都市伝説 オカルト

【殿堂入り】有名な日本の都市伝説15選

目次

都市伝説8 カシマさん


引用元:https://tsutaya.tsite.jp/

ポスト口裂け女とも言うべき存在がこちらのカシマさん。

2016年には『口裂け女vsカシマさん』という映画の中で戦ったりもしているようです。

ただ、カシマさんは非常に特異な存在で、その実態が様々に語られ性別すら定かではありません。

実体があやふやのまま『カシマさん』の名前だけがその呪いと共に一人歩きし、発展していっているという点で怪談『牛の首』にも通じる興味深い都市伝説の一つです。

 

実体不明なカシマさん・概要

『カシマさんの話』を誰かから聞くと、電話や夢でカシマさんが現れ幾つかの問いを投げかけて来る。

これに正しく答えられないと、身体の一部を奪われ死んでしまう。

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これだけ聞くとあまりにもぼんやりとした話しなので、以下に詳細を補足していきます。

 

カシマさんの話・ブレブレなキャラ設定

①米軍にレイプされて自殺した女性説

カシマレイコという女性が終戦直後に米軍兵士に強姦され、そのショックから列車に飛び込んで自殺した。

しかし、間が悪かったのか列車に轢かれたのは両脚だけ。

死ぬにに死にきれず、出血多量で苦しんで死んだ。

 

②戦時中に米兵に両脚を撃たれ苦しみ抜いて出血死した郵便配達員説

③空襲で四肢を失った日本兵説

➃最近のネットに流れる①と②の複合説

米兵に強姦された挙句、両手足を撃ち抜かれた女性がいた。

通りがかった医師の手当てで命は助かったものの、四肢を失くした彼女は列車に飛び込んで自殺を図った。

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都市伝説はその性質上様々なバリエーションがあったり、複数のルーツを持つことが珍しくありません。

先に記した『トイレの花子さん』や『口裂け女』などその典型と言えるでしょう。

しかし、それらが『赤いスカートに白いブラウスにオカッパ頭の女の子』『黒髪ロングにマスクで赤いコート』といった記号化された外見を持つのに対し、カシマさんはその性別すら定まりません。

レイプされた若い女性と郵便配達員と日本兵。

完全にキャラ設定がバラバラ。

彼女や彼らに通じる外見上の設定は、身体の一部が欠損していることだけです。

 

カシマさんとの質疑応答

『カシマさんの話』を聞くと、その日の夜から一ヵ月以内くらいにカシマさんが夢枕に立って幾つかの質問をしてきます。

この質問に間違った答えをすると殺されてしまうのですが、逆に言えば正しい答えを返せば生き残ることも出来るとされています。

 

・足いるか?

ハッキリと『いる』と答えましょう。

『いらない』と答えると、両足を引き千切られて死にます。

 

・足よこせ

『いる』と言っているのに、更に要求してくる厚かましいカシマさん。

これには『今、使ってます』『今、必要です』と答えます。

『手いるか』『手よこせ』に対しても同じです。

 

・私が誰か知っているか?この話をどこで聞いた?

『カシマさん』と答えた上で『カは仮面のカ、シは死のシ、マは魔のマ、レイは霊のレイ、コは事故のコ』と続けます。

つまり、仮死魔霊子。

『夜露死苦』に通じるセンスですが、一応これが漢字でのフルネームらしいです。

 

・私の足はどこにある?

『明神高速道路です』……戦時中とか終戦直後の話なのに、何故か明神拘束道路なのです。

残念ながら理由はわかりません。

 

ちなみに、カシマさんには実は『テケテケ』の正体であるという説もあります。

有名な都市伝説二つが内容の類似性からリンクしたもっとも有名なケースではないでしょうか。

 

 

都市伝説9 テケテケ


引用元:https://ohrmsk.hateblo.jp/

テケテケ=カシマさん、カシマさんの元ネタはテケテケだという説が流れる昨今。

起源としてどちらが本当に古いのかは謎ですが、別個の都市伝説が『○○の正体は実は△△だった!』という珍しいケースに発展した珍しいケースです。

 

ドサンコ妖怪テケテケ・概要

冬の北海道室蘭の踏切で女子高生が踏切で列車に跳ねられた。

女子高生は上半身と下半身真っ二つに両断されたが、余りの寒さのため切断部位が凍結して即死せず、しばらく苦しみながら生きていた。

彼女は周りに助けを求めたものの、駅員の判断でブルーシートを掛けられてそのまま死亡。

この話を聞いた人の所には三日以内に下半身のない女性の霊が現れる。

彼女は自分を見捨てた人間を恨んでいるため、足探しではなく殺戮そのものが目的である。

 

<備考>

・上半身だけであるにもかかわらず、彼女は100~150キロという脅威的速度で追ってくるため、追い払う呪文を知らないと逃げ切れない。

・一説によると、異様な動きとスピードとは裏腹に顔は童顔で可愛らしく笑顔であるのが余計に怖いとも言われている。

・ほとんどの場合女性として語られているが、まれに男性で描写されることもある。

・カシマさん同様足を探しているパターンもある。

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カシマさんと類似した都市伝説でありながら、かなり設定がしっかりと作りこまれています。

いつどこで起きた何が原因でテケテケは生まれ、何を目的として行動しているのかが明確です。

特に『まだ生きているのにブルーシートを掛けられ見捨てられた恨みを募らせた』という設定は秀逸です。

ある意味カシマさんは質問をしてきちんと答えれば無害とも言えますが、テケテケの場合この『見捨てられた恨み』を無差別にぶつけてくるので恐ろしいと言えます。

 

テケテケは実話ではない?

テケテケにも都市伝説の御多分に漏れずモデルや元になる話があるとされています。

それが上記にある踏切事故の話なのですが、実際のところ北海道では今のところ列車事故で両脚を失う、上半身と下半身が真っ二つになるという事故は起きていません。少なくとも公には。

ただ、車と電車の衝突事故で電車の運転手が両脚を切断するという事故はあったそうです。

また、寒さで血管が収縮して出血が少なかったためにしばらく生きていたというのも医学的・科学的・物理的に考えにくいと言われています。

北海道の冬の寒さ程度で胴体両断の出血を止める程の凍結はしません。

さらに、普通に速度の出ている電車に真っ二つになるほど思い切り良く轢かれた場合、普通の人間はミンチになります。

 

 

都市伝説11 ヒキコさん


引用元:https://kibunjoujou.net/

行為の残忍性において口裂け女やカシマさん、テケテケを上回るのがこれからお話するヒキコさんです。

 

雨の日限定怪異ヒキコさん概要

雨の日にボロボロの白い服を着て人形のようなものを引きずっている背の高い女。

よくよく見れば、彼女の目は吊り上がり口は耳元まで裂けている。

そして彼女が引きずっていた人形のようなものは、人形ではなくかつて子供であった肉塊である。

彼女は己の姿を見た子供を肉塊になるまで引きずり回して殺し、決った場所に捨ててしまう。

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生身の子供をボロボロの肉塊になるまで引きずり続けるという猟奇性が際立つキャラクターですが、耳まで裂けた口や小学生を襲うなど口裂け女との類似性も見られます。

 

ヒキコさん誕生秘話

ヒキコさんの誕生には、イジメ・虐待といった社会問題が大きく影響しています。

ここではヒキコさんが怪異化した原因としてあげられている四つの説を下記に挙げます。

 

①顔を傷つけられたいじめられっ子説

ヒキコさんは元々はルックスも頭も良く、教師からも好かれる優等生だった。

ただ、大人ウケの良さと反比例するように同年代女子からは妬まれイジメられる。

彼女に対するイジメはエスカレートしていき、ついには暴力を振るわれるまでに発展。

ある日、投げられた石がヒキコさんの顔を直撃したのをきっかけに、いじめっ子たちは彼女がボロボロになって失神するまで校庭を引きずり回す。

教師に助けられて病院に運ばれた彼女の顔は、いじめっ子たちの仕打ちによって醜く崩れてしまっていた。

自分の姿を悲観したヒキコさんは、部屋に引きこもったまま成長。

自分と同じ醜い顔をした蛙が出て来る雨の日を好んだという。

大人になった彼女はイジメに対する強い復讐心から、小学生と目が合うとかつて自分が受けたのと同じ仕打ち――引き回しを行うようになる。

こうして雨の日限定で活動するヒキコさんが生まれた。

 

②親からの虐待と監禁説

ヒキコさんの両親は彼女が幼い頃に離婚し、母親と母親が再婚した継父の三人で暮らしていた。

継父は酷い酒乱で、酒を飲んではヒキコさんを呼びつけ暴力を振るい罵声を浴びせかける。

母親も新しい夫に加担し、娘を守るどころか一緒になって暴力を振るう始末。

エスカレートする虐待に、まだ小学生のヒキコさんは行く当てもなく家を飛び出し街を彷徨う。

そうこうするうちに、三人の男に声を掛けられたヒキコさんは車に引き込まれ暴行を受ける。

身も心もボロボロになった彼女は家に帰り両親を殺害し行方不明に。

数年後、自分が子供時代に味わった苦痛を同年代の子供に味あわせたいという強い恨みから、ヒキコさんは怪異化した。

 

③いじめられっ子の母親がヒキコさん説

成績優秀で顔も可愛らしく、スラリと背の高い娘は母親の自慢だった。

しかし、娘は次第にクラスメイトからイジメられるようになる。

ある日エスカレートするイジメを苦にして娘は自殺。

自慢の娘を自殺に追い込まれた母親は、復讐を誓い手あたり次第同年代の子供を殺す殺人鬼と化す。

 

➃①と②の複合型一切の救いがない説

森妃姫子(もり ひきこ)は、学校では酷いイジメを受け、家では親からの虐待に苦しんでいた。

可愛らしい顔にスラリとしたスタイル、勉強も良く出来て教師に好かれている彼女は、学校で妬みから『ひいきされている。ひいきのひきこ』とイジメられていたのだ。

ある日彼女はいじめっ子に両手を縛られ足を引っ張られて学校中を引きずり回された。

引きずり回される内に、彼女の顔はあちこちにぶつかり酷い有様になってしまう。

これをキッカケにヒキコさんは不登校となった。

しかし、今度は家庭内での虐待が彼女を襲う。

酒乱の父親と、止めるどころか父親に同調する母親に家中を引きずり回される毎日。

学校に行かない娘に怒った親は、ヒキコさんに食事も与えずに一室に閉じ込めていたところ、彼女は虫を食べるようになった。

さすがにこのままでは餓死するとでも思ったのか、以来親は彼女に最低限の食べ物だけを与える。

いつしか彼女は醜いヒキガエルに癒される雨の日限定で外に抜け出し、小学生を襲うようになった。

小学生を見つけた彼女は『私は醜いかぁ〜!』と叫びながら、子供を追いかけ捕まえては引きずり続ける。

次の獲物が見つかるまで彼女が手を離すことはなく、哀れな犠牲者はボロボロの肉の塊になってしまうのだ。

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いずれの説を取るにせよ、あまりに悲惨な人生を送って来たのがヒキコさんなのです。

ヒキコさんは原則的にかつての自分と同じ境遇のいじめられっ子や、被虐待児は襲いません。

逆にいじめっ子はもっとも狙われます。

他にも自分と同じ名前の子供は襲わないなどがありますが、ヒキコさんに関わらずに済む一番の方法は『イジメをしないこと』でしょう。

 

 

都市伝説12 人面犬


引用元:https://page.auctions.yahoo.co.jp/

1988年から1990年にかけて、主に小中学生の間でマスメディアを開介して広まったのが『人面犬』です。

比較的新しい話なので、その当時の報道などをリアルタイムでご存じの方も多いのではないでしょうか。

人面犬は、読んで字の如く人の顔に犬の身体を持つ妖怪・モンスターです。

この人面犬には二つのタイプがいるようなので、以下にご紹介します。

 

爆走型人面犬

深夜の高速道路で自足100キロで爆走。

車に追いすがり、人面犬に追い抜かれた車は事故を起こす。

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高速のインターチェンジに犬を繋いで置き去りにし、半狂乱になって首輪抜けした犬が道路に飛び出した結果、大事故になってしまった可能性が高そうです。

実際こういったむごい捨て方をされた元保護犬と、置いて行かれると感じたときの狂乱っぷりを見たことがありますが、大型犬ならばリードの金具を引き壊して道路に飛び出すことは充分に可能です。

 

ゴミ漁り型人面犬

繁華街の路地裏で野良犬がゴミ箱を漁っているのを店員が追い払おうとすると、人の顔をした犬がゆっくりと振り返り『うるせぇなほっといてくれ』とポツリと言う。

***

他にも――

・『勝手だろ』『何だ人間か』などの台詞がある。

・カップルに対して下品な台詞を吐いた。

・6m以上ジャンプした。

・人面犬に噛まれると人面犬になってしまう。

などの情報がありました。

 

人面犬の正体諸説

人面犬の正体については、見たまんまの妖怪の他にも諸説囁かれました。

それらの幾つかを挙げておきます。

 

①遺伝子操作による生物兵器

②T市でのバイオテクノロジー実験による産物

③環境汚染による突然変異

➃ある大学の都市伝説研究サークルが、噂の伝搬メカニズムを調べるケーススタディとして意図的に流布。

白衣を着て小学生に『人の顔をした犬が逃げたんだけど、見なかったか?』と尋ね回ったところ、一年後にはこの噂が大流行した。

⑤漫画『うしろの百太郎』に出て来る霊能犬ゼロの影響。

⑥雑誌の読者投稿欄にあった話に編集部が創作を加え、誌上で広めたのがブームの始まり。

⑦芸能人の仲間内で野良犬をネタにした冗談を言っていたら、それを知人のDJが放送で取り上げて全国に広まった。

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遺伝子組み換え食品、マウスの背中で造られる人間の耳、果ては人間への臓器移植用の豚の作成。

これらが現実に行われている現代社会において、①②は技術的にやろうと思えば出来そうな気がします。

③もダイオキシンなどによる奇形生物の増加を見れば有り得なくもないでしょう。

陰謀説めいた④は、口裂け女はCIA発のデマ説と通じるものがあります。

 

 

都市伝説13 人面魚


引用元:http://gakkenmu.jp/

人面犬がキッカケで、日本全国で『人の顔をした○○』が1990年代に流行しました。

その一つがこれからご紹介する『人面魚』です。

ちなみに、先にお断りしておきますが、人面魚は都市伝説と言いつつしっかり実在していました。

そして、今もしています。

 

山形県の人面魚

1990年、山形県鶴岡市の善宝寺にある貝喰の池の鯉を、雑誌『フライデー』が人面魚として紹介しました。

写真を見てもお分かりの通り、『見ようによっては人の顔に見えなくもない……かなぁ』というあやふやな心霊写真とは異なり、かなり明確に人面です。

このあまりにリアルな人の顔に、ワイドショーなどでも盛んに取り上げられ人面魚は日本中に知られ、善宝寺には連日多くの見物客が押し寄せました。

ちなみに、人面魚の正体はほとんどが金色の鯉です。

金色のニシキゴイは鼻孔付近が黒く染まることも多く、こうなった個体を上から見ると彫の深い人の顔のように見えることが少なくないのです。

祟りの類ではないのでご安心ください。

 

今も存在する人面魚


引用元:https://netacheck.com/

2018年の地点で、30年前に人面魚ブームの中心地となった善宝寺には人面魚が二匹確認できたそうです。

鯉の寿命は長いもので30年〜50年なので、もしかしたら当時の鯉がまだ生きている可能性もあるでしょう。

もしくは人面魚の一族が絶えることなく繁殖しているのかもしれません。

 

善法寺の伝説

人面魚で有名になった善宝寺に貝喰池には、竜王と竜女の伝説が言い伝えられています。

***

千年以上も昔のこと。

善宝寺の妙達上人は庵を構え修行に励んでいた。

すると次第に近所の人たちが集まり、上人の読経を聞くようになる。

その中に、ただ者ではない美男美女がいた。

ある日、その男女は上人の読経が終わっても座ったまま動かず項垂れている。

不思議がる上人に、二人は答えた。

『私達は貝喰の池に天下った竜の化身です。上人の説法をお聴きして、仏法の有難さを知りました。どうぞいつまでも私たちを御導き下さい』

頭を下げる二人にに上人は戒名を与えた。

すると二人は『これから先は、信者の人々が風水の厄難を免れるよう、私たちがお守りいたしましょう』と言って竜の姿に戻って池喰の池から黒雲に乗って昇天して行った。

***

これが善宝寺の縁起で、以後寺は海運業の人たちから信仰を集めるようになりました。

もしかすると、金と銀の人面魚も竜王と竜女の化身かもしれませんね。

 

 

都市伝説13 ターボ婆


引用元:https://netacheck.com/

トンネル内や高速を車で走行中、唐突に窓を誰かに叩かれる。

有り得ないことに、窓の外には車と並走する老婆が!

***

非常にシンプルでわかりやすい都市伝説です。

場所は六甲山とされていることが多いのですが、まれに真夜中の町内に現れ追いかけてきます。

おまけにテレポート能力まであるとされているので逃げるのは難儀でしょう。

老婆の時速は最高140キロ以上とされ、車と並走するだけで危害は加えて来ず無害とされています。

一方で、老婆に追い越されると死ぬいう説もあります。

 

婆の亜種

ターボ婆には、亜種と呼ぶべき存在がいます。

それらの幾つかをご紹介します。

 

・バスケ婆

バスケットボールをドリブルしながらバイクに並走。

ボールを投げつけて来る。

ボールを受け取るとバイクが転倒、無視するとボールをぶつけられ転倒。

いずれにしろレイダー死亡。

ドリブルでその速度を出す技巧派婆。

 

・ホッピング婆

山道で突然ホッピングに乗って目の前に落下してくる。

そのまま大ジャンプで車を飛び越すが、それ以上何かしてくるわけではない。

驚いてハンドル操作を誤れば死ぬかもしれない。

ある意味婆以上にホッピングの強度が怖い……販売元が気になります。

 

・棺桶婆

運転手を引きずり出し、担いでいた棺桶に入れてそのまま火葬場まで運ぶ。

棺桶を担いだ状態で車に追いつける健脚婆。

 

・ボンネット婆

国道を走っていると、いきなり婆がボンネットに乗って来る。

驚いて操作を誤ると死ぬから、そのまま7キロで走り続けるべし。

***

派生は多いものの、行動は単純で背景となる物語もないターボ婆。

逆に何が原因でこの都市伝説が生まれたのか気になります。

 

 

都市伝説14 ピアスの白い糸


引用元:https://www.partsclub.jp/

耳にピアスを開けたら、ピアスホールから白い糸が出て来た、

何だ当と思って引っ張ったら糸はプツンと切れ、急に目の前が真っ暗になった。

耳から出ていたのは視神経で、彼女は失明してしまった。

***

これまでご紹介してきたのが怪異という『他者』からの脅威であるのに対し、これはピアスを開けた『自分』の身に降りかかる災難を題材とした都市伝説です。

 

結論から言うと、嘘

いきなりバッサリいきますが、この都市伝説は完全なデタラメです。

保健体育の教科書か生物の教科書を見ればわかると思いますあ、人間の耳に視神経は通っていません。

もし通っていたら、自画像が気に入らないだけで耳を切り落としたゴッホは失明しています。

耳と言わずどこと言わず殴られまくる格闘家の失明率も恐ろしく高くなるでしょう。

(彼らの視力障碍のほとんどは、目にくらっての網膜剥離や眼底骨骨折などです)

視神経が繋がっているのは耳ではなく脳であると覚えておきましょう。

 

白い糸の正体

『白い糸は視神経である』はデタラメでしたが、実際にピアスを開けた時に『白い糸』が出て来ることはあり得ます。

では、この白い糸の正体はなんなのか?

応えは筒状に隆起した皮膚、もしくは角栓や粉瘤腫(ニキビと同じ余分な脂肪の集合体)です。

ニキビを潰して痕が残る以上の害がないのと同様、引っ張っても特に問題はありません。

 

都市伝説の源

ピアス=不良という認識がまだあった時代に、一部の親や教師が子供にピアスを禁じるための方便として流したというのがもっとも有力です。

また、東洋医学によると耳には足裏と同じ位たくさんのツボがあるとされています。

一般的にピアスホールを開ける位置が丁度『目のツボ』であるため、穴を開けた場合何らかの支障が出る人もいるかもしれないと、都市伝説を検証した医師は言っているそうです。

 

 

都市伝説15 赤い靴の女の子


引用元:https://blog.goo.ne.jp/

横浜で有名な都市伝説と言えばこの『赤い靴の女の子』と『浜のメリーさん』が双璧かと思われます。

今回最後にご紹介するのは、野口雨情の童謡『赤い靴』で有名な女の子のお話です。

 

童謡『赤い靴』

赤い靴 履いた 女の子

異人さんに 連れられて 行っちゃった

 

横浜の 埠頭から 船に乗って

異人さんに 連れられて 行っちゃった

 

今では 青い目に なっちゃって

異人さんのお国に いるんだろ

 

赤い靴見る度 考える

異人さんに会うたび度 考える

***

子供向けのやさしい歌ですが、メロディーも内容もどこか寂し気な歌だと感じる人が多いことでしょう。

また、『異人さんに連れられて行っちゃった』という歌詞から、日本人の少女が外国人に誘拐(もしくは人身売買)されたという噂もありました。

しかし、実際はそのような物騒な話ではなく、泣く泣く我が子を手放した母親・9歳で病死した女の子・親切なアメリカ人宣教師の切ない物語なのです。

 

『赤い靴の女の子』の真実

歌のモデルになった女の子の名前は岩崎みき。

1902年静岡で18歳の未婚の母・岩崎かよの娘として産まれました。

当時の村は未婚のシングルマザーと私生児が生きるには風当たりが強かったため、かよは娘を連れて逃げるように北海道の函館に渡ります。

そこでかよは鈴木志郎と結婚。

やがて夫の仕事で環境的に厳しい土地に移ることに。

そんな場所にまだ4歳で病弱な娘を連れて行けるかと夫婦は悩みました。

そこで夫婦は養女を求めていたアメリカ人の宣教師夫妻に娘・きみを託します。

これが『異人さんに連れられて行っちゃった』となるのです。

完全に合意の上での養子縁組であり、事件性はゼロ。

 

・預けられた『きみ』と両親のその後

両親は仕事のプロジェクトそのものが失敗して札幌に。

父親はある新聞社に就職、そこで野口雨情と出会います。

雨情はかよから伝え聞いた話を元に『赤い靴』を書き上げ、大正10年に雑誌に発表しました。

 

一方、宣教師夫妻に引き取られた娘・きみは、実はアメリカには渡れませんでした。

その事実がわかったのは昭和53年(1978年)になってからのことです。

きっかけは『きみ』の異父妹『その』が昭和48年(1973年)に『赤い靴をはいて行ってしまった姉が生きているならば会いたい』と北海道新聞に投書したことで、それを受けたあるプロデューサーが執念で真相を究明しました。

 

・9歳で他界していた『きみ』

宣教師夫婦は引きとったきみをとても可愛がっていました。

しかし、きみは幼くした結核を患ってしまいます。

そんな状況の中、宣教師夫婦にアメリカから帰国命令が来ました。

病気のきみに長い船旅などさせられない、帰国命令には逆らえない。

夫婦はやむなくきみを麻布十番にあった同系列教会の孤児院に預け帰国。

きみはそのまま孤児院で暮らし、明治44年わずか9歳で亡くなりました。

彼女は六本木・鳥居坂教会の共同墓地に眠っています。

私生児として故郷で疎まれ、僅か4歳で実母と離別。

優しい養父母と暮らせたのもほんの束の間、結核にかかり母親との再会叶わず9歳でこの世を去った一人の女の子。

『赤い靴』のメロディがよりいっそう物悲しく聞こえてきませんか?



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