現在、地球上に4000種以上が存在していると考えられている哺乳類。
恐竜が大繁栄していた中生代の頃には、ネズミのように小さな姿のものがほとんどだった哺乳類ですが、恐竜の脅威に怯えながらも夜の世界を中心に生活する中で、視覚や聴覚を優れたものへ進化させ、更には横隔膜を使った効率的な呼吸法も手に入れました。
有袋類から分かれて有胎盤類が登場したのも、恐竜が全盛期を迎えていた頃です。
恐竜が繁栄を続ける陰で少しずつ進化を遂げていった哺乳類は、その後、地上を支配していた恐竜が絶滅すると、一気に生息地を広げて様々な姿に進化を遂げていきました。
現在は、祖先と同じくネズミなどの小さなもの以外にも、巨大に進化した哺乳類が地球上に数多く存在しています。
今回はそんな巨大化した哺乳類の中から、いくつかをランキング形式でご紹介致します。
第12位 フィリピンオオコウモリ
引用:https://www.batworlds.com/giant-golden-crowned-flying-fox/
第12位は、最大の飛翔性哺乳類であるコウモリです。
コウモリと言えば、どちらかというと小さめなイメージで、大きくても20~30センチメートルくらいの大きさのものを想像すると思いますが、びっくりするような巨大なコウモリが地球上には存在しています。
コウモリは現在、地球上に980種ほどが確認されており、哺乳類の中では全体の4分の1近くの割合を占めていて、ネズミの仲間・げっ歯類に次いで大きなグループを構成していると言われています。
生息域も世界中に広がっており、南極大陸をのぞけば、すべての大陸に生息しているそうです。
日頃あまり目にしないせいか、そんなにたくさんの種がいるとは驚きですね。
化石などが発見されていないため詳細は分かっていませんが、恐竜絶滅後に樹上で生活していた哺乳類の一部が、現生種のモモンガなどのように前足にある皮膜を発達させ、更には羽ばたくまでに進化させたと考えられています。
モモンガやムササビは滑空することで木々の間を飛び回れますが、鳥と同じく、羽ばたく能力を持つのはコウモリ目だけとされています。
そしてそんなコウモリの中でも最大種と言われているのが、フィリピンオオコウモリです。
東南アジアなどの熱帯に生息し、花の蜜や果実などを、植物性のものを主食として好んで食べています。
フィリピンオオコウモリは翼を広げると2メートル近くになる個体も確認されていて、その巨大さと不気味な姿から「リアル吸血鬼」だと言われていたりもするのですが、果物を食べていると考えるとなんだかかわいらしいですね。
そしてコウモリと言えば、「超音波」を使うというイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。
確かに小型のコウモリは反響定位(エコロケーション)を行い、周囲の状況や獲物の位置を感知したり、優れた聴覚を用いて生活していますが、オオコウモリは主に視覚を頼りに行動しています。
そのため小型のコウモリとは逆に、目がくっきりと大きく、顔だけ見ているとキツネによく似ています。
英名で空飛ぶキツネ「flying fox」と呼ばれているのもそのためです。
よくよく見るとかわいい顔をしていたりするのですが、もしも家の軒下にこんな大きなコウモリがいたら、間違いなく悲鳴をあげますよね。
第11位 ゴリラ
第11位は、私たち人間と同じ霊長目の中で、最も大きい動物であるゴリラです。
「ゴリラ」という名前は、ギリシャ語の「毛深い部族」という「gorillai」に由来していると言われています。
アフリカ大陸の森の中で群れを作って生活し、体長はオスがおよそ180センチメートル、メスは少し小柄で160センチメートルほど。
体重はオスが150~200キログラム、メスが80~100キログラムと考えられていますが、オスの巨大な個体では体重が200キログラム以上になるものもいるとされています。
2本足で立つこともありますが、移動の際は前足を握り込んで地面につき、「ナックルウォーキング」という四足歩行を行います。
ゴリラは生後10数年で成熟し、その後オスの背中の体毛は白く変化するため、「シルバーバック」と呼ばれています。
生息地にもよりますが、20~30頭の群れを作って生活していると考えられていて、リーダーとなるオス1頭に複数のメス、その子供たちが含まれています。
オスの子供は基本的に、成熟すると群れを離脱し、新たな群れを作るようです。
雑食でアリなどの昆虫も食べますが、主に果実や植物の葉や芽・樹皮などを好んで食べていると言われています。
またマウンテンゴリラなどは自分の糞も食べることが知られており、それによって未消化の食べ物を再度吸収したり、糞と共に排出した腸内細菌を摂取していると考えられています。
動物図鑑や動物園などでもおなじみのゴリラですが、最近では環境破壊により生息域が縮小されたことに加え、密猟者などに殺されたり、別の動物用にしかけた罠にかかってしまったりするなどして、数が激減し、種類によっては絶滅危惧種に指定されています。
ゴリラにとって、最大の天敵は私たち人間だと言えるかも知れません。
また、同じ生息地に暮らしているヒョウに獲物として捕食されることも度々確認されているようです。
第10位 ホッキョクグマ
クマと言えば、体が大きくて強そうというイメージを持つ人が多いと思いますが、そんなクマの中で最大とされているホッキョクグマが第10位です。
ユーラシア大陸北部や北アメリカ北部など、流氷の多い北極圏に生息していて、体長はオスが2.5~3メートル、メスは2メートル前後。
体重はオスで350~400キログラム、メスが200~300キログラム程と言われていますが、個体によっては700キログラムを超えるものもいるとされています。
黒っぽい毛色が多い他のクマとは違って、雪と氷の色に溶け込める真っ白な体毛を持っていて、体つきも他種と異なり、頭部が小さめで耳は小さく、肩幅は狭めで長い首をしています。
また、他のクマと違って冬眠はしませんが、妊娠中のメスは雪に穴を掘って、その穴の中で出産することが確認されています。
極寒の地に対応出来るよう、体は皮下脂肪が多く、全身を短めの下毛と長めの上毛の2種類の体毛で覆っています、
体毛は深く密生していて、水分をはじけるよう脂気があり、足の裏にまで毛が生えています。
毛の構造も特殊で内部が空洞になっていて、光を透過させる特徴があり、それによって皮膚にまで熱を届け、更にはその空洞内に熱をためて、保温効果を高めることで極寒の地での生活に対応していると言われています。
雑食で、植物や海藻なども食べますが、基本的には肉食性で、アザラシや魚、他にもセイウチの子供を狙って、捕食することが多いと言われています。
聴覚や嗅覚が発達していて、1キロメートル以上離れたところにいる獲物や、海岸に打ち上げられたクジラの死骸を見つけて食べることもあります。
泳ぎも上手く、長距離を泳ぎ続けることや、潜水も2分程度は可能と考えられていて、水中で獲物を捕らえることも出来るそうです。
肉や毛皮を取る目的で、人間から狩猟対象となっている以外に特に外敵はいませんが、泳いで移動している際、稀にシャチなどに襲われることがあったり、小さな子供はオスの成獣に襲われて命を落とすこともあるそうです。
人間による乱獲以外にも、近年、温暖化により生息圏と獲物が極端に減少したため、個体数が激減し、絶滅危惧種に指定されるほどになっています。
保護活動なども行われていますが、飼育下での繁殖などが難しく、なかなか成果が得られないのが現状のようです。
第9位 トラ
引用:https://en.wikipedia.org/wiki/Siberian_tiger
第9位は、ネコ科の中で最大の動物であるトラです。
中でも一番大きなアムールトラは、オスが体長3.5メートル、体重は300キロにもなると言われています。
しかし野生化では、獲物の不足などでアムールトラが痩せていることもあり、最大種と言われているアムールトラの平均を上回る大型の個体が、ネパールやインドに生息している別種のベンガルトラの中に存在していることも確認されています。
アムールトラは、シベリアやモンゴル、朝鮮半島など、中央アジアや西アジアにも広く分布していましたが、近年の環境破壊などによりどんどん生息域が縮小され、現在はロシアの沿岸地方、またはハバロフスク地方のアムール川とウスリー川周辺のタイガのみしか生息していないと言われています。
寒冷地に生息しているため、他のトラと比べて長くてしっかりした体毛に覆われており、特に冬場は、夏毛の3倍以上の長さになるそうです。
肉食で、イノシシやヘラジカといった大型動物の他に、鳥や魚、更には同じ肉食動物であるヒグマをも捕食出来るほどの運動能力と高い攻撃力を持っています。
群れを持たずに行動するため、1頭あたり1000平方キロメートルの縄張りが必要とされていますが、タイガの面積が減少していることに加え、密猟も多いため、アムールトラにとっては、ますます生息しにくい環境となっているようです。
近年、個体数が500頭ほどにまで激減し、絶滅寸前まで追い込まれてしまったため、動物保護団体などが保護のため生息場所を改善するなどの措置を取り、現在では少しずつ個体数が回復しているそうですが、その反面、同じ地域に生息しているアムールヒョウにとってトラの存在が脅威となっており、対策が求められています。
第8位 ヘラジカ
第8位は、その巨大な角だけでなく、体の大きさもシカの中で最大と言われているヘラジカです。
ヘラの様な形の大きな角を持つことからその名前がついたヘラジカですが、その体長は大きなオスで、3メートル以上、体重も800キログラムを超え、肩までの高さも2メートル以上あります。
カナダや中国北東部、北欧など、北半球の寒冷地にある森林地帯に生息しており、天敵としてはヒグマやトラ、オオカミなどの肉食獣がいますが、ヘラジカの成獣は大型なため、比較的小柄なメスや子供、高齢の個体が獲物として狙われることが多いそうです。
和名はその角の特徴から「ヘラジカ」と言われていますが、カナダでは原住民の言葉で「枝を食べるもの」という意味の「ムース」と呼ばれ、ヨーロッパでは「エルク」と呼ばれています。
北アメリカにも「エルク」と呼ばれるシカが存在しますが、「アメリカアカシカ」という、ヘラジカとは別種のシカのことだそうです。
その名の通り、木の枝が大好物で、自身の体の大きさを生かして、他の動物が届かない高さの枝も食料にしています。
夏場には水辺に生える水草を食べると言われているのですが、ヘラジカは大食漢で1日に50キログラムも食べているとされています。
巨大な角はオスのみに生えてくるもので、毎年冬に落ちて生え変わります。
春になると新しい角が生えてくるのですが、成長途中の角は硬くなく皮で覆われていて、「袋角」と呼ばれています。
袋角の中には細かい血管がたくさん張り巡らされており、その血管からたくさんの栄養が角に行きわたることで、角はどんどん成長していきます。
成長するにつれて角は徐々に硬くなり、血の流れが止まって皮がむけ、最後に大きくて立派な角が現れます。
繁殖期、普通はオスが大きな声で鳴き、メスを呼び寄せますが、ヘラジカはメスが鳴いて、その声にオスが応えるという繁殖行動が行われており、その際にはオスのこの巨大な角がパラボラアンテナのように音を増幅し、耳に伝えられていることが確認されています。
第7位 ウマ
引用:http://passionforhorses.ca/beautiful-percheron-mare-for-sale/
第7位は、古くから家畜として、私たちの一番身近にいる大型動物のウマです。
野生種は全て絶滅したと考えられていて、現在野生で生活している種も、かつて家畜だったものが逃げ出して繁殖し、野生化していったのだと言われています。
ウマは草食で、性質もおとなしく、社会性が強い動物で、野生・家畜を問わず群れをなして生活する傾向があります。
四肢が長く、発達した蹄を持ち、走ることが得意とされています。
また馬にとって、蹄は第2の心臓であると言われていて、体が大きく、心臓だけでは体全体に血液を循環させることが難しいため、蹄を使って歩行を行うことでポンプのような役割を果たし、全身に血液を送っています。
そのため飼育されている馬でも、適度に歩き回ることが健康を保つためには欠かせないとされています。
しかし家畜のウマの蹄はあまり頑丈ではなく、重い荷物などを運ぶと摩耗して、炎症などの原因になるので、それを防いで蹄を守るためにU字型の蹄鉄と呼ばれる保護具が考案され、蹄に装着するようになりました。
ウマは人の移動や荷物などの運搬手段、競走馬、農耕の手助け、昔は戦争の際の機動力、更に日本ではその肉が食用にも用いられるなど、色々なところで重要な役割を担ってきました。
その種類は様々で、世界には知られているだけでも、現在250種以上が存在していると言われており、毛色も多様で、日本では14種類に色分けされています。
大きさも、中型犬くらいのサイズのミニチュアホースという極小のウマもいれば、体重が1トンを超える大型のウマも数種類が確認されています。
そんな大型のウマは重種馬と呼ばれていて、農耕時に重いものを運んだり、中世のヨーロッパでは、重い甲冑を着た騎士の乗馬として、または大砲をけん引する際などに活躍しました。
軽種馬であるサラブレットと比べて足は短くて太く、体つきもがっしりしていて、体高は180センチメートル以上、大きい種は2メートルを超えることが確認されています。
第6位 カバ
第6位は、水辺に生きる大型動物として有名なカバです。
アフリカ大陸の南側にある水辺を中心に生息しており、短く太い四肢に丸みを帯びた体つきは、ブタやイノシシに近いイメージがありますが、ブタよりもウシの仲間に近く、更にはクジラやイルカと遺伝的に近縁であることが分かっています。
カバの体長はおよそ4メートルで、体重はオスが約2~3トン、メスが約1.5~2トンと言われていて、オスの大きい個体になると、4トンに達するものいるとされています。
比重が水よりも大きいことから、水底を歩くように移動することが出来、潜水も得意で1分~5分ほど潜り続けることが可能なので、水中での生活に適しています。
眼と耳、鼻が一直線上に並んでいることから、水中からほとんど顔を出すことなく、水面上の周囲の様子をうかがうことが可能です。
陸上に上がった時には時速30キロメートル以上のスピードで走ることが出来ますが、体が重いせいか、長時間は走れないと言われています。
皮膚が薄く、乾燥すると避けてしまうため、太陽の熱にさらされる昼間は水中で生活して、夜間は陸上にあがり、草や木の葉を食べるという、半水生の生活をしています。
基本的にカバは草食動物ですが、死んだ動物の肉を食べている事例も、今までにいくつか報告されています。
陸上では水辺から約3キロメートル以内が行動範囲とされていますが、中には10キロメートルも離れた場所まで移動して、食事をすることもあるそうです。
食事量はゾウなどに比べると少ないとされており、その理由として、昼間に温度変化の影響を受けにくい水中であまり動かず生活し、消費するエネルギーを抑えているためだと考えられています。
通常、メスは子供を含めた10~20頭の群れを作り、オスは単独で行動しますが、力のあるオスはメスの群れを含む縄張りを持っていて、その縄張りを他のオスから守りながら生活しています。
口を大きく開けて争うことが有名なカバですが、他にも足で蹴り上げたり、糞をまき散らすなどして、自らの縄張りを守っています。
カバの汗はピンク色という説がありますが、皮膚の構造上カバが汗をかくことはなく、汗と言われているピンク色の粘液は皮膚を保護するためのもので、細菌の増殖を防ぎ、紫外線を通しにくくするという役目を持っています。
見た目とそののんびりした動きから温厚な動物と思われがちですが、実際には気性が荒く、縄張りに入って来たものには容赦なく攻撃します。
肉食動物のライオンやワニでさえ、カバの攻撃を受けて、命を落とす場合があると言います。
アフリカに住む原住民の人たちも遭遇していちばん怖いのは、ライオンではなくカバだと話すほどですから、その攻撃力と凶暴性がどれほどのものか想像出来ますね。
第5位 シロサイ
引用:http://bioinformatica.upf.edu/20142015/
第5位は、現生している5種類のサイの中で最も大きいシロサイです。
南アフリカに生息していて、オスのほうが体は大きく、体長は3.5~4.2メートルで体重は2~3.6トン。
大きな個体だと体長が5メートル、体重は4.5トンになるものもいると言われています。
サイの中では最大種とされていますが、個体によってはインドやネパールに生息するインドサイのほうが大きいものも存在します。
サイのいちばんの特徴と言えば頭にある巨大な角ですが、シロサイは前後に並んで2つの角を持っています。
前側の角の方が後ろの角より大きく、最長で160センチメートルにもなると言われています。
眼はあまりよくありませんが、その分嗅覚と聴覚が発達しており、特に耳は柔軟で角度を自由に変えて音を拾うことが出来ます。
植物食で主に地面に生えている背の低い草を主食としているため、口は平たく幅広い形状をしています。
この口の広さを表した「wide」を「white」と聞き間違えたことから、「White rhinoceros(シロサイ)」という名前が定着したと言われていて、白っぽい体の色が由来しているわけではないとされています。
オス同士の争いでは角を突き合わせて戦うなど攻撃的な一面もありますが、基本的に大人しい性格で、向かって来るよりも逃げてしまうことのほうが多いと言われています。
大きな体を持ち、動きも鈍く思えるシロサイですが、短距離であれば時速50キロメートルものスピードで走れるといいます。
草原や湿地などに、数頭から、場合によっては20頭前後の群れを作って暮らしていて、オスは定位置に糞や尿でマーキングをすることで、自らの縄張りを主張し、その中でほとんど一生暮らしますが、縄張りは変動的であるため、場所や大きさは変化したり、時には他のオスと重なりあうこともあるそうです。
体が大きく力も強いので、人間以外に天敵はいないとされていますが、稀に子どもは肉食獣に襲われ命を落とすこともあります。
第4位 ミナミゾウアザラシ
引用:https://fineartamerica.com/featured/
第4位は、アザラシの仲間の中で最大種のミナミゾウアザラシです。
体長は6~7メートルほどで、体重は大きな個体では4トンにも達すると言われています。
メスはオスに比べてかなり小柄で、名前の由来ともなっているゾウの様な形状の鼻も持っていません。
ちなみに鼻の大きさだけみれば、同じゾウアザラシ属のキタゾウアザラシのほうが大きな鼻を持っています。
南半球の南極に近い場所に生息し、繁殖期は陸地で、それ以外は海洋で過ごしています。
潜水が得意で、深さ1700メートル付近の深海まで潜り、イカや大型の魚、小型のサメなどを捕らえて食料にしています。
海にいる間はほとんどを海中で過ごし、2時間近くも息継ぎをせずに潜り続けることが出来ると言われていて、その理由としては、血液中や筋肉などに蓄えることの出来る酸素の量が、陸上型の哺乳類に比べて多いためと考えられています。
繁殖期は南極に近い島で過ごし、力のあるオスは縄張りを持って、その中に40頭ほどのメスがいる巨大なハーレムを作るそうです。
中には100頭を超えるハーレムを持つオスもいる反面、ハーレムを持たないオスもいて、そんなオスは、ハーレムの主の眼を盗んで縄張りに入り込み、メスを得ようとします。
自分の子孫を残すため、この時期オス同士は争いが絶えず、大怪我をする場合も少なくないようです。
また、オスがあまりにも巨体なため、せっかく産まれた子供のミナミゾウアザラシが、オス同士の争いに巻き込まれたり、大きな体の下敷きになったりして、命を落とすこともよくあるそうです。
天敵としてシャチやホホジロザメなどがいますが、成獣、特にオスはその巨体のためあまり狙われることはなく、主に子供や若い個体、メスが襲われて捕食されると言われています。
また最大の天敵は人間で、昔は油を目的に多くのミナミゾウアザラシが捕獲され、一時は絶滅寸前にまで追い込まれました。
現在は保護活動により、その数は回復傾向にあると言います。
第3位 キリン
陸上で最も背の高い生き物と言えば、みなさん真っ先に思い浮かぶのはキリンだと思いますが、そのキリンが第3位です。
頭にある角を含んだ高さはオスが平均4.5~6メートル、メスが平均4~4.5メートル。
体重はオスが800~1500キログラム、メスが600~1200キログラムほどで、大きな個体では2000キログラムに近くなるものもいるそうです。
アフリカ大陸の草原や森林地帯、サバンナに生息し、その仲間は長い間、1種類のみと考えられてきましたが、近年、体形や体の模様などの違いを比較したことも含め、DNAを用いた遺伝子解析などを行った結果、数種類に分類されていることが明らかになりました。
研究者によって意見が分かれていたり、体の模様は個体差・季節による変化も見受けられるということで、100%確率されたわけではないようですが、概ね9種類に分類されていると言われています。
環境破壊などによる生息域の減少に加え、肉や皮を目的とした密猟も後を絶たず、種によっては絶滅が懸念されるほど、数が減っているものもあるそうです。
嗅覚や聴力に加え、視覚も優れているキリンですが、単体で行動することは少なく、通常は数十頭の群れを作って生活していて、また、ヌーやシマウマなど、他の草食動物の群れの近くにいることも多く、それによって種は違ってもお互いに肉食動物の存在から身を守っていると考えられています。
大きな体や高い位置にある脳に血液を送るため、キリンの心臓は大きく、心拍数が人間の倍以上で、血圧も動物の中で最も高いとされています。
1日に50キログラム前後の植物を採食すると言われていて、他の草食動物では届かない高い場所にある木の葉や果実、小枝などを40センチ以上もある長い舌を使い、巻き取って食べています。
基本的には臆病で大人しい性質のキリンですが、子供が肉食獣に襲われた時などは母親が後ろ足で巨力な蹴りをくわえて撃退し、時にはライオンをも殺してしまうことがあると言います。
またメスをめぐってオス同士が争うこともあり、その際には首を激しく叩きつけあうなどして、まれに脳震盪を起こすこともあるそうです。
一見穏やかそうに見えるキリンですが、他の草食動物と同じで、気性の荒い一面もあるのですね。
第2位 アフリカゾウ
第2位は、現在の陸上で最大の動物、アフリカゾウです。
アフリカのサハラ砂漠よりも南側にある、森林地帯やサバンナ、湿地帯などに生息していて、体長は6~7.5メートルで、肩までの高さは3~4メートルほどもあります。
体重は平均6~8トンですが、大きい個体だと10トンを超えるものもいるそうです。
耳の大きさもゾウの種類の中ではいちばん大きく、主に体温調節の役割を果たしていると考えられています。
ゾウのいちばんの特徴とも言える長い鼻は、筋肉で自由自在に可動し、その力も強力で250キログラムほどもある重いものでも持ち上げることが可能です。
また、鼻の先端には指のような突起が2つ付いており、その突起を使って、色々なものを掴みあげることが出来ると言います。
嗅覚が鋭く、記憶力も良いので、保護活動をしているレンジャーの匂いを覚えていて、自分たちに友好的な彼らを襲ったりすることはほとんどない反面、密猟者や、自分たちに危害を加えた人間のことも覚えており、近づくと、威嚇したり追いかけたりすることもあるそうです。
もうひとつの特徴である長い牙は、オスメスともに持っていて、メスはある程度伸びるとその成長が止まりますが、それでも2.5メートルほどの長さがあり、オスに至っては成長速度は遅くなるものの、ずっと伸び続けるので、4メートル以上もある個体も確認されています。
アフリカゾウは数十頭の群れを作って生活し、エサや水場を求めて、長い距離を移動しますが、その際肉食獣に狙われやすい子供などを囲むようにして守ったり、くぼみにはまった仲間を助けようとするなど、仲間意識が強い動物です。
寿命は平均で50年~70年と言われていて、老体になると単独で行動することが多いとされています。
普段は大人しい性格のゾウですが、時にはハイエナやヒョウでさえ威嚇して追い払ってしまうような猛々しい一面もあり、現地の人々からも恐れられています。
近年では象牙を狙った密猟や干ばつなどの影響で数が激減し、絶滅危惧種にも指定されています。
第1位 シロナガスクジラ
引用:https://www.earth.com/endangered-species/
第1位は、地球史上最大と言われている動物、シロナガスクジラです。
体長は平均25~30メートルで、確認されている最大の個体は34メートル、体重も史上最も重いと言われていて、平均でも160トン、大きなものは180トンを超えると考えられています。
シロナガスクジラより体が大きいとされる恐竜、主に竜脚類の化石なども見つかっていますが、それらは全身骨格ではなく一部分のみの骨から推定される大きさのため、実際の大きさが判明している動物の中で、シロナガスクジラは最も巨大で、哺乳類の中でも間違いなく史上最大と言えると思います。
そんな大きな体を持つシロナガスクジラですが、ヒゲクジラの仲間と同じく、小さなオキアミを主食としていて、赤道付近から極地までの広い範囲を単体で回遊して暮らしています。
エサとなるオキアミが多いのは寒い極地ですが、繁殖期の冬になると、メスは暖かい熱帯地域の海まで移動し、そこで子供を産みます。
体の小さな子供は、脂肪分が少なく、極地に近い海の寒さに耐えられないからです。
暖かい海で子どもが泳ぎを覚え、寒さに耐えうるまでに成長してから、再びエサの豊富な極地へ移動すると言われていますが、熱帯地域にはエサがほとんどないため、子育ての間メスは食事を取ることがあまりなく、その上で子供に母乳を与え続けるため、体重が3分の2にまで減少するそうです。
妊娠期間は11ヶ月と長く、その後も授乳期間が8ヶ月ほど続くため、子育てには1年以上を要し、メスの出産間隔は2~3年に1頭とされていますが、寿命は長く、100年以上生きると考えられていて、最長記録は120歳とも言われています。
シロナガスクジラはその巨体から天敵はほとんどいませんが、熱帯地域から極地に移動する際に子供のクジラがシャチに狙われることは多いようです。
番外編.パラケラテリウムとインドリコテリウム
引用:https://www.deviantart.com/leogon
現生している陸上最大の動物はゾウですが、恐竜が滅びた後、哺乳類が様々な姿に進化していった、およそ3000万年前の新生代にはゾウよりもはるかに大きい哺乳類が存在していました。
現生しているサイに近い草食動物であるパラケラテリウムは、体長は約9メートル。
サイよりも首と足が長く、肩までの高さで既に6メートルほどもあり、この時点で現在の世界一背の高い動物であるキリンを超えています。
頭頂部までの高さは7~8メートルに達したと言われていて、高い場所に生えている木の葉や枝を食べていたと考えられています。
パラケラテリウムと同じく陸上哺乳類最大級と言われていたのが、インドリコテリウムです。
パラケラテリウムより首が長く、別種とされていましたが、近年ではパラケラテリウムと同属とされる見解が発表されていて、一説には2つは同じ種で、首が長いなどのそれぞれの特徴は雌雄の違いではないかとも言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
もともとネズミほどの大きさしかなかった哺乳類が、ここまで多様に、しかもこれほど巨大な大きさにまで進化したというのが驚きですね。
環境さえ整えば、今後更に大きな哺乳類が生まれてくる可能性もあるのでしょうか。
新しい種が生まれてくるのも楽しみですが、大海原や密林など、私たちが足を踏み入れることが難しい場所には、まだ発見されてない巨大な哺乳類がもしかしたら既に存在しているのかも知れませんね。