現在、地球上には約200種のフクロウがいるとされています。
映画やアニメにも登場する機会が多く、特に近年では映画ハリーポッターシリーズの影響によりペットとして飼う方も増えました。
しかし、見た目は可愛いフクロウですが、実はワシやタカなどと同じ猛禽類で獰猛なハンターでもあります。
ここでは、日本に生息する10種ほどのフクロウも含めて、世界最大級のフクロウをご紹介します。
ウラルフクロウ
引用:https://ailovei.com
ウラルフクロウは、フクロウの仲間の中では最もスタンダードな種と言っても過言ではありません。
英名では「Ural owl(ウラルフクロウ)」と呼ばれますが、和名では「フクロウ」と呼ばれます。
ややこしいため、ウラルフクロウと表記しますが、一般的にフクロウと言えばこの種を指すと言われています。
フクロウ目フクロウ科に属する猛禽類であり、体長50~60cm前後、体重500~1300kgで、オスよりもメスの方が、体が大きい傾向があります。
日本に生息するフクロウの中では比較的大きな種であり、翼を広げると1m近くにもなるとされています。
茶褐色の羽毛を持ち、白や焦げ茶、灰色の斑点模様が入り乱れています。
夜行性であり、昼間は木の枝などで休んでいる姿が見られるとされています。
肉食性で、小型の哺乳類や鳥類を好み、歯が生えていないためエサは丸飲みにするそうです。
幼鳥時は白っぽい羽毛を持ち、とても可愛い印象を受けます。
ウラルフクロウはヨーロッパから日本にかけて、温暖な地域の針葉樹林や湿地に生息しています。
日本においては九州から北海道まで広く分布しており、時に樹洞があるような大きな樹がある神社などでも見ることができるとされています。
可愛らしく、人気のある種であるため、バードウォッチングツアーが開催されることもあります。
そのような機会があれば、ぜひその姿を観察してみてください。
メンフクロウ
引用:http://anipla.ocnk.net
メンフクロウは、フクロウ目メンフクロウ科に属するフクロウの仲間です。
南北アメリカやヨーロッパ、アフリカや東南アジア、オーストラリアなど、多くの地域に生息しています。
英名は「Barn owl」で、直訳すると「納屋フクロウ」となり、この名はメンフクロウの多くが納屋のような建物の中に巣を作ることに由来しているとされています。
和名を漢字で表記すると「面梟」となり、メンフクロウがまるでお面を被っているかのように見えることから、このような漢字が当てられたと言われています。
まるでハート形にも見える白いお面のような顔からは、表情を読み取ることができません。
そのせいか、逆に神秘的な雰囲気や厳かな雰囲気まで感じられます。
メンフクロウの体長は約40cm、体重は200~400gで、フクロウの仲間では中型に分類されます。
大きなものになると、体重700gにもなる個体も記録されています。
夜行性であり、肉食性で、主にマウスや小鳥を好むと言われています。
メンフクロウはフクロウの仲間の中でも、優れた聴覚を持っています。
目の横の部分にある羽毛の部分は「顔盤」と呼ばれ、この部分が発達しているために、獲物や敵が発するわずかな音にも反応することができると言われています。
トラフズク
引用:https://world-owls.com
トラフズクは、フクロウ目フクロウ科に属する猛禽類の1種です。
実は日本の広い範囲で目撃情報のあるフクロウの仲間なのですが、実際にどんな生き物なのかはあまり知られていないと思います。
名前に「ズク」が付くことからも推測されるようにミミズクの仲間であり、耳介のように見える羽角があるのが特徴です。
体長は40cm前後と、メンフクロウと同じくらいの大きさのフクロウです。
英名では「Long-eared owl」という名前が付けられるほど、長い羽角があるのが特徴です。
また、和名を漢字で書くと「虎班木菟」となり、まるでトラのような模様が腹部にあることに由来しています。
瞳の色はオレンジ色で、どことなく平べったい顔をしています。
日本に生息するトラフズクは、季節が変化しても大きな移動はせずに同じ場所に留まる留鳥ですが、寒い地域に生息している個体は冬になると南下することがあるとされています。
夜行性で、肉食性であり、ネズミなどの小さな哺乳類や小鳥などを好むと言われています。
トラフズクは、ユーラシア大陸やアメリカ、カナダ、日本といった国に生息しています。
日本においては、北海道をはじめとして多くの都道府県から目撃情報がありますが、主な繁殖地としては北海道と本州北部になるとされています。
京都府などでは絶滅危惧種に指定されていることもあり、この先も日本でこの姿が見られるように生息環境を守りたいものです。
シマフクロウ
引用:http://www.forest-akita.jp
シマフクロウは、フクロウ目フクロウ科シマフクロウ属の猛禽類の1種です。
天然記念物にも指定されている、日本最大のフクロウです。
アイヌ語では「コタン・コロ・カムイ」と呼ばれ、アイヌでは古くから村の守護神として崇められてきた鳥でもあります。
シマフクロウは全長71cm前後、翼開長約175cm、体重はオスが約3.1~3.6kg、メスが約3.6~4.4kgで、日本にいるフクロウの中では最大のサイズです。
全体的に灰色がかった茶褐色をしており、体には黒色の大きい班があり、灰褐色や淡褐色の複雑な模様が入っています。
胸より下の部分には、黒褐色の細い縦班があり、その縦班に交差するように細い横班が入っています。
頭部にある羽角はボサボサした細い羽根が集まっているため、三角形にみえます。
クチバシは黒く、虹彩は濃い黄色をしています。
夜行性であり、昼間は大木の枝で休んでいる姿が見られます。
魚食性であり、目視で魚を見つけて捕食しますが、暗闇では全く物を見ることができないので、魚を見つけやすい時間帯と場所を選んで行動します。
朝と夕方の薄明りの時間帯に活動的になるほか、道路や港の街頭、漁船の漁火などを積極的に利用することが知られています。
主食はドジョウなどの魚、カエルやサンショウウオなどの両生類とされています。
捕食方法はワイルドで、足から川の浅瀬に飛び込んで魚などを鷲掴みにします。
シマフクロウは、北海道及び北方領土のごく限られた地域にのみ生息しています。
現在、シマフクロウは北海道に約140羽しか生息しておらず、絶滅に最も近い種の1つとされています。
自然が豊富な知床でもシマフクロウが子育てすることができる川は20本程度しかないと言われているため、シマフクロウが生息できる環境を守っていく必要があります。
カラフトフクロウ
引用:https://www.canada.jp
カラフトフクロウは、世界最大級のフクロウの仲間です。
名前の通り、樺太を含め、北アメリカなどの寒冷地に生息しています。
英名は「Great Grey Owl」であり、直訳すると「素晴らしい灰色のフクロウ」で、その立派な見た目に由来しているとされています。
カラフトフクロウの全長は61~84cm、翼開長はメスで約142cm、オスで約140cm、体重は790~1454gです。
全長に対して体重が軽い傾向にありますが、それには2つの理由があります。
1つは、全長の測り方です。
全長は、クチバシの先端から尾羽の先端までの長さを指すため、頭や胴体が小さくても、尾が長い鳥は全長も大きくなります。
実はカラフトフクロウの尾は、フクロウの仲間の中で最も長いため、全長が水増しされているのです。
2つ目の理由は、カラフトフクロウは頭部をはじめ、全身をふわふわの毛で覆われているために、実体に比べて体が大きく見えているのです。
世界最大級の体は、大きく見えているだけであり、いわば見掛け倒しなのです。
このような体格により、捕らえる獲物も相応になっています。
カラフトフクロウは小形の哺乳類を専門に狩るハンターで、獲物のほとんどがネズミだとされています。
カラフトフクロウは、顔の周りを羽毛で厚く覆うことによって、体に不釣り合いなほど「顔盤」を大きくなっています。
カラフトフクロウの「顔盤」はあらゆる猛禽類の中でも最も大きいとされており、この大きな「顔盤」を駆使して60cmも積もった雪の下にいるネズミが出す微かな音も聞きつけて捕らえることができると言われています。
ワシミミズク
引用:https://www.ichibata.co.jp
ワシミミズクは、カラフトフクロウと並んで世界最大のフクロウの仲間として広く知られています。
カラフトフクロウとは異なり、体が大きいだけでなく、体格も太くがっしりとしています。
ワシミミズクの体は、全体が褐色の縞模様で覆われており、その模様が生息地である森林や岩場などの背景に溶け込ませてカムフラージュします。
頭部からは耳羽が突き出ているのが特徴です。
フクロウの仲間の中では世界最大級であり、全長60~75cm、体重2~4.2kg、翼を広げると1.5m以上にも達します。
ワシミミズクは視覚が優れており、昼夜を問わずネズミや野兎などの小型の哺乳類や鳥類など、様々な獲物を捕らえて食べるとされています。
体が大きく力が強いので最も強力な「夜の猛禽」と呼ばれ、日中は樹木の枝などで休んでいるが、一般に夜になると猛禽類の本領を発揮します。
キツネやノロジカなどの大きな哺乳類までも捕食してしまうことから、「夜のイヌワシ」と呼ばれることもあります。
日本には冬鳥として北海道に渡来することもあると言われています。
オランダなどでは、人間がこのワシミミズクに襲撃されて大怪我を負ったという報告が多数されており、襲撃された人たちは「音もなかった」と語っていたそうです。
ワシミミズクは絶滅危惧種に指定されており、保護が必要な鳥類の1種だと言えます。
シロフクロウ
引用:https://www.city.sapporo.jp
シロフクロウとは、1758年に自然学者のカロルス・リンネにより正式に報告された、古い歴史を持つ生き物です。
映画「ハリー・ポッター」シリーズには多くのフクロウが出演していますが、その中でも主人公の相棒であるフクロウこそが、このシロフクロウです。
オスは全身のほとんどが白色ですが、メスには頭と体全体に黒褐色の斑点があることで見分けることができます。
シロフクロウの全長は50~65cm、翼を広げると140~160cm、体重は1.6~2kg前後と、腕に乗せるとかなりの存在感があります。
日本では時折、東北地方から北海道にかけて、シロフクロウの目撃情報が報告されています。
普段は北極周辺のツンドラ地帯と呼ばれる、コケや地衣類などが覆う、あまり木の生えていない地域に生息しています。
シロフクロウは渡り鳥で、春から夏にかけての繁殖期には北極圏にまで北上し、その後は北アメリカやヨーロッパ、ロシアなどまで南下します。
シロフクロウはフクロウの仲間の中では珍しく、日中に活動します。
これは北極圏では夏場、一日中太陽が沈まない白夜の下で生活しているため、日中に活動するように進化したと考えられています。
「森の賢者」という異名を持つシロフクロウは、大変優れた頭脳の持ち主です。
完全な肉食性の猛禽類で、普段はレミングというネズミの仲間を中心に、ウサギなどのげっ歯類を獲物にしているとされています。
レミングの掘ったトンネルの上で飛び回り、音に驚いて顔を出したところを捕まえるという、高い知能を活かした狩りを行うことが知られています。
また、人間の仕掛けた罠の位置を記憶し、罠にかかった獲物をさらうこともあると言われています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
フクロウは、「不苦労」や「福郎」と漢字が当てられ、縁起がいい生き物として扱われ、お財布のモチーフなどに使われることも多々見かけると思います。
決して街中で頻繁に見かけるような生き物ではありませんが、比較的親しみのあるイメージがあるのではないでしょうか。
この記事を読んで、さらに親しみを持ってくだされば嬉しいです。
ぜひ、他のフクロウの仲間についても調べてみてください。