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世界最大の亀・オサガメってどんな生物?

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亀といえば、昔はため池や川などでよく見かけていましたが、現在は外来種のミシシッピアカミミガメが大量発生していることが問題となっているのがニュースなどで取り上げられています。

また、ミシシッピアカミミガメがミドリガメとしてペットショップやお祭りなどで販売されていることも問題視されています。

割と身近で色々なところで目にする亀ですが、最大の亀がどのようなカメなのかなんて考えたこともありませんよね?

今回は世界最大の亀「オサガメ」についてご紹介します。

 

オサガメの生態

カメ目オサガメ科オサガメ属に分類され、現在存在する種では本種のみでオサガメ科オサガメ属を構成しており、寿命は45年以上とされています。

爬虫類の遺物ともいえるオサガメは、1億年以上も前から地球上に生息しており、恐竜の絶滅機をも生き延びたとされています。

オサガメ科に分類される化石種として、日本の北海道や淡路島で白亜紀後期の地層から、メソダーモケリス、北アメリカ大陸やヨーロッパで始新世の地層から、ニオスファルギス、アフリカ大陸や北アメリカ大陸、ヨーロッパで始新世の地層から、プセフォフォルスなどが発見されています。

オサガメは熱帯から温帯にかけての広い外洋に生息していますが、水温の低い高度地域(北緯71度、南緯47度)まで回遊することもあります。

引用:https://www.vario-media.net/

 

オサガメの遊泳と潜水

遊泳速度は最高時速24㎞とウミガメの中では最速で、活発な行動ゆえ、荒い性質をしています。

オサガメの体は表面が滑らかで紡錘形の体型をしているため、水の抵抗が少なくなっています。

その独特な体のおかげで、少ないエネルギーで効率的に泳ぐことができるのです。

ギネスブックの記録では1時間に35㎞以上も水中を移動したと記されています。

潜水能力は高く、水深1000m以上まで潜水すると考えられており、最長潜水71分、最大水深1250mというデータもあります。

時間でいうと、最高で30分以上も潜水することができるそうです。

オサガメが深海まで潜水するのは水温躍層に生息するクラゲを捕食するためだと言われています。

骨格が薄く、弾力があるのは水圧を分散し、脳や内臓にダメージを避けるための適応適応だろうと考えられています。

引用:http://nestonline.org/

 

オサガメの食性

主にクラゲを捕食していますが、甲殻類や棘皮動物、軟体動物、魚類、藻類なども捕食します。

ちなみにシャチの胃の内容物からオサガメが発見されたこともあります。

クラゲは100gあたり22kcalと栄養価は低く、体重数百㎏の大型の個体となると1日の摂取量は約100 kg近くなる計算になります。

潜水は朝方に深く、夕刻には浅くなる傾向があり、これは主食であるクラゲの生態と関係があると言われています。

ただし、暗い深海でのクラゲの捕獲方法はまだ判明していないそうです。

引用:https://commons.wikimedia.org/

 

オサガメの大きさと特徴

背面や体側面の体色は白色斑の割合が大きく、ほぼ白色で、甲長120㎝から189㎝、最大体重916kgにもなる、世界一大きなカメです。

大きな鱗版で覆われた強固な甲羅は発達しなかったため持っておらず、皮膚で覆われている独特の形態をしているので、簡単に他の種と区別することができます。

その見た目の特徴は、英名であるleatherback「革の背中」の由来になっています。

背面には5本、体側面に1本ずつ腹面に5本の筋状の盛り上がりがあり、それをキールと言います。

上顎の先端は鉤常に尖っており、クラゲを捕獲するのに適していると考えられ、咬合面は薄く刃物状で、クラゲを切断するのに適していると考えられています。

二次口蓋は発達せず、前脚に爪はなく、幅広い鱗状になっています。

その前脚の鱗は特に大きく、差し渡し2.7mにも達します。

骨格は軽量化されており、骨性の甲羅が発達しないほか、頭骨は緩く重なり合うだけで縫合しておらず、四肢を構成する骨も中空の物が多いです。

身体が大きく、体積に対する身体の表面積の比率が小さいため、体温の保持には有利になり、骨の内部にある大量の油も体温の保持に関係していると言われています。

オサガメの口から食道の約2mにかけて100本以上の鋭くギザギザの歯が隙間なくびっしりと生えています。

この歯を使って主食としているクラゲなどを早く捕食して消化することができる他、獲物を捕食し、大量の海水を吐き出す際に口から獲物が出てしまわないようにするためだと考えられています。

引用:https://dailynewsagency.com/

 

オサガメの産卵

繁殖地は、インドネシア、スリナム、スリラム、パプアニューギニアなどの熱帯海域が中心ですが、他の種と比べると回遊性が大きいため、最も高緯度にまで出現する種です。

仏領ギアナで繁殖地だった砂浜が侵食されると、仏領ギアナ内の別の砂浜や新しく砂浜が形成されたスリナムで産卵数が増加した例もあります。

フロリダ半島は比較的新しい繁殖地で、以前はほとんど産卵が確認されていなかったが、産卵数が増加しており、日本では2002年に奄美大島で産卵例があります。

ウミガメの中でも雌のオサガメは最も長い距離を移動することが知られており、餌場と営巣地の砂浜の間を4800㎞も移動することがあります。

産卵期に熱帯地方の砂浜に戻る時を除けば、オサガメは沿岸部方遠く離れた場所で生涯の大部分を過ごしていることになります。

海で交尾を終えた後、雌は熱帯地方の温かい砂浜へと戻り、巣を作って産卵します。

3月から7月ごろに熱帯の海岸で、直径5㎝から6㎝の球状の卵を約75個から100個産みます。

卵は55日から70日で孵化し、生後13年から14年、早ければ3年から4年で成熟します。

性染色体を持っておらず、発生時の温度によって雄雌が決定し、そのことを温度依存性決定と言います。

最後の方に産み付けられて浅い位置に埋まっている卵は砂への日射で暖められるので雌になり、深く埋まっている卵は雄になるということも考えられますが、降雨や波などといった巣の温度に影響を与える要素が他にもあるため、常にその通りになるとは限らないそうです。

雄雌がほぼ同等に産まれる温度はスリナムや仏領ギアナで29.5℃、コスタリカで29.4℃の報告例があります。

孵化直後の幼体は甲長5㎝から6㎝ですが、生後1年で甲長60㎝に達すると考えられています。

生後4年で背甲の正中線上の湾曲に沿った長さ100㎝に達し、以後も1年に約8.6㎝も成長します。

孵化直後の幼体は背甲や四肢が小型鱗で覆われていますが、成長とともに消失します。

孵化した幼体は海への方角を特定するために、月光の反射を位置情報として参照しています。

海の近くのビルや構造物から発せられる光やスポットライトは、孵化したばかりの幼体だけでなく、大人のカメも惑わせて方向を誤認させ、光源の方向に海があると思い込ませる可能性があるとされており深刻な問題となっています。

実際に孵化したばかりの幼体が沿岸沿いの光に引きつけられて命を落とすことも多いそうです。

産卵を行う雌の個体数は世界全体で年間2万6000匹から4万3000匹と推定されていますが、その数は急激に減少しています。

また、オサガメは全体でみると、成体になるまで生き残るのは1000匹に1匹の割合だとされています。

最新の研究によって、産卵を終えたオサガメの主な行き先のひとつが、なんと5㎞も離れたカナダ沖の冷たい海だということが明らかになりました。

オサガメの背中に最新のカメラを装着し、なぜ変温動物であるカメが苦手な冷たい海に向かうのか、その謎を解明した結果、傘の直径が1mにもなる世界最大級のクラゲを大量に捕食していたことが判明しました。

つまり、カナダで大量発生する巨大クラゲを狙って冷たい海に向かっていたということです。

引用:http://dive-dream-indonesia.com/

 

オサガメの個体数の減少

オサガメの肉はクラゲ由来の毒を含んでいるため、食用には適していませんが、卵は食用とされることがあります。

インドネシアではオサガメの体内にある油がランプに用いられています。

日本では江戸時代に平戸周辺の捕鯨業者に灯油用に捕獲されることもあったそうです。

一方、アカウミガメを捕獲し、食用とすることがあったしこくや紀伊半島でもオサガメは捕獲されることはありませんでした。

現在までに漁業による混獲や食用の乱獲などにより生息数は激減しています。

2000年には40カ国の操業データと13のオブサーバー監視のプログラムから約50000頭が混獲されたと推定されており、特にマグロ用の延縄漁による混獲が多いそうです。

太平洋での主要繁殖地であったマレーシアのトレンガヌ州では1956年における産卵巣は10155個、1978年に3500個、1984年に788個と激減しています。

個体数の激減は、主に1980年代の漁業の混獲などが原因で、データによるとトレンガヌ沖での刺し漁による混乱個体数は1984年に77頭、1985年に33頭、トロール網漁による混獲個体は1984年に402頭、1985年に284頭と推定されています。

他には、卵の乱獲や観光客による産卵地の環境悪化、1960年代から保護目的で行政により卵を採取して飼育下で孵化させようとした試みが行われましたが、卵を移動したことによる孵化率の低下や孵化温度が高温だったことで性差が雌に偏ったことなどが原因として考えられています。

コスタリカのラスバウラス海洋国立公園では、20年にわたって1年あたり約90%の卵が組織的に盗掘され続けたことにより産卵数が激減しました。

直接の因果関係は不明ですが、プラスチック製の袋やシートをクラゲと誤って食べてしまうことも多く、消化器官の障害や、接触不良が懸念されています。

2009年にカナダ・トロント大学などの研究グループがオサガメの研究で、死亡したオサガメの胃の中からプラスチック製品が見つかる割合を1885年から2007年の個体数408頭の解剖結果から発表されました。

初めて見つかった1968年以降、1998年には個体数全体の40%、1968年から2007年までの平均も37%と高い割合で推移しています。

クラゲと誤ってビニール袋や風船タバコやお菓子の包装、釣り糸などを捕食している個体を多数確認しており、その中にはビニール袋を消化管につまらせて直接の死因だと考えられる個体も11例確認されています。

日本ではクラゲと間違えやすいビニール袋類の誤飲が直接の死因なのか明確な因果関係が示されていないが、欧米ではビニール袋や風船のような漂流・漂着ごみもオサガメの生命を脅かすものともなされています。

引用:http://noticias.masverdedigital.com/

 

オサガメの飼育

常に四肢を動かして遊泳し、閉鎖環境で自己定位することができないことから、壁面に頭部が激突してしまい、飼育は難しいとされています。

特に水族館での飼育は特に難しいとされており、クラゲを主食とすることや、常に遊泳する習性があるためだそうです。

また、骨格が軽量化されているために損傷しやすく、透明な水槽を認識できずに衝突した際、大きなダメージを受けやすいためでもあります。

様々な対策を施した結果、マレーシアや国内では名古屋港水族館で8年間飼育することに成功しています。

また、場所によっては人工繁殖などの試みもなされているそうです。

京都府京丹後市網野町の琴引浜鳴き砂文化館には2013年に同町の海岸に打ち上げられたオサガメの剥製が展示されています。

引用:http://www.nakisuna.jp/

 

オサガメの研究

独立行政法人国立科学博物館が発表した研究で、北海道から沖縄までの日本各地で脂肪や乱獲により収集されたオサガメ16個体のミトコンドリアDNAを分析した資料があり、15個体はニューギニア島からソロモン諸島にかけての西太平洋の産卵地に特有のハプロタイプ(DNA配列タイプ)を持っており、1個体はマレー半島の産卵地に比較的高頻度で見られるハプロタイプを持っていたことがわかりました。

この結果から、日本周辺で見られるオサガメの多くは、ニューギニア島やソロモン諸島周辺の地域で生まれ、日本周辺に回遊してくることが明らかになり、また一部の個体はマレー半島の産卵地からも回遊してくるものと考えられています。

東太平洋の中米沿岸の産卵地やインド洋に面するスマトラ島、大西洋の産卵地で見られるハプロタイプは検出されず、本種の高い遊泳能力があるのもかかわらず、東太平洋やインド洋、大西洋からの個体の回遊はほとんどないことが示唆されました。

引用:https://aquarium-mistral.blog.so-net.ne.jp/

 

太古昔の巨大カメ・アーケロン

太古昔にはオサガメよりもさらに大きな種が存在していました。

アーケロンという名のカメで、プロトステガ科という古代のウミガメ類の一種です。

約7500万年前の中生代白亜紀後期カンパニア期に現在の北アメリカ大陸に存在していた内海(サウスダコタ州・コロソラ州の辺り)の地域のみに生息が確認されており、オサガメに見られるような回遊の習性はなかったようです。

アーケロンの全長は約4m、全幅約5m、体重は約2tもあったとされており、オサガメよりも大きいことになります。

オサガメとの共通点は、甲羅を持たず背面は皮膚で覆われていたことで、その甲に手足を引き込むことができなかったため、捕食者に襲われやすく、脚鰭が一つ欠けている化石も珍しくないそうです。

そのアーケロンの天敵はティラノザウルスなどの大型のモササウルス類だったと考えられており、他にも古代の海にはサメ類も多く生息していたため、脅威が数多い過酷な環境で生きていたことがわかります。

食性はオサガメと同じくクラゲを捕食しており、そのほかには海藻や海綿、イカなどを捕食していました。

口先には鋭く頑固な嘴状の器官があり、現代の猛禽類のように鋭い鉤形をしていたため、中にはアンモナイトを主食にしていたという説もあるそうです。

口蓋も頑強な作りになっていたことや、咬筋も発達していたことから、嘴で硬い獲物を噛み潰して仕留め、捕食していたと考えられています。

また、前肢にあたる前鰭は前後に動きやすい構造でしたが、上下方向にはあまり動かなかったようで、そのために深く潜ることには適しておらず、海面付近で遊泳していたと考えられています。

その前鰭は非常に巨大であったため、後ろ鰭と合わせて動かすことによって壮大な促進力を生み出せたと考えられ、この鰭が唯一の天敵との対抗手段だったと推測されています。

恐竜たちの争いにも引けを取らないほど海は過酷な環境であり、アーケロンは恐竜時代が終わることになった巨大隕石の衝突により、地球から絶滅したと考えられています。

アーケロンの彫刻模型は和歌山県串本町の串本海中公園センター水族館で見ることができます。

この彫刻模型は実物大の復元模型で、田辺市龍神村の城所ケイジさんが製作したもので、全長3.7m、全幅4.6mにもなる巨大模型です。

チェーンソーによって細部まで復元されおり、訪れた人たちがその大きさと精巧さに驚くほどだそうです。

引用:https://ja.wikipedia.org/

 

まとめ

オサガメが1億年以上前の恐竜絶滅期をも生き延びたことには驚きですよね。

私は一度、混獲されたオサガメを目にした経験がありますが、まさに恐竜のような顔立ちと甲羅を持たない姿、そしてその大きさに圧倒されたことを思い出します。

世界一の大きなカメ「オサガメ」が漁業の混獲や私たちが誤って捨ててしまったビニール袋などのゴミが原因で数が減少しているということはとても悲しく、そして寂しいことです。

オサガメがこれ以上減少してしまわないように私たちができることは、ポイ捨てをしないことが一番取り組みやすいことだと思うので、この記事を読んだ皆さんは今日からこのことを意識して生活して見てください。



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