10位 コレラタケ
引用:http://www.yamatabi.net
コレラタケは、カサの直径2~5cmの毒キノコです。
秋の遅い時期に、スギなどの朽木やおがくず、古い廃材などに群生します。
コレラタケのカサは、饅頭型からほぼ平らに開いていきます。
カサの表面に粘性はなく、平らで滑らかです。
カサの色は、湿気が多い状態では暗褐色、乾いた状態では中央部から明るい淡黄色になるとされています。
コレラタケの毒の主成分は、アマトキシンという化学物質です。
アマトキシンは乾燥にも熱にも強いため、乾燥保存した標本にも十分に毒性が残っていることが知られています。
コレラタケを食べると、10時間程度で凄まじい下痢を引き起こします。
しかし、この症状は1~2日で回復します。
本当に恐ろしいのはその後で、肝臓の細胞に到達したアマトキシンがその細胞を壊死させていくのです。
数日から1週間ほどで、猛烈な肝機能障害が起こり、適切な治療をしなければ10日ほどで死に至ります。
解毒剤はなく、人工透析や各諸症状の対症療法を行う事しかできず、病院に運ばれるのが遅かった場合には、肝機能の大半が失われて命を落とすことも多いとされています。
キノコを食べた際、半日ほどして凄まじい下痢を引き起こしたら、体調が回復したとしても、病院に行っておくことをオススメします。
9位 タマシロオニタケ
引用:http://www.kinoko-navi.com
タマシロオニタケは、カサの直径3~7cmの毒キノコです。
夏から秋にかけて、ブナやミズナラのような広葉樹やアカマツなどの針葉樹の混じった混生林に発生します。
タマシロオニタケのカサは、小さい時は半球形で、成長にしたがってカサが開いていき、やがて平らになります。
カサの表面には尖ったイボが無数に見られますが、雨などで取れてしまうこともあるため、必ずイボが付いているという訳でもないそうです。
カサの色は、白色からやや褐色を帯びた白色です。
肉の色はカサと同じ白色で、特に匂いはなく、食べると少し甘みがあると言われています。
タマシロオニタケを食べてしまうと、数日間は腹痛や嘔吐、下痢が続き、意識不明に陥ります。
毒成分の効果により、肝臓や腎臓の細胞が破壊されていき、数日後には死に至ることもあるとされています。
8位 シャグマアミガサタケ
引用:https://yamahack.com
シャグマアミガサタケは、地面からの高さが5~8cmの毒キノコです。
早春から初夏にかけて、モミなどの針葉樹林の地上に発生します。
シャグマアミガサタケを上から見ると、見た目がシワシワで人間の脳みそのような形をしているのが特徴です。
色は黄褐色または赤褐色で、表面を触ると少しざらざらしていることも特徴です。
シャグマアミガサタケの毒の主成分はジロミトリンという化学物質です。
そのまま食べても吐き気や嘔吐、激しい下痢、痙攣を引き起こします。
しかしシャグマアミガサタケの恐ろしい部分はここではありません。
ジロミトリンは沸騰した湯の中で、モノメチルヒドラジンという揮発性の猛毒に変化するのです。
そのため、沸騰中の水蒸気を吸うだけでも中毒が起きる危険性があります。
モノメチルヒドラジンによって、重篤な内臓出血や脳浮腫、意識障害を引き起こし、最悪の場合死に至るとされています。
モノメチルヒドラジンは、ロケットエンジンの燃料としても知られていますが、なぜこのキノコがそのような物質を持っているのかはよく分かっていません。
恐ろしいキノコですが、実はシャグマアミガサタケは「食べられる毒キノコ」としても有名なのです。
先ほど述べた通り、モノメチルヒドラジンは揮発するため、換気が良い状態で十分に茹でれば毒抜きができ、食べることができるのです。
シャグマアミガサタケは、フィンランドでは高級食材として扱われ、様々な料理に使われています。
7位 フクロツルタケ
引用:https://www.kinoco-zukan.net
フクロツルタケは、カサの直径5~10cmの毒キノコです。
夏から秋にかけて、ブナやコナラ、シイ、カシなどの広葉樹林の地上に1本ずつ発生します。
フクロツルタケのカサは、釣り鐘型から徐々に開いて平らに近づいていきます。
カサの色は白色で、やや紅色がかった淡い褐色の片鱗が全体に見られます。
肉は無味無臭ですが、猛毒のキノコとして知られています。
フクロツルタケを食べると、手足のしびれ、嘔吐や下痢などの消化器系の症状が現れ、やがて黒色尿、呼吸困難が起こります。
さらに、腎臓、肝臓に障害が起こり、心臓衰弱、言語障害、顔面麻痺などの症状が現れるとされています。
誤って食べてしまうと散々苦しんだ挙句、死に至るとされている猛毒キノコです。
6位 ニセクロハツ
引用:http://japanesealps.net
ニセクロハツは、カサの直径5~12cmの中型から大型の毒キノコです。
夏から秋にかけて、ツブラジイという樹木のある地上に発生します。
ニセクロハツのカサは、成熟すると中央がくぼんだじょうご型になります。
カサの裏にあるヒダは、薄いクリーム色であり、傷をつけると薄い赤褐色になります。
カサの色は、灰色から黒褐色です。
ニセクロハツを食べると、30分から数時間で嘔吐や下痢などの胃腸・消化器系の中毒症状が起こります。
その後、18~24時間ほどで、毒成分による筋肉の溶解が原因と考えられている全身の筋肉痛や呼吸困難に陥り、死に至ることがあるとされています。
似ているキノコとして、食用のクロハツやクロハツモドキがあり、ニセクロハツと見分けることは大変困難であるとされています。
5位 ドクササコ
引用:https://matome.naver.jp
ドクササコは、カサの直径5~10cmの中型の毒キノコです。
秋頃に、広葉樹林や竹藪の地上に発生します。
ドクササコのカサは、小さい時は中央のくぼんだ饅頭型で、成長にしたがって開いてじょうご型になります。
カサの縁は内側へ巻き、表面は滑らかです。
ドクササコの毒の性質は、激痛毒性と言われ、苦痛に特化した毒キノコだと言えます。
ドクササコを食べると、3、4日から一週間以上の期間をおいてから毒が効いてきます。
最初はお湯に触れた時に痺れるような痛みが足に起こり、次第に何もしなくともひどい痛みを手足に覚えるようになり、歩行が困難になります。
そして手足の指先が赤く腫れていき、爪をはがし続けるような激痛が起こり、それが性器にも起こると言われています。
食べた量によっては、患部の壊死が起こることもあります。
毒に気づいた時には、手遅れなくらい悪化していることが多く、痛みによって睡眠をとることも不可能になっていきます。
この痛みに対して、痛み止めは全く効かず、モルヒネでさえも効果がないとされています。
この症状が、最低でも1ヶ月は続くとされています。
ドクササコの毒性では、死に至ることは滅多にないですが、死んだ方がマシだとさえ思わせる苦痛を与える毒キノコです。
古くから拷問にも使われていたとも言われています。
昭和中期の中毒例によると、そのあまりの痛みに自殺したり、患部を切断したり、睡眠不足からの衰弱死なども報告されているとされています。
4位 シロタマゴテングタケ
引用:https://www.kinoco-zukan.net
シロタマゴテングタケは、カサの直径5~10cmの中型の毒キノコです。
夏から秋にかけて、広葉樹林や針葉樹林の地上に発生します。
シロタマゴテングタケのカサは、小さい時は卵形で、成長するにしたがって徐々に開いていき平らになります。
カサの色は白色で、表面には光沢が見られますが、湿気の多い場所では表面に弱いヌメリが出てきます。
シロタマゴテングタケを食べると、24時間ほどでコレラのような激しい嘔吐や下痢、腹痛が起こります。
摂取から数日後には、肝臓肥大や横断、胃や腸からの出血、その他内臓細胞の破壊が起こり、最悪死に至ります。
かなり重い症状が現れる猛毒キノコであり、回復したとしても内臓や脳などに障害が残ると言われています。
3位 タマゴテングタケ
引用:https://www.kinoco-zukan.net
タマゴテングタケは、カサの直径5~10cmの中型の毒キノコです。
夏から秋にかけて、ナラやブナなどの樹木がある広葉樹林の地上に発生します。
タマゴテングタケのカサは、小さい時は饅頭型で、成長するとほぼ平らになるまで開いていきます。
カサの表面はオリーブ色をしており、中心部の方がやや色が濃くなっていることもあります。
最大の特徴として、カサの裏にある白色のヒダに濃硫酸をたらすと淡紅紫色に変色するという性質があります。
この特徴はタマゴテングタケだと見分ける大きな判断材料となります。
症状は、シロタマゴテングタケとほとんど変わりません。
タマゴテングタケを食べると、24時間ほどでコレラのような激しい嘔吐や下痢、腹痛が起こり、この症状は一度収まります。
しかし、数日後に肝臓や腎臓などの内臓の細胞が破壊され、非常に高い確率で命を落とすと言われています。
基本的に、シロタマゴテングタケもタマゴテングタケも、コレラタケと同じ種類の症状ですが、毒量はシロタマゴテングタケとタマゴテングタケが大きく上回っており、小さいキノコ1本が致死量だとされています。
2位 カエンタケ
引用:https://yamahack.com
カエンタケは、大きいもので高さ10cm程度になる毒キノコです。
秋頃に、林内の地上や広葉樹の枯れた切り株などに発生します。
カエンタケの形は、鹿の角、またはふっくらとした人間の手指のように枝分かれしています。
「カエンタケ」という名が表すように、全体が燃え上がる炎のように上に伸びている赤色のキノコです。
肉は硬く、内部は表面とは異なり、白色をしています。
他のキノコとは異なり、触ることすら危険な毒キノコです。
カエンタケの致死量は、わずか3gと言われています。
カエンタケを食べると、10分ほどで消化器系を破壊し始め、腹痛や嘔吐、下痢などの症状が現れます。
しばらくすると、肝不全や腎不全などの消化器系の不全から白血球や血小板などの減少などの造血機能障害、さらには全身の細胞が破壊することから、めまいや手足の痺れ、脱毛、呼吸困難、運動障害、小脳の萎縮などあらゆる異常を引き起こします。
日本では、10名程度の被害者のうち、2名が命を失っています。
被害者が少ないようにも見えますが、被害者がこの人数である理由として、カエンタケは触れるだけでも猛毒であることが挙げられます。
カエンタケは触れただけでも、激痛が走って触れた箇所の皮膚がただれてしまうとされています。
それどころか、カエンタケの臭いを嗅ぐだけでも粘膜に異常をきたすと言われています。
しかし、これらの特徴があるために早い段階で危険性に気づくことができると考えられます。
カエンタケがもしもこれらの特徴を持たなければ、他の似ているキノコとも見分けがつかず、被害者は間違いなく何倍にも膨れ上がっていることでしょう。
1位 ドクツルタケ
引用:https://yamahack.com
ドクツルタケは、カサの直径5~15cmで地上からの高さが10~18cmある毒キノコです。
夏から秋にかけて、広葉樹林から針葉樹林の地上に発生します。
ドクツルタケのカサは、小さい時は円錐形で、成長するにしたがってカサが開いていきます。
食べられるキノコであるハラタケやシロマツタケモドキなどと、外観の共通点が多いために危険度が高いとされています。
下の写真は、ドクツルタケとよく似ているハラタケです。
見つけた時に、どちらか見分ける自信はありますか?
引用:http://yoshiki-yk.sakura.ne.jp
ドクツルタケの致死量は1本です。
症状は、コレラタケやタマゴテングタケなどと、ほとんど同様です。
ドクツルタケを食べると、6~24時間で腹痛や嘔吐、下痢の症状が現れ、一度この症状は回復します。
しかし、食べてから7日後くらいに、毒成分によって肝臓や腎臓の機能障害と激しい出血が起こり、眼球や皮膚に黄疸が見られ、早期の適切な治療がなければ確実に命を失うと言われています。
カエンタケとは異なり、見た目や触るだけでは猛毒のキノコだと判別できないために、誤って食べてしまう可能性が高く、危険だとされています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
毒キノコは毒性の強さだけでランキングがつけられるわけではなく、食べられるキノコと似ていて見分けがつかないことも毒キノコの恐ろしさだと言えます。
今回はどちらも加味してランキングにしてみました。
これから春になり、登山を楽しむ方々も増えてくると思われます。
くれぐれも野生のキノコをとって食べる際にはご注意を。