日本国内には、なんと1,200種類ものクモが確認されているのをご存知でしょうか。
そのなかで、人間にとって危険と言えるのは毒グモです。
ただし、人間に重大な影響を与えるほどの強さの毒を持つクモはほとんどいません。
そこで、日本で確認されている毒を持つクモの生態と特徴と、毒グモの毒とはどのようなものなのかをご紹介します。
毒グモの種類
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「毒グモ」という言葉は、人間に対して有害なクモを総称した意味を持っています。
ほとんどのクモに、虫を殺せる程度の毒は備わっているのですが、人間に影響を与えるほどのものは世界でもひとにぎりで、クモ目は約4万種が確認されていますが、そのうち毒グモとして知られている数はわずか100種ほどです。
クモは唾液を分泌することで、餌を捕食したり敵から身を守ったりしています。
唾液には、餌となる獲物を麻痺させる神経毒の成分や、消化を助けるための組織毒(壊死毒)など、多数の成分が含まれているのです。
どのクモにも咬まれるケースはありますが、大半の種のクモの牙は短いか脆いため、皮膚を貫通することはありません。
クモに咬まれて中毒症状を引き起こした場合には、これをクモ刺咬症(AraneismまたはAraneidism)と呼んでいます。
クモの持つ毒の種類
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クモに備わっているクモ毒には、大きく分けて「神経毒」と「組織毒(壊死毒)」の2つの毒が含まれていて、どちらもタンパク質が主成分となっています。
クモ毒のターゲットは、餌となる節足動物であり、人間など脊椎動物には無毒とされています。
ですが、クモの中で脊椎動物を獲物とするように進化した種類や、偶発的に脊椎動物にも影響する毒素を持った種類が現れるようになった、などで、人間にも毒性を持つものを毒グモと認知するようになったのです。
近年ではクモの毒の研究が進んでいて、毒から採取された物質が、人間の脳へ痛みの指令を出すタンパク質を阻害する作用があることを確認できています。
この研究がさらに進んでコントロールできるようになれば、慢性的に痛みに苦しんでいる人々にとって夢のような薬が開発されることとなるでしょう。
毒グモに咬まれたら
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もしも毒グモに咬まれてしまった時には、自分を咬んだクモを持って医療機関へ行かなければ、どの抗血清を投与すべきなのかが確定できないので、治療を受けることができません。
また、ゴケグモ毒の抗血清はウマ血清のため、血清を投与する際にはアナフィラキシーショックが起きないか注意が必要になります。
毒グモに咬まれると、だいたいは咬まれた瞬間はほぼ痛みを感じず、時間を置いて自覚症状が現れます。
ですので、野外作業中などに毒グモに咬まれたとして、咬まれたと気づいた時にはすでにクモは遠くへ逃げ去っている可能性が高いと言えます。
特に毒グモの少ない日本では、何か異変が起きた時に、「これはもしかしたら毒グモに咬まれたのでは」という考えにも至りにくいでしょう。
5位 カバキコマチグモ
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カバキコマチグモは、日本に昔から生息している毒グモとして有名です。
日本国内で報告されている蜘蛛刺咬症のほとんどが、カバキコマチグモによるものです。
カバキコマチグモの毒の成分は、ヒスタミン、カテコールアミン、スペルミン、セロトニンの神経毒で、毒の強さは日本にいる生物の中では最強レベルです。
日本ではまだカバキコマチグモによる死亡例はありませんが、海外では死亡例が報告されています。
カバキコマチグモは背丈の高い草むらや水田などで生息していて、ススキといったイネ科の植物の葉を巻いて巣を作って、中に卵を産みます。
孵化して生まれた子グモは、一斉に母グモの体液を吸い取ります。
母グモは子グモに食べられることで絶命する、母親食いのクモとして、カバキコマチグモはよく知られています。
4位 クロゴケグモ
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クロゴケグモは、元々はアメリカ合衆国南部のミシシッピ州以東で発見されましたが、徐々に生息範囲を広げていき、日本では2000年に山口県の米軍岩国基地で発見されました。
2018年4月の時点では、山口県の他、東京都と滋賀県で生息が確認されています。
クロゴケグモの持つ毒はα-ラトロキシンという神経毒で、ガラガラヘビの10~15倍の強さと言われていますが、こちらが危害を加えない限り咬みつくことは稀です。
毒自体の量も少ないため、健康な成人が咬まれても、死亡率は1%に満たないと言います。
クロゴケグモは、日当たりの良い場所にある物陰や隙間が大好きです。
自動販売機の下やベンチの下、排水溝のフタの裏などにいる可能性があります。
また、外に置いてあるサンダルの中に潜んでいることもあるので、サンダルを履く時には中に何もいないかを確認すると良いでしょう。
3位 ハイイロゴケグモ
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ハイイロゴケグモは、オーストラリアや中南米などに自然生息していて、コンテナなどで日本に侵入してきた毒グモです。
1995年に神奈川県横浜市で初めて発見されて、2017年2月の時点では、東京都や神奈川県、鹿児島県や沖縄県など計13都府県で確認されています。
1回の繁殖で5000個もの卵を産むハイイロゴケグモは、ゴケグモの中では多産なため、分布が広がる可能性が高いと言えます。
ハイイロゴケグモは、灰色または褐色の丸い胴体をしていることが特徴で、腹部背面には縁取りのある斑紋が点在しています。
ハイイロゴケグモの、日本での刺咬被害の報告はされていません。
また、ハイイロゴケグモの攻撃性はセアカゴケグモより弱いと言われています。
2位 アカオビゴケグモ
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アカボシゴケグモ(アカオビゴケグモ・ヤエヤマゴケグモ)はとても珍しいクモで、日本では八重山諸島のみで分布している日本在来種です。
海外では、中国、台湾、インド、ブータンなどに生息しています。
かつてはセアカゴケグモと混同されていましたが、セアカゴケグモよりも胸腹部の赤い模様が大きく、別種だと分かるのです。
アカボシゴケグモの毒による死亡例はありませんが、過去には咬まれた男性が呼吸困難に陥ったという例はあります。
アカボシゴケグモの仲間であるゴケグモ類に咬まれると、針で刺されたような痛みに襲われます。
そして、咬まれた箇所のまわりが腫れて赤くなってきます。
悪化すると、痛み、発疹、発熱、発汗などの症状が現れます。
ゴケグモに咬まれてしまったら、温水や石けん水で傷口を洗って、医療機関で治療を受けるようにしましょう。
1位 セアカゴケグモ
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セアカゴケグモは元々はオーストラリアで生息していた毒グモで、日本では1995年に大阪府高石市で見つかってから、どんどんと生息域を広げています。
2018年8月の時点では、秋田県、青森県、長野県以外の都道府県で生息が確認されており、日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。
セアカゴケグモは漢字では「背赤後家蜘蛛」と書き、「背中の赤いゴケグモ」という意味を表しています。
毒を持っているのはメスのセアカゴケグモだけで、オスは咬みつきはしますが牙が短く、人間に害が及ぶことはありません。
毒の成分はα-ラトロキシンという神経毒で、海外では死亡例があるほど強い毒です。
セアカゴケグモは基本的には臆病な性格で、自分から攻撃してくることはありません。
不用意に近づいたり、攻撃しようとしたりすると驚いて咬みついてくる可能性があるので、気を付けましょう。
公園のベンチの下や雨水溝などに潜んでいる可能性があります。
クモを駆除したい場合には
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クモは前述のとおり、こちらから何かしない限り攻撃してくることはなく、私たちにとって害虫を食べてくれる益虫でもありますが、その見た目や色使いが心理的不快感を生み、苦手な人が多くいます。
クモはゴキブリやムカデと違って、殺虫スプレーで簡単に駆除できるのですが、もしクモが嫌いで駆除したい場合には、クモが発生しないように対策する方が良いでしょう。
たとえば、クモが餌とするハエやゴキブリなど害虫が家にいると、クモも引き寄せてしまうのです。
また、クモは同じ場所に巣を作る習性があるため、家の軒下などにクモが巣を張って、それを壊しても、再び同じ場所に巣を張られてしまうというケースが多くあります。
これを防ぐためには、水に強い撥水成分を含んだエアゾールタイプの殺虫剤を壁などにスプレーしておきましょう。
ツルツルと滑るようになるため、クモが巣を張りにくくなって、巣を作るのを防止する効果があるのです。
まとめ
現在、日本で生息しているこれらの毒グモは、毒を持っているとは言っても、元々は獲物である昆虫を麻痺させる目的のものなので、毒の量も少なく健康な成人にとってあまり危険を感じるものではありません。
ですが、子どもや高齢者にとっては重篤な症状を引き起こす可能性もあるので、このような毒グモがいるということを知っておくと良いです。