軍隊は、兵器およびそれを扱う兵士から構成される、戦闘力を備えた集団です。
広義には軍事組織であり、狭義には戦時国際法で定められた組織です。
警察と並ぶ国家の実力組織であり、主に外敵への対応を目的としていますが、非常時の治安維持も担っています。
国民の財産と生命を守る重要な組織である軍隊のトップ10をご紹介します。
ランキング付けの方法はいくらかありますが、国家予算に占める防衛予算の割合や人数、装備や戦歴などを考慮してみました。
10位 イスラエル
イスラエル国防軍は、陸軍(陸軍指揮本部)、海軍(イスラエル海軍)、空軍(イスラエル航空宇宙軍)の3軍と各軍管区により構成されています。
3軍と軍管区の司令官には、少将が充てられています。
イスラエル国内では、一般的に頭文字をとって「ツァハル」と呼ばれています。
英語表記の頭文字をとって「IDF」と表記されることも多いのが特徴です。
1948年に設立されたIDFは、中東戦争など5度にわたる大規模な戦争と、秘密作戦を含む多数の特殊作戦や航空爆撃任務を経験しています。
ガザ地区やレバノンなどとの国境地帯や占領地、国内でも対テロリズム・対反乱作戦で恒常的な警戒態勢にあり、世界で最も実戦慣れした練度の高い軍隊の一つとの評価を受けています。
10万7,500人の徴集兵を含む16万8,000人の人員を有しています。
このうち陸軍は12万5,000人、海軍は8,000人、空軍は3万5,000人で構成されています。
この他に40万8,000人の予備役がおり、総動員時の兵力は57万6,000人にも達するのです。
士官は一般兵の中から優秀な者を選抜して士官学校で育成する方式が採られています。
イスラエル国防軍は、世界でも有数の戦争遂行能力を保持していると評価されているのです。
装備品にはM4カービン銃、F-15戦闘機、F-16戦闘機、AH-64攻撃ヘリコプターなどアメリカ合衆国から供与、購入した製品が多く使用されています。
アメリカ合衆国から毎年20億ドル相当の軍事援助を受けており、その多くはアメリカ製の軍事装備を購入することに費やされています。
兵器の実戦モニターとしても知られており、F-15やF-16など同軍で初陣を経験、改良に生かされた物も多いのです。
これらとは別に、イスラエル独自に開発および製造した兵器も多く存在します。
初国産にもかかわらず独特の設計コンセプトで優秀さを示した主力戦車メルカバシリーズが有名である他、クフィル戦闘機、ガリル アサルトライフル、UZI サブマシンガンなどは、輸出の上でも成功をおさめました。
またタングステン合金単体弾頭のAPFSDS戦車砲弾やOWS (Overhead Weapon Station) など、世界に先駆けて実用化された軍事技術も多くあります。
また、さほど人口が多いわけではないイスラエルでは、人的資源の損耗を防ぐために無人兵器を積極的に研究しています。
総数で12552個の武器があり、1964機の航空機と64の軍艦を保有しています。
9位 日本
自衛隊は、日本における防衛組織です。
陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊からなり、自衛隊法第3条第1項により「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」ものとされ、人命救助などの災害派遣や国連PKOへの派遣などの国際平和協力活動を副次的任務としています。
1954年(昭和29年)7月1日設立。
英称は「Japan Self-Defense Forces」、略称「JSDF」。
陸上自衛隊は1950年(昭和25年)の朝鮮戦争勃発時、GHQの指令に基づくポツダム政令により警察予備隊が総理府の機関として組織されたのが始まりでした。
総兵力は約24万人(うち女性1万2,300人)と対人口比で主要国中最低水準となっています。
年間防衛予算も約4兆7千億円で絶対値的でこそ世界的に上位に位置するものの、対GDP比では1%を割って主要国中最低水準です。
予算は陸海空で概ね4:3:3の比率であり、予算総額の約44%は人件費で、装備品の調達費は、比較的高額な水準となっています。
戦力維持のために若年定年退職制度を導入しており、多くの自衛官の定年退職が53歳です。
近年、国家財政の悪化と少子高齢化のために防衛予算と兵力は減少傾向にありましたが、周辺国、特に中国の軍拡や尖閣諸島問題の影響で2013年度以降は対前年比で増加に転じました。
また、自衛隊が保有する装備の維持・運用・管理などにおいて他の西側諸国と同じく日米安全保障条約による同盟国アメリカに強く依存している装備も多く、実戦におけるノウハウ習得や幹部自衛官教育、新型装備に関する技術講習などでもアメリカ(在日米軍)との協力関係が重要視されています。
陸自の武器総数は5220個で、1953機の航空機、110隻の船舶を所有しています。
8位 フランス
フランス陸軍・フランス海軍・フランス空軍さらに第四の軍としてフランス国家憲兵隊を保有しています。
第二次世界大戦が終結すると、フランスは戦勝国としてアメリカやイギリスなどと共に資本主義国として冷戦を迎え、NATOに加盟し欧州の重要な軍事力として存在するようになりました。
しかし、エジプトのナセル大統領のスエズ運河国有化に端を発した第二次中東戦争には、イギリス、イスラエルと共に参戦したのですが、アメリカの圧力や国際社会の非難もあり撤退しました。
これ以降、フランスはアメリカに頼らない独自路線を歩む様になり、NATOの軍事機構から脱退(事務レベルでは参加している)し、独自の核戦力も保有、強化するようになります。
フランス軍は国際平和活動などにも重点を置いていた他、脱退したとはいえNATOとの一定のパートナーシップを保持し続けました。
1991年の湾岸戦争に際しては、多国籍軍の一員として対イラク戦に参戦しています。
冷戦構造崩壊後のフランス軍は、地域紛争に介入しこれの解決のために国連や他国との協調を重視し、NATO諸国との一層の関係強化を行っています。
2009年にサルコジ大統領がNATO創設60周年記念首脳会議にてNATO軍事機構への43年ぶりの完全復帰を宣言しました。
フランス軍は全軍合わせて約310,000人の兵力を有します。
この内、約100,000人は国家憲兵に属しています。
以前は徴兵制が存在していましたが、2001年に廃止され現在は志願制となっています。
兵役義務は存在しませんが、男女を問わず一定年齢に達すると予備役登録を行わなければなりません。
フランス政府は、2019~25年の国防7年計画を閣議決定しました。
国防費を2025年に国内総生産(GDP)の2%に引き上げることを明記したのです。
国内外でのテロ掃討、サイバー攻撃対策の強化に向けて装備近代化を図っています。
国防計画では、国防費を2022年まで毎年17億ユーロ(約2,300億円)積み増し、2023年に440億ユーロ(約6兆円)、GDP比1.91%まで高める計画です。
2019~25年の国防費総額は2950億ユーロ(約40兆円)を見込んでいます。
2018年の国防費は342億ユーロ(約4兆5千億円)でした。
国防費を「GDPの2%」にすることは、米主導の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の共通目標です。
トランプ米大統領は、欧州側に実現を強く求めています。
フランスは財政緊縮のため、2017年にはGDP比1.78%まで国防費を圧縮しましたが、大幅増額に転じました。
陸軍の武器は約1万個、1757機の航空機と、289機の船舶を所有しています。
7位 大韓民国
大韓民国国軍は、大韓民国(韓国)が保有する軍隊です。
陸海空の三軍体制です。
現有総兵力は約63.5万人、うち陸軍約50万、海軍約7万人(海兵隊2.9万人含む)、空軍6.5万人、予備役380万人で構成されています。
さらに在韓米軍2万8,500人が駐在しています。
朝鮮戦争以来の米韓同盟にてアメリカ軍との制度と運用面での緊密な連携があり、しばしば共同軍事演習を実施しています。
平時の作戦統制権は韓国軍が単独行使しますが、有事の際の戦時作戦統制権は米韓連合司令部が掌握しています。
韓国軍への戦時作戦統制権の返還が議論されてきましたが、複数回にわたり延期を繰り返し、少なくとも2020年代半ばまでは米韓連合司令部が戦時作戦統制権を司ることが決定しています。
大韓民国海軍は1973年から大韓民国海兵隊を隷下に持っています。
さらに、正規軍以外に予備役(大韓民国郷土予備軍)や民防衛隊という軍事組織があります。
年間予算は1990年度に約6兆6千億ウォン、2002年度に約16兆3千億ウォン、2011年度に約31兆4千億ウォンと急増しています。
2012年度の国防部から企画財政部への概算要求予算は33兆4800億ウォンで前年比6.6%の増額要求となっています。
予算の拡大に伴って玄武-3巡航ミサイル、天竜巡航ミサイル、玄武-2弾道ミサイル、ATACMS弾道ミサイル、KGGB GPS誘導滑空爆弾、F-15K戦闘爆撃機、世宗大王級駆逐艦、独島級揚陸艦、K2戦車、新型対空・対地ミサイルなど、各種兵器の開発、導入を積極的に進めているのが特徴です。
また、ストックホルム国際平和研究所の調査によると、韓国は核兵器や化学兵器など大量破壊兵器を除く全世界の通常兵器取引で、世界第4位の兵器輸入国です。
6位 トルコ
兵員数は約65万人で、兵員規模に関しては北大西洋条約機構(NATO)加盟国で第2位に位置します。
最高指揮権は平時には大統領に属し、戦時には参謀総長に属すると憲法によって規定されています。
参謀総長の地位は事実上陸軍の指定席です。
独自の核戦力は保持していませんが、2005年まではアメリカ合衆国とニュークリア・シェアリングを行い、核抑止を行っていました。
またキューバ危機の解決策として撤去されるまで、核弾頭を搭載したアメリカの準中距離弾道ミサイル(MRBM)「ジュピター」がソ連に向けて配備されていました。
国父アタテュルク以来の国是である世俗主義原則などの体制の守護者を任じ、1960年、1980年の2度の軍事クーデターと2016年にも軍事クーデター未遂を起こすなど、政治色の強い軍隊として知られ、現在でも高い政治的発言力を持っているのが特徴です。
トルコ軍は統合参謀本部を頂点に、陸軍・海軍・空軍によって編成されています。
また戦時においては、内務省所属のジャンダルマ・沿岸警備隊がそれぞれ陸軍・海軍の指揮下に入ることとされています。
防衛予算は2兆5000万円。
陸上兵器は約7万個あり、1940機の航空機と265隻の船舶を所有しています。
5位 イギリス
イギリス軍の名目上の最高指揮権はイギリスの君主(1952年よりエリザベス2世)ですが、その行使は首相の助言の通りになさねばならないため、事実上の総指揮権は首相にあります。
管理は国防省 (MoD) の国防委員会(Defence Council)が担当します。
イギリス軍はイギリス本国と海外の領土を防衛してイギリスの幅広い将来的国益を保護し、国際的な平和維持活動の支援を任ぜられています。
その他にも、NATOへ正規参加しており、合同作戦の活動を行っています。
イギリスの軍事は歴史が長く、特に17世紀から複雑で、世界史に大きな影響を与えてきました。
世界の人口のうち4分の1がイギリス帝国の臣民で、陸地の総面積も4分の1を領有したほどです。
現在まで続くイギリス軍は、1707年にグレートブリテン連合王国の軍隊としてイングランド軍とスコットランド軍の合併によって形作られました。
イギリス人が参戦した重要な戦いは、18世紀から19世紀前期にかけて起きたナポレオン戦争と七年戦争、19世紀中期のアヘン戦争、アロー戦争、クリミア戦争、20世紀の第一次世界大戦、第二次世界大戦が挙げられます。
イギリス軍は第二次世界大戦の終結後も活発な活動を続け、北アイルランド、キプロス、ドイツ、ジブラルタル、ブルネイ、フォークランド諸島など、世界中の基地を維持し続けました。
1940年から存続した海軍省、陸軍省、航空省は、1964年に現在の国防管理機構である国防省が役割を引き継ぐ形で、置き換えられています。
イギリスは先進的技術を持つ非常に強力な包括的軍事力を世界中に配備しています。
国防省の公開しているデータによると、イギリス軍の部隊数は世界で28番目であるのに対し、イギリスの軍事費は世界で2位となっており、工学など軍事科学の分野に多くの資金が投じられています。
しかし、それらによって獲得したイギリス軍の幅広い能力に反し、近年の国防政策では、いかなる規模の活動であろうと諸国連合軍や多国籍軍の一部として従事するという想定が方針化しています。
実際に、戦後のイギリスが単独で行った大規模な作戦行動は、自国の領土が直接侵攻を受けたことで開戦した1982年のフォークランド紛争くらいのものです。
ボスニア戦争、コソボ戦争、アフガニスタン侵攻、イラク戦争など連合軍での作戦行動がほとんど慣例となりつつあります。
防衛政策も1998年に国防戦略見直し (SDR; Strategic Defence Review) を発表し、この計画に基づいた戦力の保持を行っています。
海外展開能力の強化や即応性の向上などに注力し、量的な軍隊からコンパクトで機能的な軍隊への転換と保持に努めるようになっており、1つの大規模作戦と2つの中規模作戦への参加を同時に行える程度の能力を目標として整備されました。
総国防支出も冷戦終了直後の対GDP(国内総生産) 比率4.4%と比較して、現在は2.2%程度の計上に減じています。
約22万5000人の兵士が勤務しており、交代要員が18万7000人います。陸上兵器は約1万2000個。1663機の航空機と99の船舶を保有しています。
4位 インド
インド陸軍、インド海軍、インド空軍およびその他の準軍事組織を含む構成です。
インド軍の正規兵力は陸海空軍と戦略核兵器部隊の約132万5000人と、予備役は合わせて約110万人です。
世界で6番目の核保有国・原子力潜水艦保有国でもあります。
インドの準軍事部隊は、沿岸警備隊、アッサム・ライフル部隊(約5万人)、特別フロンティアフォース (約1万人)で、以前は、準軍事部隊とされた政府武装警察部隊と、国境警備部隊、中央予備警察等を含む中央武装警察部隊(約77万人)や、民兵組織のホーム・ガード(約135万人)は 2011年から準軍事部隊に含めないと、インド政府は公式見解を出しました。
グローバル・ファイヤーパワー社発表の世界の軍事力ランキング2014年版によると、インドは世界第4位の軍事力です。
インドは各国の軍隊では数少ない志願制を採用しており、徴兵制が行われたことは一度もありません。
インド軍の法律上の最高司令官は大統領ですが、事実上の指揮権はインド政府のトップである首相が有しており、管理・運営は国防省 (Ministry of Defence) が担当しています。
国防費は2012年度で461億2500万ドルで、年々増加傾向にあります。
軍事目的での宇宙開発、核の3本柱(Nuclear triadすなわちICBMとSLBM、現在は保有していない戦略爆撃機)の整備、ミサイル防衛システムの開発等々多岐にわたります。
インド政府は、国防省傘下の防衛研究開発機構(DRDO)を中心として兵器の国産化や輸出に力を入れる方針を表明していますが、その技術力はまだ低いと言われています。
DRDOが開発した地対空ミサイル「アカッシュ」の購入をインド陸軍が2016年に拒否したことがその一例です。
2018年4月、チェンマイで開催された防衛装備品の展示会「ディフェクスポ」で、ニルマラ・シタラマン国防相は「インド軍に必ずインド製を買うよう説得できるとは今は思えない」と吐露しました。
インドは防衛装備品の約6割を輸入に頼っており、毎年30億-50億ドルの国富が海外に流出しています。
輸入の半分以上は旧ソビエト連邦とロシア連邦が占めてきました。
外国に源流を持つ兵器を調達する際にも、インド国内での製造や技術移転を促すため2014年、インド国内の防衛産業に対する外資の出資比率上限を26%から49%へ緩和しています。
2462機の航空機があり、175の船舶を保有しています。
また、シク教徒の隊員は制帽としてターバンを着用できるそうです。
3位 中国
中国人民解放軍は、中国共産党が指導する中華人民共和国の軍隊です。
陸軍・海軍・空軍・ロケット軍・戦略支援部隊の5軍を軍種としています。
また、正規軍たる人民解放軍とは別に、中国民兵・中国人民武装警察部隊が中国共産党および中華人民共和国の武装力量に定められています。
イギリス国際戦略研究所が発行した『2013年ミリタリーバランス』によると、2012年11月時点の人民解放軍の人員数は、現役兵は228万5千人、予備役51万人と推定されており、このことから世界最大の常備軍とされています。
この他に準軍事組織の人民武装警察(武警)が66万人と推定されています。
これらの数は2000年の値と比較すると現役兵は2万5千人減、予備役は1万~-9万人増で、武警は84万人減でした。
1982年に現在の武警が設置されてまもない時期は、人民解放軍が大規模な人員数の削減を行った頃と一致します。
武警は、削減された人民解放軍兵士を受け入れ、一時は人員が増加したものの、その後に隊員の定年が進み自然減になったものと推察されます。
準軍事組織には他に中国民兵があり、2011年の中国共産党の発表によると過去には3000万人が所属しており、削減された2011年においても人員800万人を誇っています。
なお2013年4月に中国国務院は『中国国防白書:中国の武装力の多様な運用』を発表して、陸軍機動作戦部隊が85万人、海軍23万5千人、空軍39万8千人とする兵員数の概要を公表しました。
陸軍機動作戦部隊は、18個集団軍および軍区直轄の独立諸兵科連合師団(旅団)に該当し、国境警備部隊・海岸防衛部隊・軍事施設警備部隊は含めません。
陸軍機動作戦部隊に該当しない前記の各部隊の兵員数は公表されず、したがって現役陸軍全体の兵員数は明らかにされていません。
また第二砲兵、予備役の兵員数も公表されず、したがって人民解放軍全体の現役・予備役を含めた総兵員数も本国防白書では明らかにされていないのです。
近年は軍事兵器や軍事システム、戦闘スタイルの革新に力を入れ、通常兵器による軍事力も強力になっており、ロシアの専門家によれば、2015年頃には第5世代戦闘機が配備されるのではないかと指摘されています。
また、ロシアの兵器輸出企業の重役によれば、中国はインドとは違い陸上兵器の近代化が進んでいるため、陸上兵器は地対空ミサイル以外はほとんど輸入してくれないと語っています。
そして、新式装備の絶対数は多く、Su-27/Su-30MKKシリーズは300機以上もあるのです。
これは、日本や韓国のF-15保有機数を凌駕しています。
また、空軍兵器の取引においては完成した機体を購入する時代は終わり、エンジンやレーダーなどのような装備単位で買う段階になったと言われています。
その象徴がJ-10です。
2位 ロシア
ロシア連邦軍は、ロシア連邦の軍隊で、ソ連崩壊後の1992年に旧ソ連の核兵器を含むソビエト連邦軍の主力を継承して成立しました。
ロシア連邦軍は、陸軍、航空宇宙軍(諸外国の空軍に相当)、海軍の3つの軍種と、戦略ロケット軍、空挺軍の2つの独立兵科から構成されています。
ロシアの経済規模は2000年以降の10年ほどで急成長し、これに合わせて軍事支出にも大幅な伸びが見られます。
狭義の軍事支出を、各年度予算の第2章「国防」の項目として捉えた場合、1999年には1155億9400万ルーブルであったものが2010年には1兆2747億9400万ルーブルと11倍にも増加しています。
ロシア連邦保安庁 (FSB) やロシア内務省傘下の準軍事機関まで含めれば、その額はさらに大きくなります。
なお、従来は国防予算のうち7割までが人件費や福利厚生費、燃料、食料、光熱費といった維持費に当てられていました。
しかし今後、老朽化した装備の更新を進める必要から、国防予算中に占める装備調達費の割合を増やしていく意向です。
ロシア軍を含めた軍事組織向け装備調達は国家国防発注 (GOZ) と呼ばれ、2010年度は新規調達費用が3193億ルーブル、修理・近代化改修費が639億ルーブル、研究開発 (NIOKR) 費が1080億ルーブルで、合計4911億ルーブル程度です。
さらに、2011年以降に大規模な装備更新計画「2020年までの国家武器計画 (GPV-2020)」が発動するのにあわせて、2011年度以降のGOZはさらに増額されることが見込まれています。
積極的に武器輸出もしており、2011年には1兆円を超えるとされています。
2010年代も対前年比10パーセント超の増加が続いていましたが、2016年度には経済状況の悪化もあり、初めて対前年比1パーセントの国防費減少に転じました。
GDP比率こそ3%前後と現在の主要先進国の中では高いほうですが、ロシア軍の予算は西側の軍隊に比べて規模に対し著しく少ないとされています。
2007年の軍事予算は354億米ドルであり、世界の7位でありながら米国の20分の1です。
このため、軍事予算の70%も占めていた人件費ですら絶対額は少なく、当時将軍クラスですら500米ドル/月、一般の徴兵された兵士は3-5米ドル/月でした。
めざましい経済成長を遂げてきた現代ロシアにあって、このような待遇では高い職業意識を維持することは困難です。
このため2012年には給与を3倍とし各種手当廃止とあわせ手取りで約6割増しにする改正が行われました。
ロシアの兵力を近隣国と比較した場合、日本とロシアを比較すれば、日本の人口1億2,700万人より少しだけ多い1億4,190万人のロシアが、自衛隊の24万人弱の4倍以上の100万人の兵力を維持することになります(但し、日本の総人口に対する兵力はイギリスやドイツ等のヨーロッパ諸国に比べても少ない)。
一方で、韓国とロシアを比較すれば、ロシアの3分の1強の人口の韓国の有する兵力は約63万人で、人口に対する兵力比はロシアを上回っています(但し、韓国は名目上は現在も北朝鮮と戦争状態です。また、対する北朝鮮は120万人の兵力を有しており、人口に対する兵力比は韓国を更に上回り、その兵員数はロシア軍以上です)。
トルコとの比較では、人口約7,500万人のトルコの兵力は約65万人で、人口に対する兵力比は概ねロシアと同等です。
陸上兵器は約9万1000個。2500の航空機と250の船舶を保有しています。
1位 アメリカ
陸海空軍及びアメリカ海兵隊の常備軍ほか、平時は海上警備を主とした法執行機関でもあるアメリカ沿岸警備隊を含めた5軍から構成されます。
陸空軍については、普段から連邦政府の指揮下にある連邦軍と、州知事の指揮下にあり必要に応じて、連邦軍に編入される州兵があります。
なお各州政府の州防衛軍は連邦政府の指揮下に入らないため、通常アメリカ軍に含みません。
アメリカ軍の特徴として
・陸海空の通常戦力、核戦力双方において他国を圧倒している。
・実戦経験が豊富である。
・全世界に拠点を持ち短時間で展開可能である。
・宇宙空間やサイバー空間においても優越している。
・国内に石油や鉄鋼資源が存在することから継戦能力も高い。
・ボーイング、ロッキード・マーティン、レイセオンなど世界の軍需産業の中核となる大手企業が集まっているため、世界最高水準の装備品を国内で開発・調達可能である。
これらの能力は他のいかなる時代のいかなる国家・集団においても保持したことがなく、最強の軍隊と評されています。
各軍は、部隊の編成・維持・訓練が中心となっており、各統合軍に部隊を拠出するまでの責任を負っています。
陸軍は陸軍省、海軍・海兵隊は海軍省、空軍は空軍省が軍政をつかさどります。
ただし、指揮系統において、海軍と海兵隊の間に上下関係はありません。
有事においては、沿岸警備隊も海軍省の管轄となり、海軍に準じた扱いがなされます。
なお、四軍の部隊の作戦指揮は統合軍が管轄します。
予算は7,136憶ドルで、GDP比は4.6%となっており、米軍は約150万人の兵士、150万人の予備役で構成されています。所有している武器は約5万2000個。1万8000機の航空機と、2500の船舶を所有しています。
アメリカ軍を最強にしているのは、圧倒的な軍事予算だけではなく、所属する特殊部隊の有能さによる点も大きいといえます。
グリーンベレー
ベトナム戦争において多大な功績を残したこの部隊のモットーは「抑圧からの解放」。
主な任務は戦場での任務の他、現地のゲリラに対する戦闘訓練、現地人に対する医療活動などです。
こうした活動により現地人を心理的に親米に導くのです。
特殊部隊の中でも正規軍に近い存在であり、基本的には対テロなどの任務は行いません。
主に戦場でのゲリラ戦など、少数精鋭での戦闘を得意とします。
デルタフォース
当時、SASは世界最強の特殊部隊と言われていました。
初期のデルタ隊員はSASで訓練を受けるのが通例でした。
隊員の中には、帰国する際にSAS隊員から贈られた寄せ書きにこんな言葉が記されていました。
『こいつがデルタでいらなくなったら、いつでもうちで引き取るぞ』。
世界最強の特殊部隊からお墨付きをもらうような猛者が揃っているというエピソードです。
ネイビー・シールズ
第二次世界大戦からベトナム戦争にかけて活躍した水中破壊工作部隊(UDT)が前進であり、その後、あらゆる任務に対応できる特殊部隊としてシールズとなりました。
グリーンベレーとデルタの任務まで兼務するような部隊のため、陸軍からはライバル視されています。
アメリカ海兵隊特殊作戦コマンド
設立が2006年と、新しい特殊部隊で通称はマーソック(MARSOC)です。
ただ、米海兵隊はそのものが特殊部隊のようなものです。
その任務は開戦とともに敵地に向かい、後続部隊が到着するまで橋頭堡を確保するというものです。
通称「殴りこみ部隊」と呼ばれるのもそれが所以です。
その海兵隊の中でも近年の対テロ作戦を重要視して、より小回りの利く襲撃隊として組織されたのがマーソックでした。
現時点では際立った戦闘記録はなありませんが、大規模戦闘となれば活躍する可能性を秘めています。
まとめ
外交と国防はコインの裏表と言われています。
国防力の裏付けがあって初めて、外交でも発言力と影響力を持つのです。
軍事力が高い国は、それに比例して世界中の国々への強い影響力を持っています。
ですから、軍事力が高い国の政府高官の発言は、日本にとっても無関係ではないので、注意を払う必要があります。