みなさんは海や川にはいったい何種類の魚がいるかご存じですか?
近年行われた調査では世界には536科32000種類もの魚がいるという結果が出ており、日本近海だけでも約4200種類の魚が生息しています。
さて、そんな魚のことを、みなさんはどのくらいご存じですか?
今回は、意外と知らないお魚の雑学について紹介します。
オスからメスへ、メスからオスへ性転換する魚がいる!
基本的に人間を含む陸上生物では、生まれてから死ぬまで性別が変わることはありません。
しかし、水中生物の中には、周辺の環境に合わせて性別を変えるものが存在します。
たとえば世界に30000種ほど存在する魚の内、400種ほどは性転換することが確認されています。
オスからメスへ性転換するものでは、ディズニー映画『ファインディング・ニモ』で有名なカクレクマノミ。
この魚はイソギンチャクにコロニーを形成しますが、その中でいちばん大きいのがメスで、残りの個体は全部オス。
メスが死ぬと、コロニーで一番大きなオスがメスに変わることが分かっています。
アジは赤身魚でも白身魚でもない
ご存じ食卓によくのぼる、お魚のアジですが、アジは実は赤身魚でも白身魚でもありません。
赤身の魚と白身の魚の違いはその魚の普段の運動量や住んでる場所によって決まります。
赤身の魚といえばマグロやカツオ、サバなどが有名ですね。
そのような魚はずっと高速で海の中を泳いでいます。
ずっと動いているため、筋肉の中に赤い色のタンパク質、血液色素タンパク質のヘモグロビンや、ミオグロビンという筋肉色素タンパク質が多く含まれています。
そのため、こってりとした味になっています。
一方、白身の魚といえばヒラメやタイ、カサゴなどが身近ではないでしょうか。
そのような魚は海の底でじっとしていることが多いので、筋肉に含まれているそれらのタンパク質の量が少ないため、身が白いのです。そのため、さっぱり、淡泊な味をしています。
また、サケの身はピンクサーモンと呼ばれる色があるように、ピンクからオレンジ色をしていますね。
そのため、よく間違えられやすいのですが、サケは白身魚です。
サケの身が赤っぽいのは、赤身魚とは別の理由で、エビやカニにも含まれる、アスタキサンチンという、カロテノイド系の色素が入っているからなのです。
さて、アジはどちらでしょうか?
アジは速く動くこともありますし、海の底の方でじっとしていることもあります。
つまり、赤身魚と白身魚の中間の生き方をする魚なのです。
そのため、アジは赤身魚でも白身魚でもありません。
栄養も赤身魚と白身魚のいいところ取りです。
赤身魚には鉄分やDHA、EPAなどが含まれています。DHAやEPAは、「魚を食べると頭がよくなる」と歌でいわれているような、脳の働きを活性化させたり、老化を防止したり、コレステロールの値を下げたり、という働きがあります。
白身魚の身は、高タンパクで低脂肪です。さらに、コラーゲンを多く含んでいる上に、消化しやすいです。アジはそのどちらも含んでいる、とっても嬉しい魚なんです。
うなぎは淡水魚ではない?
うなぎは海で生きる魚でしょうか?それとも淡水で生きる魚でしょうか?
うなぎは川や池などの淡水に生息しているので淡水魚と思われがちです。
しかし、うなぎは海で生まれる魚であり、そのあと川を上って成長し産卵の時期になると再び海に戻るような仕組みになっています。
その一生の多くを川で過ごすので分類学上では淡水魚として紹介されていることが多いのです。
川と海では塩の濃度が違うので、一般の魚には厳しいところもありますが、このうなぎは表面にネバネバしている粘膜を持っていてそこで浸透圧の調節ができるので海でも川でも生きることができると言われています。
金魚の色や模様はどうやって決まるの?
夏祭りの屋台や熱帯魚のお店ではよく見る金魚。
その色や模様にはどのような規則があるのか気になった事はありませんか?
金魚にはたくさんの種類があり数え切れないほどの模様や色があります。
それらはどのようにして決まっているのでしょうか。
金魚というのは色が決まるのに鱗の色と地肌の色という2個の要因から色や模様が形成されます。
まず鱗ですが、鱗にも多種多様の色をした鱗が品種改良により存在します。
透明度も含めると数え切れないような種類の鱗があると考えられます。
基本の地肌の色は赤やオレンジの色や、白、黒などの種類がありこの地肌と鱗がうまく重なると綺麗な模様や色になるというわけです。
ちなみに、鱗の色は生まれた時に決まっており、その鱗が剥がれてしまうとその次に生えてくる鱗は最初の色というわけではありません。
ですので、しっかり綺麗な模様の金魚を育てたい場合は鱗に傷がついて剥がれないように気をつけることが大事なのです。
ドジョウはゲップやオナラをする
ドジョウといえば思い浮かべるのはドジョウすくいでしょうか?
ドジョウは田んぼや湿地に住んでいて、昔から日本人が親しんできた魚ですよね。
そんなドジョウは実はゲップをする魚なんです。
つまり、水中で空気を口から吐き出すことがあるのです。
魚はエラで呼吸をしています。エラの中に張り巡らされた血管の中を通る血液から絶えず酸素を取り入れており、もちろんドジョウもエラ呼吸を行っています。
それに加えて、ドジョウは腸内でも呼吸をしているのです。
ドジョウは時々水面に浮かんで、水面の上の、空気を口から取り込みます。
そして、取り込んだ空気は腸の内壁で酸素を吸収して二酸化炭素を排出し、必要のない空気は肛門や口から出されます。
これがゲップやオナラの正体です。
面白いことに、ドジョウは腸呼吸ができないと弱ったり、死んでしまうこともあるのです。
他に腸呼吸をする魚としては、ナマズ、フナ、コイなどが知られています。
この腸呼吸は、水の中に溶けている酸素が少ないと頻繁に行われます。
確かに、ドジョウの住むところは田んぼや湿地なので、あまり水の流れがなく、水の中の酸素が少なくなることもあります。
水の中の酸素が少ないから、わざわざ水面の上まで来て、空気で呼吸するなんてとても賢いですね。
また、この腸呼吸はドジョウの排泄行動の一環にもなっています。つまり、オナラをすることでお通じを促しています。
トビウオはどれくらい飛べる?
皆さんはトビウオという魚をご存知でしょうか?
この魚は名前の通り飛ぶことができる魚です。
しかし飛ぶといっても羽ばたいてどこまでも飛べるというわけではありません。
羽を広げ滑空するという形で海の上を長い距離飛行することができます。
ではその最高距離はどのくらいでしょうか。
あるトビウオの飛行記録によると飛行距離400m、飛行時間42秒、飛行時速60キロという結果があります。
トビウオは水の中で通常泳いでいる時は羽根のような胸ビレは畳んであり、体を、S時を描くようにくねらせて泳いでいます。
その後空中へ飛び出す時にはその尾ビレで水面を走るように叩くことで浮上しているのです。
また、着水しそうになると再び水面を尾ビレで叩き再び浮上を繰り返すことで400mもの長距離飛行を行うことができるのです。
サメやエイには軟骨しかない
映画「ジョーズ」などですっかり怖いイメージのついてしまった、サメ。
また、ひらひらとゆったり優雅に泳いでいる印象の、水族館の人気者のエイ。
そのどちらも実は他の魚とは異なり、軟骨しか持っていないのです。
サメやエイは「軟骨魚類」というところに分類され、お魚、と聞いてイメージするサケやスズキ、サバなどのよく食卓にあがる魚は「硬骨魚類」というところに分類されています。
「軟骨魚類」はその名前の通り、全身の全ての骨が軟骨でできています。
人間の骨のようなとても硬い骨にはカルシウムが多く含まれていますが、軟骨はカルシウムの代わりにコンドロイチンなどを多く含んでいます。
先に軟骨魚類が生まれ、その後硬い骨を持った魚が進化して登場しました。
そのため、サメやエイなどは他の魚と違うところ骨以外にも多くあります。
サメやエイには浮き袋がありません。肝臓に海水よりも比重の小さい、(軽い)油をためることで自分の浮力を調節しています。
まず、えらです。硬い骨を持った魚の多くはえらを守るふた、えらぶたを持っています。
そのえらぶたを開けたり閉めたりしながら、水の循環を作って呼吸をしています。
口から水を取り込み、えらに水を通し、えらぶたを開けてそこから水を流しています。
しかし、サメやエイにはえらぶたがなく、5本の切り込みが入っているだけです。
是非、水族館などで確認してみてくださいね!
ウミヘビは魚?
ウミヘビは名前の通り海に生きているヘビのことなのですが、ここで一つの疑問が生まれます。
「ウミヘビは魚なのか、ヘビなのか」という疑問です。
正解はなんと「ウミヘビの仲間にはヘビも魚もいる。」です。
見分ける方法はエラの有無です。
通常魚にはエラがあります。ウミヘビにはもそれは当てはまり、エラがあるウミヘビは魚の仲間。エラがないウミヘビはヘビの仲間となります。
また、卵を産む場所にも違いがあります。
魚類は水の中に産み爬虫類は陸の上に卵を産むという違いがあります。
爬虫類の海蛇の多くには毒があるので気をつけましょう。
ウミヘビには普通のヘビと違い尻尾の先が平らになっており魚同様のヒレのような役目を果たします。
水の中でもクネクネと体をくねらすことにより自由に泳ぐことができるということです。
提灯を持つチョウチンアンコウはメス?
チョウチンアンコウという魚を知っていますか?
魚のおでこから伸びたチョウチンを使って餌となる魚を引き寄せ一気にパクッと食べることでも知られています。
このチョウチンアンコウは一般的には深海に住んでおり、少し怖い魚として有名かもしれません。
しかし、実はチョウチンがついているのはメスだけということが多く、オスは体もとても小さくチョウチンとなる部分も持っていないことが多いのです。
みんながイメージするチョウチンアンコウはメスだということになります。
深海ではあまり餌も仲間の魚も少ないので、チョウチンアンコウは夫婦となる相手を探すのも大変です。
チョウチンが付いていないオスは相手を見つけるのに必死です。
オスはメスを見つけると所構わず噛みつきそのメスから離れないようにします。
その後もメスの体に噛みつき続け寄生という形をとります。
養分や栄養をメスからもらうのです。
それによりやっとオスは精巣を中心位成長し、最終的にはメスの体の一部にまでなってしまいます。
そのようにしてやっと子孫を残して行けるのです。
なかなかに衝撃的ですがこれがチョウチンアンコウの夫婦の生き様ということなのです。
シーラカンスは昔深海以外にもいた
「生きた化石」として知られている魚で、最も有名なのが深海に住んでいるシーラカンスですよね。
現在はワシントン条約によってその生体や、標本の取引が厳しく制限されています。そんなシーラカンスは昔、深海以外にも住んでいました。
古生代と中生代の時には、シーラカンスは深海だけでなく、世界中の淡水浅い海にも住んでいました。
その時代のシーラカンスの仲間には様々な姿のものがありました。
タイのような姿のものから、アンコウのような姿のものまでいたようです。
しかし、環境の変化によって深海以外に住んでいたシーラカンスの仲間は絶滅し、環境の変化があまりなかったとされる、深海に住んでいた種類のシーラカンスのみ生き残りました。
シーラカンスは白亜紀の化石とその姿が3億5000万年前からあまり変わっていないことから「生きた化石」と呼ばれています。
その姿は、他の魚とは大きく異なり、8つものひれを持っています。
このひれは陸に住む動物のように交互に動かすことができます。
さらに、使われなくなって退化した肺の痕跡があります。
これらのことから、シーラカンスは一番最初に陸に上がった魚類の仲間ではないかといわれています。
現在では食べることはできませんが、シーラカンスを食べた現地の人の話では、シーラカンスの肉は歯ブラシのような味だったといわれています。
また、シーラカンスの脳はたった2gしかありません。
シーラカンスが生き残っているのは本当に偶然だったのかもしれませんね。
現在、生きたシーラカンスを日本で見ることはできませんが、標本なら見ることができます。
静岡県にある、沼津港深海水族館にて世界でも希少な、シーラカンスの冷凍された標本を見ることができます。
世界一深いところにいる魚
地球の表面のほとんどは海です。
人間が住んでいる陸地に比べて、海中はまだまだ解明されていないことが沢山あります。
とくに深海についてはほとんどわかっておりません。
そんな海の奥深く、超深海にも魚がいるという事はご存知でしょうか。
2017年に発見され新種として記録されたクサウオという種の仲間は水深7966mという超深海に住んでおり、淡いピンク色で小さい姿をしております。
この魚のとても凄いところは超深海の水圧に耐えることができるということです。
深海に魚があまり住んでいない理由の一つがその水深による水圧です。
この魚の住んでいるレベルの水深では象1600頭分もの圧力がかかるそうです。
この魚は餌も少ない中深海にいくつかいる甲殻類のようなものを餌として生き延びていたと考えられています。
まとめ
いかがでしたか?
今回はアジやドジョウなど身近な魚から水族館の人気者のサメ、また、最近話題になっている深海に住む、シーラカンスについてご紹介しました。
有名だったり、食卓に上がるような魚や、近所にいる魚のことでも知らないことがあったのではないでしょうか?
身近な魚や環境について触れたり知ったりする、ということは現在では難しくなってしまいましたが、よく探すと意外とすぐそばに住んでいたりします。