海水浴に行くと、水の中で、波もあって、「陸と違ってなかなか前に進めない…」と思ったことはありませんか?
海に住んでいる生き物たちは、長年の進化によって海に適応した体で、優雅に泳いで暮らしています。
とくに狩りをする時は、追う方も逃げる方も命をかけた凄まじいスピードの泳ぎを見せます。
今回はそんな海の生き物たちの中でも、最も速く泳ぐ生き物トップ10をご紹介します。
10位 イワシクジラ
引用:https://ameblo.jp/tori9494/
イワシクジラの泳ぐ速さは時速60kmです。
イワシクジラは背びれがあるのが特徴で、体は細長くて、頭がV字状にほっそりとした体型です。
顎から胸にかけて筋状の溝が60本くらいあり、体の色は、背中が黒っぽい色で、お腹は白く、背中とお腹の境には波模様があります。
イワシクジラの名前は、イワシを好んでたくさん食べるのでこの名前が付けられました。
「スキム・フィーディング」と呼ばれるイワシのみを髭でこしとって、海水を吐き出すという食べ方をしています。
イワシの群れと一緒に回遊しているため、このクジラが見られるとイワシが獲れるようになることでも知られます。
また、鯨付群といって、カツオがイワシクジラにくっついて回遊していることもあります。
2、3頭で回遊して生活しており、主にインド洋、大西洋、太平洋と世界中の温帯の海に生息しています。
日本の近くでは、食べ物が豊富な北海道や東北の沖合いに生息しています。
これだけ広い範囲に生息地があるにも関わらず、商業捕鯨が禁止されるほど大きく減少してしまいました。
1981年に、多くの種類のクジラが世界中で絶滅しそうになっていることが明らかになり、商業捕鯨が禁止されました。
9位 ボーンフィッシュ
引用:http://www.jayflemingphotography.com/
ボーンフィッシュの泳ぎの速さは時速64kmです。
ボーンフィッシュという名前の由来は、骨が多いからで、和名ではソトイワシと呼ばれています。
体の色は銀白色、体形は細長くて、大きな口が特徴です。ニゴイに似た形ですが、実は分類学上はウナギに近い魚です。
ウナギと同じように、生まれたばかりの時は透明で薄っぺらいレプトセファルスと呼ばれる幼魚です。
世界中の暖かい海に広く生息していて、キューバ、フロリダ、キリバス諸島、ニューカレドニアなどにいます。
日本では沖縄辺りにも生息しており、数匹の群れで、サンゴ礁や砂浜の浅瀬で生活しています。
水の中の砂にいるエビやカニなどの小さな生き物を口でついばんで食べます。
8位 ヨシキリザメ
引用:https://kikenseibutsu.info/
ヨシキリザメの泳ぐ速さは時速69kmです。
流線型のスマートな体をしています。鼻づらが長く、大きな目を持っています。
鮮やかなインディゴブルーの背中と真っ白なお腹のコントラストがとても美しいことから、「世界で最も美しいサメ」とも言われています。
非常に長距離を泳ぐサメとしても知られており、世界中の海に生息していて、外洋を泳いでいることが多いです。
まれに陸地周辺の大陸棚まで来ることもあり、日本近海でも見られることがあります。
黒潮と親潮の境目の、少し南側で生まれ育った後、オスは南へ、メスは北へ分かれて生息します。
ヨシキリザメは人を襲う獰猛な性格で、時々被害が報告されており、中には死亡例もあるようです。
7位 ソウダガツオ
引用:https://armacao.exblog.jp/
ソウダガツオの泳ぐ速さは時速74kmです。
ソウダガツオの名前の由来は2つあります。
1つ目はカツオが小さくなったような魚なので、「これもカツオだそうだ」と言ったことから「ソウダガツオ」という名前になったという説。
2つ目は群れになって騒々しく泳ぐということからから、「ソウダ(騒多)ガツオ」という名前になったという説。
ソウダガツオにはヒラソウダとマルソウダの2種類がいます。
体の断面が平たいのがヒラソウダで、丸みをおびているのがマルソウダ。
どちらも大きさは大きさは30~60cmくらいです。
全世界の熱帯や温帯の海に生息していて、日本各地の沿岸で見られます。
沿岸から沖合いの表層~中層で大きな群れを作っており、イワシなどの小さな魚を食べます。
6位 カマスサワラ
引用:http://sekainoumi.blog54.fc2.com/
カマスサワラの泳ぐ速さは時速78kmです。
全長2mを超える大型の魚で、口が細長くて、体全体も細長い体をしています。
鋭い歯をしていて、触るとケガをすることもあります。
若い時は黒い縞模様がたくさんありますが、大人になると徐々に消えるようですが、興奮すると体に縞模様がたくさん出現することもあるようです。
サワラ類に近縁ではありますが、頭が長く尖っていてカマスに似ているのでこのような名前が付きました。
世界の熱帯・温帯の海に広く生息しており、日本では主に太平洋側で見られます。
沿岸から沖合いの海面近くで、小さな群れを作って生活し、小魚、甲殻類、イカなどを食べています。
プランクトンを食べる魚はエラにある鰓耙という部分でプランクトンをこしとって食べますが、カマスサワラにはありません。
これはある程度の大きさがある魚を食べる大型の魚に共通する特徴です。
5位 マグロ
引用:https://www.t-island.jp/
マグロの泳ぐ速さは時速82kmです。
マグロの体は泳ぐのに適した流線型で、第一背ビレ、胸ビレ、腹ビレを収納できるようになっています。
これは水の抵抗を少なくして速く泳ぐためです。
マグロは、世界中の魚の中でも、特に大型になる肉食魚です。
種類によっては、体長2~3メートル、体重400kg以上にもなります。
小型から中型の魚の他に、甲殻類やイカなどを捕食しており、寿命は長く、太平洋のクロマグロは10年以上、大西洋では20年以上。特に東大西洋では30年前後まで生きると見られています。
マグロは泳ぐのを止めると窒息して死んでしまうことが知られています。
これは泳ぐことで口から入った海水をエラに送ることで、酸素を取り入れて呼吸しているからで、一生泳ぎ続けなければなりません。
4位 シャチ
引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/
シャチの泳ぐ速さは時速89kmです。
シャチはオスで体長は9.8メートル、体重は10トンにも達する非常に大きな生物です。
海に生息する哺乳類の中で一番速く泳ぐ生物で、非常に強力な尾びれを持っており、その力は尾びれで叩かれたアザラシが失神してしまうほどです。
シャチには定住型・沖合型・回遊型の3タイプがいます。
定住型は沿岸部に生息し、魚とイカを食べます。
沖合型は沖合に生息し、魚を食べます。
回遊型は沿岸部と沖合を行き来し、クジラなどの哺乳類を食べます。
シャチは非常に強い生物で時にはホオジロザメも食べてしまいます。
定住型、沖合型、回遊型の3タイプでそれぞれ食べるものが大きく異なっており、さらに異なるタイプ同士では交配が1万年以上前から全く行われていません。
3タイプのシャチは、同じシャチなのにまるで全く違う種のようです。
優れた聴力を使って、数百㎞離れた場所にいる相手ともコミュニケーションを取ることができるとても頭のよい生物であることで知られています。
シャチが仲間とコミュニケーションをとる時に発生する鳴き声の種類はとても多く、仲間同士で複雑なコミュニケーションをとっていると考えられています。
その声は地域やグループによって異なっており、人間と同じように方言があるとされています。
3位 マカジキ
引用:https://kurashi-no.jp/
マカジキの泳ぐ速さは時速90kmです。
大きさはメカジキよりは小さいですが、全長3メートル、体重100キロを超える大型魚で、海外ではマーリンと呼ばれています。
カジキのロゴに使われることが多く、細長い体型をしていて、体の表面は細かい鱗で覆われています。
色はクロカジキに比べて白っぽく、背中は濃い青色になっています。
体にたくさん入っている水色の横縞模様が、他のカジキと見分ける時の特徴になります。
他のカジキと同じように口はまっすぐ伸びていて、先端が鋭く尖っています。
2位 メカジキ
引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/
メカジキの泳ぐ速さは時速120kmです。
名前の由来は目が大きいからとされますが、体つきが女性的だから「女(メ)カジキ」と名付けられたという話もあります。
カジキの仲間は獰猛だと言われますが、その中でもメカジキはとくに凶暴です。
2015年6月にはハワイで、男性がモリでメカジキを獲ろうとしたところ、メカジキに刺されて死亡した事件も起こっています。
カジキのとがった口に速い泳ぎの秘密があると考えられていますが、その発見はメカジキがきっかけとなりました。
メカジキの口の付け根に油を生成する腺が発見されました。泳ぐ時はこの腺から脂肪酸の混合液が分泌されて、毛細管と小さな孔を通って皮膚へ送り出されます。
この油分がメカジキの前面に撥水する層を作り出すことで、水の抵抗が弱まり、速い泳ぎに繋がっているのではないかと考えられています。
1位 バショウカジキ
引用:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/
バショウカジキの速さは時速125km。
バショウカジキこそが世界最速の海の生物であり、ギネスブックにも載っています。
時速125kmと言うのは、地上最速の動物であるチーターよりも速いです。
海の中は水の抵抗があるため、人間は陸上より速く移動することはできませんが、全ての生物がそうとは限らないんですね。
カジキは鋭くとがった口が特徴的ですが、最近ではあのとがった口に速い泳ぎの秘密があると考えられていて、研究が進められています。
最も早いバショウカジキの速さもこのおかげかもしれません。
また、長く伸びた口は、狩りの時に獲物を叩いて攻撃します。
とても鋭いので、サメと戦う時には突き刺して攻撃し、槍のような武器にもなります。
名前の由来は、背びれが芭蕉の葉のような形をしているので「バショウカジキ」と名づけられました。
バショウカジキは普段は灰色ですが、狩りの時は虹色に変わることが知られています。
背びれの中に虹色の皮膚があって、普段は皮膚の表面にある黒色素胞という色素細胞が、ブラインドのように虹色を隠しているのですが、興奮すると黒色素胞の色素が収縮して、下にあるきらびやかな虹色が見えるのです。
狩りでは体を使って仲間に合図を送り、仲間同士で協力して獲物を捕食することがあります。
体の色の変化は、衝突を防ぐために、仲間に「後ろに下がってろ」と伝える合図でもあると考えられています。
まとめ
今回は海の中でもとくに泳ぎの速い生き物たちをご紹介しました。
魚類がほとんどの割合を占める結果となりました。
とくに海の中で繰り広げられる大規模な狩りのシーンでは、たくさんの生き物たちがすごいスピードで泳ぎまわり、流れるような動きがとても美しいですよね。
泳ぎの最高速度が出る時はいつも狩りの時です。
凄まじいスピードは、生き物たちが必死に生きようとすることから生まれているのです。