社会

歴史上最悪な仕事10選

数多ある仕事の中には、「誰かがやらなければいけないことだけれど、自分には絶対無理だ」と大半の人が思うような職も少なからず存在します。

人や動物の死体に関わるものや自らの命を失ってもおかしくないほど過酷なものなど、かつてあった最悪な仕事と現代に存在する最悪な仕事を時系列に沿って紹介していきます。

 

古代の最悪な仕事

①反吐収集人

ローマ時代の貴族は、贅を凝らした饗宴を開くことをとりわけ好みました。あまりにも多くの料理や酒が振る舞われることから、ローマの貴族の家には宴の間に満腹になったら次の料理に備えて胃を空けるため、「嘔吐するための専用の部屋がある」という逸話が残っている程です。

吐瀉専用の部屋があったというのは後世につくられた話だと考えられていますが、カエサルやネロに関係した学者が残した日記や手紙の中には「ローマ人は吐くために食べている」という記述が見られ、彼らが宴会の途中で当然のように嘔吐していた事実が判明しています。

ローマ人の貴族達は宴の途中に嘔吐する時、席すら立たず床にそのまま嘔吐するか、吐瀉物専用のボウルに吐き出していたそうです。

そして宴の主賓である貴族達がおしゃべりに興じている間、吐瀉物にまみれた床に膝をついて回っていたのが反吐収集人と呼ばれる奴隷たちでした。

さらに当時の貴族達の間では床に痰を吐くといった現代ならば人前でするのは恥とされる行為が、どういうわけか洗練された習慣として扱われていました。そのため家の中でも床に唾を吐く貴族は多く、反吐収集人達は絶えず床を這って汚物を掃除してまわり、主人が寝た後は饗宴に使われた純金の食器にこびりついた脂を綺麗に拭き取るなど休みなく働かされていたといいます。

 

②金鉱夫

他人の吐瀉物にまみれながら床を這い続ける反吐収集人も非常におぞましい仕事ですが、屋根のある場所で働けるというだけでもローマ時代の奴隷にとっては恵まれたことだという指摘もあります。

ローマがブリタニアを信楽した理由の一つに、金属と鉱物が潤沢に産出されていたことが挙げられます。特に鉛の需要は高く、いったん溶かしてからスズと混ぜてピューターという低融点合金がつくられていました。

西暦70年の時点でブリタニアはローマ帝国最大の鉛と銀の生産地となっていましたが、そこまでの採掘料を誇るためには過酷な労働が強いられ、毎年一定の割合の鉱夫が命を落としていたことが予想されます。

しかし露天採掘をしていた鉛や銀はまだ採掘作業としては安全度が高く、当時のブリタニアで最も過酷だったのが坑内採掘となる金の採取でした。

金の採掘作業で奴隷に与えられた道具は、石を削るための簡易つるはしとカゴ、鉱石を運ぶための木製の運搬具のみ。身を守るようなものは支給されず、必要最低限のものだけが貸与されました。

坑内労働の中で最もメジャーなのが石炭の採掘ですが、石炭は岩の間に挟まれた一つの層として存在し、発見も採掘も比較的容易です。一方で金を含有する石英は太古の噴火活動によってつくられたため、溶解した鉱石が岩の亀裂に入り込んで固まって存在します。

そのため石英は山の中を鉱脈として不規則に走っており、大きな鉱脈を見つけたと思って追っていっても先細りになっていることも珍しくなく、鉱脈をたどるのも運任せ。まるで迷路をたどるような状態で金鉱夫達は作業を強いられたのです。

また坑道の天井は木材で支えられただけの簡易なもので、坑内に少し衝撃が加わればマッチ棒のように木材は折れて天井が落ちてきました。さらに坑内は真っ暗で、オリーブオイルなどを燃料にしたランタンを持って薄暗い中、鉱夫達は手探りで作業を続ける必要がありました。

極めつけに石英が岩に張り付いていた場合は、木材を岩の前に積み上げて火をつけて数日間かけて岩を高温で熱し続ける必要があり、鉱夫達はこの煙で燻されながら作業を続けさせられていました。

そして熱せられた岩が輝きを放つようになったら一気に酢か水をかけて急激に冷ますのですが、この時、温度差で収縮した岩は大爆裂を起こすのです。

数日間煙で苦しめられた鉱夫達は、今度は爆発で崩れ落ちる岩と飛び散ってくる石片から身を守りつつ、採掘の邪魔になる岩を手作業で坑道の外に運び出し、石英の発掘作業に取り掛かる必要がありました。

石英は非常に固くて削りにくいうえ、そこから得られる金の粒はごくわずか。極めて小さい金の粒のために、数え切れないほどの奴隷が暗い坑内で命を落としていったのです。

また金鉱の近くには基地が設けられていましたが、全ての鉱夫を収容できる程の広さはありませんでした。そのためおそらく労働時間外の奴隷達は逃げないように手足に枷を嵌められたまま、適当に建てられた小屋に押し込められていたものと考えられています。

 

中世から近代の最悪な仕事

①治療床屋

現代ならば大怪我を負った際、私達が足を運ぶのは病院か薬局のどちらかでしょう。

しかし中世のヨーロッパでは、怪我や病院で苦しんだ際に人々が頼ったのは、占星術師と救急医と理髪師の3つの職を兼任していた「治療床屋」という職人でした。

中世の時代、専門職や商売はギルドによって厳しく監督されており、適格者たる厳格な基準が定められていました。

そしてその中で治療床屋のメンバーに許されていたのは刃物を持つことであり、持った刃物で何をするのかについては幅広い裁量が認められていたのです。

つまり治療床屋のギルドに入れば刃物で客の顎髭を整えるもよし、頼まれれば客の手足を切断するも良しとされていたのですが、彼らが外科治療を行ったところで手術が失敗することも多く、治療床屋は訴えられるリスクと患者が支払いを拒否した際の金銭的なリスクに脅かされながら仕事を続けていたとされます。

治療床屋の多くは手術が失敗して診療報酬をもらいそこねた場合に備えて保証金や担保をとっていたのですが、それでも無いところからはお金が取れずに泣き寝入りすることも多かったのだそうです。

時に砕けてしまった四肢や壊疽した傷をナイフと針と糸だけで切って縫ってと施術することもあった治療床屋ですが、麻酔薬などはなかったため、彼らは苦痛に絶叫して逃げようとする患者を押さえつけたうえ、手早く作業を行う必要がありました。

ノロノロしていると出血多量で患者の命が危ぶまれるため、様々な種類のナイフを使って患部の肉を削ぎ落とし、骨を断ち、手早く皮膚をまとめて縫い上げていたのです。

この凄惨な手術光景を想像するだけでもゾッとしますが、更に酷いことに治療床屋は内科の診断をする際には患者の尿を飲むことさえあったといいます。中世にはリトマス試験紙も存在しなかったため、尿の見た目や臭気、味から健康状態を判断していたそうです。

この方法でどれだけ患者の健康状態が正確に把握できたのかは謎ですが、他にも治療床屋は頭痛や精神の病、肝臓の病に苦しむ患者から血を抜くという「瀉血治療」という治療方法を広く行っており、これには蛭が使われることも多くありました。

蛭の唾液に含まれる抗凝血の物質を利用することで、切断された足や腕が胴体に縫い戻されるまでの間、血餅ができるのを防げるのです。

治療床屋は蛭を薬売りから仕入れていましたが、薬売りは蛭を「蛭採集人」という職業の人々から購入していました。ほとんどの蛭採集人は副業としてこれを行っていたそうですが、噛まれて感染症に掛かることや血が止まらなくなることも多く、副業として行うにはあまりにリスクの高い仕事でした。

しかも蛭採集人は医療に貢献しながら、自分達が怪我をした際には治療床屋に掛かるだけの費用を捻出できない暮らしをしていました。治療床屋の治療も原始的かつ野蛮極まりない、治療というより拷問に近い印象を受けますが、それでも当時は恵まれた人だけが受けられる高級な診療だったのです。

 

②死刑執行人

純粋な嫌悪感と恐怖や嗜虐心の強い人間なのではと白い眼を向けられることもあるうえ、同じ人間の命を奪うことから精神的なダメージも大きいことから、いつの時代であっても最悪な仕事の1つに挙げられる死刑執行人。

死刑執行人のイメージとして大きな斧を持ち、黒い三角のフードを被った男性を思い浮かべる方も少なくないでしょうが、実は斬首刑など刃物による速やかな処刑は貴族にのみ認められた特権でした。

チューダー王朝では多くの罪人が絞首刑にされたのですが、犠牲者達はソリのような運搬具に乗せられて馬にひかれて刑場に運ばれた後、服を脱いだ状態で絞首台に登らされて、首に縄をかけたところではしごを外されて処刑されました。

あまり良い話ではありませんが人間の体を熟知した医者が自殺を図る場合、最も選ばれる方法が首吊りである、首吊りが最も苦しまない自害の方法だと現代では言われています。

そのため斬首刑より絞首刑のほうが罪人の負担は軽いのでは?と思ってしまいますが、当時の絞首刑ではすぐに首の骨が折れるようなロープの結び方はされていなかったため、時には30分以上苦しんだ上に窒息死した者もあったそうです。

死刑執行人の多くは元罪人で、自分の首を守るために仕事に就いた者だったといいます。死刑執行人の中には在職中に3000人もの罪人を縛り首にしたトマス・デリックのようにある種の名声を得た者もいましたが、やはりなり手のいない職業だったのでしょう。

死刑執行人の仕事の中で見せ場となるのが斬首刑であり、高貴な人間が斬首刑に処されるとなると刑場には多くの見物客が詰めかけてスリリングで悪趣味なショーを楽しんだそうです。

斬首刑(と言っても斧による処刑の場合は、脊椎を叩き潰すことで殺すことの方が多かった)が行われた後、死刑執行人には刑場の死体の片付けの他にクミンシードと塩を入れた大鍋に罪人の首を放り込んで茹で、それからさらし首として所定の場所に配置するという大仕事が残されていました。

中には一刀で処刑を終わらせるという約束で、受刑者や受刑者の親族から高額なチップを受け取っていたという招魂たくましい死刑執行人もいたそうですが、仕事が原因で病んでしまい、自ら命を断つ死刑執行人が多かったというのも頷けます。

 

③硝石集め人

15世紀に入ると武器としてマスケット銃や大砲が戦場に姿を見せるようになり、戦の折には膨大な量の硝石が必要となりました。

そこで登場したのが硝石集めを担う硝石集め人達ですが、スチュアート朝時代の彼らの職場は掘り込み便所や豚舎、堆肥の山、鳩小屋などで、これらの尿が染み込んだ汚い土壌で硝酸塩は採取されていたのです。

当初、硝石集め人はこれらの土壌を掘り進め、化学物質をたっぷり含んだ土を何トンも運んでいたのですが、これでは効率が悪いと1625年には尿から直接硝酸塩を抽出する方法が編み出されました。

そしてロンドンとウェストミンスターの家庭では戸口に1日の尿をまとめた瓶を置くことが推奨され、硝石集め人はこれを集めて回りました。しかし2年が経った頃、この方法で得られる硝酸は土壌から得るよりも格段に少ないことが分かり、再び硝石集め人は国王から特権を与えられ、どこでも勝手に掘り返すという力仕事を開始したのです。

どこでも勝手にという範囲には私有地も含まれており、個人の家の中であっても硝石集め人は自由に入り込んで床を掘り起こすことが許されていました。最終的に好き勝手に振る舞う硝石集め人に対して市民の不満が爆発して、彼らが好き放題にすることは許されなくなったのですが、一時期硝石集め人には教会の床すら掘り起こす権利を与えられていたといいます。

このように大きな缶力を与えられていた硝石集め人ですが、一日中排泄物混じりの泥にまみれても得られたお金は大したものではなかったと考えられています。確かに硝石は高く買い取られたのですが、売上の大半は最初の経費が出せる元締めのポケットに入ってしまうため、作業人の手元に転がり込むお金は微々たるものだったのです。

硝石集め人は土の味見をして、塩辛い味が感じられるかどうかで硝石に富んだ土を見分けたといいます。更に彼らは採集してきた尿の染み込んだ土を水に溶かして煮立て晶析させた後、膠や血液と混ぜ合わせて混合液を作り、これを再度晶析して洗浄し、火薬製造業者に納めるまでを請け負っていました。

ここまで汚物の悪臭に悩まされて仕事をして農業従事者よりも遥かに少ない賃金しか得られなかったと言うのは、何とも不当かつ不憫としか言いようがありません。

 

④カストラート

カストラートはジョージ王朝時代のイギリスで誕生した職業で、オペラで大人気を集めた花形歌手でした。彼らは変声期の前の少年の声を保つために去勢手術を受けており、もともとはオペラで女役を演じるために生まれました。

しかしカストラートの美声は聴衆の心をつかみ、またたく間に男役までもカストラートが演じるようになっていったのです。

当時、去勢手術を受けるカストラート候補として選ばれた少年たちに拒否権はありませんでした。大抵の場合選ばれるのは貧しい家の子供で、これで家庭が貧困から抜けられると信じて手術を受けました。

カストラートはイタリアで生み出されていたのですが、バチカンでは野蛮だという理由から去勢手術を固く禁じられていました。しかし教会法でも民法でも禁じられた手術は、家族が「病気の治癒のため仕方なく精巣を摘出した」と申し立てれば合法的に行えたため、何世紀もの間、公然と去勢手術が行われていたのです。

手術を施されるのは8歳から10歳の少年に限られ、気を失うまで熱湯の風呂に入れられた後に睾丸を潰す処置が行われます。この手荒い手術は常に成功するわけではなく、中には命を落としてしまう子供も存在したそうです。

恐ろしいことには「手術さえ受ければ誰でもカストラートになれる」という誤解まで生まれ、全盛期には推定4000人もの少年がこの手術を受けたという話もあります。

しかし当然ながらカストラートになれるのはもともと美声を持っていた少年だけで、去勢をしたからと言ってダミ声が美声に変わるわけではありません。

また美声の持ち主であってもカストラートとして成功できるのはほんの一握りで、大半の少年は術前と同様の貧しい生活を余儀なくされました。

更に悲惨なことに、この無謀な手術には重大な副作用が伴い、術後には脚や腕が不自然に長くて腰やまぶた、胸などに過剰に脂肪が付きやすいといった生理学的な影響の他に、ホルモンバランスが崩れるせいか情緒不安定という性格も共通して見られたといいます。

カストラートになれたのならば、このような性格の難を抱えても仕事はできたかもしれません。しかしさしたる才能もなく、傲慢でうぬぼれが強い気分屋の労働者を雇いたいという雇用主はそうそういないでしょうから、手術のせいで人生が大きく狂ったという少年も少なくなかったと想像されます。

 

⑤マッチ工

19世紀のマッチ工場では、小さな木の棒を黄燐の溶液につけることでマッチを作っていました。この有毒物質は「燐顎」と呼ばれる下顎の骨を壊死させる恐ろしい病気を引き起こし、マッチ製造に従事する者の体を蝕みました。

燐顎の最初の兆候は歯痛と歯茎の炎症であり、続いて膿瘍ができて膿が口内にたまるようになります。そして患者の腐った下顎の骨が妙な光を放つようになるといいます。当時、燐顎を治療する唯一の方法は下顎の骨を完全に切除するという残酷なものだけでした。

このような重大な疾患を招くことから、アメリカなどではいち早く黄燐の使用が禁じられたのですが、イギリスではヴィクトリア王朝の時代に入っても商業の自由を掲げて黄燐の使用が続いていました。

しかもマッチ工場で働くマッチ・ガールたちの給料は週に5シリング以下で、長い時は1日14時間も労働させられたといいます。そのうえマッチを落としたり話したりすると、ここからさらに罰金がひかれたため手取額は相当低かったと予想されます。

しかし、そのような過酷な環境にあってもマッチ・ガールは自らを悲観せず、できる限りのファッションを楽しんで暮らしていました。そして遂にロンドンにあったブライアン・アンド・メイ工場の女工達は、給料と労働環境の改善を求めてストライキを行ったのです。

時を同じくして1891年に救世軍が労働者の安全に配慮した工場を建てたこともあり、彼女たちのストライキは成功してマッチ・ガールの待遇は格段に良くなりました。

とは言っても燐顎の恐怖が去ったわけではなく、恐ろしいことにマッチ工場の従業員の中には未だに燐顎の症状が見られるといいます。そのため顎の腫れが見られたら、速やかに何本かの歯を抜いて下顎の骨を守る処置が取られるそうです。

 

現代日本の最悪な仕事

①特殊清掃員

引用元:https://www.yomiuri.co.jp/

普通に生活をしていてゴミの処理を行政以外に依頼するというのは、家の建て替えや引っ越しなどをする時などを除き、なかなか無いものです。しかし自分の手に負えないほど自宅にゴミがたまり、近隣から苦情が出るようになってやっと業者に掃除を依頼するという人も存在します。

通常ゴミ屋敷の掃除を請け負う場合は「部屋にあるものは全て業者に所有権を移す。つまり捨てられても文句は言わない」という契約書を交わして行います。

そのため一見ゴミの山としか思えない場所から中身の入った給与袋や祝儀袋が出てきたり、買ったまま放置された貴金属が出てくることもあり、これらのものが清掃の依頼料よりも高額になることも珍しくないのだそうです。

また大量の紙ゴミや金属ゴミもリサイクル業者に売れるため、ゴミ処理業は意外と儲かる仕事なのですが、その中でも基本的な依頼料が通常の3倍以上になるとされるのが、遺体が出た部屋の清掃を行う特殊清掃の仕事です。

特殊清掃員が作業をする前に遺体本体は警察が運び出しているのですが、腐敗臭や汚物はそっくりそのまま残された状態。そのため孤独死や自殺をした遺体が長らく発見されなかった場合、とにかく腐敗臭がひどく、特に遺体発見現場が密閉空間の風呂場であった場合は、湯船にドロドロの液体とウジが充満して地獄絵図の様相なのだそうです。

遺体発見現場がリビングなどであっても時間が経つと人間の体は腐敗して溶けるため、床にこびりついた腐敗液を完全に処理する必要があり、掃除で出たゴミを持ち込む処理場も一般廃棄物から感染性一般廃棄物に変わるために経費も高くつきます。

そこに精神的苦痛もプラスされることから、たとえ依頼料が高額であっても専門の業者以外で特殊清掃に手を出す会社はほとんど無いと言われています。

 

②闇ブリーダー・パピーミル

引用元:https://hunting-animal.jp/

動物好きの人の中には、パピーミルという言葉をご存知の方も少なくないでしょう。通常のブリーダーは1種か2種、自分の専門の犬種か猫種のみのブリーディングを行い、きちんと獣医師と連携をして慎重に子犬や子猫を誕生させます。

しかしパピーミルと呼ばれる闇ブリーダーは正当なブリーダーと異なり、流行りの犬種や猫種であれば見境なく繁殖させ、親の健康状態も子の健康状態も全く気にかけず、生殖機能がある限りインターバルもなく親犬、親猫に子供を産ませ続けます。そのため虐待であるとして近年バッシングを浴びており、闇ブリーダーはペットや動物好きの視点で見て最悪な職業と言えるでしょう。

このような闇ブリーダーにとって最もお金にあるのは血統書付きの犬や猫であり、彼らにとって一番固い顧客は水商売や風俗で働く女性であるため、繁華街近くのペットショップと繋がりを持つことが多いのだそうです。

普通のブリーダーやペットショップでは子犬や子猫に疾患がないか調べ、持病がある場合はきちんと顧客に説明をしますが、闇ブリーダーから仕入れるような粗悪なペットショップの場合は、近親交配で誕生した個体も普通に販売する上、血統書を偽造することもあります。

とは言っても素人目にもわかる障碍のある個体は販売できないため、どうにかして処分をする必要が出ます。そのためチワワやポメラニアン、トイプードル、スコティッシュフォールドといった買い手が多く、繁殖も処分も比較的負担の少ない小型犬や猫であっても、ある程度大きな施設を用意しないと乱繁殖はできません。

このように犬や猫を繁殖するには初期投資が必要なことから、闇ブリーダー達が目をつけたのがハツカネズミです。ハツカネズミならば衣装ケースの中で繁殖と飼育ができるうえ、買い手もペットとして欲しがるのではなく爬虫類の冷凍餌として購入するため、気楽に繁殖できます。

特に生まれたてのハツカネズミはピンクマウスと呼ばれる主力商品となり、出産後すぐに小さいジッパー付きのポリ袋に複数匹入れて冷凍して、1匹60〜80円で販売が可能です。しかもペットショップに卸すのではなく、ネットに自分のショップを開けば利益を総取りできるため、軌道に乗れば毎月30万円は稼げるのだといいます。

一般的な闇ブリーダーがハツカネズミを繁殖させる場合、6畳の部屋に50以上の衣装ケースを並べて大量に飼育するのだそうですが、このようなことを行っている家が近隣にあった場合、全く無臭ということはないでしょう。

健康状態の悪い子犬や子猫を乱繁殖するよりは、爬虫類の餌のピンクマウスを製造している方が倫理的には問題が少ない印象を受けますが、賃貸アパートの1室など狭い空間でネズミが大量繁殖されていたら衛生面では大きな問題がありそうです。

 

③復讐代行屋

ネット上にHPを作っている業者や、依頼料を払った後に連絡がつかなくなり騙されたといった口コミが寄せられている業者もある、復讐代行屋。文字通り特定の相手に自分の代わりに危害を与えてもらうという代行サービスですが、当然復讐という行為は違法です。

もともと誰かに怪我を負わせて欲しい、嫌がらせをして欲しいという依頼は普通の探偵業や便利屋を行っている人の元にも舞い込んでくるものだったそうです。しかしリスクが高すぎるからと断られ、そのような人達が行き着く先が半ばイリーガルな存在の復讐代行屋でした。

探偵に近い立場の復讐代行屋が受ける依頼の中で、最も多いのは男女を別れさせる仕事で、中には近所に住んでいる夫婦が幸せそうでムカつくから家庭を壊してほしいといった理不尽な内容のものもあるそうです。

それでもこの手の依頼は復讐代行屋が行う仕事の中ではかなりまともなもので、仕掛け人がターゲットに近づいて口説き落とし、標的がパートナーと別れたら自分は姿をくらますという比較的安全な寸法で行われます。ちなみに男女を別れさせるという依頼の場合、依頼料として支払うのは30万〜100万円程度だそう。

一方で相手の家や車に石を投げ込む、ペットを殺す、代引き商品を送りつける、電車で置換の冤罪を押し付けるといった悪質な依頼も多く、あまりにも違法性が高い場合は復讐代行屋も300万円で請け負うといったように高額な依頼料を提示して、依頼人が諦めるように仕向けるのだといいます。

しかし半グレやギャンググループが行っている復讐代行屋の場合は、お金も欲しいうえに残酷な行為をすることに抵抗がないことから、レイプや暴行といった依頼も引き受けます。

半グレ集団系の復讐代行屋は、事務所を構えて常に客をとっているわけではありません。彼らは顔見知りの依頼で仕事を受けることが多く、中には全くの逆恨みから凄惨な暴行を依頼されるケースもあるといいますが、基本的に依頼料さえ貰えれば何でもこなしてくれます。

しかし限りなく黒に近いグレーな集団が行う復讐代行だけあって、後に依頼人が復讐代行屋に揺すられて生活が崩壊することも珍しくないのだとか。

それにしても「幸せそうなのがムカつく」「自分よりも恵まれているのが気に入らない」といった程度の理由で半グレ集団にリンチを依頼する人間がいるというのは何とも恐ろしい話であり、復讐代行屋はきちんと取り締まって消滅してほしい現代の最悪な仕事の1つと言えるでしょう。

 

まとめ

かつては奴隷や貧困層に華やかな生活を支えるための暗部を押し付けることで、危険な仕事や極めて衛生状態の悪い、最悪な仕事が存在していました。

しかし仕事を選ぶ際にある程度の自由がきくようになった現在の日本では、多くの人がやりたくないと感じる仕事、例えば特殊清掃や屠殺などのなくてはならない仕事に取り組んでくれる人がいる一方で、パピーミルや復讐代行、果ては殺し屋といったような社会に必要ない最悪な仕事で金儲けをする人も一定の数存在します。

時代とともに最悪と呼ばれる仕事の種類も変わっていくものなのでしょうが、途上国では未だに子供が危険な金鉱で鉱山労働をしています。近い未来には少なくとも、中世や近世のような劣悪な環境で働かされている人が居なくなってくれればと願わずにはいられません。



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