀で、抗生物質を投与することで治療が可能です。

一方で、免疫力が低下している人が、パスツレラ菌を吸引して感染した場合は呼吸器系に障害が見られるようになります。これも同じく抗生物質で治療しますが、症状が慢性化することもあります。

過去にはパスツレラ菌の感染が原因で敗血症や髄膜炎といった全身疾患になるケースも確認されており、最もひどい場合は死に至ったケースもあります。

パスツレラ菌に感染した場合に症状が重篤化しやすいのは、糖尿病やアルコール性肝障害といった持病を持った人や、高齢者が挙げられ、これらの要因を持つ人は、ペットとの過剰なスキンシップは避けた方が無難と言えるでしょう。

現代では、抗生物質の投与でほとんどのケースで治療が可能とされますが、症状が進んでしまうと根治が難しくなる恐れもあります。そのためパスツレラ症では、早期の発見と治療が重要視されています。

 

ペットからうつる危険な病気⑦ トキソプラズマ症

猫の糞便や、火が通り切っていない肉に寄生虫のトキソプラズマが侵入していることが多く、それが人の口に入ることでトキソプラズマ症に感染します。

健康な人間であれば、トキソプラズマに感染しても無症状の場合も多く、たとえ出たとしてもリンパ節腫れたりする程度で済みますが、病気で抵抗力が落ちている人、そして妊婦は注意をする必要があります。

欧米ではHIV感染者の30%近くがトキソプラズマが原因で急性脳炎になり、死亡したことが分かっています。人間がトキソプラズマに感染する確率は、子供よりも大人で高いとされ、成人の30%は感染した経験があるそうです。

また、トキソプラズマに感染することを最も警戒する必要があるとされる妊婦ですが、過去に感染した人が妊娠をした場合は問題がありません。

トキソプラズマに感染した経験のない人が、妊娠初期の段階でトキソプラズマに感染してしまうと、流産や生まれた後の赤ちゃんに目や神経の異常が見られるのです。

最も重篤な場合では、胎児が水頭症を発症する可能性もあることから、妊婦のいる家庭では特にトキソプラズマ症に注意をする必要があります。

引用元:http://www.sanolc.com/

トキソプラズマの終宿主とされる猫がトキソプラズマに感染する経路は、この寄生虫に寄生されているネズミやトカゲ、ゴキブリなどを食べることや、生肉を食べることがほとんどです。

そのため、飼い猫を室内飼育し、食べ物を管理するだけでも感染率は大幅に下げることが可能です。また、猫のトイレを掃除する場合は、糞便を手で触らないように心がけ、触れてしまった場合はすぐに洗うようにしましょう。

また、口移しで餌を与えるといった不要なスキンシップは避けた方が良いでしょう。

 

ペットからうつる危険な病気⑧ Q熱(コクシエラ症)

Q熱という名前は“Query(疑問符)”の頭文字から取られたものです。1935年にオーストラリアで集団発生した時に、その原因が分からなかったためについた名前です。

現在では病原体が確認されており、動物の体内に住む“コクシエラ・バーネッティ”が原因であったことが分かっています。コクシエラ・バーネッティは、犬や猫、家畜に他に様々な野生動物や野鳥、ダニなども保有しています。

30年程前までは、日本にはQ熱は存在しないと考えられていました。しかし、現在は日本にも存在する病気であることが分かり、2000年に制定された感染症新法ではQ熱は第4類感染症に指定され、感染者は届け出が必要となりました。

家畜ではほとんどの個体がコクシエラ・バーネッティを保有していますが、一般の家庭で飼育されている犬や猫の中にも、10%~15%の割合で、過去に感染したものがいることが分かっています。

コクシエラ・バーネッティは抵抗力が非常に強い菌で、乾燥状態でも長く生き続けます。動物の糞便や母乳、胎盤などにも多量のコクシエラ・バーネッティは存在し、このようなものに接触して病原菌を吸い込む機会があれば、誰であってもQ熱に感染する恐れはあります。

感染時の症状は急性と慢性に分かれ、急性Q熱の場合は2週間~4週間の潜伏期間の後、39℃前後の高熱が出るのが典型的な症状です。

また、高熱の他にも全身の倦怠感やリンパ節の腫れ、呼吸器障害、肝機能障害、髄膜炎などの症状が現れることがあります。

一方、慢性の場合は長期にわたる疲労感や動悸や不眠といった不定愁訴などが症状として見られます。倦怠感が酷く、登校や通勤ができないと訴える人を検査したところ、Q熱に罹っていることが判明したケースもあったそうです。

具体的な予防策はありませんが、口移しで餌を与えるといった過度のペットとの接触を避け、動物と遊んだ後は手洗いをするだけでも、感染するリスクは軽減すると考えられています。

 

ペットからうつる危険な病気⑨ 野兎病

野兎病は、もともと野ネズミや野ウサギなどの野生の齧歯類の病気でした。日本国内では福島県、山形県、千葉県の山岳地帯で発症報告があり、発症時期は狩猟が解禁となる、11月~12月に多いとされます。

感染の主な原因は、野ウサギを狩猟で捕まえた際に、その野ウサギに寄生していたノミやダニを介して野兎病菌に感染するものと考えられています。

そのため、通常ペットとして販売されているウサギからは感染しない病気なのですが、野生動物をペット化して輸入した場合、その中には野兎病菌を保菌している個体がいる可能性があります。

このことから、日本でもプレーリードッグなど、未検疫で輸入される野生動物からの感染が心配されているのです。

人間が野兎病に感染した場合、多くのケースで手の指に潰瘍のような病変が見られます。急性の熱性疾患を起こし、頭痛や筋肉痛、リンパ節の炎症、腹痛、髄膜炎といった症状が見られ、最悪の場合は死に至る危険性もあります。

また、野兎病は感染力も非常に強く、10個~15個の菌が皮膚に付着するだけで感染し、発症してしまいます。このことから、かつては旧日本軍、1960年代にはアメリカやソ連で細菌兵器として研究されていたこともありました。

引用元:https://idsc.niid.go.jp/

野兎病菌は世界中に分布しており、アジアやヨーロッパに存在するものは感染力が低く、北アメリカに存在するものは感染力が高いとされます。

このことから野兎病の感染者の内、重篤な症状となるケースはアメリカで多く見られ、1985年~1992年の8年間の間で約1400人の感染者が出た上に、そのうちの20人は死亡が確認されました。

予防方法としては、人間もペットも、とにかく野生動物との接触を避けることです。特に、輸入された野生動物を軽い気持ちでペットとして迎えることのないよう、注意が必要です。

 

ペットからうつる危険な病気⑩ 皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症とは、皮膚にカビが生える病気です。この病気を引き起こす菌は数種類ありますが、ウサギやハムスター、モルモットといった無害な印象のある小動物が感染源になるため、注意が必要な感染症です。

人間の皮膚に糸状菌が付着すると、皮膚の表面の部分で増殖して、発疹や水膨れを作っていきます。皮膚糸状菌は湿った環境で発生しやすいため、ハムスターなどを水槽で飼育する場合は、飼育ケースに穴をあける、蓋を金網にするなど、通気性を高める工夫をしましょう。

また、フケなどが原因で人間に感染することもあるため、部屋の掃除をこまめに行うことも、予防策としては有効です。

 

ペットからうつる危険な病気⑪ オウム病

オウム病は病名の印象から、オウムのみから感染する病気と思われがちです。しかし、実際はオウムを含め、インコや鶏、アヒルとほとんどの鳥類が病原菌を持っていると考えられています。

オウム病の病原体となるのは、オウム病クラミジアというもので、感染した鳥の糞便の中に混入しています。そのため、鳥かごの掃除をする時に乾燥した糞便が舞い上がり、人が吸引することによって感染するケースなどがあります。

オウム病クラミジアは、細菌とウイルスの中間のような病原体で、生きた細胞の中でしか自身も生き続けることができません。感染した場合は1週間~2週間で発熱が見られ、咳が出て頭痛、全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛など、インフルエンザのような症状が現れます。

ここで適切な処置を行わず放置すると、呼吸困難や重症肺炎、髄膜炎を起こすことがあり、死に至る恐れもあります。

予防としては過剰な触れ合いはせず、鳥に触れたら必ず手を洗うことなどが挙げられます。また、鳥を飼育している場合はこまめに鳥かごを掃除して、乾燥した糞便が病原体を空気中に放出することが無いよう注意が必要です。

 

ペットからうつる危険な病気⑫ クリプトコッカス症

クリプトコッカス症の病原菌となるクリプトコッカス菌は、蓄積された鳩の糞便の中で増殖したり、止まり木に付着しています。通常は鳩の糞便が乾いて、空中に舞い上がり、呼吸と共にクリプトコッカス菌が体内に取り込まれるのですが、健康な人が感染した場合は、肺に病巣を作るものの、比較的軽い症状で済みます。

しかし、HIV患者などの免疫力が低下している人がクリプトコッカス菌に感染した場合、中枢神経まで菌が侵入して、髄膜炎や脳炎を起こす恐れがあるのです。

更に、この病原体に感染するのは人間だけではなく、猫エイズなどに罹っていて、免疫力が下がっている猫にも感染が確認されています。

そのため、猫を介してクリプトコッカス菌が人間に感染することもあり、特に猫エイズの猫は鳩には近づけないといった対策が必要です。

また、人間のHIV患者同様に、猫エイズに罹っている猫がクリプトコッカス菌に感染した場合、神経症状が現れて死に至ることもあります。

 

ペットからうつる危険な病気⑬ クカンピロバクター症

カンピロバクター菌は、豚や牛などの家畜や、犬や猫、鶏の蝶の中に棲みついている菌です。特に鶏の保有している菌は人への感染力が高く、この菌によって汚染された鶏肉を十分に加熱せずに食べることで、食中毒を起こします。

カンピロバクター症を発症すると、発熱や嘔吐、腹痛、下痢といった症状が現れます。カンピロバクター菌は人間だけではなく、子犬の下痢の原因ともなり、子犬の糞便を介して人間に感染することも確認されています。

カンピロバクター菌は比較的弱い菌で、常温では徐々に死滅していくことが分かっています。しかし、低温では長期間の生存が可能なことから、鶏肉からの感染が高いとされているのです。

また、少量でも感染して発症に至ることが知られており、完成した場合は1日~10日で発症します。サルモネラ菌などの食中毒菌と比べて、潜伏期間が長いのも特徴です。そのため、何が原因でカンピロバクター症を発症したのか、原因の特定が困難になることも多くあります。

少量のカンピロバクター菌で汚染された水を飲んだ場合でも、感染の可能性があるうえに、感染した場合は小さな子供ほど症状が強く出るとされます。

治療方法としては、下痢や嘔吐で体内の菌を排出されるのを待つことが好ましいとされます。そのため、自然治癒を待つか、脱水症状を起こさないように輸液治療が行われるでしょう。

予防方法としては、動物に触れた後は必ず手を洗うようにすることが挙げられます・

 

まとめ

人間と動物の共通感染症の中には、インフルエンザや結核のように人間の病気が動物にうつるというものも存在します。ペットの病気が人間にうつる場合も、人間の病気がペットにうつる場合も、ほとんどの場合はペットへの過剰なスキンシップが原因で感染が拡大することが分かっています。

目に入れても痛くない可愛いペットであっても、口移しで餌を与えるといったことはやめ、触った後は手を洗うように心がけましょう。

また、犬の場合はワクチンの接種で防げるズーノーシスもあるため、狂犬病や混合ワクチンをきちんと接種するようにしましょう。



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